過去に「最新情報」で取り上げた記事の一覧 その4

■過去に「最新情報」で取り上げた記事の一覧(4)


過去に最新情報で取り上げた記事(3)に続いて、最新情報コーナーに採用した記事の一覧です。
(1)(2)(3)が手狭になりましたので、続きはこちらのページに掲載しています。
基本的に、下の方の記事ほど掲載された時期が古いものになっています。


早稲田ローの有志が、本件の再検証と再発防止を求める意見書を法相に提出!

新司法試験問題で受験生が意見書 (TBS・11日20:04)

 新司法試験の出題を担当していた慶応大学法科大学院の教授が、実際の試験によく似た問題を学生に教えていた問題で、・・・法務省は、すでに再試験などの措置はとらないとしています。
 これに対し、同じ試験を受けた早稲田大学の法科大学院生ら4人が、法務省の対応は不十分だと主張し、採点結果を踏まえた再検証や、再発防止を求める意見書を鳩山法務大臣らに提出しました。

9月12日 読売新聞13版 社会(38)面

修了生ら30人が制度改正へ意見書

 今年の新司法試験を受験した早稲田大法科大学院の修了生ら30人は、11日、鳩山法相に対し、法科大学院教員の考査委員兼任をやめさせるなど、不正を確実に防止できる制度改正の検討を求める意見書を提出した。
 意見書は、13日に行われる合格発表についても、「(類題演習問題のあった)慶応大の修了生が有利になったかどうか、採点結果を詳しく検証して公表するべきだ」としている。

ついに、事件の当事者である受験生が動きました。彼らの勇気ある行動に心からの拍手と声援を送ります。
法務大臣におかれましては、ぜひとも彼らの声に耳を傾けて頂けますよう、お願い申し上げます。


法務省が、司法試験制度の改正案を発表しました!

2007年9月11日13時46分 読売新聞

新司法試験で制度改正案、大学院教員の考査委員を大幅減

 今年の新司法試験で考査委員を務めた慶応大法科大学院の元教授が試験の類題を事前に学生に教えた問題で、考査委員として出題を担当する法科大学院教員の人数を大幅に減らすことなどを盛り込んだ法務省の試験制度改正案が11日、明らかになった。
 12日に同省の司法試験委員会がこの案を基に検討し、結論を出す。
 今年の新司法試験で出題と採点を担当した考査委員は155人で、法科大学院教員と弁護士などの実務家が半数ずつを占めている。
 同省案では、来年以降の試験を担当する考査委員について、〈1〉問題作成の段階では教員の数を大幅に減らす〈2〉採点前に新たに多数の教員を任命する――などの制度改正を行うことで、今回のような不正のリスクを減らすとしている。
 また、問題作成にかかわった教員については、当面、正規の授業以外では学生の指導に当たらせないなどのルールを作ることも盛り込んだ。
 鳩山法相は、11日の閣議後記者会見で、同省案の意図について、「受験生の側に疑念が一片でも生じてはならず、本来、考査委員と法科大学院教授は完全分離するべきだが、新司法試験の内容と法科大学院教育が連携する必要があるという点も無視できない」と述べた。

共同通信の関連記事はこちら。

 08年以降、考査委員を務める法科大学院教授らに、正規の授業以外の勉強会や予備校への関与を禁止するなどの「行為規範」を作成。09年以降は、試験前1年間の授業禁止などの措置も検討する。

時事通信の関連記事はこちら。    毎日新聞の関連記事はこちら。

司法試験の出題者と法科大学院の教員を切り離すべきであるという指摘は、
先に樺島先生から提出された司法試験法改正案・法曹界識者の論評・新聞各紙の、いずれにおいても共通しています。
慎重を期すため、直ちに完全分離とならなかった事は残念ですが、制度改革が現実に動き出している事を感じさせますね。
この法務省案を叩き台として、今後のあるべき司法試験制度について、さらに議論して行きましょう。


