「バトロワで出会ったAUOがひどい件 ~GO!GO!館を占拠☆~」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「バトロワで出会ったAUOがひどい件 ~GO!GO!館を占拠☆~」(2013/08/14 (水) 08:24:07) の最新版変更点
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*バトロワで出会ったAUOがひどい件 ~GO!GO!館を占拠☆~ ◆0uDu0SETOk
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ギルガメッシュは支給品ポッチャマの説明書に目を通しつつ歩く
「おい盗人、貴様は別に来なくていい」
その後ろからトコトコとついてくるグレーテルに一声かける
「見捨てるのか?ポッチャマだけ連れていかれたら、これから私はどうすればいいんですか!丸腰ですよ!」
「我の知ったことではない。このポケモンとやらは非常に興味深いが、貴様なぞどうでもよい」
「私だってある意味珍しいのに…ペンギンとセットで半犬半人の面倒も見てください!」
「雑種の狗などいらん」
「…なんの疑問もなく犬に分類されるんですね…」
ギルガメッシュの高圧的な態度にストレスが蓄積していくが、生き残るためには仕方がない
「今どこへ向かってるんでs「雑種、モンスターボールとやらを持っているだろう?渡せ」
説明書を読み終えたギルガメッシュがグレーテルに要求…いや、命令をした
「一度ボールに戻さないと、ポッチャマは我の言うことは聞かないようなのでな」
ここでポッチャマの所有権まで取られたら完全な丸腰になってしまうが、ここで逆らっても無駄なので素直に渡すことにした
バックからボールを取りだして差し出す
「よかろう、ポッチャマ、戻れ」
ギルガメッシュは気絶しているポッチャマにボールを向け、ボタンを押す
「…何故戻らん?」
本来であれば赤い光が伸び、ボールの中へと引っ込める仕組みだが、何度ボタンを押しても全く機能しなかった
カチッカチッと乾いた空振りの音にいらだちを覚え、ギルガメッシュはグレーテルに問いかける
「雑種…貴様、何かしたのか?」
「えっ…私はなにもしてませんよ…」
ボールに小細工をかけれるような器用な手じゃないし…
と、そこでこの会場へ飛ばされて間もなく、コンビニを襲った謎の熱戦によって、ボールが吹っ飛ばされたことを思い出した
「た、たぶんあの時に、壊れたんじゃないでしょうか…」
そういって事情を説明した
「つまり、ボールに戻せない今、ポッチャマは貴様の命令以外は聞かないということだな?」
ギルガメッシュの表情は先程となんら変わっていなかい
が、グレーテルはそこはかとなく、その目に威圧感が宿っているように感じられた
…このまま私を殺して、ポッチャマの所有権を奪う…なんて考えてたらどうしよう…?
恐怖を感じ、全身からだらだらと冷や汗が流れる
つかの間の沈黙の間、ギルガメッシュは相変わらず恐ろしい目で私を見ていた
その威圧感に耐えきれず、グレーテルは一歩後退りをした
その時ギルガメッシュは深くため息をついて、こう言った
「…まあいい…ならばまずは貴様の動向を聞かせて貰おうか」
重苦しい空気が一瞬で解かれ、グレーテルは思わずへたりこんでしまった
「へ…?あ…、わかりました…」
とりあえずグレーテルはこれまでの出来事を話した
一通り語り、最後に先程のポッチャマの件について尋ねてみた
「というかさっき、もの凄い睨んでたじゃないですか。てっきりポッチャマの所有権を奪うために殺されるかと思いましたよ…」
「睨んだ?ふっ、無礼なやつだな。…まず貴様は、ポケモンの所有権は所有者の死によって他人へ移る、と思い込んでいるようだな」
「え、違うんですか?」
ギルガメッシュはフンと鼻を鳴らし、彼の判断について語りだした
「この説明書によればポケモンはボールから繰り出した者に、その所有権が与えられるそうだ。ならば今ここで貴様を殺したとして、ポッチャマの所有権は我に移るのだろうか?
いや、そのような単純な展開になるとは考え難い。ボールに戻す術がなければポッチャマはそのまま野生へ帰る可能性すらありうる。
ならば、そのようないらぬリスクを負うよりも、貴様を従わせた方が早いと判断したのだ」
「へー、そういうもんなのか…」
と、納得しかけたところで気が付いた
「…って、私これから貴方に従うんですか!?」
「どうした?喜べよ。貴様のような雑種風情が我に仕えられえるのだぞ。貴様にはあまりにも身に余るほどの光栄ではないか」
…私を支給品か何かと間違えてませんかねこの人…
まあそれでも、役立たずだと判断されて、首絞められるよりは、生き残る望みがあるってもんです
要はこの人の多少の保護(?)が得られるってことですよね。ボールが壊れていたことは幸いな事なのかもしれない
ポッチャマを背負いながら、ネガティブなりにポジティブに考えてそう納得することにした
ギルガメッシュはグレーテルに自らの動向を一通り話し、そこで彼なりの推測を語り始めた
まず、ここに呼ばれている人物は皆、別々の世界から呼ばれたという推測…
「そして、この戦いは我の世界での『聖杯戦争』とほぼ同じものだ」
そうして彼は、自らの世界での聖杯戦争について語りだした
