「物を掴めない恐怖」(2012/06/21 (木) 21:38:53) の最新版変更点
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*物を掴めない恐怖 ◆NgpPbOWd9I
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「なんか最近不幸続きな気がする」
ファミリーマートのレジに腰かけながら、グレーテルである、私はそう呟いた。
両親に捨てられ、兄は熊に殺され、女神に犬にされた矢先に殺し合いに乗れなどと言われたのだ。
もう神様は自分にとっとと死んでほしいんじゃないだろうか、と思うのも無理もない。
「…これもどうしたものかね」
そう言って目にするのは赤と白で配色されたボール。
手を使って開けることができなかった私は口を使い、バッグをひっくり返すことで支給品を確認することにした。
ところがその際、説明書が裏返しに落ちてしまったため、この支給品がなんなのかわからないままなのだ。
「やっぱりこの腕、致命傷ですよ」
仕方なく私は他に転がっている支給品をバッグにしまうことにする。
どちらも指を動かせない私にとっては、必要のないものだ。
ついでにそこいらに置いてある弁当も回収しておく。このサバイバルを生き残るには少しでも食糧はあったほうが良い。
ボールは放置することにした。これ見よがしにボタンが目に入ったが押して何が起こるか解らないからだ。
そして私はコンビニを出た。
「しかし自動で開くなんて便利なドアだよね」
◆◇◆◇◆◇
「絶望した!夢から覚めたら厄介ごとに巻き込まれていることに絶望した!」
ラミエルは絶望した。いずれ自分は死ぬのだと確信していた。
自分は人類の敵、使徒なのだ。それが殺し合いの場に呼ばれている。
「これ、どう考えてもマーダーのつもりで呼んでますよね?つまり主催者は私に汚れ役をやれと言ってきているわけです。
ああ、思えば夢の中でもそんな有様でした。あっちでも悪役、こっちでも悪役。私に生存する可能性は残されていないんですか!?」
そう言いながら考え付いたのが二つほどあった。
一つは全員殺し切ること。仮にも使徒の端くれだ。よほどのことがない限りやられはしないだろう。
だがそこまで楽観できるほど、ラミエルは馬鹿ではなかった。
おそらく自分は途中で朽ち果てることくらい読めている。
そこでもう一つの考え。マーダーをやりつつ途中で死んでも死んだことにはならない考え。
「…夢オチ。そうだ、夢オチなら生き残れますよ!」
神は言っている、こっちのほうが楽観的だと。
しばらく悩んで結局彼は乗ることにした。
冷静に考えてみるとこれが夢オチであれ、現実であれ、戻ったところで自分は死んでしまうということに気付いたのだ。
ならば好き勝手したっていいじゃないかという思考に基づいた結果である。
「しかしこの身体…随分と小さくなってしまいましたね」
ラミエルは周りと自分の身体を比べてそう感じた。
この大きさだと自分は一回りどころか人間サイズにまで小さくなっている。
「主催の仕業でしょうか?」
もう一つ気になるのは首輪である。
ラミエルの身体の構造上首輪なんて巻けるはずないのだが、どういう原理かきれいにくっついている。
「ホントどういうことなのやら。ビームも試してみますか」
ちょうどこの位置からなら豪華客船が見える。あそこまで届くか試してみることにした。
「ちょっと、やる気出してみますかね」
△▲△▲△▲
「な、何が起こったの?」
本当に偶然だった。もしかしたらあのボールは知る人が使えばそれなりに使えるのかもしれない。
そう思うとやはりあのボールが気になって仕方がない。コンビニの中に入って回収しようとした瞬間だった。
突如ドア越しに強烈な熱が背後を通り過ぎたのが解った。
あまりの衝撃で前方に飛ばされ、店内は地震にでもあったかのように揺れた。
少し目眩がしたが、急いで背後を確認する。
ドアや窓が融解していた。壁もおそらく表面部分が解けているだろう。
雑誌コーナーの一部が燃えている。いずれ雑誌はすべて燃えるだろう。
近くにいた自分の身体も少しばかり火傷しているようだ。五体満足なのは奇跡としかいいようがない。
「…あれ?ボールがなくなってる」
そしてボールがないことに気付いた。さっきの衝撃でどこかへ転がってしまったのだろうか。
