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「お姉ちゃん!」
「つかさ!」

泉家に帰ってきた二人を待っていたのはすっかり元気になったつかさだった
かがみはつかさと抱き合い、喜びを噛み締める

「よかったね、つかさ! これでもう苦しまなくて済むよ!」
「うん! ありがとう、お姉ちゃん!」

美しい姉妹愛、こなたは思わず笑顔になった

「まあ、疲れてるだろうし、まずは入りなさい」
「あ、はい!」

そうじろうの言葉を聞き、かがみは家の中に入っていく

「……姉妹、か……いいな……」

こなたはそう呟くと、ゆっくりした足取りで中に入った

 

 

 

「こなた、ありがとね。あんたがいなかったら、つかさは治らなかったわ」
「いやいや、困ってる人を助けるのは当たり前だよ」

家の中で、先ほど洞窟で起きた出来事を話した。さっきからかがみに何度もお礼を言われたため、こなたは少し照れていた

「で、そのことなんだけど、あの光はなんだったの? 見たことなかったけど……」
「その話は俺からしよう」

不意に、そうじろうが喋りだした

「FOE変化って知ってるかい?」
「えふ、おー、いー……変化?」
「ちょっとつかさ、前に習ったでしょ?」

確かに以前、二人は学校でFOE変化について習った
魔術を行使した際に放出される魔力が、武器若しくは身体に流れ込むことをFOE変化と呼ぶ
一時的なものだが、刀剣が炎に包まれたり、拳から雷が発生するといった変化が生じる。もちろん本人にダメージはない
ちなみに魔術師が使う武器そのものに魔力を流れ込ませ、FOE変化させることも可能だ

「このFOE変化を利用した武術が古武術で、こなたはそのうちの一つ『光牙流』を会得しているんだ」
「他にもお父さんからいろいろな武術を学んだけどね」
「ち、ちょっと待ってよ! FOE変化って言ったって、じゃあなんでこなたは魔術を使えるの!?」
「そうだよね、こなちゃんには印がないみたいだし……」

印は大抵、というか確実に利き手の甲に浮かび上がるものだ
こなたの手を見てみるが、やはり印はなかった
……そう、“印は”

「あれ? こなちゃん、これって……」
「そ。白晶石」

こなたの右手の甲に見つけた、白く光る石――白晶石
晶石とはそれぞれ色に対応した力を秘めた石のこと。赤晶石なら炎の力、白晶石なら光の力を秘めている、といった具合だ

「なるほど」

不意にかがみがうなずく

「いくら魔力を持っていようと、印がなければ魔術は使えない。だから、ソレが印の変わりになってるってわけね」
「そういうこと。五ヶ月くらい前だと思うけど、魔導書にあったのを実験してみたんだ。そしたら見事に大成功!」
「いいなぁ……私も魔術使いたいなぁ……」

右手でVサインを作るこなたを見てうっとりするかがみ。が……

「すっごく痛いけど、出来ないことはないよ? やってみるかい?」
「い、いえ……遠慮します……」

そうじろうの言葉で一気に消極的になってしまった

「さて、と……明日には帰らないとね。すいません、お礼の一つもできないで……」
「いやいや、別に見返りを求めてたワケじゃないし」

かがみとつかさは必要最小限のお金と薬しか持ってきておらず、お礼に出せそうなものは一つもなかった

「私、かがみ達の村に行ってみたいな」
「えっ、私達は別にいいけど……」

三人は一斉にそうじろうを見た。その顔は困っているようだった

「……そんな顔で見られたら、断れるワケないだろ? とは言っても、女性ばかりは危険だし、俺も一緒に行くからな」
「やた! 他の村に行くなんて初めてだよ!」

こなたはわざとらしくバンザイをする。

「……それにしても、ペンダント、どこ行ったかなぁ……」
「……あ……」

笑顔が一転、しまったというような顔になり、左手で口を覆う
そして、服のポケットやら道具袋やらを調べ始める

「あった! はいこれ」
「!! 私のロケットペンダントじゃない!」

かがみはこなたからペンダントを受け取る。……否、奪い取る

「ぶつかった時に落としたみたいなんだよね。いやー、返すのすっかり忘れてたよ」
「よかった……もう見つからないかと思ってたのに……」
「よかったね、お姉ちゃん」

蓋を開いて中の写真を見る。そこにはやはりかがみと二人の女性が写っていた

「つかさはいないね」
「うん。私、この時休んでたから……」
「その二人、友達?」
「ええ。私たちの……親友だった人達よ」
「親友だった?」

ひどく意味深な発言、こなたは言葉を反芻した

「左が日下部みさお、右が峰岸あやのっていって、学校時代の親友なんだけど……三年前から、行方不明なの」
『え……?』

こなたとそうじろうの言葉が被る

「まだ死んだってわけじゃないけど……もう、三年も経ってる。絶望的だわ……」
「……生きてて……欲しいんだけどね……」

声が出なかった。出せなかった。あまりに、重い話だったから

「……さあ、昔話はここまでにしましょ! 宿屋にまだお金払ってないし、今日は宿屋に泊まるから!」
「あ、お邪魔しました~!」

二人はあわただしく、泉家を出ていった

(……日下部みさおに、峰岸あやの……間違いない、三年前に来た、あの子たちだ。どういう要件だったかな……)

そうじろうは少し考える

(……!! そうだ、思い出したぞ! 確か、二人は……)

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