ID:vFzLB360氏:猫~Episode Ⅱ~

「…♪」
私の部屋には猫がいる。飼い猫じゃなくて、ついてきた猫がいる。
そして私はその猫を知っている。そう…この猫は…。

「お母さん、おはよー」
「おはよう、こなた」

この猫は私のお母さん。泉かなた。
理由あって今は猫になってこの家に住み着いている。
お母さんは窓際で伸びをしていた。すっかり猫だなぁ…萌え♪

「…萌え?」
「いやいや、こっちの話」

それにしても、かがみたちに紹介したらすごい驚いてたなぁ。
つかさに到っては相当な慌てぶり。驚くのも無理ないよね。

「それにしてもこなた、今日は珍しくしっかり起きれたじゃない」
「…まぁ、嬉しかったからね…」
「?」
「お母さんが帰ってきて…すごく嬉しかった…お母さんは猫になっちゃったけど、傍にいてくれるだけでいいの。それがすごく嬉しい」
「…こなた…」
「だからね、ずっと傍にいて欲しいな」
「私も、ずっと傍にいたい。こなたのもとに、そして…そう君のもとに」

そんなしみじみした会話を進めている私とお母さん。
だけどそのムードは次の瞬間完全に崩されることになる…。

「おぉー、こなた。写真撮りにきたぞ~」
空気読まずに入ってきたこの男。私の父、泉そうじろう。
何でまたカメラなんか持って…いや、カメラを持っているだけならまだしも、いつぞやの運動会の如き完全装備で。
「お父さん…わざわざ家の中でその重装備は一体…」
「決まってるだろう!折角かなたが帰ってきたんだ、ツーショットを撮らない手はないじゃないか♪」
「いや、あの…」
私がまごついていると、次の瞬間私の隣にいたお母さんがお父さんに飛びついた。
「そ~う~く~ん…?」
「いででででででで!わかった、わかった!悪かったから引っ掻かないでくれ!スマン!この通りだ!」

…猫になったお母さんは、なんか強い。って、私ミラじゃねえしww
顔を引っかかれたお父さんはひたすらお母さんに土下座。
私はそんなお父さんの姿をみて心の中で呟いてみた。

「…勝ったな」 

…気を取り直して家族で食事。今日の食事当番は私。
みんな大好き特製オムレツを焼いてあげよう。

「「「「いただきまーす!」」」」
食卓を囲んでお父さん、私、ゆーちゃん、そしてお母さん。
賑やかな食事が始まった。…だけど事件はいきなり起こった。
「……」
「どうしたんですか、かなたさん」
ゆーちゃんがお母さんに訊いてみる。お母さんの様子がおかしい。
と、次の瞬間お母さんは飛び上がると…
「…ぅにゃっ!!」
と大きくジャンプして何かをつかみ取った。
「……!?」
「お、お母さん…?」
「ごめんなさいね、今目の前を蚊が飛んでたから…」

思い出した…猫は目の前の動くものに反応するんだっけ。
お母さんがいるから蚊取り線香はいらないかもね。なんて便利なお人…いや、猫か…。
まぁ、あれだけ大きな動きをしてもテーブルの上の食事が滅茶苦茶になっていない辺り、お母さんはしっかり者だな、と思う。
それに比べてお父さん、蚊を追いかけるのに必死になってサラダのお皿はひっくり返すわパンは宙を舞うわ。それだけならまだしも、熱いスープをお母さんに引っ掛けてしまい…

「そう君…いい加減にしないと、引っ掻くわよ?」
「さんざん引っ掻いてから言わないでくれよぉ…」

あーぁ、相変わらずなんだから…。
私とゆーちゃんはただ呆然としてるだけだった。

私にはお母さんがいる。
理由あって猫になっちゃったけど、お母さんがいる。
私よりさらにちょっぴり小さくて、猫耳と尻尾と肉球のついたお母さん。
でも、こんな姿になってもお母さんはたった一人、私の大切なお母さん。
だから、そんなお母さんが傍にいてくれる、ただそれだけで私は幸せだ。
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。