ID:Md5gisAO氏:男はらき☆すたの世界に迷い込んでしまったようです

男「よっこらショット‥」

学校の一般校舎。四階までの階段を駆け抜けた先
その踊り場のような狭いフロアに今は物置として使われている教室がある。

俺にはその教室の名前すら知らないが

その教室の閉ざされたドアの向かいにある、窓の柵は一本だけ外れるようになってて、そこをすり抜けた先‥


男「うー、風が強いなぁ‥」

普通の生徒は来る事が出来ないこの場所への抜け道があることを知っている。
ここは、俺らにとって特別な場所だ。

男「‥ん?」

渡り廊下が間に渡されている、反対側の特別教室棟
その屋上にも、一人の小さな人影が見えた。

男「こなた‥‥」
一人哀しみに泣き崩れるこなたの姿を見て、男は小さく呟いた


ここで時間をちょっと遡りますよ


男「うぉぉぉぉぉぉ!!!こなたは俺の嫁ッ!!!!!」
ガチャガチャとコントローラーをいじくり回す男。
そのコードの繋がっている先、画面に映る(彼曰く)彼の嫁「こなた」。

テレビ周辺に積まれた未開封の積みゲーをほっぽってまでも、この男はらき☆すた原作のギャルゲに熱中していた。


翌日の放課後

男「暑いぜ‥」
男「早く家に帰って‥」
男「嫁であるこなたとっ‥!!」

)ササッ
男「‥!?」
男(今のは‥?)

男の目の前を通りすぎた影は、人気のない裏路地へと消えていった。

男「まさか‥まさか‥」
吸い寄せられるように影の消えていった方へと進んでいく男。

そして数分歩き続けて辿り着いた、ビルに囲まれた10メートル四方程の空き地。
そこの中心にあるプレハブにさっきの影が滑り込んで行くのを、男は確かに見た。

―あの影は、あの影は‥

―そんなはずはない‥だが、この俺が見間違うはずはないッ!!


バンッ!!
男「俺の為に現実に来てくれたのかこなた―――――‥‥ん?」
飛び込むような勢いでドアを開けてプレハブに入る男。

男「誰も‥居ないだと?」

偉く殺風景な部屋の中には、右端に画面の消えたテレビとプレステ2が置かれ、反対にはマットレスが鎮座していた。

男「‥?」
男は首を傾げる。その時、背後から声がした。

?「‥やっと、来てくれた」
男「うわぁッ!!!」
身を翻し、バッと後ろへ飛び退く男。

男の目の前には、さっきの影
グレーの装束に身を包み、フードを被った小さな人間が立っていた。

―フードからはみ出た鮮やかな青色の長髪‥やはり間違いない!!
男「ッこなた―――――んっ!!!」ビョンっ

影に飛び掛かる男、だが
男「あべしっ!」
飛びかかった男の身体は正面の人物をすり抜け、いつの間にか閉まっていたドアに勢いよくキスをかます。

?「‥大丈夫?」
フードを外し倒れた男を覗き込んできたその顔を見て、男は言った。

男「泣きぼくろが‥ない?」
?「‥お、気が付いた」
男「‥ってことは!」
男「かなたーん!!俺に(ry」

達磨のように勢いよく起き上がってかなたに飛びかかった男の身体は、またもや相手をすり抜け今度はベニヤ張りの床にキs(ry

 

床にうつ伏せに倒れたままの男に向かって、かなたは正座して話し出した。

かなた「えっと‥話を進めないといろんな意味で困るので、早速本題に入りますね」
男「‥‥」
へんじがない ただの(ry

かなた「貴方が言った通り、私は泉かなたです」

かなた「もちろんと言っては変ですが、私はこの世界の人間ではありません」
男「‥‥」
かなた「というか、此処自体が既に半分『この世界』のものではありません」
男「‥‥‥‥kwsk」

そう言って男はゆっくりと起き上がり、かなたに向かい合って正座した。
鼻から少し血が出ている。


かなた「閉鎖空間‥てわかります?」
男「あぁ、ハルヒで読んだ」
かなた「今このプレハブの中は閉鎖空間のような状態になっています。この中で何が起きようと外には何の影響も無いし、逆も同様です」
男「へぇ‥」
かなた「それに、このプレハブや中にいる私達を目視することは通常不可能です」