聖杯戦争…万物の願いを実現させる力を持つという「聖杯」
その覇権をめぐり、聖杯によって選ばれし魔術師『マスター』たちは、それぞれ使い魔『サーヴァント』の力を借り、奪い合う争いである
なお聖杯自体は形のあるものではなく、「器」へサーヴァントの魂を降霊することにより、その潤沢な魔力によって願いを叶えることが可能という事である
「で、でも、私は魔術師じゃないただの一般人ですよ!何故巻き込まれたんでしょう」
「これはあくまでも我の世界で行われた『聖杯戦争』に過ぎん。それとは異なる『聖杯』と似た力を効果を持つモノを巡って行われているのだろう。」
「つまり、ここに呼び出された人は皆、一応その『聖杯』を手にする権利があるってことか…
そしたらあの主宰者って何が目的なの?参加者の娘を誘拐する、なんて子悪党染みた行為とかしてるけど」
「主催どもの正確な目的は判断できぬな。ただ、わざわざ禁止エリア、そして首輪など、争いを加速させる要素を取り入れているところ、戦いを短期的に終わらせたいように思える。
メイトリックスは主催と面識があり、私怨があるのだろう。娘を人質にとることで、参加者全体に「この男は娘を救うために殺し合いに乗る可能性がある」と知らしめ、警戒させることも目的だろう」
グレーテルは、英雄王の非常に理論的で的を得ているように思える推測にただただ感心し、認めざるを得なかった
その時、けたたましいサイレンが響き渡り、第一回放送が始まった
『それでは諸君、次の放送まで精々生き残るんだな。』
「結構死んでる人いるみたいですね…次の放送で私の名前が呼ばれないことを祈るのみです…はあ…」
グレーテルが深くため息をついたその時、ディーノのデイバックから突如、ぞろぞろと鴨が飛び出してきた
「問題かも大変かもヤバイかも♪問題かも大変かもヤバイかも♪」
三羽の鴨は何故か流暢な人語で歌を歌い、ポーズを決めた
「なんだその騒がしい鳥は」
「し、支給品じゃないですかね…?」
そういえばまだ、ディーノの支給品を確認していなかった
「減っている減っている、参加者の数が減っている♪」
「「「六時間で十五人!」」」
「我の許しを得ず騒ぐな。引っ込め」
「…………………」
殺気を感じ、三羽の鴨はおずおずとデイバックへと戻っていった
歌う鴨なんて、結構珍しいと思うが(ハズレ支給品に分類されるが)、どうやら王の興味は引かなかったようだ
それにしても、今までコイツら、このタイミングで出てくるためにずっとバッグで籠っていたんだろうか?
それにしても名前が二回呼ばれた参加者がいたな…
『松岡勝治』
グレーテルは禁止エリアや死亡者をメモした紙を眺めた
つまり同姓同名の人物が二人死んだということだろうか
だが参加者一覧を眺めてみるが、該当する名前は一つしかなかった
「まあ、二度も呼ばれたんだし、特に注意することもないかな…」
そう結論付けようとした時、盛大な嘲笑が飛んできた
「貴様というやつは…何を愚かなことを抜かす」
ハッハハハとあまりにも盛大に笑われて、怒りと恥の両方が押し寄せてきた
「な、何がそんなにおかしいんですかっ」
「貴様の思考回路は少々単純すぎるようだな。貴様は本当に『松岡勝治』が警戒に値しないと思うのか?少し頭を使うがいい」
「…う~ん、主宰者が私達を錯乱させるためにやっている可能性はありますけど…そんなのわかるわけないじゃないですか」
「主催者側の立場で考えてみろよ。主催はわざわざ会場まで降りてきて参加者の死を確認するとは思えぬ。おそらくなんらかの術で、死亡と判定されると信号が送られるシステムがあると考えるのが妥当だろう
では仮に、奴らがその信号で示された順に読み上げているだけであったとすれば、二度も死亡判定が送られた『松岡勝治』は実際に死んでいるのだと信じられるか?」
「ぐぬぬ…」
理解した。『松岡勝治』はいわゆる『死亡状態』から復帰できる能力を持っている、まるでゾンビのような人物の可能性があるということだ
その見せしめも含めて、主催者はわざわざ二度も松岡勝治の名前を挙げた、と言いたいのだ
確かにさっきの放送だけでその推測が導き出せることは尊敬に値するが…ここまでコケにすることないだろう…
「…それで今どこに向かってるんですか?」
このままでは私のストレスがマッハになるため、さっさと話を切り替えた
「王であるこの我がこのようないつまでも山中を駆け回るなど馬鹿馬鹿しい。この先に『呪いの館』とやらがあるそうだ。それがどんな呪いなのかを実際に確認し、問題がないようならば拠点としてもよかろう」
「なんとまぁ随分とチープな名前ですけど、霊的ななにかがいる可能性もありますよ?なんか出たらどうするんですか?」
「なぁに、先刻使った『天の鎖』は、神性が高いほど効果がある。不足はなかろう」
「ポ…ポチャ~…」
と、ここでポッチャマが意識を取り戻した
「おはようございますポッチャマ先生」
「ポチャッ!?」
一応ポッチャマのおかげでここまで命を繋げたわけだ
丁重に扱わないとね
「起きたようですけど、ポッチャマを観察するんですか?」
「着いてからでよい。見ろ」
ギルガメッシュに促され、前を見ると少し離れたところに荒れ果てた豪邸が見えてきた
「『呪い』の名に恥じない不気味さですが、なんかベタすぎますね…」
この呟きは気に食わなかったのか、無視されてしまった
扉を開けると、言わずもがな気持ちの悪い緑の壁や、穴だらけの床など嫌な空間が広がっていた
