ID:LrAx7w.0氏:携帯電話 

こなた「今日は楽しかったよ、それじゃまた明日ね」 

 今日は日曜日、こなたを家に呼んで遊んだのだった。時間になったのでつかさは駅まで送った。

つかさ「ただいま」
玄関を開けたが返事が無い。
つかさ(あれ、おかしいな、お姉ちゃん何処行ったんだろ……夜食の買出しにでもいったかな、そうだ居間の食器片付けなきゃ)
つかさは居間に行った。そしておやつで使った食器の片づけをしたときだった。つかさの作ったクッキーをこなたに渡すのを忘れていたのに気が付いた。
家族の分はもう既にあるので余ってしまう。もったいない。ふとクッキーの置いてある机を見たときだった。
机の上に携帯電話が置いてあった。これは自分の物でもかがみのものでもなかった。
つかさは手にとって携帯電話をじっと見た。そして気が付いた。この携帯電話はこなたのものだ。こなたは携帯電話を置いて帰ってしまった。つかさは時計をみた。
こなたの家に届ける時間はまだ充分にある。つかさは食器を手早く片付けるとこなたの携帯とクッキーを持ってこなたの家に向かった。

 こなたの家の近くに着いた時つかさの携帯電話が鳴った。家からの電話だった。
かがみ『もしもし、つかさどこに居るのよ』
つかさ「えっ、こなちゃん携帯忘れちゃって家に届けに行って……」
かがみ『そうだろうと思った、こなたはこっちに居るよ、とにかく戻って』
つかさ「うん」
つかさはそのまま自分の家にユーターンをした。

つかさ「ただいま、こなちゃんごめんね」
家の玄関でこなたを呼んだ。しかし出てきたのはかがみだった。
かがみ「あれ、駅でこなたと会わなかったのか?」
つかさ「……うん、会ってない、もしかして」
かがみ「行き違えか、だから待ってろって言ったんだ」
つかさ「しょうがないよ、駅に行ってくるよ」

 つかさは駅に向かった。休日の夕方。帰りの乗客で駅は混んでいた。つかさは改札口の周りを探した。しかしこなたの姿が見当たらない。
しばらく探しているとつかさの携帯電話が鳴る。家からの電話だ。
かがみ『もしもし……こなたは家に戻ってきたぞ……今度は動かないように言っておくから戻ってらっしゃい』
つかさ「はーい」
つかさは家に戻った。家の玄関の前でこなたは待っていた。
こなた「ごめんごめん何度も往復させちゃって……」
つかさ「うんん、いいよ、こなちゃん……はい」
つかさは携帯を渡した。こなたは受け取ると走って去っていった。つかさはこなたを見届けると家に入った。
かがみ「まったくこなたは……つかさ、その携帯はどうしたんだ?」
つかさ「えっ?」
つかさは携帯を充電しようとして驚いた。つかさが持っているのはこなたの携帯だった。そう、つかさは自分の携帯をこなたに渡してしまったのだ。かがみはため息をつく。
かがみ「あんた達なにボケてるのよ……どちらかは気が付くだろうに」
つかさ「どうしよう……」
かがみ「自分の携帯に電話しなさいよ、まだ電車に乗っていないと思うぞ」
つかさは自分の携帯に電話した……しかし留守番電話に繋がってしまった。
つかさ「……そうだ私の携帯もう電池が切れ掛かってたんだ……」
かがみはつかさの足では間に合わないと思った。それにつかさのオロオロした行動がじれったかった。
かがみ「こなたの携帯貸しなさい、自転車で追いかけるから……私の携帯貸すから何かあったらこなたの携帯に連絡して」
こなたの携帯とかがみの携帯を交換した。かがみは飛び出すように家を出た。