かなたの話を聞きながらゆっくりと部屋の中を見渡す男。

すりガラスである窓からは、綺麗に外の様子を詳しく伺い知る事は出来ない。
ただ、外の明るさはさっきまでのような昼の明るさではなく、夜のような闇だと言うことが確認出来る。

男「つまりここで俺がかなたを犯s
かなた「貴方は私に触れませんがね」
男「orz」
かなた「正確に言うと、私が貴方に触れない って事なんですが」
男「かなたは死んでるから‥?」
かなた「‥まぁ、そんな感じです」

少し、場の空気が重くなる。

かなた「そしてそれは、『向こう』でも変わりません。霊体ってのは同じですから」
男「『向こう』って?」

かなた「私たちの世界‥貴方達がいる世界とは違う、『この世』です」

 

かなた「そして、ここからが本題です」
男「ごくり‥」
かなた「男君、貴方に私たちの世界に行ってほしいんです!」

男「おk」
かなた「突然で断られるのもわかってます!でも私には貴方しk
男「ちょwwおkって言ってるんだが」
かなた「‥‥‥へ?」
男「もっかい言うけど、おk。俺、そこに行くよ」

キッパリそういい放った男を見て、かなたは呆気に取られながらも言った。

かなた「な、なんだっt(ry」
男「何かそのリアクション、イラッとするんだが」
かなた「よく行く気になりますね‥」
男「自分から誘っておいて何を言ってるんだ」
かなた「えっへん」
男「威張るところじゃないし褒めてないし胸はっても胸ないし」
かなた「むむ‥」

後半の言葉にムッとするかなたを尻目に、それに。と男は続けた。
男「もう来ちゃってんだろ?」

かなた「えぇ‥まぁ。よくわかりましたね」
男「なんとなく‥な」

この時男は、自分の体に今までとは違う感覚を感じていた。

男「‥む?」

ぐっと手を握ってみたり、ピョンと跳び跳ねてみる。

男「おぉ、体が軽いww」
かなた「ここが閉鎖空間って事の証拠です」

男「?」
かなた「説明するとめんどいんですが、貴方達の世界と、閉鎖空間とでは重量や密度のバランスが違います」
男「ふむ、つまりここじゃ俺は普通の人より身体能力が優れてるって事?」

かなた「そういう事です。理解が早くて助かります」

かなたは頷いてそう言った。

男「早いとこ話を進めなきゃならんしな」

 

かなた「さて」

スックと立ち上がったかなたはテレビがある方に向かい、男にちょいちょいと手招きした。

かなた「貴方‥男君には、私達の世界に行ってしてもらいたいことがあります」
男「そういや目的を聞いてないな」

かなた「そう君‥私の旦那、泉そうじろうを探して欲しいんです」
男「は?自分じゃ探せないのか?」

人探しなら、向こうの奴に頼めばいいんじゃないのか?と思う男。しかし、それなりに理由があるらしい。

かなた「それは難しい事です。『向こう』で私から誰かに接触することは出来ないし、それに‥」
男「?」
かなた「この事に関しては‥いずれ伝えます」

かなたはそう言って少しだけ顔を曇らせたが、すぐに元の表情に戻した。

かなた「さぁ、行きましょうか」
男「俺の嫁の元へか!!!」
かなた「‥こなた達の元へです」
男「やっぱ当たってるじゃないk
かなた「 違 い ま す 」
男「‥‥」

 

かなた「男君、まず目を瞑って」
男「ん」
かなた「絶対に開けちゃ駄目ですよ?」
男「あいよー」

少しの間、静かになる。
次にかなたの声がした時、目を開いた男の前にかなたの姿はなかった。

男「あれ?かなたーん?」
かなた『ここです、‥男君の体に憑依させてもらいました』
男「 m j s k 」

男はまじまじと自分の体を見る。

かなた『向こうじゃ霊体を維持するのは無理だし、このままじゃ閉鎖空間から出る事も出来ないのでこうしたんです。それに‥
男「かなたんが俺と合体‥ハァハァ」
かなた『‥‥』