「でもそんな場合じゃないか…」
店内に戻った瞬間、熱が背後を通り過ぎたということは、あのまま外に出ていたら直撃していたということだ。
相手はこっちの動きに気付いている可能性がある。あの威力だ。店に隠れていても、店ごと狙撃される可能性が高い。
正面は床があの熱で焼かれているため素足では歩けない。裏口から逃げよう。
◆◇◆◇◆◇
「やはり届きませんでしたか」
ビームは結局豪華客船には届かず、コンビニの手前を通過したあたりで止まった。
だがそれでも飛距離はエリア二つ分。人間には十分すぎる威力にしてはよく伸びたほうだ。
「あとは位置を感知することさえできれば良かったんですけど…」
ラミエルの読心も、同エリアに居なければ発揮できないのか、初めから制限されているのか知らないが、ここに来てから使えていない。
あのコンビニに人がいたことなど気付いてすらいない。
「まあ、見晴らしの良いところに行けば問題ないですかね」
攻撃に関してはひとまずこれで良いだろう。
問題は首輪だ。
「この首輪はフェイク。まさかコアに本物の爆弾が付着しているとは驚きましたよ」
正確に言うなら、表面についているのも爆弾だ。
しかしこの程度ではラミエルは倒れないだろう。
そのためコアにも爆弾がつけられているのだ。
「おそらくコアとくっついているおかげでしょうけど、私の攻撃で爆発することはないみたいですね」
しかし夢みたいに掠ることすら命取りなのは欠点だ。ATフィールドの強度によっては刀一突きでお陀仏の可能性もある。
「困りましたね。支給品も開けられてないわけですし…」
ラミエルも支給品を確認できていない参加者の一人だった。
腕も足も口もないから仕方ないが、それでもこのバッグを放っておくわけにはいかない。
もし強力な支給品が入っていたら困る。
「仕方ありません」
ラミエルは再び変形した。
▲△▲△▲△
遠くのほうで衝撃音がする。さっきの輩だろうか。
ひょっとしたら誰かとの戦闘になりこっちに構っている暇などないのかもしれない。
私は床が冷えた正面の入り口から逃げ出した。
裏口のドアはドアノブで開け閉めするタイプだったため逃げることができなかったのだ。
もはやこれまでと諦めていたところ例のボールが目に入った。
ここまで転がっていたようだ。神に祈る気持ちでボタンを押してみた。
「なんだこりゃ…」
出てきたのは青い鳥みたいなものだった。
鳥はチャモチャモ言いながら私の指示を待っているかのようだった。
とりあえず正面玄関から出たい旨を伝えたところ、鳥は正面玄関に向かい水を吹いて冷やしてくれた。
ついで落としてしまっていた紙も拾うようにいうと拾ってくれた。
紙によるとポッチャマという鳥らしい。ポケモンとか書いてあったけどよくわからない。
水に特化した鳥で水を使っていろいろな技が使えるようだ。闇の波動とか
それにしても鳥ですら持てる紙を持てない私って…。
ポッチャマに慰められながら私はコンビニを発った。
【H-07 コンビニ付近/1日目・深夜】
【グレーテル@よもやま四方山】
【状態】軽度の火傷
【装備】ボロ服
【道具】基本支給品一式、モンスターボール(ポッチャマ)、不明支給品1~2
【思考・状況】
基本:ここから脱出する
1:私の腕ホント使えない…orz
2:コンビニから離れる
【ポッチャマ@ポケットモンスター】
水系統の技を使える鳥ポケモン。
なんか闇の波動を使えるとか使えないとか。
使えるわざ:みずでっぽう、つつく、はたく、ハイドロポンプ
◆◇◆◇◆◇
バッグがあとかたもなく蒸発したのを確認したラミエルは見晴らしの良い場所を目指し彷徨う。
バッグの中身に地図があったのをビームを放った直後に気付いたが、別に良いかと思う。
「どうせ死んでしまうのだから気楽にやりましょう。気楽にね」
「小さくなっても動くスピード上がらないんですね…すげえ遅い」
10分後。ラミエルは未だ海岸にいた。
彼がビームを放った影響が動くスピードを遅くすることに気付くのはいつになるのだろうか。
【H-09 海岸/1日目・深夜】
【ラミエル@新劇場版ヱヴァンゲリヲン・序(さよなら 絶望ラミエル)】
【状態】遅化、気楽
【装備】なし
【道具】なし
【思考・状況】
基本:全員殺す
1:見晴らしの良い所に行かねば…
2:私の足遅すぎ!?
