ID:AW3gkC4O0氏:あきらとクッキー

(がんばってね!!期待してるよ!!)
がんっばってないかな?何に期待してるの?
(そうじゃなくて!わかんないかなぁー!?)
ごめんなさい、ごめんなさい。もっと勉強します!もっと努力します!
(笑顔がいいよね!うん!笑顔が最高!)
笑ってなきゃだめなのかな?ずっと笑ってなきゃだめかな?


梅雨などとっくに明けたというのにこの曇り空。
あ゛~っ!気が滅入るわ。
だいたい、この仕事、OKしたわけじゃないのよねー?
あいつ、ちゃんと仕事選んでるのかしら?
この間もトーク番組だから気楽に~、なんて言ってて結局バラエティのひな壇だったじゃない。
そりゃ、面白い事言えない私のほうが悪いのかもしれないけど、ネタ振りにしたってどーしよーもなかったよね?
あんな若手じゃ、私のこと気にしちゃって振りにくいっつーの!
あ゛~っ!いやだ!いやだ!いやだ!
「小神さーん、出番ですー!」
「あ!はぁ~い♪いまぁ、行きまぁす☆」

なんだかんだで芸能生活も長くなると、スタッフにしろスポンサーにしろ立ててくれるのは嫌じゃないけど、
私だってそんなに無神経じゃない。
特別これといったヒット作もなく、3歳から仕事してるからとか、現役中学生だからとか、そんな理由に乗っかってたって、この世界じゃ先が見えてる。
何とかしなくちゃいけないのは、私が一番わかってる。
だけどね・・・。



「あれぇ?あんなところに人がいますよぉ?」
「あれ?本当だ!まいったなぁ~。おーい!君たちぃー!」
言わんこっちゃない!予算ケチりすぎなんだよ!このあきら様を呼んでおいてスタッフ3人とかありえねぇっつの!

「君たちごめんね~、今収録中だから、ちょ~っと、あっちに行っててもらえるかな?」
「ねぇ!ねぇ!あれ、小神あきらでしょ!?サイン!サインをーーー!」
「ちょーっと!こなた!自重しなさいよ!収録中だって言ってるじゃない!」
「あんな小さい子がタレントさんなんだね。すごいね!」
「小神さんですね。確か3歳からタレント業をしているんですよね?」
まぁた、ミーハーな連中でしょ?カメラ見つけて近づいてきたんじゃないの?
ていうかさ、一般人が勝手に出入りできるようなところで収録してることがまず、問題じゃないの?

「伊藤P!私行ってもいいですか~?私が行ったらすぐ終わると思うんですけどぉ~☆」きゅぴ~ん☆
「あぁ、ごめんね、小神ちゃん~、ちゃちゃっと終わらせてきてもらえる?」
「わっかりましたぁ~☆」
めんどっ、ちっ。まぁ、いいわ。

「うおぉ~~ん!あきら様!あきら様ぁ~!『三十路岬』買いましたぁ~!!!」
「えぇ!本当ですかぁ~!ありがとうございますぅ~☆」きゅぴ~ん☆
ふむ、この子は分かってるみたいね?

「へぇ、この子がタレントなんだ?さすがにかわいいわね?」
なんだ、このツインテール?喧嘩売ってんのか?ぺっ!

「ありがとうございまぁ~す!かわいいだなんて!ありがとっ☆あきらすっごーく!うれしいでっす♪」
「サイン!サインくださいぃぃっ!」
「ちょっと、こなた仕事中よ!?迷惑よ?」
「少しだけなら大丈夫ですぅー!えっと、どこに書けばいいんですかぁ?」
「こ、この『三十路岬』のジャケットにーーー!」
すごいわね、この子!アイドルの心をつかみまくってるわ!

「えっとぉ、こなたさんね?これからもよろしくね☆」きゅぴ~ん☆
「うおぉー!やたー!あきら様のサイン~!」
「こなちゃん、嬉しそうだね」
「わ、私もお願いしちゃおうかな~・・・。べ、別にミーハーとかそうじゃなくて(汗」
ってめっちゃ、ミーハーじゃないの?ツインテールの上にツンデレ+つり目って狙ってんの~?ちっ!

