「メタクソ・Fight~百歩神拳を使わざるを得ない~」 ID:fkkA8qQI0氏

チャリンチャリーン!

私、泉こなたは――――ママチャリで荒廃した都市・メトロシティを爆走していた。そこら辺に転がっているコンクリート片に躓かないように、注意して走る。
―――後ろを見る。かがみも三輪車を乗りこなし、しっかり私の後に付いてきている。

・・・・ことの始まりは、昨日、かがみ宛に届いたビデオレター。それには―――誘拐されたつかさと、いかにもガラの悪そうな男どもの映像が流されていた。・・・何が目的かはわからない。ただ手紙の届け先には『メトロシティ』と記されていただけだった。

「相手が素手で戦うとは限らない・・・。いざとなれば百歩神拳を使わざるを得ない」

百歩神拳とは・・・・・かつて神が使っていたと伝えられている、一子相伝の暗殺拳。30年前、ある中国人がプロレスのリングで使ったと記録されているが・・・・詳細は不明な技だ。

キコキコキコキコ・・・

「ま、待ちなさいよっ!二輪と三輪じゃ全然加速度が違うじゃないっ!っていうかお前の自転車で二人乗りすればいいんじゃないのっ!?」
「・・・・あ~~~。駄目だよー、かがみ。こういうのは雰囲気が大切なんだから・・・・。もう、かがみのせいで一気に冷めちゃったよ・・・あーあー」
「ぐ、く・・・た、頼むからマジメにやってよね。つかさの一大事なんだからさ・・」

そうそう、そうなのだ。つかさの一大事!
悪党どもにさらわれたクラスメート。そしてそれを助けに行く主人公こと私・・・・。ああ・・・・燃える!
あ、ちなみにかがみは2Pキャラね。

――――おっと、1stステージ突入!前方を見れば、早速そこらにたむろっているモヒカンどもに遭遇した。

「よーーーし、行くぞーーーー!!!かがみっ、ちゃんと私について来てねっ。そりゃー」
「いでぇっ!?あ、あ、あんだあああああっ!!?」

自転車から飛び降り、モヒカンの頭に蹴りをくれてやる。あまりのことに動転し、しばらく私達の様子を伺っている。

「アンタ達、私の妹のつかさを誘拐したわね!?取り戻しにきたわっ!」
「はんだぁ~~~~???ちょーうざっど~~~。おめ、タレのコーハーよ?刺身にしてやんど~~~~?(ビキビキ)」

おーおーおー、いかにも不良漫画に出てきそうな顔とセリフ!このシチュエーション・・・・おおおおお燃えてきたーーーー!!!

「上等だねっ!百歩神拳を解き放ってやる!百戦百勝脚!レッグラリアート!!」
「ギャー」
「行くよかがみ!多分このまま前に進んでいけばつかさに会える!あ、あとそこにあるドラム缶壊しちゃ駄目だよ?」
「ええ・・・?で、でもこなた、やりすぎだと思うけど・・・」
「大丈夫だってば。その内似たような顔した連中がぞろぞろ出てくるから」

非常に困惑顔のかがみ。――――まぁ今まで普通に暮らしていた分、荒事には慣れてないいだろね~。でも、いかにも弱そうなキャラでも、レベルを上げると一番強くなる物さ!

「ほらっ、急ごう、かがみっ」
「え、ええ・・・」

―――――数分後

「じょ、冗談でしょう・・・?」
「ね、私の言ったとおりだったでしょ?」

私の予想通り、同じ顔のモヒカン男がゾロゾロと集まってくる。皆一斉に私たち目掛けて襲い掛かってきた。

「シャラッ!!だっでんっ、ねっぞッッ!?!?」
「いやあ~~~、せめて日本語喋って~~・・・・」
「―――っと、危ないっ、かがみ!烈火飛龍脚!・・・・・・・おっと、これはやっこさんいい物落としてくれたよ。はいかがみ。トンファー」
「と、とんふぁー??」
「うん。たかがトンファーってナメちゃあいけないよ。コレを極めた者は最強になれるんだから」

完全に怯えきっている彼女に、無理矢理トンファーを渡す。さっき私が言ったことは気休めでも嘘でもない。トンファー上級者ともなれば、目からビームをだせるものさ。

「パオラッッッ!ツレ、ずった!」
「キャーーー、トンファーキック!」

かがみのトンファー技を喰らい、吹っ飛んでいくモヒカン。これは・・・・もしかすれば、彼女、才能あるかもしれない・・・・。

「その調子だよかがみ!よーし、どんどん前へ進もう!」

その後も・・・・続々とモヒカン男が出現し、私達を襲い掛かってきたが・・・・焼け石に水。私達の防波堤としては余りに脆く、多くの命が散っていった。そして――――

「・・・アンタがこのステージのボスだね?」
「ステージ?ボス?何を言っているのですか、君は・・・。しかも私の部下をこんなにまで痛めつけてくれるとは・・・・。これ傷害罪で訴えられますよ?」
「その前に・・・・つかさを返しなさいっ!知ってるんだからね・・・あんた達が連れ去ったって!」
「つかさ・・・・?いえ知りませんねえ~~~。私は帝愛グループの歯亜戸(はあと)という者ですが・・・あなた達、警察がここに来るまでちょっと居なさい」