自分の体を自分で抱きしめる男を男の中からみたかなたは、言い様の無い寒気を覚えた。


かなた『次にそこにあるテレビとゲーム機の電源を入れて、コントローラーを持って』
男「うっし‥」ポチッ

男はいつもゲームをしているときと同じようにする。
すると電源を入れたテレビの画面が目映い光を放ち始め、プレハブの中は白い光に包まれた。

男「うぉぉぉぉ!?!?」
かなた『大丈夫、もうすぐ向こうに入ります』

段々と光が弱まってくる。
男が眩しさに耐えられず閉じていた目を見開くと、そこには見慣れた光景が広がっていた。

男「ここは‥」
ずらりと並べられたマンガ・ゲームに、店内を練り歩くオタク(仲間)達。

男「アニメイトじゃねーか!!!」
こなた「‥‥‥」
男「ってうわぁぁ!かな‥ん?」

―違う、かなたじゃない。同じ顔同じボディに泣きぼくろがある‥って事は!

男「こn
こなた「それを、」

目の前にいるこなたは、そう言って男の手元を指差す。

男はゆっくりと手元に目をやる。
さっきまでコントローラーを握っていた手元には、【限定グッズ】と書かれた紙が貼られた真っ黒い箱が握られていた。

こなた「よかったら‥譲ってくれないか、青年」
男「え?」
こなた「この限定グッズのシリーズ、あとその黒だけでコンプ出来るんだ」
つかさ「‥ボソッ(ちょっとこなちゃん!」
かがみ「‥ボソボソ(止めなさいよ、その人だって買いたいんだろうし迷惑だって!」

男は最初気付かなかったが、こなたの後ろにはかがみとつかさも一緒に居た。

こなた「だってこの人ずっと突っ立って買うのかわかんないし‥」
男「‥‥‥」

男の感情は爆発寸前だった。
―嫁が、夢にまで見ながらも虹の向こうには行けないと泣き崩れた俺の目の前で、俺を見ている。
かがみも、つかさもいる‥!!

男の感情が―爆発した。


男「俺の嫁――――――ッ!!!」ガシッ
こなた「ぬわぁっ!」

今度はすり抜けない。こなたに抱きついた男の腕の中には紛れもなく実体がある。
男は夢にまでみた(自称)嫁の感触に浸る。

時が止まる。
こなた「‥」
つかさ「  ( д ) 」
かがみ「  ( д ) 」

 

そして動き出す。

かなた『男君!!』
男「はっ!!」―しまったっ!!