室内のところどころが破壊されており、奥の部屋には巨大な蟻の化け物の死体があったりと、既に誰かが盛大に暴れたような形跡が残されていた
「我が拠点とするには少々間取りが悪趣味だな…」
「こんな状態なのに拠点にするつもりですか!?」
思わず、正気かっ!?と余計な言葉が出かかった時だった
突如ギルガメッシュの背後から、悪魔のような形相の真っ赤な化け物が牙を向いた
「ばばばば化け物だっ!」
とっさに叫ぶ
「グヘヘヘ!そうはさせないぜ侵入s「穢らわしい化け物が、我に触れることなど許さぬ」
そう言ってギルガメッシュは振り向き様に勢いをつけ、回し蹴りを放った
次の瞬間、怪物の前方へ突き出た顎がいとも簡単に引き千切た
唖然とする怪物の顔面へ、続けざまに投石が放たれる
石は顔を貫き、体液をぶちまけながら芋虫のような体を貫通した
一瞬の茶番すらも許されず、巨大な化け物は息絶えたのだった
「つ…強い…」
「チャモ…」
あまりの光景にグレーテルもポッチャマも唖然としていた
ギルガメッシュは何事もなかったように、デイバックから作業台を取り出した
「雑種、これで我がくつろげるような空間を作れ」
「えっ、でもこの手じゃ箸も持てませんよ!無理です!」
「ポッチャマと鴨がいるだろう」
「みんな手じゃなくて翼じゃないですか!」
私の叫びから問題を嗅ぎつけたのか、バックの中から鴨が歌いながら出てきた
「問題かも大変かもヤバイかも~♪」
なんかイラッ☆としたグレーテルは、歌を遮って鴨に命令をした
「ちょっと鴨達、この作業台とか使って手伝ってよ」
「「「え~っ」」」
「断ったら鴨鍋にするからね!」
「…………………」
殺気を感じたのか、鴨達は素直に翼で器用に作業台を使い始めた
無茶ぶりにならなくてよかったと安堵しつつも、グレーテルは鴨よりも不器用な自分の手にうんざりした
とりあえず木の枝やガレキなどを集め、木箱や石レンガなどにして形をとる
作業台がよほど優秀なのだろう、それらを壁に貼り付けたり配置していくだけで瞬く間にレイアウトされていった
割と短時間で終わり、余った素材で、ちょっとした武器を作ることも出来た。なにこれすごい
「ハァ…ハァ…どうですか?これならまあまあなんじゃない…?我が家もこんなクオリティでした」
「小屋としては悪くないな」
と、一言そっけなく言い、椅子に腰かけて酒をグラスに注ぎ始めた
「…それどっから取ってきたんですか?」
「少し探索したら、貯蔵庫を発見した。まあ、おそらくこの館の主のものであろう」
そう言ってグラスを回し、口に含んだ
仮にも殺し合いの最中だと言うのに、この人は本当に自由気ままなものだ
「ギルガメッシュ、アナタは…」
「ん?やらんぞ」
「いや、私飲めませんから…アナタは結局、殺し合いには乗っていないのよね?」
「さあ、どうだろうな…」
「…裏のありそうな発言ですね…」
曲がりなりにも、多少の信頼は築いたのだ
ここらではっきりさせておきたい
「ざっくり言います、アナタは『聖杯』の力を欲しているんですか?」
フンッ、と鼻で笑う
「王たる者が『聖杯』ごときに本気になるなど、沽券に関わる。今、我が欲しているのは…『愉悦』だ。
この世界では我の世界では見ることの出来ない、様々なもの入り乱れている。ならばここでしか手に入らない『愉悦』を求めるのも悪くは無い
仮に殺し合いに乗ることで潤沢な『愉悦』を手に出来るのであれば、無論我は厭わないだろう
我の宝を奪った主催者たちの無礼に対する報いを与えるのは、その後でもよい」
…なるほど、この人はこのバトルロワイヤルによって、大きな『愉悦』を得ることが楽しみで仕方がないのだろう
だからこそこんなにも上機嫌で、雑種と見下すような相手の話にさえ応じているのだ
私には彼の中で『愉悦』というものがどれほど至上なものか、ちょっと想像できない
「貴様が『愉悦』を理解できないのは、余裕を持ち合わせないからに過ぎない」
グレーテルの心を見透かしたかのようにそう指摘された
「そりゃあ、いつ殺されるかもわからない空間に放り出されて、余裕なんかあるわけないじゃないですか」
「ほう、ならば貴様は『聖杯』の力を求めているのか?」
「『聖杯』もいらない。仮に私に力があったとしても誰かを殺して願いを叶えるなんて間違っている。私はさっさと元の世界に戻りたい」
私はそう言い切った。ギルガメッシュは下を向き「フ…フ…」と震えていた
次の瞬間、ギルガメッシュは先ほどとは比べ物にならないほど大声で笑い出した
「な…何がおかしいんですか!」
グレーテルは頬が紅潮していくのが感じられた
「これは傑作だ!貴様は自分の言った『綺麗事』がどれほど矛盾したものか気づいていないのか?
考えてみろ。貴様は元の世界でどんな状況だったのだ?両親に山に捨てられた子供、つまり乞食だろう?
いつ野垂れ死ぬかもわからず、富のある人間から物を奪わねば生き延びれぬ生活をこれから余儀なくされるところだったのだ。
そんな不幸なお前に、このバトルロワイヤルのチャンスが巡ったんだぞ。これを幸運と呼ばずして何と呼ぶ?
それを自分は死にたくないし、誰かを殺したくない、だから逃げたい!だと?どちらにせよ同じことではないか。
今お前は、生き残れば栄光を手にできるこの世界より、必死になって生き続けても決して希望のない、本物の底辺の生活を送るのが望ましいだと抜かしているのだぞ?
