ID:6iGTt4E0氏:サイバー☆ゆーちゃん外伝「兄貴と、あやのと、私と」

「なぁ、兄貴」
「どったー、みさお」
「あやのとはどうするつもりなんだー?」
「どう……って?」
「ほら、だからさ…アレだ、結婚……とか」
「結婚…かぁ…酔った勢いでつい本音を言っちまったの聞いてたのか…」
「もったいぶってねーで教えろってヴぁ!」
「ちょ、わかった!わかったから離れろ!!」

ウチの兄貴とあやのは付き合ってる。
いつもどこかのんびりしているあやのだけど、しっかりするところではしっかりしてて。
そんなあやのに兄貴が惚れて、付き合いだしたのがざっと6年前。
ある日の晩、兄貴が酔った勢いで漏らした言葉によると、どーやら兄貴はあやのと結婚するところまで考えているらしい。

だけど……今のあやのは……兄貴の想いに応えることができるんだろうか?
…その日の仕事帰り、私はあやのに訊いてみることにした。
「なぁ、あやの…ウチの兄貴の話なんだけどさ」
「ん?」
「兄貴、酔った勢いであやのと結婚したいとか言ってたけど…あやのはどーすんだ?」
「結婚…かぁ……でも…結婚しても…大丈夫なのかな…」
「親が反対するとか?」
「ううん、お父さんもお母さんも『結婚は自分のことだから自分で決めなさい』って言ってるし、特に…」
「あー、それウチの父ちゃんも母ちゃんも言ってたな、そういうこと…じゃあ何が心配なんだよ?」
「みさちゃん……忘れたの?今の私たちの身体のこと…」

あやのに言われてハッと気付く。
私たちの身体は以前とは違う。私の耳にも、そしてあやのの耳にも、輝くその証。
そう、私たちはサイボーグ…機械仕掛けの身体なんだ…。
……まぁ、元はといえば私のわがままに付き合ったせいであやのまであんな身体になっちゃったんだけどな…。あん時はホントごめんよ…!
と、話がちょっと脱線気味だな。んーと、私たちはさっきも言ったように機械の身体だ。
つまり…歳はとっても身体の方はボディーを交換でもしない限りは育たない。
食い物は……うん、まぁ今は再改造されたから食えるけどな…。
でも、あやのが心配しているのはそんなことじゃない。

そう…機械の身体、ってことはつまり…フツーの人間とは身体の構造が全く違う訳だからして。
その…なんだ、えーと……こ、子供を作ることができねーんだな…うん。
……な、なんだよ、『みさおのくせに恥ずかしがってるのか?』なんて思ってんじゃねーよ!
そりゃこんな性格だけどさ……私だって一応女なんだぞーっ!
はぁ、はぁ、まったく…恥ずかしさでオーバーヒートして爆散するとこだったじゃねーかよ……!
と、とにかく…そういうことを理解した私は、あやのに訊いてみたんだ…ってヴぁ…!

「……じゃあさ」
「?」
「兄貴に直接、訊いてみるか?」
「直接…!?」
「だからさ、兄貴に本当のことを言うんだよ。今の自分がサイボーグだってことも、全部」
「でも、それを聞いたらみさちゃんのお兄さん、ショック受けるんじゃ…」
「そん時ゃそん時…失敗したときは……私も付き合うぜ!」
と、あやのの肩を叩いたそのときだった。

「待てぃっ!」
「…この声は!?」
「兄貴!?」
「……話は全て聞かせてもらっ…ぬおぉ!抜けねぇぇぇええええ!!!」
って、兄貴…ずっと倉庫の中に隠れてたのかよ…………

気を取り直して。
「さて、話は全て聞かせてもらったぞ。…あやの」
「……はい」
「俺はお前が好きだ…お前と…ずっと付き合ってきたのも、お前のことが好きだったから…」
「……でも、私は…」
「知ってるよ、お前は機械の身体…子供も産めない身体、なんだろ?」
「……」
「それでもいいじゃないか、あやのは…あやのじゃないか。どんな身体でも…お前の心は本物じゃないか」
「え?」
あー、機械の身体でも心は本物、か。
そういやぁ以前小早川があんなこと言ってたっけなー。
「……あやの」
「……はい」
「………結婚しよう」
「はい!」
え、ちょ、兄貴、ほ、本気でいってんのかぁぁぁぁぁぁああああ!?
いやいやいや、この眼は、この眼はマジだぁああ!!とうとうやっちまったなぁオイー!!
……なんだか知らないけど…私は興奮を抑え切れなかった。

「…兄貴…あやの……」
「みさお…」
「みさちゃん……」
「私、馬鹿だから…こんな風にしか言えねーけどさ…」
「「?」」
「……おめでとう!」

………2012年7月某日。
この日、私の兄貴とあやのはついに結婚した。
フツーの人間とサイボーグ、その身体の、そして、心の壁を乗り越えて。
その日から……それまで私と兄貴で二人暮しだった家は……。

「あなたー!みさちゃーん!朝ごはんできてるわよー!」
「うーん…なんだよ、気持ちよく寝てたのに起こすなってヴぁー…」
「うぅ、俺も…折角の休みなんだしあと10分~」
「だーめ。いくら休みだからってゴロゴロしてるのはよくないのよ。と・く・に、あなた!」
「ギックゥ!?」
「あなたは生身なんだから、食っちゃ寝なんかして、そのうち太っちゃっても知らないんだからね」
「たはは……こいつは手厳しいな…」
「そ、そうだな兄貴…」
「わかったらさっさと起きる!」
「「へいへーい」」

とまぁ、こんな感じで…今日もよろしくやってるのであった。


☆おまけ☆
ゆたか「ふんふんふん~♪」

ドガァァァン

みさお「日下部みさお!」
あやの「日下部あやの!」
みさお・あやの「「只今参上!!」」
ゆたか「また性懲りもなく…って、あれ?あやのさん…苗字が……」
みさお「いや実はさー、あやののやつ兄貴と結婚してなー」
あやの「まぁ…そういうことになるんだけど」
ゆたか「はぁ……」
あやの「という訳で、気分新たに勝負ー!」
ゆたか「所帯構えたんなら、落ち着いてくださいよぅ!!」

 

 

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