慶應ローが在校生に対して、刑事系答練疑惑に関する釈明を発表しています。

【一部マスコミの疑惑報道について】
 特に平成19年8月23日東京新聞朝刊において、法務研究科教授(刑事法担当・法務省派遣検察官)について、本年5月に実施された新司法試験の刑事系科目の論文試験(第2問)で出題された事案や設例が同教授が学内で本年2月末に出題した問題と「酷似している」ことが判明し、「その的中ぶりに他大学の教員からは不信の声がくすぶっている」との内容の記事が掲載されておりますが、事案も設例も全く異なる上、同教授は捜査と証拠法にわたる問題点を多岐にわたって出題したところ、新司法試験で出題された論点が含まれていたにすぎないこと、しかも、これら的中したといわれる論点は法科大学院の学生であれば当然学習しているはずの重要論点であること、出題者は司法試験委員ではなく、学内および学外の司法試験委員から問題を知りうる立場ではないことから、全くの事実無根であり、法務研究科として強い憤りを感じています。その後もネット上で同教授を誹謗中傷する書き込み等が続いており、さらには、平成19年9月6日読売新聞朝刊において、「これほどの類似を簡単に偶然の一致だとするのは甚だ説得力に欠ける」旨あたかも漏洩があったことを前提とするかのような記事が掲載されていますので、同教授および法務研究科の名誉回復のためにも、ここに改めて、この件については事実無根であることを確認します。

いやはや、「全て事実無根」「事案も設例も全く異なる」という釈明とは、我々の予想を大いに越えておりました。

司法研答練の問題と、本試験の刑訴法について、一致点を指摘するページはこちら。

この発表を行った慶應当局の方々は、果たして本当に司法研答練の問題を検討したのでしょうか?

96 :氏名黙秘:2007/09/11(火) 15:41:19 ID:???
仮に秋山がシロだとしても、派遣検事として説明責任があるだろ。
慶應はどのような内部調査を行い、どのような結果が出たからシロと判断したのか。
あの声明は何も出していない。単に秋山から話を聞いただけと違うのか?

どのような内容の発表も、根拠とした調査がどのように行われたのかが判明しなければ、
その説得力は、限られたものになってしまうようです。


慶應大学が、文科省からの補助金2000万円を辞退すると発表しました!

9月8日8時2分配信 産経新聞

慶大、補助金2000万円辞退

 新司法試験の考査委員だった慶応大法科大学院の植村栄治元教授が、試験前に開いた答案練習会で実際の問題に類似した論点を学生に説明していた問題で、慶応大は7日、文部科学省の今年度の補助金2000万円を辞退したと発表した。
 再発防止へ向けて関係教員向けの指針を策定。教員は正規授業だけでなく、補習や勉強会でも受験指導を行わないよう定めた。今後、外部有識者による委員会も発足させる。
 当面、学内の法務研究課専任教員は考査委員に就任しない方針で、平良木登規男・大学院法務研究科委員長も中央教育審議会の専門委員を辞職した。

あの平良木氏も公職から辞任したようです。慶應ロースクールの委員長を務めていたとは意外ですね。


慶應大学が、本件漏洩疑惑に関する再発防止策を発表しました!

日経新聞 9月8日(00:04)

答案練習会問題、慶応大が防止策・新司法試験巡り

 新司法試験の考査委員だった慶応大法科大学院の教授が答案練習会などを実施、6月に委員を解任された問題で、慶応大は7日、同法科大学院教員の考査委員就任を当面自粛することなどを柱とした再発防止策を発表した。
 今後、同大法科大学院が補習や答案練習など新司法試験の受験指導を行わないことも決めた。再発防止策が守られているかなどを定期的に調査するため、外部の法曹関係者らで構成する委員会を設置するという。

慶應大学から発表された、本件の再発防止策については、こちら。

この記事通りの再発防止策が、本当に守られるのかどうかは、
「外部の法曹関係者らで構成する委員会」の人選にも、かかっているように思われます。
これからも注目して行く必要がありそうですね。


慶應大学が、司法研において答案練習会が行われていた事実を認めました!

2007年9月8日3時6分 読売新聞

新司法試験の不適切指導、法学部機関でも…慶大が調査結果

 慶応大は7日、同大学院の複数の教員が、法学部の付属機関で新司法試験の答案練習会を実施していたとする内部調査結果を明らかにした。
 法科大学院制度は、受験対策に偏った教育を行わない前提で導入されたが、慶応大では別組織に隠れる形で不適切な受験指導が行われていたことになり、法科大学院教育への不信感が高まりそうだ。
 慶応大によると、答案練習会を実施したのは法学部の付属機関の「司法研究室(司法研)」。昨年10月~今年3月、今年の新司法試験に向けて7回の練習会を開き、慶応大法科大学院の学生や修了生が毎回100人以上参加した。考査委員の関与は確認されていないが、うち5回は同大学院の教員が指導に当たった。
 また、読売新聞が入手した資料によると、刑事法の練習会では本番の試験と酷似した問題も出題され、出題した教員は解説文で「この時期の練習会は新司法試験を意識したもの」と記述していた。
 東京都内で記者会見した慶応大の西村太良(たろう)・常任理事は「法科大学院とは別の組織にまで目が行き届かず、反省している」と述べた。その上で、司法研は今後、研究中心の組織に改編し、受験指導は廃止する方向だとした。
 また、慶応大は、植村氏の問題を受けた再発防止策も発表。同大学院では、今秋以降、同大学院教員の考査委員就任を当面辞退する。また、大学院教員向けのガイドラインで、すべての受験指導を禁止するとした。さらに、大学の責任を明確にするため、申請済みの文部科学省の補助金約2000万円を辞退したことも明らかにした。