よもやお前はその事実に気づいていない、これが笑わずにいられるか!あはははははははははははは!!!!」
私はギルガメッシュに、忘れていた自らのあまりにも厳しい現実を突きつけられ、目の前が真っ暗になった
そう、もう戻ったところで、お父さんと、お母さんと、屑みたいなヘンゼルさんと4人で仲良く暮らす日々には決して戻れないのだ
「ハッハッハッハッハッハ!」「あはははははははは!」「アハハハハハハハハ!!!」
ギルガメッシュの嘲笑が、私の心を無残に切り裂いていく
足元でポッチャマのいたわる声など、私にはもはや届かなかった
戦いから逃げようと逃げまいと、どちらにせよ同じ、私にはもう死ぬ運命しか残されていないのだ
「アー↑↑ッハッハッハッハッハッハ!」「ハーッ、ハーッ、ハハハハハハハハハハ!」
世界が歪み、ポトリと目から涙がこぼれ落ちた
「わ…………私は…………」
光の失われた目から、次々に涙が滴っていく
「もう……………どうしたらいいの………うっ……うぅ……………」
私はもう、ただ泣くしかなかった
「おい、そう絶望するなグレーテル」
その言葉には未だに愉悦の感情が残っていた
「だからこそ、貴様はもっとここへ呼ばれた幸福を噛み締めるべきなのだ」
「無理だよっ!私みたいな子供が、しかも呪いで手すらまともに使えない私が、生き残れる訳が無いっ!私はもう死ぬしかないんだあっ!!!」
ボロボロと涙をこぼしながら悲痛な声で絶叫する
ギルガメッシュはニヤリと笑った
「ならば死ぬまでの間にでも、愉悦を味わっておかねば損だとは思わないか?」
その口調はまるで、面白い遊びに誘っているかの如く感じられた
「ゆっ…愉悦…?」
「そう、愉悦というのはな、いうなれば魂の形だ。お前は愉悦を味わい、己の魂の在り方を見つけるべきだ。
さすれば、死ぬにしても多少の無念や悔いを残さず眠れるというものだ。そうだな…手始めに俺の娯楽に付き合うところから始めてはどうだ?」
おそらく彼が、自分の好きな娯楽に誘っているだけに過ぎないだろう
しかし、それを頭でわかっていても、私の中では、それが救いの言葉として心に響いてしまった
涙をぬぐい、顔を上げ、ポッチャマを抱き寄せた
「ほう、では望み通り、貴様にも愉悦というものを味わわせてやろうぞ」
そのまま、外へと向かって歩きだそうとした
「え、せっかく部屋を作ったのに、もう行っちゃうんですか?」
「ここはあくまで拠点であり、隠れるつもりなど毛頭ない。高価な酒も、それに見合う肴も味わった。十分くつろがせてもらった
なにより、愉悦は外にあるものだ。早く荷物をまとめろ。すぐに行く」
…おい、酒の肴って私の事だろ…
どうも腑に落ちないが、デイバッグに手製の武器と鴨たちを詰め込み、ポッチャマを抱え、朝日が照りつける外へと向かっていった
――無慈悲な神よ 僕がこんなにも 何かを望むのは初めてなのに
――それさえも叶えてはくれぬのか 今宵も満月は そう 昇る
月は既に沈み、まるで生贄のような少女の望みが叶うかはわからない
だが、彼女の死んだ瞳に、ほんの少しだけ光が宿ったように思えた
【F-08 呪いの館 /1日目・午前】
【グレーテル@よもやま四方山】
【状態】軽度の火傷、打撲、疲労(小)
【装備】ボロ服
【道具】ディーノの基本支給品一式、ポッチャマ@ポケモン、浜口優かも×3@学校で配られたDVDがひどい件、剣(石)@Minecraft、弓と矢×8@Minecraft
【思考・状況】
基本:出来れば死にたくない
1:ギルガメッシュに着いていく
2:愉悦…
3:自分のデイバックを回収する
※モンスターボール(ポッチャマ)が壊れたため、引っ込めることができません
※ギルガメッシュと情報交換をしました
※会場からの脱出は諦めました
【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:打撲
[装備]:王の財宝@Fate/stay night(空)、天の鎖@Fate/stay night、
[道具]:基本支給品一式、作業台@Minecraft
[思考・状況]
基本行動方針:気の向くままに行動する。
0:この世界の愉悦を堪能する
1:主催者を殺し王の財宝を取り戻す。
2:ポッチャマに興味。グレーテルはポッチャマのおまけ。
3:男(木原)は今度遭ったら殺す。
※自身にかけられている身体能力の制限に気が付きました。
※殺し合いの参加者が別の世界から呼ばれていると考えています。
※アカツキ電光戦記と総統閣下シリーズ、よもやま四方山の世界を知りました。
※ギルガメッシュがこの先どこへ向かうかは次の書き手さんにお任せします。
※ディーノの名前を知らないため、
※呪いの館の怪物はおそらく全滅しました
※呪いの館の内部の一部屋だけレイアウトされ、さらに酒が置いてあります
【浜口優かも@学校で配られたDVDがひどい件】
2010年に成人式で配られたアニメーションを、高校生向きに新たに作成した「GO!GO!明るい選挙」に登場するカモトリオ
正式な名前が不明だが、その容姿から浜口優と呼ばれているため、ここではその弾幕に準ずる