※力を使うと比例して移動スピードが遅くなることに気付いてません。
※支給品の残骸が海岸に転がっています。
|sm10:[[勝治死す!ポヨヨン・ウェイ・スター]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm12:[[早苗と権兵衛の、バトルロワイアル演義]]|
|sm10:[[勝治死す!ポヨヨン・ウェイ・スター]]|[[投下順>00~50]]|sm12:[[早苗と権兵衛の、バトルロワイアル演義]]|
||グレーテル|sm47:[[Ctrl+V]]|
||ラミエル|sm46:[[私達はまだ本気出してないだけ]]|
*物を掴めない恐怖 ◆NgpPbOWd9I
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「なんか最近不幸続きな気がする」
ファミリーマートのレジに腰かけながら、グレーテルである、私はそう呟いた。
両親に捨てられ、兄は熊に殺され、女神に犬にされた矢先に殺し合いに乗れなどと言われたのだ。
もう神様は自分にとっとと死んでほしいんじゃないだろうか、と思うのも無理もない。
「…これもどうしたものかね」
そう言って目にするのは赤と白で配色されたボール。
手を使って開けることができなかった私は口を使い、バッグをひっくり返すことで支給品を確認することにした。
ところがその際、説明書が裏返しに落ちてしまったため、この支給品がなんなのかわからないままなのだ。
「やっぱりこの腕、致命傷ですよ」
仕方なく私は他に転がっている支給品をバッグにしまうことにする。
どちらも指を動かせない私にとっては、必要のないものだ。
ついでにそこいらに置いてある弁当も回収しておく。このサバイバルを生き残るには少しでも食糧はあったほうが良い。
ボールは放置することにした。これ見よがしにボタンが目に入ったが押して何が起こるか解らないからだ。
そして私はコンビニを出た。
「しかし自動で開くなんて便利なドアだよね」
◆◇◆◇◆◇
「絶望した!夢から覚めたら厄介ごとに巻き込まれていることに絶望した!」
ラミエルは絶望した。いずれ自分は死ぬのだと確信していた。
自分は人類の敵、使徒なのだ。それが殺し合いの場に呼ばれている。
「これ、どう考えてもマーダーのつもりで呼んでますよね?つまり主催者は私に汚れ役をやれと言ってきているわけです。
ああ、思えば夢の中でもそんな有様でした。あっちでも悪役、こっちでも悪役。私に生存する可能性は残されていないんですか!?」
そう言いながら考え付いたのが二つほどあった。
一つは全員殺し切ること。仮にも使徒の端くれだ。よほどのことがない限りやられはしないだろう。
だがそこまで楽観できるほど、ラミエルは馬鹿ではなかった。
おそらく自分は途中で朽ち果てることくらい読めている。
そこでもう一つの考え。マーダーをやりつつ途中で死んでも死んだことにはならない考え。
「…夢オチ。そうだ、夢オチなら生き残れますよ!」
神は言っている、こっちのほうが楽観的だと。
しばらく悩んで結局彼は乗ることにした。
冷静に考えてみるとこれが夢オチであれ、現実であれ、戻ったところで自分は死んでしまうということに気付いたのだ。
ならば好き勝手したっていいじゃないかという思考に基づいた結果である。
「しかしこの身体…随分と小さくなってしまいましたね」
ラミエルは周りと自分の身体を比べてそう感じた。
この大きさだと自分は一回りどころか人間サイズにまで小さくなっている。
「主催の仕業でしょうか?」
もう一つ気になるのは首輪である。
ラミエルの身体の構造上首輪なんて巻けるはずないのだが、どういう原理かきれいにくっついている。
「ホントどういうことなのやら。ビームも試してみますか」
ちょうどこの位置からなら豪華客船が見える。あそこまで届くか試してみることにした。
「ちょっと、やる気出してみますかね」
△▲△▲△▲
「な、何が起こったの?」
本当に偶然だった。もしかしたらあのボールは知る人が使えばそれなりに使えるのかもしれない。
そう思うとやはりあのボールが気になって仕方がない。コンビニの中に入って回収しようとした瞬間だった。
突如ドア越しに強烈な熱が背後を通り過ぎたのが解った。
あまりの衝撃で前方に飛ばされ、店内は地震にでもあったかのように揺れた。
少し目眩がしたが、急いで背後を確認する。
ドアや窓が融解していた。壁もおそらく表面部分が解けているだろう。
雑誌コーナーの一部が燃えている。いずれ雑誌はすべて燃えるだろう。
近くにいた自分の身体も少しばかり火傷しているようだ。五体満足なのは奇跡としかいいようがない。
「…あれ?ボールがなくなってる」
そしてボールがないことに気付いた。さっきの衝撃でどこかへ転がってしまったのだろうか。
「でもそんな場合じゃないか…」
店内に戻った瞬間、熱が背後を通り過ぎたということは、あのまま外に出ていたら直撃していたということだ。