共同通信による関連記事は、こちら。

司法研という組織が、ロースクール内では行えない答案練習会を行うためのトンネルとして利用されていた事実は、
リークスレッドの住人諸氏によって、繰り返し指摘がなされてきました。
今後は、司法研で行われた答案練習会の内容についても、
果たして試験情報の漏洩にあたる行為がなかったのか、徹底した調査が行われることを願ってやみません。


慶應大学が、法科大学院の全教員につき、考査委員就任を自粛すると発表!

毎日新聞 2007年9月7日 21時15分

新司法試験:慶大が考査委員就任自粛 答案練習会問題で

 5月の新司法試験を巡り、出題担当の考査委員を務めた慶応大法科大学院の植村栄治元教授(8月に辞職)が試験前、学生を対象とした答案練習会を行った問題で、慶応大は7日、当分の間、法科大学院の全教員に考査委員の就任を自粛させることを決めた。同大学院の教員8人が現在、考査委員を務めている。

慶應大学に処分のメスが入ろうとしている今、その機先を制するような今回の自粛発表は、なかなか意味深長ですね。


・朝日新聞が、是正措置について法務省に再考を求める論説を掲載しました!

朝日新聞 9月7日12版 第18面 「私の視点」
弁護士・愛知大学法科大学院教授 榎本修

司法試験・「公正らしさ」を失う恐れ

 慶応大法科大学院の考査委員が新司法試験問題に出題される判例を示唆し、不適切な行為により法務省から解任された問題で、8月2日、司法試験委員会は今回の受験生に何らの措置も取らない事を決めた。
 私たち若手弁護士は先輩法曹から「『公正さ』と『公正らしさ』とは違う」と指導されてきた。法廷で検事と弁護士が、偶然に高校の同窓であった場合、両者の談笑を見た被告人は裁判の結果に満足できない。一度失われた「公正『らしさ』」の回復は困難だ。この「公正らしさ」こそ司法にとって命だ。「公正」かどうかは「神のみぞ知る」領分だからである。
 今回の司法試験委員会の対応は本当の被害者を忘れていないか。それは司法試験委員会でも法科大学院でも教員でも受験生でもない。本当の被害者は「公正らしさ」を失った法曹を利用するリスクを負った一般市民や企業である。弁護士過疎地で法曹の資質に市民から疑念を抱かれると、損害や問題点は計り知れない。
 私は、今回の措置の「公正さ」に疑問を感じる。▽短答式と論文式を総合評価するのに、論文試験採点の途中で本件の影響がないと断定したこと ▽インターネットによる判例検索が常態化して受験生が情報の洪水にあるなかで、特定かつ最新の判例の出題をその考査委員が示唆したことを過小評価していること ▽「漏出」の定義を狭く限定しすぎていることなどだ。
 百歩譲っても、今回の措置には「公正らしさ」がない。そもそも司法試験委員会にこの問題を熱心に検討する姿勢が私には感じられない。司法試験委員会や考査委員には、私が尊敬する多くの先生方が含まれるが、かくも重大・複雑な問題に何の異論もなく、なぜ全員賛成されたのか。議論を尽くしたとは思えない。「公法系の考査委員同士」という身内の「検討」をベースにした、議論の経過が見えない措置には、「公正らしさ」が感じられない。
 解決方法として私は、短期的には、漏出が疑われる他の諸問題も含めて論文式試験の採点結果とも総合して影響を再度調査し、当該問題について是正措置を採ることについて「公正らしさ」の観点から再考を求める。中期的には、法科大学院教員と考査委員を分離し、出題者は法科大学院現役教員としないことが必須だと考える。
 考査委員の人材難が指摘されるが、出題者と採点者を分離すれば可能との意見もある。また、採点基準を公開して情報公開を進めることが重要だ。
 この意見に対し、「司法試験という『点』による選抜から『プロセス』による法曹養成へ」との司法試験の理念に逆行し、司法試験重視だとの批判もあろう。しかし、今回の事件は「プロセス」全体を汚染するものだ。私は法曹の一員として今回の事件を悲しみ、心から憤っている。
 信頼と「公正らしさ」を取り戻すために残された時間は少ない。訴訟制度を利用する側の視点に立って考え行動を起こすことが、法曹養成に関わる私たちに求められている。

植村教授の起こした今回の事件について、得点に対する影響を再調査し、得点の是正措置を講じることは、
未来の法曹を目指して司法試験に真剣に向かい合ってきた、われわれ受験生にとって、譲ることのできない一線です。


・読売新聞が、本件の徹底調査と厳正な処分を求める論説を掲載しました!

