第6話 援軍と危機

約10分後、私は秋葉原駅に到着した。
二次元では「秋葉腹」だったのに。やっぱり多少違うんだなー。
でも流石は駅周辺。夜でも人がいっぱいだ。いや、夜の方が多いモンなのかな?
駅の中にちょこっと入ってみるが、かがみたちは見受けられない。
私のが早かったかな?しょーがない、少し待つかー。

10分が経過した。
未だ何の変化もなし。
ぅーん、迷っちゃってんのかなぁ?
そんな遠くでもないハズなんだけど・・・
ん?そういえばさっきより人、増えてない?気のせいかもだけど。
でも駅前に人だかりが・・・オフ会か何かでもしてるのかな?
まあいいや。とりあえずもっかい電話してみよう・・・。

プルルルル・・・プルルルル・・・

(=ω=.)

プルルルル・・・プルルルル・・・

(=ω=.)?

プルルルル・・・プルルルル・・・

(=ω=.;)・・・。

『ただいま、電話にでることができまs(ry』

えー・・・?何でだろう。
もっかいかけ直してみてもやっぱりダメ。
つかさやみゆきさんにもかけてみたけど、結果は同じだった。
どうなってるんだろう・・・?
でも携帯が繋がらない以上、どうゆう状況なのかも分からないし・・・
どうしよう、困ったなぁ・・・。

駅から出て辺りを見回すも、ただアキバの風景が目に飛び込んでくるだけだ。

「あれ、こなたんじゃね?」
「お、まじだ・・・」

「ん?」
声の方を振り返ると例の駅前の人だかり・・・10人くらいはいるだろうか、
みんなが私の方をじっと見ながら呟いていた。
またかーーーー(=ω=.;)
でも、その人たちは私を追いかけるようなこともせず、ただ見ているだけだった。

「よし、連絡するぞ」
「おk」

そうぶつぶつ言いながら携帯を出し、なにやらいじってる。
れ、連絡て・・・ちょっと、待ってよ。嫌な予感がするんですけど・・・
もしかして峰岸さん陣営のスパイかなんかとかだったら・・・
やばい、なんか逃げた方がいい気がする。

私はダッとダッシュした。
もう、このアキバに安心して居られる場所はないの!?

「あ、おい、逃げたぞ」
「えっまじ、やばくね」
「待てこなたん!!!ここに居ろ!!」

後方から声が聞こえるけど、無視。
しかし、前方。
見覚えのある人たちが見えた。
峰岸さん陣営と衝突していた、メイトで会ったオタクの人たち。
峰岸さんたちのところから戻って来たのかな?

「あっ、こなたん」
「止まれ!!」
「そっちはダメだ!!あいつらがいるぞ」

「えっ!?」

声が聞こえて、急停止。
あいつら、それは峰岸さんの僕たちのこと、と解釈した。
この人たちのいう事が本当かは分からない、けどもし本当なら、さらに危ない。

「それって・・・」

「あいつら血眼で探してる。いずれこっちの方にも来るぜ」
「そうそう。早く逃げた方がいい」

「え・・・あ、うん」

「おっ、いたいたー」
「こなたーん」

先ほど駅前に居た人たちもこっちに走ってやってきた。
なんだか人がいっぱいに・・・。

「お、やっと合流できたな」
「おっしゃーテンション上がってきたぜええええ」

私の傍らでなんかやけに盛り上がってるらしいオタクの人たち。

「あ、あのぉ・・・」

「お、そうそう、おまいら聞いてくれ。俺たちの嫁がどうやら困ってるらしーんだ」
「困ってる?」
「最近らきすたが変になってるのは知ってるけどwww」
「それが原因でこなたんが3次元に来ちゃったんだ」
「まじでかwww」
「え、じゃあどうすんだ?らきすたはこのままなのか?」
「いや、そーいうワケじゃない、なっ?こなたん」

「え?あ、うん・・・峰岸さんから原作者を解放して(ry」

何か流れなのかなんなのか、オタクの人たちに事情を説明することに。

「そっか、かがみんたちとはぐれちゃったのなwww」
「誰か見たやついる?」
「ねーよwww」
「俺もないな」
「よし、じゃあ今からみんなで探してあげよーぜwww」

「えっ、そんな・・・別に、」

「遠慮すんなよ。俺たち、こなたんの役に立ちたくてこうやって来てんだぜ?」
「そうそう、俺の嫁が困ってるんだからなwww」
「ばーか、俺の嫁だっつーのww」
「俺のだしwwww」
「一旦黙れおまいらww」

何だか私に協力してくれるみたい・・・。
ぅーん、だけどなんか複雑な心境だなぁ(=ω=.;)

「俺たちのらきすたは、俺たちで守ろうぜwwww」
「そーだなw今はいち、らきすたファンとして、だなwww」
「よーし、じゃあ一旦解散な。何かあったらスレに報告を・・・」
「おk」

そう言ってオタクの人たちは一旦私の前から姿を消した。
複雑な心境ながらも、何だかちょっと良いなぁ、と思った。
なんてゆーか・・・ファンの力ってすごい・・・。
とりあえず私は駅に戻ることにした。
けど、かがみたちは未だいない。
ホントにどこ行ったんだろう・・・?