相手はこっちの動きに気付いている可能性がある。あの威力だ。店に隠れていても、店ごと狙撃される可能性が高い。
正面は床があの熱で焼かれているため素足では歩けない。裏口から逃げよう。
◆◇◆◇◆◇
「やはり届きませんでしたか」
ビームは結局豪華客船には届かず、コンビニの手前を通過したあたりで止まった。
だがそれでも飛距離はエリア二つ分。人間には十分すぎる威力にしてはよく伸びたほうだ。
「あとは位置を感知することさえできれば良かったんですけど…」
ラミエルの読心も、同エリアに居なければ発揮できないのか、初めから制限されているのか知らないが、ここに来てから使えていない。
あのコンビニに人がいたことなど気付いてすらいない。
「まあ、見晴らしの良いところに行けば問題ないですかね」
攻撃に関してはひとまずこれで良いだろう。
問題は首輪だ。
「この首輪はフェイク。まさかコアに本物の爆弾が付着しているとは驚きましたよ」
正確に言うなら、表面についているのも爆弾だ。
しかしこの程度ではラミエルは倒れないだろう。
そのためコアにも爆弾がつけられているのだ。
「おそらくコアとくっついているおかげでしょうけど、私の攻撃で爆発することはないみたいですね」
しかし夢みたいに掠ることすら命取りなのは欠点だ。ATフィールドの強度によっては刀一突きでお陀仏の可能性もある。
「困りましたね。支給品も開けられてないわけですし…」
ラミエルも支給品を確認できていない参加者の一人だった。
腕も足も口もないから仕方ないが、それでもこのバッグを放っておくわけにはいかない。
もし強力な支給品が入っていたら困る。
「仕方ありません」
ラミエルは再び変形した。
▲△▲△▲△
遠くのほうで衝撃音がする。さっきの輩だろうか。
ひょっとしたら誰かとの戦闘になりこっちに構っている暇などないのかもしれない。
私は床が冷えた正面の入り口から逃げ出した。
裏口のドアはドアノブで開け閉めするタイプだったため逃げることができなかったのだ。
もはやこれまでと諦めていたところ例のボールが目に入った。
ここまで転がっていたようだ。神に祈る気持ちでボタンを押してみた。
「なんだこりゃ…」
出てきたのは青い鳥みたいなものだった。
鳥はチャモチャモ言いながら私の指示を待っているかのようだった。
とりあえず正面玄関から出たい旨を伝えたところ、鳥は正面玄関に向かい水を吹いて冷やしてくれた。
ついで落としてしまっていた紙も拾うようにいうと拾ってくれた。
紙によるとポッチャマという鳥らしい。ポケモンとか書いてあったけどよくわからない。
水に特化した鳥で水を使っていろいろな技が使えるようだ。闇の波動とか
それにしても鳥ですら持てる紙を持てない私って…。
ポッチャマに慰められながら私はコンビニを発った。
【H-07 コンビニ付近/1日目・深夜】
【グレーテル@よもやま四方山】
【状態】軽度の火傷
【装備】ボロ服
【道具】基本支給品一式、モンスターボール(ポッチャマ)、コンビニ弁当(1~??)、不明支給品1~2
【思考・状況】
基本:ここから脱出する
1:私の腕ホント使えない…orz
2:コンビニから離れる
【ポッチャマ@ポケットモンスター】
水系統の技を使える鳥ポケモン。
なんか闇の波動を使えるとか使えないとか。
使えるわざ:みずでっぽう、つつく、はたく、ハイドロポンプ
【コンビニ弁当@ローソン】
ローソンで売っている弁当。
弁当よりも唐揚げのほうがおいしい。
◆◇◆◇◆◇
バッグがあとかたもなく蒸発したのを確認したラミエルは見晴らしの良い場所を目指し彷徨う。
バッグの中身に地図があったのをビームを放った直後に気付いたが、別に良いかと思う。
「どうせ死んでしまうのだから気楽にやりましょう。気楽にね」
「小さくなっても動くスピード上がらないんですね…すげえ遅い」
10分後。ラミエルは未だ海岸にいた。
彼がビームを放った影響が動くスピードを遅くすることに気付くのはいつになるのだろうか。
【H-09 海岸/1日目・深夜】
【ラミエル@新劇場版ヱヴァンゲリヲン・序(さよなら 絶望ラミエル)】
【状態】遅化、気楽
【装備】なし
【道具】なし
【思考・状況】
基本:全員殺す
1:見晴らしの良い所に行かねば…
2:私の足遅すぎ!?
※力を使うと比例して移動スピードが遅くなることに気付いてません。
※支給品の残骸が海岸に転がっています。
|sm10:[[勝治死す!ポヨヨン・ウェイ・スター]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm12:[[早苗と権兵衛の、バトルロワイアル演義]]|
|sm10:[[勝治死す!ポヨヨン・ウェイ・スター]]|[[投下順>00~50]]|sm12:[[早苗と権兵衛の、バトルロワイアル演義]]|
||グレーテル|sm47:[[Ctrl+V]]|
||ラミエル|sm46:[[私達はまだ本気出してないだけ]]|
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