 暫くすると呼び鈴が鳴った。つかさは玄関の扉を開くとそこにはこなたが立っていた。息を切らしている。
こなた「ハァハァ、つか・さ、私の携帯……返して」
つかさ「こなちゃん……さっきお姉ちゃんがこなちゃんの携帯を持って駅に向かったよ」
こなた「えー、なんで?」
つかさ「自転車で向かったから目立つと思ったんだけど……」
こなた「全然きがつかなかった、かがみに連絡して」
つかさ「うん」
つかさはこなたの携帯に電話をかけた。
かがみ『なんだって、こなたが家に居るって、分かった、私が戻るまで梃子でも動かないように言っておいて』
つかさは携帯を切った。
つかさ「ここに居てって、お姉ちゃん怒ってた……」
こなた「……私達何してるんだろうね、バカみたい」
つかさ「携帯って便利なのか不便なのか分らなくなってきちゃった」
こなた「そうだね」
そこでつかさはクッキーの事を思い出した。
つかさ「そうだ、どうせだからクッキー持って行ってよ、沢山作ったから」
こなた「ありがとう」
つかさはクッキーの用意をした。

 しばらくすとかがみが帰ってきた。
かがみ「あんた達しっかししなさいよね、確かに渡したわよ」
かがみはこなたに携帯を渡した。
こなた「確かに受け取った、ありがとう、それじゃ明日ねー」
こなたは玄関を出た。

つかさ「やっと元に戻ったね」
かがみ「全く、何をしてるんだか……そうそう私の携帯返して」
つかさ「うん」
つかさはかがみに携帯を渡した。
つかさ「あれ、私の携帯は?」
かがみ「……知らないわよ……って、こなたが持ってるんじゃないのか」
つかさ「あっ!そうだった、どうしよう……」
まごまごとしているつかさを見てもどかしさが頂点に達した。かがみは自分の何かが弾け飛んだのを感じた。もう抑えられない。
かがみ「まったくさっきから行ったり来たり!、なにやってるの、ムカつくじゃない、つかさ絶対に携帯取ってくるから待ってろ!!」
かがみは飛び出すように家を出た。そして自転車に跨った。今のかがみはこなたの家まで走るような勢いだ。かがみはペダルを踏み出した。
つかさ「待ってお姉ちゃん」
つかさがかがみの前に立ち塞がった。かがみは慌てて急ブレーキをした。
かがみ「危ないじゃない早くそこを退きなさい、あんたの為に行くんだぞ」
つかさ「お姉ちゃんの携帯貸して」
かがみ「何故よ」
つかさ「……もう、いいの、だから、ね、貸して」
悲しそうに言うつかさを見てかがみの興奮が少しおさまった。かがみは自分の携帯をつかさに渡した。つかさは携帯をかけた。
 つかさ「……もしもしこなちゃん?」
こなた『あれー、かがみじゃなかったのか……ごめんつかさ、携帯返すの忘れちゃった、今そっちに戻るところ』
つかさ「……もう遅いからそのまま帰っちゃっていいよ、明日返してくれればそれでいいよ」
こなた『……明日で良いの?……分ったこのまま帰っちゃうよ……じゃーね』
つかさ「じゃーね」
携帯を切るとそのままかがみに返した。
かがみ「……そうかこなたはもう携帯持ってるんだったな……すっかり忘れててた」
つかさ「こなちゃんこっちに戻るところだったよ……」
かがみ「……また行き違いになる所だった、ありがとうつかさ」
つかさは何も言わずそのまま家に入ってしまった。かがみはつかさの変化に気が付いた。自転車をしまうとつかさの後を追った。


かがみ「つかさどうしたのよ、急に元気なくしてさ……私は別にこなたやつかさに対して怒ったわけじゃない」
つかさは暫くしてから答えた。
つかさ「……私達って携帯がないと待ち合わせも出来ないんだね……」
その言葉にかがみは衝撃を受けた。そしてつかさの悲しい顔の意味を理解した。
かがみ「そうね、そういえばそう、待ち合わせる時も携帯、電車が遅れた時も携帯、急用が出来た時も携帯……携帯が無いと何もできない、さっきの騒動で痛感したわ」
つかさ「……でもその騒動を解決したのも携帯電話だよ、携帯電話って良いのかな、悪いのかな」
かがみは答えられなかった。自分の手に持っていた携帯電話をじっと見つめた。沈黙がしばらく続いた。