つねに3羽で行動し、社会問題を目の当たりにする主人公たちの前に現れ、歌で具体的な数字などを示す役割
なお、今回作業台を扱えたのは、彼らが動物社会の住民だからである
ちなみに、濱口優とは有野晋哉の相方のこと
参考動画
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm13085814
【剣(石)&弓と矢@Minecraft】
Minecraftにおいて、作業台さえあれば木や石などで作れる武器
剣は耐久力に限界があるため、使っていると壊れる可能性がある
なお、弓の糸は蜘蛛の巣ではなく、館の内部にある紐で代用した
|sm91:[[「こんなのほむほむじゃないわ!ただのヤンデレよ!」「だったら萌えればいいだろ!」]]|[[時系列順>第一回放送までの本編SS]]|sm93:[[絶望と希望が交差する時、物語が始まる!]]|
|sm91:[[「こんなのほむほむじゃないわ!ただのヤンデレよ!」「だったら萌えればいいだろ!」]]|[[投下順>00~50]]|sm93:[[絶望と希望が交差する時、物語が始まる!]]|
|sm60:[[なかには役に立つ支給品だってあるんだよ?]]|ギルガメッシュ|sm118:[[あいさつの決闘者]]|
|sm60:[[なかには役に立つ支給品だってあるんだよ?]]|グレーテル|sm118:[[あいさつの決闘者]]|
*バトロワで出会ったAUOがひどい件 ~GO!GO!館を占拠☆~ ◆0uDu0SETOk
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ギルガメッシュは支給品ポッチャマの説明書に目を通しつつ歩く
「おい盗人、貴様は別に来なくていい」
その後ろからトコトコとついてくるグレーテルに一声かける
「見捨てるのか?ポッチャマだけ連れていかれたら、これから私はどうすればいいんですか!丸腰ですよ!」
「我の知ったことではない。このポケモンとやらは非常に興味深いが、貴様なぞどうでもよい」
「私だってある意味珍しいのに…ペンギンとセットで半犬半人の面倒も見てください!」
「雑種の狗などいらん」
「…なんの疑問もなく犬に分類されるんですね…」
ギルガメッシュの高圧的な態度にストレスが蓄積していくが、生き残るためには仕方がない
「今どこへ向かってるんでs「雑種、モンスターボールとやらを持っているだろう?渡せ」
説明書を読み終えたギルガメッシュがグレーテルに要求…いや、命令をした
「一度ボールに戻さないと、ポッチャマは我の言うことは聞かないようなのでな」
ここでポッチャマの所有権まで取られたら完全な丸腰になってしまうが、ここで逆らっても無駄なので素直に渡すことにした
バックからボールを取りだして差し出す
「よかろう、ポッチャマ、戻れ」
ギルガメッシュは気絶しているポッチャマにボールを向け、ボタンを押す
「…何故戻らん?」
本来であれば赤い光が伸び、ボールの中へと引っ込める仕組みだが、何度ボタンを押しても全く機能しなかった
カチッカチッと乾いた空振りの音にいらだちを覚え、ギルガメッシュはグレーテルに問いかける
「雑種…貴様、何かしたのか?」
「えっ…私はなにもしてませんよ…」
ボールに小細工をかけれるような器用な手じゃないし…
と、そこでこの会場へ飛ばされて間もなく、コンビニを襲った謎の熱戦によって、ボールが吹っ飛ばされたことを思い出した
「た、たぶんあの時に、壊れたんじゃないでしょうか…」
そういって事情を説明した
「つまり、ボールに戻せない今、ポッチャマは貴様の命令以外は聞かないということだな?」
ギルガメッシュの表情は先程となんら変わっていなかい
が、グレーテルはそこはかとなく、その目に威圧感が宿っているように感じられた
…このまま私を殺して、ポッチャマの所有権を奪う…なんて考えてたらどうしよう…?
恐怖を感じ、全身からだらだらと冷や汗が流れる
つかの間の沈黙の間、ギルガメッシュは相変わらず恐ろしい目で私を見ていた
その威圧感に耐えきれず、グレーテルは一歩後退りをした
その時ギルガメッシュは深くため息をついて、こう言った
「…まあいい…ならばまずは貴様の動向を聞かせて貰おうか」
重苦しい空気が一瞬で解かれ、グレーテルは思わずへたりこんでしまった
「へ…?あ…、わかりました…」
とりあえずグレーテルはこれまでの出来事を話した
一通り語り、最後に先程のポッチャマの件について尋ねてみた
「というかさっき、もの凄い睨んでたじゃないですか。てっきりポッチャマの所有権を奪うために殺されるかと思いましたよ…」
「睨んだ?ふっ、無礼なやつだな。…まず貴様は、ポケモンの所有権は所有者の死によって他人へ移る、と思い込んでいるようだな」
「え、違うんですか?」
ギルガメッシュはフンと鼻を鳴らし、彼の判断について語りだした
「この説明書によればポケモンはボールから繰り出した者に、その所有権が与えられるそうだ。ならば今ここで貴様を殺したとして、ポッチャマの所有権は我に移るのだろうか?