はあと・・・・。異様に太った、ツルツル頭の男は、はあとと名乗った。
ハァト、ハート・・・もしかして、これって・・・。

「えいっ」

プチッ

丁度持っていた裁縫針で、はあとさんの手をチクッと刺す。するとプツッと血が滲んできた・・・・・。

「ギャーー、血が、血がああああ~~。いでえよおお~~~」

―――穏やかに私達に話しかけていた男が、裁縫針にて傷つけられた指を見た途端、気が狂ったかのように暴れ始めた!

「やっぱり!ハート様は血を流すと凶暴になるんだ!気をつけてねっ、かがみ!」
「ちょっと!何でワザワザ相手を怒らすのよ!?し、しかも何で私に話を振るのよ~~~~!」
「いでえよおおお!!?」

先程の穏やかな振る舞いとは打って変わり、暴徒と化したハート様がかがみに襲い掛かる。張り手が――――かがみに襲い掛かる!

「ぐっ、くそ・・・トンファーパンチ!」
「あ、それは駄目!」

ハート様にパンチは効かない。分厚い脂肪の壁に阻まれて、衝撃が吸収されてしまうからだ。
案の定、かがみのパンチが全く効いた素振りなどなく、そしらずにハート様は暴れまわっていた。

「わっ、ど、どうしようこなた・・・。私のトンファー、効いてないよぉ~・・」
「うーーーん・・・・・・・・・ポク、ポク、ポク、チーン。ひらめいた」

私の頭の中に、ジョースター卿の顔が思い浮かんだ。

「何?かがみ。ハート様に攻撃が効かず、どうすればいいかわからない?・・・かがみ、それは無理矢理ダメージを与えようとするからだよ。逆に考えるんだ。『放っといてもいいや』と考えるんだ」
「えっ?え、えと・・・?」
「逃げよう」

気が狂ったかのように暴れまわるハート様だったが・・・幸い私達の姿は見えていないようだった。これなら逃げても気づかれないだろう。

急いでずらかる私達女子高生二人。
何か壁を壊したり、モヒカン男を放り投げたりしてるけど・・・まぁ、それは私達じゃなくハート様がやってるってことでさ・・・・こらえてくれ。

「こ、怖かったー・・・。つかさ、無事かなぁ・・・」
「無事だといいね~。まぁ多分大丈夫だよ。さぁ、第2ステージに急ごうか」

今度はエレベーターに乗るみたいだ。
ただしこのエレベーターは広く、人が20人ほど乗れそうなくらい大きかった。しかも・・・・何故か壁、そして天井がなく露出した作りとなっていた。――――これは、まさか・・・・。

「かがみ、気をつけてね。こういう場所ってある法則があるんだよ・・・」
「???」

スイッチを押し、エレベーターが動き始める。――――すると・・・。

「・・・・だじでっ!ぞおおおおおおおい!?」
「きゃああああああっ!?」
「やっぱり!上から色々降ってきた!」

相変わらず意味不明な言葉を吐きながら、モヒカン男とは違った新種、安全第一ヘルメットを被った男達が、上から飛び降りてきた!

「百裂拳!龍尾脚!」
「きゃあっ、トンファータックル!トンファーまきびし!」

いくらいようと私達二人の敵ではない――――。頑張って降りてきても、直後に私達によって蹴散らされていたりする。

「ふー、あらかた片付いたね」
「はぁ、はぁ、つ、疲れたわ・・・」
「何言ってんのかがみ。まだボスキャラがいるハズだよー」

そう言った直後・・・また上から誰かが降ってきた・・・!