「はい、かがみさんね。つぎぃ~」
「冷たっ!ちょ、ちょ・・・」

「小神さんですね?小さい頃のドラマを母がとても気に入ってまして」
「えー!あきら感激☆」きゅぴ~ん☆
いい子じゃない?それにしても乳でかいわね?いくらなんでもでかすぎない?ワールドクラスね。決めた。私の中でこの子は牛よ。牛。

「えと、次は・・・」
「つかさです。ごめんなさい。あんまり知らないのにこんなこと頼んじゃって・・・」
「えー、いいんですぅー!これから見てくださいね?」
この子、ツンデレに似てるわね?でも、こっちは素直でいい感じね。

「あきらちゃん・・・ちょっと疲れてるのかな?」
は?何言ってんのこの子?このあきら様のスペシャル営業スマイルが見えてないの?

「あきらわぁ、超~元気だよっ!」きゅぴ~ん☆
「そか、それなら安心!お仕事中にごめんね!」
「ほーーーんとに気にしてませんからぁ!応援ありがとでっす!」きゅぴ~ん☆

「小神ちゃんありがとー!助かったよ~!」
「ぜぇんぜん、いいんですぅー!さっ、伊藤Pはじめましょ!?」
うっわー、あの青いちっちゃい子はしゃぎすぎだろ?ま、あの子達のおかげで今の私があるわけだけどぉー。
それにしても・・・。

「ねぇ、伊藤P。私、疲れてるように見えますかぁ~?」きゅぴ~ん☆
「はっはっは!何言ってんの?今日もいい笑顔だよー!!!」
「ですよねー☆」


二日目

うわぁ・・・。雨じゃん。こりゃ今日の収録は中止ね・・・。
「小神さぁん!今日はオフですー!」
「はぁい!」
って、ほらね。これでこの山に足止め一日伸びたよ。ちっ。
はぁーぁ、部屋にいても気が滅入るだけね。ちょっと外の空気でも吸ってこよっかな。

(疲れてるのかな?)
なんだろ、すごくひっかかる・・・。
あのリボンが言ったことがすごいひっかかるわね。

「はーぁ」
いけない、また溜息出ちゃった。やっぱ、疲れてるのかな?わざわざ一人でこんな山小屋でたそがれてるなんてさぁ。
雨、止まないな。でも、この雨音はちょっと気持ちいいかな。目の前の湖も晴れてたらきっときれいなんだろーなぁー・・・。

「あきらちゃ-----ん!」
だれ!?

「あはは、こんなとこにいたんだね?」
リボン!?

「今日は収録ないんだってね?スタッフさんに聞いちゃったよ。ごめんね、ずうずうしくて」
いや、いいけど、何しに来たんだろ?

「となり、座っていいかな?」
「はい♪どうぞ!」
人は見かけによらないってこの事ね。ずいぶんなれなれしい子だわ。まぁ、素直ってことかもしれないけど。

「私、尊敬しちゃうな」
「ありがとです☆」
「大変なんだよね?芸能界って。体調の維持とかもすごい苦労してるんだよね~?」
なんだろ?この子?何が目的なのかな?私と仲良くなりたい?あぁ、そうか、タレント志望か!

「ぜぇーんぜんそんなこと無いですよぉ」
ま、見てくれもいいし、天然系なら適度に売れるでしょ。ここは単刀直入に・・・。

「つかさ、さんでしたっけ?よかったら社長に紹介しますよぉ?」
「え!?ちがうよー」
すっごい笑ってる。悔しいけどこんな笑顔わたし出来ないかも・・・。

「私の夢はね~、調理師になることなの!私ね、あんまり頭とかよくないんだけど、お料理やお菓子には自身があるんだ!」
なんなんだろ、この子・・・。すごくかわいい。この笑顔・・・やっぱり、出来ない・・・。

「でね、きょうはあきらちゃんにお菓子作ってきたの!キャンプ場でお菓子作るとか難しかったから、おいしく出来てるといいんだけど・・・」
「あ、ありがとう・・・」
「うん!食べてみて!」
サクッ
「むぐむぐ・・・お、おいしい・・・」
「よかったぁ~。もっと食べてね」
「う、うん」

「私ね、ほんとにすごいと思ったよ。あきらちゃんすっごいがんばってるんだなって」
そういえば、『あきらちゃん』って呼んでくれる人減ったよな。コアなファンは『様』付けだし。
「こんなに疲れてるのに、あんなに笑えるなんて、私にはできないもの!」

「んぐ!つ、疲れてなんか・・・」
「うぅん、いいよ。楽にしてね。
なんかね、強がってるところがね、お姉ちゃんに似てるっていうか・・・。あ、お姉ちゃんって昨日サインの時の二つに結んだ子ね」
あの、ツインテールか!

「でも、お姉ちゃんには私やこなちゃんがついてるけど、あきらちゃん、ひとりぼっちに見えたから・・・」
独りに?

