ID:nl.OyaY0氏:岩崎みなみちゃんの憂鬱

「みなみちゃん。チェリーちゃんは元気?」
 ある日の昼休み、ゆたかが弁当をつつきながら、みなみにそう聞いていた。
「…うん…最近は元気すぎて少し困るくらい…」
「へーそうなんだ」
「…ゆたかの股間に鼻面突っ込んで以来、何かに目覚めたみたいに…」
 ブフッっと音がした。ゆたかの隣に座っていたひよりが、飲んでいたお茶を思い切りパティの顔面に吹いていた。
「ヒヨリ~、ヒドいですヨ~」
「あ、ご、ごめん…ってかそんな事あったんだ…」
 ひよりの言葉にみなみが頷く。
「…鼻面突っ込んだ挙句に、匂いまで嗅いでいた…わたしが先にやろうとしていたのに…」
「いや、犬ならまだしも、みなみちゃんがやったら、普通に変態なんじゃ…」
 ひよりがそう言うと、みなみはフッと鼻を鳴らした。
「…そういう漫画描いてるくせに…」
「いつ見たんスか!?」


- 岩崎みなみちゃんの憂鬱 -


「…お茶忘れた」
 みなみが自分の弁当を見つめながら、そう呟いた。
「いや、今頃気がついたんスか…」
 ひよりが呆れたようにそう言った。確かによく見てみると、みなみの弁当の側にだけ飲み物らしきものがなかった。
「あ、じゃあみなみちゃん。わたしのお茶でよかったら飲む?」
 ゆたかが飲んでいたペットボトルのお茶のキャップを閉めながらそう言ったが、みなみは首を横に振った。
「…ううん、いい。それだとゆたかの分が減るから…だから」
 みなみはひよりの方を向いた。
「…田村、お茶買って来い。三時間かけて」
「なんでいきなりパシリ!?しかも三時間って、授業サボれって事!?ってか今欲しいはずだよね!?意味無いよねソレ!?」
 いきなりな理不尽に憤るひより。それを見たみなみがため息をつく。
「…使えない人」
「うわーなんだこれ…ぶちキレる通り越して呆れるわー」
 もはや達観したかの様な表情になるひより。その視界でパティがなにやら一生懸命に、自分の弁当箱の中身と格闘していた。
「パティ、何してるの?」
 ひよりがそう聞くと、パティは顔を上げて額の汗を拭った。
「イヤー。ロールキャベツがなかなかほどけなくて、エキサイトしてマシタ」
「その行為に一体何の意味が…」
 妙なことに情熱を燃やすパティに呆れるひよりの隣で、ゆたかが自分のお茶をみなみに差し出していた。
「飲み物無しでお弁当食べるの大変だよ?わたしはいいから、みなみちゃん飲んでよ」
 結局みなみは、差し出されたペットボトルを躊躇しながらも受け取った。そして、キャップを開け飲み口をじっと見つめた。
「みなみちゃん、どうしたの?」
 そのまま動かなくなったみなみを心配して、ゆたかが声をかける。
 次の瞬間、みなみは鼻血を噴出して後ろにぶっ倒れた。
「ええええええっ!?なんでー!?」
 ゆたかが慌ててみなみを抱きかかえる。
「…ごめん、ゆたか…わたしには刺激が強すぎる…」
 その腕の中で、みなみは無念そうに呟いた。
「え、刺激って…中身ただのお茶なんだけど…っていうかみなみちゃん口もつけてなかったんじゃ…」
 さっぱり理解していないゆたかの後ろで、ひよりはどうしようもなく呆れた顔をしていた。
「間接キスを想像して、なのかな…それでよく股間に顔突っ込もうとか考えてたッスね…」
 そんな中、パティは一人黙々と自分の弁当と格闘していた。
「で、パティは何してるの?」
「…ノリタマのゴマをハシでツブすのはムズカしいデス」
「いや、ソレ本気でわけわかんないよ…」
 ひよりとパティが話してる間に、ゆたかは気を失ったみなみを床に寝かせていた。そして、自分のペットボトルを困った顔で見つめた。
「どうしようかな…これ、もう飲めないよね?」
 ゆたかのペットボトルの中身は、みなみの鼻血で真っ赤になっていた。
「確かに、それ飲むのはやめといた方がいいかも…」
 ひよりがそう言うと、ゆたかはしばらく考える仕草をして、ひよりの方を向いた。
「ねえ、田村さん」
「ん、なに?」
「お茶買ってきて。五分以内に」
「えー」


- おしまい -
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