9月6日 読売新聞朝刊13版 論点(13面)より
木谷明(元東京高裁部統括判事・水戸地方裁判所長 現法政大法科大学院教授)

新司法試験疑惑-徹底調査で厳正処分を

 新司法試験に関する不正疑惑は、試験に対する信頼を損ない、制度の根幹を揺るがせるに至っている。それなのに、法務省は、お座なりの調査と説得力のない説明によって疑惑の幕引きを図っている。
 疑惑の発端は、行政法関係の考査委員として試験問題を知る立場にあった教授(当時)が、慶大生に対し、本番直前の答案練習などで本番の試験に出た判例や論点を教えていたというものである。この事実自体は、教授自身も認めている。
 ところが、法務省は教授の指導で慶大生が有利になったとはいえないとして、早々に再試験や得点調整を行わないと発表した。「試験問題そのものを示していない」「慶大生より平均正答率が高い大学が12校あった」などが、その理由である。
 しかし、この説明は到底納得できない。教授は、マークシート式試験の題材になったものと同一の判例や、論文式試験に関連する論点を極めて具体的に教えていたのである。そういう事実があれば、それだけで慶大生が有利になったと推定するのが常識である。しかも、慶大生の元々のレベルが不明なのに、正答率の比較で有利さを否定するのもおかしい。
 法務省の理屈は、たった1点の差で天国と地獄に振り分けられる過酷な試験の実態にあえて目を覆った詭弁に過ぎない。
 慶応大では、刑事訴訟法に関しても、やはり本番直前の答案練習で試験問題と酷似する問題を扱っていた。法務省はこれを『偶然の一致』であるとする。しかし、これほどの類似を、簡単に偶然の一致だとするのは、甚だ説得力に欠ける。問題の作成者は考査委員でないというが、試験問題を知りうる立場の者から情報が漏れ、それを基に答案練習の問題が作成された可能性もあるはずだ。その点についての調査は、本当に十分されているのだろうか。
 今年の新司法試験では、さらに他の重要科目でも不正があったということが、受験生の間で公然と語られている。この不正が真実であれば、やはり試験結果を大きく左右しかねない。ところが、法務省は他の考査委員に対しては書面による回答を求めただけで、ヒアリングすらしなかったという。なぜ踏み込んだ調査をしないのか。
 法科大学院と新司法試験は、将来の司法を担う有能な人材を各界から集めるという目的で始まった新たな制度である。多くの若者は、「正義を追求し、それを実現する」という司法の使命にひかれ、人生をかけて日夜勉学に没頭している。
 しかし、今回のような不正や疑惑があいまいにされ、何らの是正措置も採られないとしたらどうなるか。学生は、司法における『正義』とは所詮その程度のものかと軽蔑し、落胆するだろう。そして、司法試験は、理想と意欲に燃えた若者をひきつける魅力を失ってしまうに違いない。
 慶応大は、今回発覚した疑惑を、「教授個人の行為」と説明している。だが、一連の不正や疑惑が万一、組織ぐるみのものであったとすれば、ことは関与した教授個人の責任問題では済まされない。法科大学院認可の取り消しを含め、厳しい処分が検討されて当然だ。
 法務省に適切な対応を期待することができないとすれば、法科大学院の認可権限を持つ文部科学省の出番である。最高裁判所や日本弁護士連合会の協力を得た上で、疑惑を徹底的に解明し、誰もが納得できる厳正な処分をしてもらいたい。

今まで新聞各紙に掲載された中では、もっとも鋭く、
本件漏洩疑惑の全容と、法務省の対応に関する問題点を指摘した、迫力のある論説です。


法科大学院協会の佐藤幸治理事長が、本件について再度の緊急談話を発表しました。

慶応法科大学院では、法科大学院協会の会員資格停止処分の他に、協会理事や委員会主任の辞任もあったようですね。
ただ、今回の植村氏の行為を、「一法科大学院における一教員の特異な行為」と早急に切り捨ててしまった部分は、
刑事訴訟法疑惑や民事系疑惑についても追及を行って来たわれわれにとっては、やや不満を覚えます。

植村氏の行為が、本当に「一教員の特異な行為」だったのかどうかは、
今後も行われる疑惑追及によって、明らかになります。


朝日新聞が、本件漏洩事件について社説を発表しました!