脳内に響くかなたの声で目を冷ました男は、バッとこなたを抱き締めていた手を離す。

かがみ「へっ、変態ッ!!」
つかさ「店員さーん!!この人痴k」
こなた「‥まぁまぁ、イーンダヨー。かがみん、つかさ」

叫ぼうとするかがみとつかさを、こなたが手で制した。

男「ご、ごめん!お詫びにこれ、やるよ!」
そう言って持っていた箱をこなたに手渡す男。

こなた「ほほ、ありがとう。まぁ気にしないでイーンダヨー」
男「グ、グリーンダヨー」
こなた「いいノリしてるねww青年」
男「まぁなww」

こなたはそれを満足げな笑みを浮かべながら受け取る。

こなた「それじゃ。ありがとね青年、これからは貧乳が希少価値だからって強襲しないように精進したまへ」
かがみ・つかさ「‥‥‥」

そう言ってこなたは、ヒラヒラと手を振って会計に向かって去っていった。

店員「ありがとうございます!こちら本の方は全て同じ本ですg
こなた「よろしいです」
店員「‥4200円になります」
チーン
店員「ありがとうございましたー!」
 
 
かがみ「ねぇこなた」
こなた「なんだいかがみん?」
 
街中を三人並んで歩いていると、かがみがこなたに話しかけてきた。
 
かがみ「さっきの男、知り合いなの?」
こなた「んーん、違うよ」
 
事も無げにサラッと答えるこなた。
 
かがみ「じゃあどうして急に抱き付かれたりしてんのよ?」
こなた「そりゃあ‥貧乳が希少価値あるからじゃないの?」
 
そう言ったこなたはふふんと冗談めかして鼻で笑う。
 
かがみ「もう‥」
つかさ「でもさ、こなちゃんに抱きつくなんて、こなちゃんのお父さんみたいだったね!」
こなた「ん‥」
  
つかさの言葉に途端に顔を曇らせるこなた。それを見てかがみとつかさはハッとした。
 
かがみ「ちょっとつかさ!」
つかさ「ごっ、ごめんこなちゃん‥」
こなた「んーん、だいじょぶだいじょぶ」
 
 
こなたの父そうじろうは、1ヶ月前から行方不明になっている。
 
こなたの周りも精一杯捜しだそうと尽力したのだが‥
それでも2週間前に学校へ向かうこなたを見送った後のそうじろうの足取りは掴めなかった。
 
前から警察にも捜索願いは出してあるが進展はない。
 
こなた「んじゃ、こっちから帰るね。ばははーい」
かがみ「うん‥ばいばい」
つかさ「また明日ね、こなちゃん」
 
こなたがタッタッと家に向かって駆けて行くのを見届けて、かがみとつかさも家路についた。
 
幼い頃に母親を無くし、腕一本で自分を育ててくれたそうじろう。
 
ゲームに付き合ってくれたり、自分の性格はそうじろう譲りだと、こなたはハッキリ自覚している。
 
いつもそうじろうが側に居てくれた。
そのお陰で母であるかなたが居なくても、こなたは特別に寂しさを感じることは少なかった。
 
でも、今は違う。
こなたは毎晩、長い間感じる事のなかった寂しさに苛まれていた。
 
 
こなたは二人と別れた後に、自宅の近くの公園に寄った。
夕暮れ時の公園には、近くの団地に住む子供達が疎らに残っている。
 
しかしすっかり日が暮れて空に月が輝き出す頃、公園にはベンチに腰掛けるこなたの姿しかなかった。
 
その間何か特別な事をしていた訳じゃない。
ただただ今までのそうじろうとの暮らしを思い返し、今のそうじろうの身の安全を祈っていた。
 
こなた(お父さん‥どこ行っちゃったのさ‥) 
こなた(このままじゃ‥あたし独りぼっちだよ?)
こなた(あたしにはもう、家族はお父さんしかいないんだよ‥?)
 
ゆっくりと足もとに目をやると、小石が地面に埋まっていた。
 

 
こなたが小さい頃、そうじろうはこなたが出不精にならないようにと仕事の合間を縫ってはこの公園にこなたを連れてきていた。
 
こなた(それでも結局、こんなんなっちゃったけどね‥)
 
 
こなた「おとーさん!そんなたかいとこのぼっちゃあぶないよー」
そうじろう「大丈夫さ、こなたも来てみろ?高いとこは気持ちいいぞー」
 
そうじろうは年甲斐もなく大きなジャングルジムによじ登っては

そうじろう「‥ってうわぁっ!!」
こなた「おとーさん!」
そうじろう「あべしっ」
 
落ちていた。
 

こなた(それでもお父さんの隣に行きたくて‥無理して登るようになったんだよね。あのジャングルジム)
 
こなた(まだ覚えてる‥初めててっぺんまで登れた時の事)
 

そうじろう「こなた、もうちょっとだ!頑張れ!」
こなた「うーん‥せっ!」
 
最後の棒に足をかけて一気によじ登ると、そうじろうが手を差し伸べてくれた。

その手を掴んでちょこんと腰掛け、てっぺんで二人並んで夕日を見た。
 
こなた(あの夕日、綺麗だったな‥)
 
足もとに埋まる石をゲシゲシと蹴り、地面から掘り起こす。
 
‥‥
こなた「おとーさんまってよー!」
そうじろう「ハハハ、走らないと置いてくぞこなたー♪」
こなた「まってー!」
 
そうは言いながらも自分の数メートル前で、笑顔で自分を待ってくれるそうじろう。
 
こなた「ふべっ!」
こなたは足もとに埋まっていた小石につまずいて転んでしまった。
 
そうじろう「こなたぁぁぁぁ―――――ッ!!!」
こなた「あたた‥‥」
 
驚異的なスピードで駆け寄ってきて地面に倒れ込んだこなたを抱き上げたそうじろうは、ポンポンとこなたの服についたホコリをはたく。
 
そうじろう「大丈夫か?ケガは?どこも痛くないか?」
こなた「‥グス‥‥だいじょぶ」
 
目にいっぱい涙を溜めながらも堪えるこなたを見て、そうじろうはクスリと笑ってみせた。
 
こなた「おとーさん、おとーさんもケガしたの?だいじょぶ?いたくない?」
そうじろう「‥え?」
 
こなたにそう言われるまで自身では気付かなかった。
 
いつの間にかそうじろうは泣いていた。
 
着ていたシャツの袖を使ってゴシゴシと涙を拭く。
 
そうじろう(三歳に満たない娘に慰められるとはな‥)
 
そうじろう(なぁ、かなた?見てるか?)
 