『ピンポーン』
呼び鈴が鳴った。二人はびっくりして我に返った。
つかさ「こなちゃん?」
かがみ「まさか、帰るって言ったんだろ?」
つかさ「うん……でも気にしてくれて戻ってくれたのかも」
かがみ「……あいつはそんな気をつかう奴じゃないわよ」
ドアが開いた。
まつり「ただいまー、鍵がかかってないじゃない、無用心だな……ってかがみ、つかさ、こんな所で何してるの」
かがみ・つかさ「おかえり」
まつり「どうした二人とも浮かない顔をして、喧嘩でもしてたか」
かがみ「違うわよ」
つかさ「違うよ」
まつり「……ステレオで否定されたよ、ま、仲がいいのはいいこどだ……そうそう、もう一人仲のいい人からつかさにってね」
まつりはポケットから携帯電話を取り出すとつかさに渡した。そう、つかさの携帯電話だ。
つかさ「これは、私の……」
まつり「駅でばったり遇っちゃてね、間違って持ってきたから返して欲しいって言うから預かったよ」
かがみ「姉さん、こなたを知ってるの紹介もしていないのに」
まつりは靴を脱ぎながら話した。
まつり「……知ってるもなにもいのり姉さんだって知ってるよ、あんた達よく家に呼んで遊んだり勉強したりしてるじゃない、いやでも顔くらいは覚えるよ、向こうも私を知ってたよ」
つかさ「なんで……携帯をあれだけ使ったのに……」
つかさは不思議な気持ちになっていた。
まつりは靴を脱ぎ終わると家にあがった。
まつり「泉こなた……つかさと同じクラスメイト、何でもつかさを怪しい外国人から救ったんだって?あんなに背が小さいのに凄いね……それにつかさとかがみの共通の友達なんて
    珍しいじゃない? だから気にしてはいたんだ……そういえばもう一人居たな、眼鏡かけた背の高い子」
かがみ「姉さん、こなたと話したのか」
 まつりは笑いながら話した。
まつり「かがみ変な質問だな、話さないでどうやってつかさの携帯を預かるんだよ……こなたちゃん……面白い子だね、かがみとつかさの小さい頃の話をしきりに聞いてきた」
かがみの嫌な予感が当たった。かがみはこなたをまつりに会わせたくなかった。かがみはこなたを家に呼ぶときはなるべくまつりが居ない日を選んだくらいだった。
かがみ「まさか姉さん言ったんじゃないでしょうね」
まつりはいやらしい笑い方をした。
まつり「電車が丁度来て話せなかった、でも約束はした、今度ねってね」
かがみ「そんな約束はしなくていい、それにそんな話はしなくていい」
まつり「こなたちゃんとは気が合いそうだ……かがみの反応が楽しみだな」
かがみ「ちょと、だめだから、絶対にだめ!……話すなー!!」

 言い合っているけど喧嘩をしているわけじゃない。つかさはかがみとまつりのやり取りを新鮮に感じた。それはこなたとまつりが出会ったせいかもしれない。
こなたに出会ってからかがみと自分の関係が微妙に変っていたのもその時気が付いた。そして思った。こんどみゆきをまつりといのりに紹介しようと。
なにかもっと新鮮な事が起きるような気がした。かがみといのりはまだ言い合いをしている。話に加わりたいけどそんな状況じゃなさそうだ。
つかさは渡された自分の携帯電話を見た。今日は携帯電話の便利さと怖さの両方を知ったような気がした。携帯電話の電源が切れている。充電しに自分の部屋に向かった。

 充電器をコンセントに挿しこみ、コネクターを携帯にセットした。充電開始のランプが点灯する。
(こなちゃん、クッキー食べたかな、もしかしたら感想のメールが着てるかも)
つかさは電源ボタンに手をかけた。自然と手が止まった。そして逸る気持ちをぐっと抑えた。
(今日はもういいよね)
そう心で呟き耳を清ませた。まだかがみとまつりはさっきの話をしている。しかしもう一人増えている。いのりの声だ。いのりが帰ってきたようだ。
つかさは携帯電話をそのまま机の上に置いた。

つかさ「いのりお姉ちゃんおかえり」

 つかさは部屋から出てかがみ達の会話に入った。




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