社説 2007年09月03日(月曜日)付

新司法試験―公正さが揺らいでいる

 法の支配という民主社会に欠かせない機能を職業的に担うのが、裁判官や検察官、弁護士だ。その登竜門となる司法試験が、公正に行われていなかったとすれば……。そんな疑念が収まらない。
 問題となったのは、法科大学院の修了者を対象にした5月の新司法試験だ。
 問題を作る考査委員を務めた慶応義塾大法科大学院の教授が、試験に先立って自校生を対象に、答案の作り方を教える練習会を開いていた。採点基準は非公開なのに、「採点後であれば、試験で書いた答案を再現してくれれば採点する」とのメールも試験直前に送っていた。
 考査委員は法相が任命する任期1年の非常勤国家公務員だ。法務省が慶大教授を委員から外したのは当然である。
 法務省は156人の全考査委員に自己申告させ、不正がないか調べた。
 慶大の答案練習会では、本番で出された問題は取り上げていなかったとして、採点は見直さないことにした。一方で、大宮法科大学院でも考査委員の教授2人が、過去の試験問題について自校生へ、自分ならこう採点するといった基準を伝えていたことが分かり、口頭で注意した。ほかの考査委員については不適切な行為はなかった、と結論づけた。
 これに対し、各地の法科大学院の教授らからは「調査が甘いのではないか」との反発が出ている。慶大教授は大学院を去ったが、弁護士や学者らが国家公務員法の守秘義務に違反する疑いで告発した。今月13日には合格発表があるのに、混乱が続いている。
 新司法試験は司法改革の目玉だ。その信頼が傷ついたことは否定できない。
 考査委員は半数が裁判官や検察官、弁護士らだが、残りは法科大学院教授らが務めている。1人でも多くの合格者を出したい大学院の教員を考査委員にするのが、そもそも間違いなのだ。来年からは全員外した方がいい。

 今回の疑惑の背景には、新司法試験の合格者の決め方の問題もある。
 これまでの司法試験は、合格率3%ほどの狭き門のため、受験技術の習得に走りがちだった。その反省から生まれた新司法試験では、法科大学院で法律をじっくり学んだあとで受験させる。合格者の門戸も広げ、法曹人口を増やすことをめざしている。
 ところが、法務省は増員計画をもとに合格者数に枠を設けている。このため、1回目の昨年の合格率は48%だった。今年も大きくは変わらないだろう。
 合格率の低い法科大学院は、志願者が減るのは避けられない。全国74の法科大学院で生き残り競争が過熱している。
 ここは本来の改革の理念に帰るべきだ。合格者を一定の人数にしぼるのではなく、受験生が一定の水準に達していれば合格させる方法に変えるべきだ。
 それでも合格水準まで教育できないような大学院は、退場すべきであることはいうまでもない。

これより先に、鳩山新法務大臣が記者会見で語った内容や、
法律時報に掲載された早稲田の須網教授による論説などと、おおむね方向性を同一にする社説ですね。
今後の再発防止策について、あるべき方向生が、徐々に見えてきたようです。


法科大学院協会が、慶應ロースクールに会員資格停止処分を行いました!

新司法試験 類題指南、慶大の会員資格停止  (2007年9月2日 読売新聞)

 今年の新司法試験で出題担当の「考査委員」を務めた慶応大法科大学院の植村栄治元教授(57)(8月に辞職)が試験の類題を事前に学生に教えた問題で、法科大学院協会は1日、東京都内で臨時理事会を開き、慶応大の会員資格を同日から1年間停止する処分を決めた。
 74の法科大学院すべてが加盟する同協会が、会員校を処分するのは初めて。不正な受験指導を見逃していた慶応大の組織としての責任も認定しており、「予備校化」が指摘される法科大学院教育のあり方が問われそうだ。
 同協会は、7月24日に調査委員会を設置し、事実関係の解明を進めてきた。
 この日の理事会に提出された調査報告書では、植村氏が答案練習会などで学生に与えた情報の中に、試験内容に関連するものがあったとして、「意図的な問題漏えいとは断じられないが、新司法試験の公平性に疑いが生じた」と指摘。そのうえで、慶応大の責任について、〈1〉練習会は植村氏が大学の学事課を通じて確保した大教室で、平日午後に公然と行われた〈2〉植村氏は当時、法科大学院のトップに次ぐ委員長補佐の地位にあった――などから、「責任を免れることはできない」と結論づけた。
 会員資格停止は3段階ある処分のうち除名に次ぐ重い処分で、慶応大は、協会を通じた情報交換や会議出席ができなくなるほか、信用の面で大きな打撃を受けることになる。ただ、講義の実施などに直接の影響はない。同協会理事でもあった慶応大法科大学院の豊泉貫太郎委員長は、この日の理事会で、「協会や他の大学院にご迷惑をおかけした」と陳謝したという。
 一方、再発防止策については結論は出なかった。佐藤幸治理事長(近畿大法科大学院教授)は理事会後、取材に対し、「(今回の問題の)背景には、新司法試験の合格率が当初の想定より低くなったことで、法科大学院が受験教育に傾きやすい現状がある。そこを解決しないといけない」と述べた。