ズシン・・・ざわ・・・ざわ・・・

「あ、あ、あ・・・・・・あんたら・・・!ううっ、ひでえ・・・・・・。俺達無理矢理働かされて・・・・・・いや!働いていただけなのに・・・・!なんていうか・・・・・・・・不条理っていうか・・・・・ひどすぎる!」

「あ、あのー・・・」
「ひどい・・・・・・!ひどすぎるっ・・・・・・!こんな話があるかっ・・・・・・・!命からがら・・・・・・・やっとの思いで・・・・・・・・ううっ!」
「あの・・」
「不条理っ・・・・・・・・!鬼・・・・・!悪魔・・・・・!ひでえ・・・・ううっ!せっかく手にした奴らの未来・・・・・・希望・・・・・・・・人生をっ・・・・・・・・!」

妙に鼻とアゴが長い男が出てきて、突然愚痴り始めた。その内容は、イマイチ筋が通っているのか通ってないのか、解りにくいものだったりする。

「とりあえずえいっ」

ボカッ

「(ぐにゃっ)うおっ・・・・・・!ぐうっ・・・・・・!そんなっ・・・・・・・!どうしてっ・・・・・・!?どうしてっ・・・・・・!?」

なが~い前フリの割にはあっけなく一発で気絶するアゴ男。えーと、お疲れ様でした。

「さ、さあ行こうかがみ。つかさが待ってるよ」
「え、ええ。行きましょうか」

遂に第3ステージに突入!そろそろ終わりに近づいてきてるハズだよっ!

「む、目の前にあるこのビルが怪しい。中に入ろう、かがみ」
「え?でも私達アポとってないんだけど・・・」
「何を甘いこと言ってるのさ!ここはきっと悪の秘密結社だよ!放って置いたら世界が核の炎に包まれちゃうYO!」
「そ、そうなの?」

・・・全くかがみはわかっていない。こんな黒色のビル、悪の本拠地だと昔から決まっているというのに!

戸惑うかがみの腕を無理矢理引っ張り、黒ビルへと突っ込む私達。自動ドアが開いた直後、美人の受付のお姉さんが目の前にいた。

「ねぇねぇ美しいお姉さん。つかさいる?ここに捕らわれているんでしょ?」
「―――いらっしゃいませ。あの、申し訳ありませんがアポは取っておられるでしょうか?」
「ないよ。ねぇ、つかさいるの?いないの?」
「・・・誠に申し訳ありませんが、事前に連絡を頂いてない場合の急なご来社はご遠慮して頂いておりますので。また後日、連絡を頂けませんか?」
「・・・・・入らせてくれないんだね。なら、こうするまでだよっ!」

スタタタタタ!

お姉さんの引き止める声を無視し、急いで2階まで走る。―――なかぬなら、なかせてみせよう、ホトトギス。

「きゃーー!強盗!強盗よ~~~~!!!誰かっ、誰か来て~~~~~~」
「なななな、ア、アンタァ!!!??こ、これって立派な犯罪よ!?どう言い訳する気よっ!?」
「どーもこーもないよっ。多分ここの最上階につかさはいるねっ!絶対だよ」
「何で多分と絶対を一緒に言うのよ?!これでつかさがいなかったら、アンタただじゃ置かないわよ!?」

ツンツン私につっかかるかがみ。
でも・・・・ツンがあるからこそ、貴重なデレに萌えるんだよなぁ。・・・・あれ、私ってM?

一呼吸置いた後、階段を登る私達の前に、お馴染みのザコキャラがうようよと出てくる。今度はグラサン、角刈り、黒スーツのいかついおっさんだけど・・・・。
んだけどやっぱり雑魚は雑魚。やられる運命なんだなぁbyみ○を

「荒馬封奪!烈火太陽脚!」
「トンファー頭突き!トンファーヒップアタック!」

何の苦もなく黒スーツどもを蹴散らす。私達は・・・・・無敵だ!

「はぁっ、はぁっ・・・・こ、こなた!もうすぐ最上階よ!」
「おk、かがみ。そこら辺にゴツイ扉ない?多分そこだよ」
「こっ、これじゃない?」

かがみは指す方を見てみると・・・・・十分過ぎるほどゴツイ、鉄張りの、真っ赤に塗装された扉が見えた。

「よし・・・・。ここにつかさがいる。―――そして、最後のボスもね」
「ゴクッ・・・」

ゆっくりと、扉を押し開ける・・・・・。

ギギギギギギ・・・・・

そこには―――――

「つかさ!」

気絶してベッドに寝かされたつかさと、そのすぐ横に、妙に威厳のある小男が座っていた。

「ほっほっほ。アナタ達、こんな所に勝手に入ってきちゃ駄目でしょう?早くお帰りなさい・・・」
「あなたがつかさを誘拐したのね・・・・!覚悟しなさい!」
「ほ・・・?何を申されるのです?この子を誘拐だなんて・・・。――――そうそう、自己紹介が遅れました。私の名は不理居座といいます。帝愛グループ埼玉支店の社長をしております。以降お見知りおきを」

ふりいざ・・・。
オカマ口調のその男は、恭しく自己紹介をした。

「泉こなたって名前だよ・・・。フリーザ!つかさを取り戻すために・・・勝負だ!」
「私は柊かがみというわ名よ。・・・つかさを誘拐した罪、その体で払ってもらうんだからね!」
「・・・丁度いい。ここの所、長らくデスクワークでしたので体がなまってなまって仕方がなかったんですよ。少しウォーミングアップに付き合ってもらいましょうか」

ラスボス戦・・・。これに勝てば、全てが終わるんだ―――――!
先手必勝。いの一番に、私はフリーザ目掛けて攻撃を放った。

「心突錐揉脚!」
「なんの!」

あっけなくかわされた――――。なら、これなら・・・!