そうじろう「こなた、お家に帰ろうか?」
こなた「うん!ねぇ、お父さん?」
 
そうじろう(こなたも大きくなったろ?)
 
そうじろう「わかってるさ、肩車だろ?こなたは高いところ好きだなぁ」
こなた「へへへ」
 
こなた「ねぇおとーさん、パンたべたい!」
 
そうじろう(ダメダメな俺なりに、一生懸命こなたと居るからさ)
 
そうじろう「そっか!じゃあいつものパン屋さん行こうな」
こなた「こなた、いきまーす!」
 
そうじろう(天国から、見守っててくれよ)
 
そうじろう「ハハハ!お家帰ったらテレビみようか?こなた」
こなた「うん!」
  
『そう君』
 
かなたに呼ばれた気がして、後ろを振り返った。
そこには 誰もいない。
 
柔らかい風が吹き抜ける。
優しい匂い‥これは、かなたの匂いだ。間違いない。
 
そうじろう(ここに‥居るのか?)
 
―フワリ
 
そうじろう(一目でいいから、お前に会いたいよ)
 
―フワリ
 
そうじろう(そして、大きくなったこなたに会わせてあげたい。話を沢山聞かせて、こなたを抱かせてやりたい)
 
―フワリ
 
そうじろう(そして、お前に伝えたいんだ)
 
―フワリ
 
そうじろう(俺も‥お前と居られて、幸せだったよ)
 
―フワリ
 
そうじろう(そして‥)
 
―フワリ
 
そうじろう(かなた、いつまでも愛してる)
 
―フワリ。
 
 
夕焼けに赤く染められた小さな町。
その街中を普通の人より大きな影と、普通の人より小さな影が並んで歩くのを一番星だけが優しく見つめていた。

こなたは、ゆっくりと『自分』が夢の世界から昇ってくるのを感じた。
 
こなた「‥ん‥あ、」
 
こなた(いつの間にか‥寝ちゃってた)
 
こしこしと目を擦って伸びをする。さっきまで7時過ぎだったというのに公園の時計の針は、9時を指している。
 
 
こなた(気持ちいい夢だったな‥後の方は覚えてないのが悔しいや)
 
少しだけ深呼吸をして、夢の余韻に浸る。
そして、さっき抱き付かれた時に感じた感覚の正体になんとなく気付いた。
 
こなた(あれ、お父さんに似てたんだ)
 
こなた(行動のパターンとかじゃない。もっと‥こう‥なんていうんだろ‥うーん‥‥)
 
 
こなた「うーっ!何なんだよそりゃ――――ッ!!!」
男「ビクッ!!」
 
こなた「あれ?(この人は‥」
男「え?」
 
男「チョココロネとメロンパンだけど‥一緒に食べる?」
 
こなた「‥さっきの青年じゃないか」
男「‥ど、どーも」
 
 
かなた『まったくもう‥娘に何てことを‥』
 
こなた達と別れた後、男(とかなた)はアニメイトを出て街中をブラブラしていた。
 
男「ごめんって‥ハグは欧米じゃ挨拶だZE?」
かなた『 お 黙 り 純 国 産 』
男「はい」
 
 
男「このままだと話が進まないから聞いておくが、俺はこれからどうすればいいんだ?」
かなた『えっと‥』
男「つか、まず今日はどこで寝るんだ?」
 
食事も睡眠も必要な男にとってはこれは重要な問題である。
 
かなた『それは、ここからちょっと離れた場所に、来たときと同じようなプレハブがありますから、そこに行きましょうか』
男「おk、そうしよう」
 
男「そして、そこで《今から》先の事を決めるわけですね?わかります」
かなた『ハッハッハ』
 
男「はぁ‥‥」
 

男「さて、生身の人間として当たり前ながらお腹が空いたんだが」
 
今の時刻は午後7時。学校が終わってそのままこっちに来た男は、もはやお腹と背中がくっついちゃいそうなのだ。
 
かなた『あ、じゃあパン食べましょうよ!』
男「パン‥だと?」
かなた『パン、嫌いですか?』
男「‥いや、全然好きだが‥夜にパンだと足りなくないかな?」
かなた『でもね、ほら私、死んじゃってから何も食べてないでしょ?』
 