日経新聞の関連記事はこちら。

組織としての慶應の責任が認められた事は評価できますね。
なお、再発防止策については結論が持ち越しになったそうです。


・植村元教授を刑事告発した樺島先生が、各政党に司法試験法改正案を提出!

拝啓 
 受験生諸君には健勝のことと存じます。
 私は、大阪弁護士会所属の弁護士であり、神戸学院大学法科大学院の教授をしている者であります。先日の慶応義塾大学法科大学院の植村栄治教授の試験漏洩問題に関して、本年8月1日に市民十数名と共に上申書を法務省に提出し、8月10日に告発状を東京地方検察庁に提出したものです。
 ご存じの通り、法務省は本年8月3日、19年度新司法試験問題について、植村教授らの試験問題漏洩があったにもかかわらず、何ら得点調整などを行わない、外に不正はないなどと身内の不正を擁護するかのような決定を行いました。
 その他、慶応義塾大学だけでも問題の答案練習会7回のうち、5回までもが新司法試験として的中するという事実を見過ごし、その他、某考査委員教授が試験問題に出題された論点を授業で一生懸命教えていたとか、大学院の通常試験で新司法試験に出題された問題とそっくりな問題を出していたとか、噂は絶えないのに、その事実も見過ごしています。
 このままでは、現在の法務省あるいは司法試験委員会に自浄能力はなく、是非とも政党の力で、秋に予定されている国会で、別添の「司法試験改正案」を可決成立させていただきたく、本日各政党にお願いいたしました。
 その旨報告いたします。

敬具

平成19年8月28日
受験生各位
樺島法律事務所
神戸学院法科大学院実務法学研究科教授
弁護士 樺島 正法

 -- 弁護士樺島正法 (2007-08-28 17:09:31)

樺島先生による植村元教授の刑事告発に関する記事はこちら。 (読売新聞)

■ 樺島先生の連絡先(アドレス違いにご注意ください)
〒530-0047
大阪市北区西天満3-8-13 大阪司法ビル301号 樺島法律事務所
TEL 06-6365-1847 FAX 06-6365-1822
E-mail m-kaba@kabashima-law.jp

樺島先生による刑事告発に至るまでの流れと、今回の刑事告発に関する情報は、
こちらのページにまとめました。

ぜひ、司法試験法改正案が秋の臨時国会に提出され、審議が行われますよう、国会議員の方々に深くお願い申し上げます。


・鳩山新法務大臣が、考査委員選任制度の改革に前向きな見解を示しました!

256 :氏名黙秘:2007/09/02(日) 00:17:05 ID:???

考査委員制度 見直しを検討 新司法試験で法相 (9月1日東京新聞11版 28面)

 今年5月の新司法試験の本番前に、出題や採点を担当する考査委員だった慶応大法科大学院教授が答案練習会を開いた問題について、鳩山邦夫法相は三十一日、考査委員の任命制度の見直しを検討する考えを示した。東京新聞などのインタビューで明らかにした。
 この問題では、教授が答案練習会で実際の試験問題と類似した論点を指導するなどしていたことが発覚し、考査委員を解任されている。
 鳩山法相は「試験問題を作る人間が、法科大学院で教えていること自体が(受験生から漏えいを)疑われても仕方のない部分がある。何かいい方法が有れば考えた方がいい」と語った。
 新司法試験の考査委員は百五十五人。そのうち法科大学院教授がほぼ半数を占める。

東京新聞の記事内容と同旨の記事は、読売新聞・日経新聞にも確認されています。

考査委員の制度改革が必要であることは、様々な識者から指摘されて来ました。
今回の法相の発言は、従来からあった指摘と方向性を同じくするものです。


民主党の平野博文議員も、漏洩疑惑に関する質問主意書を提出しました!

平野博文衆議院議員のウェブサイトは、こちら。

平野博文衆議院議員による質問主意書は、8月3日法務省発表の欠陥を踏まえた、実に的確なものです。
これに対する政府答弁は、一部の質問に回答しないなど、相変わらずピントのずれた逃げの答弁に終始しています。
秋の臨時国会では、是非とも本件漏洩疑惑を、国会の重要な議題として取り上げて下さい。
本件は、もはや受験生間の利害にとどまらない司法制度の危機であり、司法制度を利用する国民の危機に直結します。


法律時報の9月号も、巻頭の【法律時評】で、漏洩疑惑を大きく取り上げました!

