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 リエナが教室に戻ったとき丁度、1時間目の始まりを告げるチャイムが鳴り響いた。教師は、まだ来ていない。 「珍しいな、リエナが1時間目に間に合うって。」 「うむ、あまり遅刻者もいなかったし、野暮用が出来て説教が出来なかったからな。」 隣の、金髪を黒と白のバンダナで隠した少女…名は狐住怜悧といい、リエナの友人である…が揶揄するように話しかけてきたので返す。 「というよりも、私はお前が起きていることにびっくりだよ。」 「…煩いな、狐は夜行性なんだよ。」 図星だったからか、不機嫌そうにそっぽを向く怜悧。それを見てリエナは喉の奥で苦笑を封殺すると、前を向いた。扉を開けて、一時間目の現代の担当である教師が入ってきたからだ。 「いやすまんすまん、職員会議が長引いてもうてな。ほな、授業始めるでー」 教師は、女子生徒に人気の妖艶な笑みを浮かべ(この教師は仲間の教師や生徒とバンドを組んでおり、校内外を問わず人気が高い)、学級委員を促した。 ファンだったのか、学級委員のお下げの女子はしばし見とれてぽうっとしていたが、やがてわれを取り戻し、少し裏返りかけた声で号令をかけた。 やる気はないが元気はある『お願いします』の声が教室のあちこちから起こり、教師は嬉しそうに『はい、お願いします』と独特のイントネーションで答えた。 「ほんじゃ、今日は新しいトコ入るから、まず読んでもらおか。ほんじゃあ、なんか珍しくいるヴァレル=リエナで。教科書39ページなー。」 「なんか不合理なモノを感じるぞ。」 「ドンマイ、リエナ☆」 憮然とした表情のリエナに向けて、怜悧がとても爽やかな笑顔でサムズアップ。よっぽど殴り倒してやろうかと思ったが、鋼鉄の精神力(自称)でなんとか押しとどめ、リエナは教科書を開き、読み始めた。 しばらくすると、隣から安らかな寝息が聞こえてきた。 後で殴る。決定。  リエナはイライラしていた。 四時間目に怜悧が大爆睡したあげく椅子と隣のリエナごとひっくりかえったせいでもあるし、そのせいで授業が長引いて好物のコロッケパンが買えなかったせいでもある。とにかくイライラしていた。 ひどく黒くて重いオーラを纏いながら、廊下のど真ん中を闊歩するリエナに恐れをなして、行き交う人々は自然と隅へよける。それは生徒も教師も例外なく、そしてみな等しく顔を青ざめている。脳裏に浮かんだ言葉はこうだ、『触らぬ神に祟りなし』。 そのオーラはあまりにも黒くあまりにも重く、気の弱いものなら一発で倒れてしまいそうで…あ、ひとりだれか倒れた。 けれどそんな被害が出たことも構わず、というか知らず、リエナはただ目的地へ向けて足を動かし続ける。  そして、あるひとつのありふれた教室の前で立ち止まると、怒りに任せて勢いよくその扉を開いた(勢い良すぎて吹っ飛んだ)。 中には、数名の男子生徒。全てが等しく他校生で、また床に倒れ付している。 そしてその中心に、背の高い、整った容貌を持つ男子生徒が突っ立っていた。 上着は着ておらずYシャツを着崩し、少々長い髪を乱雑にまとめている。険のある切れ長の瞳は、やる気なさそうにリエナに向けられていた。
 リエナが教室に戻ったとき丁度、1時間目の始まりを告げるチャイムが鳴り響いた。教師は、まだ来ていない。 「珍しいな、リエナが1時間目に間に合うって。」 「うむ、あまり遅刻者もいなかったし、野暮用が出来て説教が出来なかったからな。」 隣の、金髪を黒と白のバンダナで隠した少女…名は狐住怜悧といい、リエナの友人である…が揶揄するように話しかけてきたので返す。 「というよりも、私はお前が起きていることにびっくりだよ。」 「…煩いな、狐は夜行性なんだよ。」 図星だったからか、不機嫌そうにそっぽを向く怜悧。それを見てリエナは喉の奥で苦笑を封殺すると、前を向いた。扉を開けて、一時間目の現代の担当である教師が入ってきたからだ。 「いやすまんすまん、職員会議が長引いてもうてな。ほな、授業始めるでー」 教師は、女子生徒に人気の妖艶な笑みを浮かべ(この教師は仲間の教師や生徒とバンドを組んでおり、校内外を問わず人気が高い)、学級委員を促した。 ファンだったのか、学級委員のお下げの女子はしばし見とれてぽうっとしていたが、やがてわれを取り戻し、少し裏返りかけた声で号令をかけた。 やる気はないが元気はある『お願いします』の声が教室のあちこちから起こり、教師は嬉しそうに『はい、お願いします』と独特のイントネーションで答えた。 「ほんじゃ、今日は新しいトコ入るから、まず読んでもらおか。ほんじゃあ、なんか珍しくいるヴァレル=リエナで。教科書39ページなー。」 「なんか不合理なモノを感じるぞ。」 「ドンマイ、リエナ☆」 憮然とした表情のリエナに向けて、怜悧がとても爽やかな笑顔でサムズアップ。よっぽど殴り倒してやろうかと思ったが、鋼鉄の精神力(自称)でなんとか押しとどめ、リエナは教科書を開き、読み始めた。 しばらくすると、隣から安らかな寝息が聞こえてきた。 後で殴る。決定。  リエナはイライラしていた。 四時間目に怜悧が大爆睡したあげく椅子と隣のリエナごとひっくりかえったせいでもあるし、そのせいで授業が長引いて好物のコロッケパンが買えなかったせいでもある。とにかくイライラしていた。 ひどく黒くて重いオーラを纏いながら、廊下のど真ん中を闊歩するリエナに恐れをなして、行き交う人々は自然と隅へよける。それは生徒も教師も例外なく、そしてみな等しく顔を青ざめている。脳裏に浮かんだ言葉はこうだ、『触らぬ神に祟りなし』。 そのオーラはあまりにも黒くあまりにも重く、気の弱いものなら一発で倒れてしまいそうで…あ、ひとりだれか倒れた。 けれどそんな被害が出たことも構わず、というか知らず、リエナはただ目的地へ向けて足を動かし続ける。  そして、あるひとつのありふれた教室の前で立ち止まると、怒りに任せて勢いよくその扉を開いた(勢い良すぎて吹っ飛んだ)。 中には、数名の男子生徒。全てが等しく他校生で、また床に倒れ付している。 そしてその中心に、背の高い、整った容貌を持つ男子生徒が突っ立っていた。 上着は着ておらずYシャツを着崩し、少々長い髪を乱雑にまとめている。険のある切れ長の瞳は、やる気なさそうにリエナに向けられていた。 「…カイ」 「よぉ、正義の黒。」 先程被害者を出したリエナの殺人オーラがまっすぐにカイに向かうも、当のカイは飄々としていて動じない。けれどそれに構わず、ぎらりと眼光鋭くにらみつけた。 「…これは、なんだ?」 「なんだ…って、他校生。」 「そんなことは見れば分かるッ!!」 リエナは鋭く叫ぶと、一足でカイの側まで跳び胸倉を掴んだ。 「教えてもらおうか。他人の楽しい楽しいランチタイムを邪魔してまでこんな下らないことをする理由はなんだ?理解できなかったら殺す。理解できても殺す。」 「物騒だなオイ。殺すの決定か。」

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