「烈火飛龍脚!」
「おっほっほ・・・」
「隙あり!トンファー・ツインテール・ウィップ!」
「ホーーッホッホッホ」

これも・・・当たらない・・・。

「ほっほ、中々の身体能力をお持ちのようだ。でもそれじゃあ私には勝てない」
「く・・・百戦百勝脚!」
「トンファーナッコォ!」
「オーーーッホッホッホ!!」

この男・・・・フリーザ・・・・今までの雑魚、ボスと違って、異常なまでに強い・・・・!

「ゼエッ・・・ハァッ・・・つ、強い・・・」
「ハッハッハ。これで終わりのようだ。―――さて、警察の方々が来るまで、少し大人しくしていただきましょうか」

フリーザが迫る・・・・。や、やられる・・・・・!

「――――これだけは使いたくなかった・・・。こなた、目を瞑りなさいっ!トンファー太陽拳!」
「おおっ!?目が・・目がぁぁ!?」

トンファー内部に内蔵されていた豆電球が、フリーザの両目を捉える―――!

「今の内よ!」
「おおおおおおお!!」

フリーザの両脚を、風車をする如く、抱え込む。百歩神拳、奥義――――――。

「―――――九龍城落地!!」

ドッガァーーーーン!

・・・・・決まった。
フリーザは気絶し、ピクリとも動かない・・・。

「か、勝ったのね、私達・・・・」
「うん・・・危なかったけどね・・・」

私達が二人して、激闘の余韻に浸っていると・・・・・突然大声で叫びつかれた。

「あーーーーーーっ!お姉ちゃん、こなちゃん、何やってるのーーー!?何で不理居座さん気絶してるのよ~~~~!!」
「あっ、つかさ・・・?」

気絶していたはずのつかさが立ち上がり、フリーザの所まで駆け寄る。そして・・・・優しく看護し始めた。

「な、何やってるのよアンタ・・・」
「それはこっちのセリフよっ、お姉ちゃん!この人は私の恩人よ!?何てことしてくれたのよ!」

・・・・・・・・・全く話が見えない。
このままつかさを救出し、エンディングロールが流れるハズだったのに・・・・。これは、一体???

「不理居座さんは、迷子になっちゃった私を助けてくれたの!それで私の家まで迎えに来るよう手紙を出したのに!?」
「あーーーー・・・・」

あれはそういう意味だったのね。でもさ、それにしてはガラの悪い人達多く映ってたよね・・・。

ウ~~~ウウ~~~・・・・・ウウ~~~~ウウ~~~~~~~・・・・

「やばっ、パトカーのサイレン音だ・・」
「・・・・・・・逆に考えるんだ。『逃げちゃってもいいさ』と考えるんだ」
「こなちゃん・・・?お姉ちゃん・・・?」
「「逃げろっ」」
「えっ、二人とも~~~!?」

つかさを抱えて急いで走り出す。
――――――幸い・・・私達が逃げ切るまでにパトカーが到着することなどなかった。

―――数日後

(―――以上。突然すぎる帝愛グループの不祥事の発露に、多くの関係者は混乱を禁じえません・・・)

「・・・・・う、運が良かったわ。到着した警官達が、偶然あの会社の不祥事を発見して、私達のことはうやむやになってくれたのだけれど・・・・最悪、牢屋に入る所だったわ・・・」
「そうだね・・・。傷害罪、無断進入、他にも色々罪が追加されるだろうね・・・・」

―――本当に危なかった。
正直、恩を仇で返すマネをして心苦しいが・・・でも、身から出た錆びじゃあ仕方ないよね?

「大体!お前が変な勘違いするからこうなったんだろうが!」
「ひどいよ、それを言うならかがみだってノリノリで破壊しまくってたじゃない!」
「お二人とも、落ち着いてくださいっ。こうしてみんな無事なんだからいいじゃないですか」
「そうだよ。結果はどうであれ、私を心配して二人とも来てくれたんだから、そこだけは本当に嬉しく思ってるよ」

それでもかがみと私の睨みあいは終わらない。
―――――こうして。
私とかがみの初めての討ち入りはメタクソな結果に終わったのでした。
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