409 :氏名黙秘:2007/08/29(水) 17:13:00 ID:???
法律時報読んだけど、相当鋭く書かれてる。
「我々は、考査委員による類題演習が、
 実質的には問題漏洩に限りなく近い違法な行為であることを明確に認識しなければならず」とか。
法学セミナー増刊もそうだったけど、こういう言説が公に発せられるあたり、
学者の間の空気が変わってきたみたいだね。

法律時報 9月号
【法律時評】法科大学院再考-新司法試験制度と法科大学院教育  須網隆夫(早稲田大学教授)

一・二では、法科大学院の予備校化や、適正試験への志願者が減少の一途をたどっている事に関する話題。

三 「新司法試験問題漏洩疑惑」への対応

 法務省は、6月末にこの教授を考査委員から解任し、法科大学院協会も、理事長の緊急談話を公表し、法科大学院創設の原点に立ち返る事を訴えている。しかし、新聞投書欄やインターネット上では、受験した他の法科大学院修了者から、試験の公平性に対する激しい不信が表明されている。
 今回の事件は、合格率向上のためには手段を選ばないという「法科大学院の予備校化」が進む中で起きた事件であり、既に低合格率を裏切りと感じていた多くの学生にとって、再度の裏切りに相当する出来事である。
 理事長談話が示唆するように、某教授の行動は法科大学院制度にとって許しがたい行為であり、我々は、考査委員による類題演習が、実質的には問題漏洩に限りなく近い違法な行為であることを明確に認識しなければならず、あくまで厳正に対処する必要がある。
 それは、今回の事件が曖昧に処理されれば、むしろ考査委員による答案練習は「やり得」となり、既に始まっている法科大学院の予備校化が一層進む結果、法化大学院制度の崩壊、少なくとも変質が完成するからである。

法学時報の記事内容など、本件を報道した雑誌についてまとめたページは、こちら。



緊急速報!刑事系科目(刑訴法)でも漏洩疑惑!

慶應では、現在まで問題になっている、公法系(憲法・行政法)・民事系(民法・民訴法)に加えて、
刑事系科目(刑訴法)においても、本試験の事案と酷似した内容の答練が行われていました。

 慶応で行われた刑事系答練の問題文が写真付きでUPされました(7月1日)!

なお、この問題については、作問者の現職検察官教員による、詳細な模範解答まで添付されていました。

② 旧試考査委員の平良木氏に、新試考査委員の内部情報を不正に得ていた疑惑が浮上!

司法研答練の第三回は、平良木氏が出題しています(8月25日の新資料をご確認下さい)。
この問題を出題する際、平良木氏は、「第1回新司法試験では、実際に出題された問題にするか、今回の答練で出題した問題にするか、最後まで委員らが迷った」というような趣旨の発言をしていました(答練で出題したのは訴因の問題です。)。

しかし、平良木氏は、旧司法試験の考査委員を務めていた時期がありますが、新司法試験の考査委員ではありません。
従って、彼が答練に出題した問題が、昨年度に行われた第一回新司法試験の出題候補問題であるという発言が、もし事実だった場合は、平良木氏は、新司法試験の内部者から、当該問題および、その問題が出題候補に挙がっていたという情報を、不正に入手した事が疑われます。
そして、既に解任された植村氏のように守秘義務違反を犯した考査委員が、刑事系にも存在するという事実が推認されます。

司法研答練において平良木教授が出題した回に関する情報は、当サイト情報提供コーナーまでお寄せ下さい。

 刑訴法の漏洩疑惑がある司法研答練に関する新資料がUPされました(8月25日)!

これは、司法研答練の第一回から第七回について、問題用紙の冒頭部分を写した写真である。
新司法試験の刑事訴訟法の問題と酷似した出題のあった第六回答練のみ、出題者名の表示がないことがわかる。
また、「これは昨年度の第一回新司法試験の予備問題であった」と平良木教授が自慢したという、第三回答練は、
たしかに平良木教授が出題者となっている。
新司法試験の予備問題が、どのようにして考査委員ではない平良木教授の手に渡ったのか、疑惑は深まるばかりである。

刑事系科目における疑惑の追及は、こちらのページにまとめました。



法務省HPの審議会情報が更新されない事について、民主党が法務省を追及しました!