「あ!ごめん!失礼なこと言っちゃった!?」
「え、あ、いや・・・」
「私ね、お姉ちゃんが3人もいるの。昔からずっとお姉ちゃんに憧れてたの。
双子のお姉ちゃん、二つ結びの子はいつも私のこと守ってくれるんだ。
宿題や勉強教えてくれたり、小さい頃はいじめられた時によく助けてくれたなー」
「・・・」
「お姉ちゃんってすごいなーっていつも思ってたよ。私もおねえちゃんになりたいって、いつも思うんだ!」
「・・・」
「だから、わたしもね、あきらちゃんに何かしてあげたいって思ったの。本当に疲れてない?」
疲れてるも何も・・・。仕事してればほっておいてもつかれるし、何よりこの世界にいることが疲れるわ。
先輩には気を使い、スポンサーやクライアントにはぺこぺこ頭下げたりしてさ。
後輩には先輩らしく接さないといけないのに、殆どの後輩は私より年上で、どっちが気を使ってるんだか・・・。
同期の子達もうまく局に取り入ったりしてるけど、私はそゆのは苦手だしな・・・。
この前だってうっかり激情しちゃって、せっかく貰ったレギュラー自分で潰しちゃったし・・・。あの時は確かに疲れてたかも・・・。
家に帰ってもお母さんは妹と外食に行ってて私一人。お父さんの家は教えてくれない。




「あ、きらちゃん?」
「はい!?」
「途中から声出てたけど・・・(汗」
「ご、ごめんなさいぃぃっ!」
やっちゃった・・・。こうやって私、独りになってくんだよなー・・・。
「あのね、私、頭よくないから分かんないし、上手に言えないけど・・・。
疲れちゃったら止めちゃうのもいいんじゃないかな?」
へ?

「私はがんばって調理師目指してるよ。将来、おいしい料理作れるようになって優しい旦那様に食べさせてあげたいなって思うよ。
でも、つかれたら止めちゃうの。苦しくなったら止めちゃうの!おいしく出来ない時は止めて寝ちゃう!疲れてるときにどんなにがんばってもいいものは出来ないから、
だから、やめちゃう!ベッドに入っちゃう!」
「止めちゃう・・・?」
「そ、あきらちゃんの夢がなんなのかは分からないけど、疲れたらやめちゃえ!
で、元気になったら、ね?もう一回がんばろ?」
私の・・・夢・・・。私の夢って・・・なんだっけ・・・?
元気になったら・・・もう一回・・・。

「つかさー!そろそろお昼よー!」
「はぁい!今行くよー!」
「あ・・・」
「じゃあ、またねあきらちゃん!」
「うん・・・また・・・ね・・・」
「お姉ちゃんてすごいよね?私も悩んでる時におねえちゃんに言われたんだ。苦しかったら止めちゃえ!って」
あの、ツインテールが・・・。
「じゃあ!」
「うん、また・・・」
疲れたら・・・やめちゃえ・・・。
苦しかったら・・・やめちゃえ・・・。
私の・・・夢・・・。
あ、つかさ、さん、行っちゃった・・・。
私の・・・夢・・・



三日目

「いくぞー!こなたー!早く荷物ま乗せなさいよー?」
「分かってるってばかがみんや~、そう急かさないでおくれよ」
あれは・・・。

「お、あきら様だー!あきら様ー!ばいばーい!」
いかなきゃ・・・。

「今日も収録なんですね。昨日の雨が響いてるみたいですわね」
伝えなきゃ・・・。

「さぁ、もう、バス出るよー?みんな忘れ物ない?」
「うん、お姉ちゃん。大丈夫だよ!」
もう、会えないかもしれないから・・・。

「お、おい!小神ちゃん!カメラ!回ってるよ!!!」
バスが行っちゃう!撮影より、仕事より大事なものがあるんだ!
行かなきゃ!早く!


「あ!あきら様だ!」
「追っかけてきてる!?」
言わなきゃ!早く、言わなきゃ!!

「ありがとう・・・ありがとう!つかさ・・・お姉ちゃんー!」
「あきらちゃん!」
「わたし、がんばるね!もっと、がんばれる気がする!つかさお姉ちゃん!」
「うん!」
「だから、また会おうね!」
「また会おうね!」
つかさお姉ちゃんが手を振ってる。私も手を振る。
スタッフの呼んでる声が聞こえるけど、見えなくなるまで、手を振る。
あのね、つかさお姉ちゃん!私の夢はね!私の夢は・・・・・・。

「クッキーまた食べたいな!」

おわり
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