「ねえ、かがみ。一度だけでいいんだよ」
私はベッドに座ったまま後ずさりをするかがみに近づきながら言った。
「ば、ばか。その一度が問題なんでしょ。ファーストキスなのよ?」
「それがどんな感じなのか、試してみたいんだよ」
「ダメだって」
「いいじゃん。ほら、かがみは同性愛に興味が無いのなら、ノーカウントって事で」
私は諭すように優しく言ったが、彼女はいっそう強く首を振るだけだった。
こちらには格闘技の経験があるとはいえ、力づくというのは好みではない。
考えた末に、私は別の方法をとることにした。
「……つかさ」
「ちょ、ちょっと!」
妹の名前を出しただけだというのに、彼女は既に慌てている。
頭の良い彼女のことだ。こちらの思惑に気づいたのかもしれない。
「つかさなら油断させやすいだろうし。簡単に、無理やり奪っちゃえそうだよね」
「やめなさいよ。そんなことをしたら……」
彼女が言葉に出来なかった続きは、きっとこうだ。
そんな事をしたらつかさが傷つく。友達だと思っていた相手からだなんて。
私はかがみの不安が膨らんでいくのを待って、こう尋ねた。
「かがみはどうしたい?」
「……わかったわよ」
もちろん、聞こえないフリをする。
「なんて言った?」
「わかった、って言ったの! ほら、さっさとしなさいよ」
かがみは、私が無理にするのだということで納得をしたらしい。
でも、私の求めているのはもっと違う形だ。
「違うでしょ、かがみ。私はどうでもいいんだけど、かがみはどうして欲しいの?」
「え?」
思わずこぼれる笑みに、かがみの顔が真っ赤に染まった。
「こなた。あんたってやつは」
かがみは私を睨むが、瞳に宿る抵抗心はそう長くは続かなかった。
「……こなたとキスしたい。キスさせて欲しい」
「はい。よく出来ました」
私は手を広げて、彼女を受け入れる姿勢をとった。
次の瞬間には抱きついたかがみの体温を身体で感じ、唇が重ねられて、そうして私は押し倒された。
「えっと、かがみ。私はキスだけで満足なんだけど……」
「うるさいわね。これは私の望んだ結果なんでしょ。ここまで来たら最後までやってやるわよ!」
「ちょっと、そこは」
かがみの手が私の胸に伸びる。
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最終更新:2007年11月19日 01:01