いや、そのような単純な展開になるとは考え難い。ボールに戻す術がなければポッチャマはそのまま野生へ帰る可能性すらありうる。
ならば、そのようないらぬリスクを負うよりも、貴様を従わせた方が早いと判断したのだ」
「へー、そういうもんなのか…」
と、納得しかけたところで気が付いた
「…って、私これから貴方に従うんですか!?」
「どうした?喜べよ。貴様のような雑種風情が我に仕えられえるのだぞ。貴様にはあまりにも身に余るほどの光栄ではないか」
…私を支給品か何かと間違えてませんかねこの人…
まあそれでも、役立たずだと判断されて、首絞められるよりは、生き残る望みがあるってもんです
要はこの人の多少の保護(?)が得られるってことですよね。ボールが壊れていたことは幸いな事なのかもしれない
ポッチャマを背負いながら、ネガティブなりにポジティブに考えてそう納得することにした
ギルガメッシュはグレーテルに自らの動向を一通り話し、そこで彼なりの推測を語り始めた
まず、ここに呼ばれている人物は皆、別々の世界から呼ばれたという推測…
「そして、この戦いは我の世界での『聖杯戦争』とほぼ同じものだ」
そうして彼は、自らの世界での聖杯戦争について語りだした
聖杯戦争…万物の願いを実現させる力を持つという「聖杯」
その覇権をめぐり、聖杯によって選ばれし魔術師『マスター』たちは、それぞれ使い魔『サーヴァント』の力を借り、奪い合う争いである
なお聖杯自体は形のあるものではなく、「器」へサーヴァントの魂を降霊することにより、その潤沢な魔力によって願いを叶えることが可能という事である
「で、でも、私は魔術師じゃないただの一般人ですよ!何故巻き込まれたんでしょう」
「これはあくまでも我の世界で行われた『聖杯戦争』に過ぎん。それとは異なる『聖杯』と似た力を効果を持つモノを巡って行われているのだろう。」
「つまり、ここに呼び出された人は皆、一応その『聖杯』を手にする権利があるってことか…
そしたらあの主宰者って何が目的なの?参加者の娘を誘拐する、なんて子悪党染みた行為とかしてるけど」
「主催どもの正確な目的は判断できぬな。ただ、わざわざ禁止エリア、そして首輪など、争いを加速させる要素を取り入れているところ、戦いを短期的に終わらせたいように思える。
メイトリックスは主催と面識があり、私怨があるのだろう。娘を人質にとることで、参加者全体に「この男は娘を救うために殺し合いに乗る可能性がある」と知らしめ、警戒させることも目的だろう」
グレーテルは、英雄王の非常に理論的で的を得ているように思える推測にただただ感心し、認めざるを得なかった
その時、けたたましいサイレンが響き渡り、第一回放送が始まった
『それでは諸君、次の放送まで精々生き残るんだな。』
「結構死んでる人いるみたいですね…次の放送で私の名前が呼ばれないことを祈るのみです…はあ…」
グレーテルが深くため息をついたその時、ディーノのデイバックから突如、ぞろぞろと鴨が飛び出してきた
「問題かも大変かもヤバイかも♪問題かも大変かもヤバイかも♪」
三羽の鴨は何故か流暢な人語で歌を歌い、ポーズを決めた
「なんだその騒がしい鳥は」
「し、支給品じゃないですかね…?」
そういえばまだ、ディーノの支給品を確認していなかった
「減っている減っている、参加者の数が減っている♪」
「「「六時間で十五人!」」」
「我の許しを得ず騒ぐな。引っ込め」
「…………………」
殺気を感じ、三羽の鴨はおずおずとデイバックへと戻っていった
歌う鴨なんて、結構珍しいと思うが(ハズレ支給品に分類されるが)、どうやら王の興味は引かなかったようだ
それにしても、今までコイツら、このタイミングで出てくるためにずっとバッグで籠っていたんだろうか?
それにしても名前が二回呼ばれた参加者がいたな…
『松岡勝治』
グレーテルは禁止エリアや死亡者をメモした紙を眺めた
つまり同姓同名の人物が二人死んだということだろうか
だが参加者一覧を眺めてみるが、該当する名前は一つしかなかった
「まあ、二度も呼ばれたんだし、特に注意することもないかな…」
そう結論付けようとした時、盛大な嘲笑が飛んできた
「貴様というやつは…何を愚かなことを抜かす」
ハッハハハとあまりにも盛大に笑われて、怒りと恥の両方が押し寄せてきた
「な、何がそんなにおかしいんですかっ」
「貴様の思考回路は少々単純すぎるようだな。貴様は本当に『松岡勝治』が警戒に値しないと思うのか?少し頭を使うがいい」
「…う~ん、主宰者が私達を錯乱させるためにやっている可能性はありますけど…そんなのわかるわけないじゃないですか」
「主催者側の立場で考えてみろよ。主催はわざわざ会場まで降りてきて参加者の死を確認するとは思えぬ。おそらくなんらかの術で、死亡と判定されると信号が送られるシステムがあると考えるのが妥当だろう
では仮に、奴らがその信号で示された順に読み上げているだけであったとすれば、二度も死亡判定が送られた『松岡勝治』は実際に死んでいるのだと信じられるか?」
「ぐぬぬ…」
理解した。『松岡勝治』はいわゆる『死亡状態』から復帰できる能力を持っている、まるでゾンビのような人物の可能性があるということだ
その見せしめも含めて、主催者はわざわざ二度も松岡勝治の名前を挙げた、と言いたいのだ
確かにさっきの放送だけでその推測が導き出せることは尊敬に値するが…ここまでコケにすることないだろう…
「…それで今どこに向かってるんですか?」
このままでは私のストレスがマッハになるため、さっさと話を切り替えた
「王であるこの我がこのようないつまでも山中を駆け回るなど馬鹿馬鹿しい。この先に『呪いの館』とやらがあるそうだ。それがどんな呪いなのかを実際に確認し、問題がないようならば拠点としてもよかろう」
「なんとまぁ随分とチープな名前ですけど、霊的ななにかがいる可能性もありますよ?なんか出たらどうするんですか?」
「なぁに、先刻使った『天の鎖』は、神性が高いほど効果がある。不足はなかろう」