プルルルルルル・・・

(=ω=.)!!

携帯に着信がきた。
かがみからだ。やっと連絡が来たよ。

「もしもし?かがみん?遅いよもー、何やってんの?」

どうせ、道に迷ったから電話してきたんだろう、と軽い気持ちだった。

『・・・・・』

「?・・ねえってば、聞こえてないの?」

電波悪い?ワケないよね。駅前だし。電波3本立ってるし。

「おーい・・・」

相変わらず返事なし。
何?何?返事がないと、なんか怖くなってくるじゃん・・・。
数秒沈黙があったのち、やっと人の声が聞こえた。

『もしもし?』

「ぇ・・・あれ・・」

しかし、その声はかがみのものではなかった。
私は予想外の声に、少し動揺した。

「だ、誰・・ですか?」

『あら、分からないの?私よ』

その声に聞き覚えがある。
それもその筈。
さっき、私が会った人だったからだ。

「峰岸さん・・・」

『正解♪』

て、ちょっと待って。
何で峰岸さんがかがみの携帯から私に電話しているんだ?

「かがみは?」

『なぁに?』

「かがみは?それ、かがみの携帯だよね」

峰岸さんが、かがみの携帯を使っている。
と、いうことは、峰岸さんがかがみに接触したわけで・・・
つまり・・・それは・・・
冷や汗が出るのを感じながら、私は静かに峰岸さんの返答を待った。

『そんなことより、泉ちゃん今どこ?』

しかし返答どころが疑問で返してきた。
普段の峰岸さんなら発さないような、低くて静かな声だった。
私は一瞬頭の中でヤンデレキャラを思い浮かべてしまった。

「私の質問に答えてよ」

声の迫力に気圧されながらも、私も強気に言った。

『どこ?』

先ほどよりも威圧感がこもっていた。
私は身震いした。
まだ、私のこと探しているんだ。
返答を考えようとしたが、恐怖で一瞬思考が停止した。

「な、何で、そんなことっ・・・」

ちょっと上ずった声が出た。

『どこ?』

再び同じ言葉が返ってきた。
威圧感がさらに増し、私は恐怖した。
危うく携帯を取り落とすところだった。
私は震える手で携帯を耳から離した。

もし、場所を教えてしまったらどうなるのだろう?
そんなの考えなくても分かる。峰岸さん陣営が攻めてくる。
もし捕まってしまえばアウト。原作者を助けることもできなくなる。
そう、捕まってしまっては駄目なんだ。
捕まるわけにはいかない。だから、場所は教えてはならない。

けど、かがみたちは?
峰岸さんはかがみの携帯でこっちに電話をしてきた。
かがみがわざわざ峰岸さんに携帯を渡すわけがない・・・。
つかさやみゆきさんが一緒でも、峰岸さん陣営の方が数が多い。
それに、もし誰かが逃げ仰せたというのなら私に連絡が来る筈だ。
そしてさっき、誰に電話しても繋がらなかった・・・。
つまり・・・かがみたちは・・・既に捕まってしまっている・・・?
もっと、早くに気づくべきだった。

私は愕然とした。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
いっきに焦りの感情が溢れ出した。
私は震える手で再び携帯を耳に当てる。

『泉ちゃん?聞いてるかしら?』

「・・・っ」

私の脳裏に、突然峰岸さんの顔がフラッシュバックした。

”存在を封印するどころか、存在そのものを消すことだってできるわ”

みんなの存在が消える。
考えただけで背筋が震えた。
そんなこと、現実世界じゃありえないけれど、私達の世界は2次元だ。
3次元とは次元が違う。3次元から2次元を変えるなんて造作もないことなんだ。
原作者という神がいるから。峰岸さんにしてみれば神を牛耳ったも同然だ。
私達が2次元でしていた生活・・・、学校に行ったり、ネトゲをしたりしたことも・・・。
みんなで遊んだり、ふざけたり、笑い合ったりしたことが、全て・・・なかったことになる。

・・・それだけは、絶対に嫌だ。

私は走り出した。
さっき私達が逃げ出した廃ビルに向かって。
夜の秋葉原を疾走した。
未だ通話中になっている携帯電話を握り締めたまま・・・―――。

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最終更新:2009年02月16日 22:28
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