ID:qTnBGqV60氏:タイトル不明

「なんだろぉ」
と柊つかさが1匹の虫を手に取った。
虫は逃げる様子もなくおとなしく手の平にのっている。
なんとなくかわいらしいその虫をつかさは指先で撫ぜた。
遠くで姉が呼んでいる。
そろそろ急がないとこなたとの待ち合わせに遅れてしまうと思いつかさは走った。

「つかさ、なにかついてるわよ」
かがみがつかさのスカートを触る。
ついていたのは形容の難しい虫だった。不思議と嫌悪感はない。
「あ、さっきの虫だ」
かがみからつかさの手に渡った虫は微動だにしなかった。
「珍しい虫ね。なんて名前かしら」
「なんだろうねー後でゆきちゃんに聞いてみようかな」
「アンタ学校の中まで虫つれてっちゃうつもりか」
とかがみは冗談半分につかさをこづいた。
途端につかさの目元には涙が溜まり、しばらくするとポロポロと水滴を零し始めた。
かがみは慌てて謝罪を繰り返した。
「ご、ごめんごめん、そんな痛かった?軽くやったつもりなんだけど・・・」
「ひぐ、うぐ、えぐ」
つかさはしばらく泣き止まなかった。


待ち合わせ場所につくころにはつかさの涙は止まっていた。
つかさ自身もなぜあんなに泣いたのか不思議でならないという。
かがみも不思議がったが、つかさも元に戻ったし、なによりこづいたことは別に気にしてないようだったので少し安心した。
「それにしてもこなちゃん遅いねぇ」
「そうね。たまに遅いけど今日はとくに・・・」
かがみはふと何かあったのか勘ぐったが、どうせいつも通りネトゲのし過ぎで寝坊したのだろうと考え直した。
「あれ、虫がいない」
つかさがキョロキョロしている。
「ずっと捕まえてたらかわいそうだし、別に逃げたなら逃げたでいいんじゃない?」
「・・・うん、そうだね!お姉ちゃんはやさしいなぁ」
「べ、べつにやさしくなんて」
かがみはちょっと赤面し、そっぽを向いた。

それからちょっとしてこなたがきた。
開口一番で「遅い!」と言ったかがみにこなたは必死に謝った。
「ごめんごめん、昨日は遅くまでネトゲやってて、その、い、いやぁずっと待っててくれるなんてかがみんはやさしいなぁ」
遅刻ギリギリの時間だった。
かがみはじとーっとした目でこなたを見続ける。
つかさは半笑いで傍らに立っていた。
「まぁ、別にいいわよ。遅刻はなんとか大丈夫そうだし」
とかがみが口にする前にこなたに異変が起きた。
かすかに震えているようだ。
「?」
かがみがこなたの表情を覗き込むと、こなたは大粒の涙を浮かべていたのだ。
「あ、あれ?」
当のこなたが一番困惑しているようだった。
「ごめん、すぐとめるから・・・あれ?」
止まるどころかこなたの足元には黒い染みが増える一方。
かがみもつかさも慌ててハンカチを出したり弁解したり、こなたを泣き止ませようとした。
付き添って歩くかがみとつかさにお礼を言いながらこなたは泣きながら歩いた。


バス停の前でやっと涙はとまった。
かがみは無性にこなたの心配をし続けたがこなたはもう大丈夫と言い張った。
泣きゲーでも滅多に泣かない自分が泣くなんて、と不思議がりながらバスに乗った。
ふと手の甲がむず痒いことに気づき、目をやると見たこともない虫が這っていた。
なんとなく怖い虫だったのでこなたは窓から逃がした。
昼休み。つかさがみゆきになにかの虫について聞いていた。
こなたも見たあの虫だろうか。
それにしたらつかさが見たという虫と自分の頭の中の虫ではイメージが違う。
不思議に思いながら2人のやりとりを眺めつつ、こなたは机に突っ伏した。

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