「ポ…ポチャ~…」
と、ここでポッチャマが意識を取り戻した
「おはようございますポッチャマ先生」
「ポチャッ!?」
一応ポッチャマのおかげでここまで命を繋げたわけだ
丁重に扱わないとね
「起きたようですけど、ポッチャマを観察するんですか?」
「着いてからでよい。見ろ」
ギルガメッシュに促され、前を見ると少し離れたところに荒れ果てた豪邸が見えてきた
「『呪い』の名に恥じない不気味さですが、なんかベタすぎますね…」
この呟きは気に食わなかったのか、無視されてしまった
扉を開けると、言わずもがな気持ちの悪い緑の壁や、穴だらけの床など嫌な空間が広がっていた
室内のところどころが破壊されており、奥の部屋には巨大な蟻の化け物の死体があったりと、既に誰かが盛大に暴れたような形跡が残されていた
「我が拠点とするには少々間取りが悪趣味だな…」
「こんな状態なのに拠点にするつもりですか!?」
思わず、正気かっ!?と余計な言葉が出かかった時だった
突如ギルガメッシュの背後から、悪魔のような形相の真っ赤な化け物が牙を向いた
「ばばばば化け物だっ!」
とっさに叫ぶ
「グヘヘヘ!そうはさせないぜ侵入s「穢らわしい化け物が、我に触れることなど許さぬ」
そう言ってギルガメッシュは振り向き様に勢いをつけ、回し蹴りを放った
次の瞬間、怪物の前方へ突き出た顎がいとも簡単に引き千切た
唖然とする怪物の顔面へ、続けざまに投石が放たれる
石は顔を貫き、体液をぶちまけながら芋虫のような体を貫通した
一瞬の茶番すらも許されず、巨大な化け物は息絶えたのだった
「つ…強い…」
「チャモ…」
あまりの光景にグレーテルもポッチャマも唖然としていた
ギルガメッシュは何事もなかったように、デイバックから作業台を取り出した
「雑種、これで我がくつろげるような空間を作れ」
「えっ、でもこの手じゃ箸も持てませんよ!無理です!」
「ポッチャマと鴨がいるだろう」
「みんな手じゃなくて翼じゃないですか!」
私の叫びから問題を嗅ぎつけたのか、バックの中から鴨が歌いながら出てきた
「問題かも大変かもヤバイかも~♪」
なんかイラッ☆としたグレーテルは、歌を遮って鴨に命令をした
「ちょっと鴨達、この作業台とか使って手伝ってよ」
「「「え~っ」」」
「断ったら鴨鍋にするからね!」
「…………………」
殺気を感じたのか、鴨達は素直に翼で器用に作業台を使い始めた
無茶ぶりにならなくてよかったと安堵しつつも、グレーテルは鴨よりも不器用な自分の手にうんざりした
とりあえず木の枝やガレキなどを集め、木箱や石レンガなどにして形をとる
作業台がよほど優秀なのだろう、それらを壁に貼り付けたり配置していくだけで瞬く間にレイアウトされていった
割と短時間で終わり、余った素材で、ちょっとした武器を作ることも出来た。なにこれすごい
「ハァ…ハァ…どうですか?これならまあまあなんじゃない…?我が家もこんなクオリティでした」
「小屋としては悪くないな」
と、一言そっけなく言い、椅子に腰かけて酒をグラスに注ぎ始めた
「…それどっから取ってきたんですか?」
「少し探索したら、貯蔵庫を発見した。まあ、おそらくこの館の主のものであろう」
そう言ってグラスを回し、口に含んだ
仮にも殺し合いの最中だと言うのに、この人は本当に自由気ままなものだ
「ギルガメッシュ、アナタは…」
「ん?やらんぞ」
「いや、私飲めませんから…アナタは結局、殺し合いには乗っていないのよね?」
「さあ、どうだろうな…」
「…裏のありそうな発言ですね…」
曲がりなりにも、多少の信頼は築いたのだ
ここらではっきりさせておきたい
「ざっくり言います、アナタは『聖杯』の力を欲しているんですか?」
フンッ、と鼻で笑う
「王たる者が『聖杯』ごときに本気になるなど、沽券に関わる。今、我が欲しているのは…『愉悦』だ。
この世界では我の世界では見ることの出来ない、様々なもの入り乱れている。ならばここでしか手に入らない『愉悦』を求めるのも悪くは無い
仮に殺し合いに乗ることで潤沢な『愉悦』を手に出来るのであれば、無論我は厭わないだろう
我の宝を奪った主催者たちの無礼に対する報いを与えるのは、その後でもよい」
…なるほど、この人はこのバトルロワイヤルによって、大きな『愉悦』を得ることが楽しみで仕方がないのだろう
だからこそこんなにも上機嫌で、雑種と見下すような相手の話にさえ応じているのだ
私には彼の中で『愉悦』というものがどれほど至上なものか、ちょっと想像できない
「貴様が『愉悦』を理解できないのは、余裕を持ち合わせないからに過ぎない」
グレーテルの心を見透かしたかのようにそう指摘された
「そりゃあ、いつ殺されるかもわからない空間に放り出されて、余裕なんかあるわけないじゃないですか」
「ほう、ならば貴様は『聖杯』の力を求めているのか?」
「『聖杯』もいらない。仮に私に力があったとしても誰かを殺して願いを叶えるなんて間違っている。私はさっさと元の世界に戻りたい」
私はそう言い切った。ギルガメッシュは下を向き「フ…フ…」と震えていた
次の瞬間、ギルガメッシュは先ほどとは比べ物にならないほど大声で笑い出した
「な…何がおかしいんですか!」
グレーテルは頬が紅潮していくのが感じられた
「これは傑作だ!貴様は自分の言った『綺麗事』がどれほど矛盾したものか気づいていないのか?
考えてみろ。貴様は元の世界でどんな状況だったのだ?両親に山に捨てられた子供、つまり乞食だろう?
いつ野垂れ死ぬかもわからず、富のある人間から物を奪わねば生き延びれぬ生活をこれから余儀なくされるところだったのだ。
そんな不幸なお前に、このバトルロワイヤルのチャンスが巡ったんだぞ。これを幸運と呼ばずして何と呼ぶ?
それを自分は死にたくないし、誰かを殺したくない、だから逃げたい!だと?どちらにせよ同じことではないか。
今お前は、生き残れば栄光を手にできるこの世界より、必死になって生き続けても決して希望のない、本物の底辺の生活を送るのが望ましいだと抜かしているのだぞ?