男「‥‥‥」
かなた『私が直接食べる訳じゃないけど、食べた気分だけでもさ‥』
男「かなたん‥」
 
かなた『家の近くにね、そう君とよく行ったパン屋さんがあるんだ!とっても美味しいの。特にチョココロネと、メロンパンが好きだったなぁ‥』
 
今のかなたがどんな表情をしているのか、男にはうかがい知る事が出来ないが、聞こえてくる声が少しだけ涙声になっているのはわかった。
 
男はスタスタと歩き出す。
 
かなた『男君、どこ行くの?』
男「パン屋。食べたいんだろ?」 
かなた『‥‥‥ありがとう』
 
 
男「それにしても、かなたんは好みが若い人みたいだなww」
かなた「えー?私ずっとわかいもん♪」
男「そりゃあそっか」
 
どこか《固さ》の抜けた二人が買い物を終えてパン屋から出てきた頃、辺りはすっかり暗くなっていた。
 
『近くの公園で食べたい』というかなたの頼みで男は公園へと足を運ぶ。
 
 
男「お、ここ?」
かなた『うん!ここここ♪』
男「‥繋げて言うと?」
かなた『 お 黙 り 小 市 民 』
男「ごめんなさい」
 
 
男「あ、向こうのベンチに誰かいる‥」
かなた『本当だ、って‥』
男「アレは俺の嫁のこなたんじゃまいか!!」
かなた『シッ、静かにしてね?』
 
 
制服のまま公園のベンチに腰掛け、何処か目の焦点が合わないまま足もとにある石を靴で蹴っている。
 
 
かなた『家にも帰らないで、一体何してるんだろう?』
男「帰りたくないんじゃね?」
 
男はボソリと呟いた。え?とかなたが聞き返すと、男は思い出すように静かに続けて言う。
 
 
男「今までずっと一緒に居た父親が行方不明なんだ。誰もいない家に独りでいるのって、結構寂しいんだぜ?」
かなた『男君‥』
 
 
しばらく遠巻きに観察しているとこなたの動きが完全に停止した。
 
男「おいおい、無防備に寝ちまってますよ奥さん?」
かなた『危ないね‥やっぱり疲れが貯まっちゃってるのかな‥‥』
男「ここは旦那として放っておけん‥」
 
男はそう言ってこなたの所にソロソロと歩み寄る。
 
かなた『‥どうするつもり?』
男「目の前で嫁が寝てるなら、俺として考えられる行動は1つだ」
かなた『ちょっとお待ち』
かなた『ちょ、待ってって言ってるでしょ?』
 
 
こなたのすぐ隣まで来た男はこなたのベンチの隣のベンチに腰かけた。
 
かなた『え?』
男「嫁に変な男が寄らないようにしただけだが何か問題でも?」
かなた『‥もうww脅かさないで?』
男「フヒヒwwサーセンww」
 
 
しばらく経って――――
 
男「‥‥」
かなた『ずっと食べてないけど、どうしたの?』
男「 寝 顔 が 気 に な っ て 食 え ん 」
かなた『フフフww』
 
 
男「さて、9時を回ってしまったわけだが」
かなた『シッ‥起きそう‥』
 
こなた「‥ん‥あ、」
 
眠りについて小一時間、やっと目を開けたこなた。ただまだ覚醒には至らないようだ。
 
 
 
男「‥ボソボソ(ちょwwwwよく考えたら俺がここに居るのって変だwwwwwwww」
かなた『 あ 』
 
今更ながらに自分達の状況を確認した男。このままではどうみてもストーカーです。本当に(ry
 
 
男「‥ボソ( あ 、じゃねーよww撤退ー!」
 
時、既に遅し。
 
 
 
こなた「うーっ!何なんだよそりゃ――――ッ!!!」
男「ビクッ!!(THE・ワールド!!」
 
こなた「あれ?」
男「え?(逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ、落ち着け、誤魔化せ、揉み消せ俺!」
 
男「チョココロネとメロンパンだけど‥一緒に食べる?(環境利用闘法!!」
 
こなた「‥さっきの青年じゃないか」
男「‥ど、どーも(\(^O^)/オワタww」

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