ID:JqIyycHZ0氏:タイトル不明

みんなが寝静まった夜、私はまだ眠れずにいた。眠れない時は買っておいたラノベを読んで過ごす。
「ふぅ……。いつも軽く読むつもりが全部読んじゃって朝になるのよねー。」
そんな独り言をいいながらも今日もまた私はラノベを読んでいた。

そんないつもと変わらないような夜。でも今日は違った。
いつもは熟睡しているはずのつかさが私の部屋に来た。
「お姉ちゃん…一緒に…寝てもいい…?」
「いいけど…どうしたの?またホラー映画の夢でも見た?」
つかさは首を横に振った。よくみるといつもより顔が…あれ?つかさ泣いてる?
「どうしたの…泣いたりして。」
「……うぅぅお姉ちゃぁぁん!!」
つかさは泣きながら私に抱き着いてきた。頭をさすりながら優しく抱きしめる。
「…うぇっぅぅ…ずずっ…お姉ちゃん…うぅっ」
「よしよーし、怖くない怖くない。どうしたのか言ってごらん?私がついてるからさ」
つかさは少し泣き止むと私にこう言った。

「あのね、夢を見たの、とっても嫌な夢。」
「まーたお化けの出る夢でも見たのね?だからホラーは見ないほうが…」
「違うよ!それよりももっともっと嫌で、怖くて……」
「話してみて。大丈夫、私がいるから、ね?」
「う、うん…」つかさは涙を拭いて私に話し始めた。

「えっとね、その夢の中ではね、私は一人ぼっちなの。お姉ちゃんも、こなちゃんも、ゆきちゃんもみーんないなくなっちゃうの。
みんなみーんな……消えちゃうの。私以外みーんないなくなっちゃうの。
それでね、夢だってわかってたのに本当の事みたいって思ったの。
夢でもね、私が部屋のベットの上で寝てて、眠れなくて起きるの。 それでお姉ちゃんの部屋に行くの。
でも、でも…お姉ちゃんはいないの…。お父さんも、お母さんも、まつりお姉ちゃんもいのりお姉ちゃんも……。
こなちゃんも、ゆきちゃんも誰もいないの。世界に私だけしかいなくなっちゃう夢。そんなの、そんなのやだ、やだよう……」


つかさは一通り話すとまた泣き始めた。
私は少し呆れた。夢なんかでここまでは泣かないから。
でも、でも、私がつかさと同じ夢を見たらどうするだろうか。
世界中を探し回って、探して、探して……最後は……もう泣くしかない。
なんだか私まで悲しくなってきた…。泣きそうだった。
「大丈夫だよつかさ。私はここにいる。つかさの前に。
ほら、私に触れるでしょ?声が聞こえるでしょ?だからもう泣くのは止めて。ね?」
つかさは私の顔を見ながら軽くうなずき、涙を拭いて私に抱き着いた。
私もつかさに抱き着いた。少し、泣いていたかもしれない。
「お姉ちゃん…ずっと一緒にいてね?私が大人になっても」
「言われなくても一緒にいてあげるわよ。だってあんた一人じゃ心配だもの」
「あはは…そうだね」
そう言うとつかさは私の横で眠り始めた。すーすー寝息を立てながら笑っている。
「まったくこの娘は…」
私は読み掛けのラノベをしまい、つかさと一緒に眠った。少しだけつかさに抱き着きながら。

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最終更新:2007年10月10日 00:17
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