よもやお前はその事実に気づいていない、これが笑わずにいられるか!あはははははははははははは!!!!」
私はギルガメッシュに、忘れていた自らのあまりにも厳しい現実を突きつけられ、目の前が真っ暗になった
そう、もう戻ったところで、お父さんと、お母さんと、屑みたいなヘンゼルさんと4人で仲良く暮らす日々には決して戻れないのだ
「ハッハッハッハッハッハ!」「あはははははははは!」「アハハハハハハハハ!!!」
ギルガメッシュの嘲笑が、私の心を無残に切り裂いていく
足元でポッチャマのいたわる声など、私にはもはや届かなかった
戦いから逃げようと逃げまいと、どちらにせよ同じ、私にはもう死ぬ運命しか残されていないのだ
「アー↑↑ッハッハッハッハッハッハ!」「ハーッ、ハーッ、ハハハハハハハハハハ!」
世界が歪み、ポトリと目から涙がこぼれ落ちた
「わ…………私は…………」
光の失われた目から、次々に涙が滴っていく
「もう……………どうしたらいいの………うっ……うぅ……………」
私はもう、ただ泣くしかなかった
「おい、そう絶望するなグレーテル」
その言葉には未だに愉悦の感情が残っていた
「だからこそ、貴様はもっとここへ呼ばれた幸福を噛み締めるべきなのだ」
「無理だよっ!私みたいな子供が、しかも呪いで手すらまともに使えない私が、生き残れる訳が無いっ!私はもう死ぬしかないんだあっ!!!」
ボロボロと涙をこぼしながら悲痛な声で絶叫する
ギルガメッシュはニヤリと笑った
「ならば死ぬまでの間にでも、愉悦を味わっておかねば損だとは思わないか?」
その口調はまるで、面白い遊びに誘っているかの如く感じられた
「ゆっ…愉悦…?」
「そう、愉悦というのはな、いうなれば魂の形だ。お前は愉悦を味わい、己の魂の在り方を見つけるべきだ。
さすれば、死ぬにしても多少の無念や悔いを残さず眠れるというものだ。そうだな…手始めに俺の娯楽に付き合うところから始めてはどうだ?」
おそらく彼が、自分の好きな娯楽に誘っているだけに過ぎないだろう
しかし、それを頭でわかっていても、私の中では、それが救いの言葉として心に響いてしまった
涙をぬぐい、顔を上げ、ポッチャマを抱き寄せた
「ほう、では望み通り、貴様にも愉悦というものを味わわせてやろうぞ」
そのまま、外へと向かって歩きだそうとした
「え、せっかく部屋を作ったのに、もう行っちゃうんですか?」
「ここはあくまで拠点であり、隠れるつもりなど毛頭ない。高価な酒も、それに見合う肴も味わった。十分くつろがせてもらった
なにより、愉悦は外にあるものだ。早く荷物をまとめろ。すぐに行く」
…おい、酒の肴って私の事だろ…
どうも腑に落ちないが、デイバッグに手製の武器と鴨たちを詰め込み、ポッチャマを抱え、朝日が照りつける外へと向かっていった
――無慈悲な神よ 僕がこんなにも 何かを望むのは初めてなのに
――それさえも叶えてはくれぬのか 今宵も満月は そう 昇る
月は既に沈み、まるで生贄のような少女の望みが叶うかはわからない
だが、彼女の死んだ瞳に、ほんの少しだけ光が宿ったように思えた
【F-08 呪いの館 /1日目・午前】
【グレーテル@よもやま四方山】
【状態】軽度の火傷、打撲、疲労(小)
【装備】ボロ服
【道具】ディーノの基本支給品一式、ポッチャマ@ポケモン、浜口優かも×3@学校で配られたDVDがひどい件、剣(石)@Minecraft、弓と矢×8@Minecraft
【思考・状況】
基本:出来れば死にたくない
1:ギルガメッシュに着いていく
2:愉悦…
3:自分のデイバックを回収する
※モンスターボール(ポッチャマ)が壊れたため、引っ込めることができません
※ギルガメッシュと情報交換をしました
※会場からの脱出は諦めました
【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:打撲
[装備]:王の財宝@Fate/stay night(空)、天の鎖@Fate/stay night、
[道具]:基本支給品一式、作業台@Minecraft
[思考・状況]
基本行動方針:気の向くままに行動する。
0:この世界の愉悦を堪能する
1:主催者を殺し王の財宝を取り戻す。
2:ポッチャマに興味。グレーテルはポッチャマのおまけ。
3:男(木原)は今度遭ったら殺す。
※自身にかけられている身体能力の制限に気が付きました。
※殺し合いの参加者が別の世界から呼ばれていると考えています。
※アカツキ電光戦記と総統閣下シリーズ、よもやま四方山の世界を知りました。
※ギルガメッシュがこの先どこへ向かうかは次の書き手さんにお任せします。
※ディーノの名前を知らないため、
※呪いの館の怪物はおそらく全滅しました
※呪いの館の内部の一部屋だけレイアウトされ、さらに酒が置いてあります
【浜口優かも@学校で配られたDVDがひどい件】
2010年に成人式で配られたアニメーションを、高校生向きに新たに作成した「GO!GO!明るい選挙」に登場するカモトリオ
正式な名前が不明だが、その容姿から浜口優と呼ばれているため、ここではその弾幕に準ずる
つねに3羽で行動し、社会問題を目の当たりにする主人公たちの前に現れ、歌で具体的な数字などを示す役割
なお、今回作業台を扱えたのは、彼らが動物社会の住民だからである
ちなみに、濱口優とは有野晋哉の相方のこと
参考動画
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm13085814
【剣(石)&弓と矢@Minecraft】
Minecraftにおいて、作業台さえあれば木や石などで作れる武器
剣は耐久力に限界があるため、使っていると壊れる可能性がある
なお、弓の糸は蜘蛛の巣ではなく、館の内部にある紐で代用した
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