法務省のホームページには、審議会情報のコーナーがあります。
ここでは、司法試験委員会会議を含めた、各審議会の情報や議事の要旨を見ることができます。
しかし、司法試験委員会に関する審議会情報のみ、4月19日を最後に更新が止まっておりました。

この点については、スレッドの住人より、このような指摘もなされていたところです。

667 :氏名黙秘:2007/08/26(日) 15:10:28 ID:???
司法試験委員会会議なんだけど、
第34回会議が平成19年4月19日に行われて
次の開催予定が平成19年9月12日で第40回だから
少なくとも今までに5回は開かれたってことじゃないのかな。

しかしなんでその5回の記録が隠蔽されてるんだろ。
他の審議会の記録は5月以降のものも掲載されてるのに。
わざと合格発表まで隠しておいて、ほとぼりが冷めたら、
さも毎月適時掲載してました的な顔して掲載するつもりなのかな。

この問題について、民主党が法務省官房人事課に回答を求め、
回答の内容が、メールで寄せられました。その詳細は、こちらのページからどうぞ。


法務省に第三者委員会の設置と再調査を求める、署名活動を行おう!

8月10日、神戸学院大法科大学院教授を務める樺島正法弁護士を中心とした、
30名の実務家の方々が、植村元教授を東京地検に刑事告発しました。

告発状の「第三 告発に至る事情」という個所においては、
法務省発表に先立ち、考査委員であった植村教授の漏洩行為を、かつての同僚である考査委員会が調査した事について、
「プレーヤーとジャッジが同じ、という構造的瑕疵から生ずるのであり、
 本件問題について早急に第三者による調査がなされなければ、
 本件試験の受験者及び国民の納得できるものとはならない」という、厳しい指摘がなされています。

これをきっかけとして、受験生たちの間で、樺島先生を支援するための署名活動が始まりました。

請願事項

1.  植村教授による不適正な行為について、事実の調査と得点面における影響の調査を行い、
  植村教授の不適正行為が漏洩にあたるか否かの評価を行うための、
  考査委員などの司法試験関係者をメンバーに含まない第三者委員会を設けること。
2.  1.で設けた第三者委員会によって、本件不適正行為に関する徹底した事実調査・影響の調査を行い、
  調査の結果を広く受験生を含めた国民に対して開示すること。
3.  第三者委員会は、2.の調査結果を基礎にして、受験生の試験結果に対する是正措置の要否および、
  どのような是正措置が行われるべきかを、出題漏洩を受けた受験生と
  受けていない受験生との間の公平性の回復という視点に立って、再検討すること。
4.  再検討の結果、是正措置が必要であるという結論が出た場合は、第三者委員会は
  速やかにその旨を明らかにした上で、是正措置を講じること。
5.  再検討の結果、是正措置が不要であるという結論が出た場合も、第三者委員会は
  速やかに是正措置を不要とする理由を、事実調査の結果および是正措置の要否に
  関する検討過程を明らかにした上で、広く受験生を含めた国民に対して開示すること。
6.  1.ないし5.の措置は、平成19年度新司法試験に関する合格発表より前に行うこと。
  もし合格発表が予定されている平成19年9月13日までに調査および再検討が終了しない場合は、
  法務省は合格発表日を延期し、その旨を受験生に対して告知すること。
7.  第三者委員会は、2.の調査結果を基礎にして、
  本件不適正行為が、新司法試験の内容の漏洩にあたるか否かを評価し、
  評価過程と結果を広く受験生を含めた国民に対して開示すること。

303 :署名  ◆NyR3vQ27DA :2007/08/16(木) 19:12:35 ID:???
署名の件につきまして、樺島先生とようやく連絡が取れました。
署名の請願事項・請願内容につきましても、了承を頂けました。

署名は、樺島事務所まで送って欲しいとのことです。
また、検察にちゃんと捜査するよう請願する署名を作成したら、
こちらも樺島事務所で受け取って頂けるとのことです。

みなさま、どうか署名を樺島事務所までお送りください!

署名のための用紙は、こちらからダウンロードする事ができます。

送り先となる樺島事務所のアドレスは、署名用紙の「取扱団体」に記載されています。

署名活動に関する特集ページは、こちらからどうぞ。


合格発表が迫っています!試験の公平性を取り戻す署名活動にご協力ください!

今回の署名活動には、第三者委員会による本件の調査および、
公平是正措置の要否検討が終了するまで、合格発表を延期するよう求める条項が含まれています。
この請願事項の性格上、合格発表までに数を集めて提出する必要があります。
合格発表は強力な既成事実です。発表があってからでは何もかも手遅れになるかも知れません。


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最終更新:2007年09月12日 20:34
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