……月明かりの下、私は静かに佇んでいる。まるで糸が切れた操り人形みたいに虚ろな瞳をしながら身じろぎもせずに。私の身体はすっかり冷え切ってる。…なのに何も感じない…。一体、いつからこうなってしまったのだろう…。
そうだ、あれは一週間前だった。確かあの日私は友人の家に呼ばれていたのだった。その友人の名は…。
「柊かがみ」。私はいつものようにかがみと遊んでいたっけ。私の話にノリツッコミなんかしちゃって可愛いヤツだなと思っていた。でも…ある日のかがみは様子が変だった。まるで全てを飲み込むかのようにどす黒い瞳で私を見つめて薄ら笑いを浮かべていた。まるで見てるこっちが気持ち悪くなるぐらいに…。
「かがみ…どうしたの?なんか変だよ…」私は思わず聞いた。しかしかがみは何事もなかったかのように切り返してくる。「別に変じゃないわよ?それよりもこなた、今日私の家に来ない?」「かがみん家に?…まぁどうせヒマだからいいけどさ…」
今思えばついてこなければよかったとつくづく思う。でも、こうなってしまったのだ。後悔してももう遅い。
「じゃーん!柊かがみ特製ドリンクよ」「…って、普通のアイスコーヒーに見えるけど…」「いいから、いいから」一見すれば何の変哲もないグラスに入ったコーヒー。コーヒーならば何も疑うことはないだろう、そう思って私は…そのドリンクを飲んだ。まさかこれが悲劇の始まりになるなんて。
「……うっ!?」「……あら、どうしたの?こなた」身体が…疼くように痛い…焼けるように熱い…。内側から何かが入り込んでくるかのようで、どこか気持ち悪くて。「か…が……み……」「?」「一体…あのコーヒーに……何を……!」次の瞬間私は驚愕の言葉を耳にした…。
「フフフ、まんまと騙されたわね、私のこなた」え…?騙された…?『私の』…だって?私の背筋は凍りついた。かがみはこちらを見て歪んだ笑みを浮かべている。そうしているうちにも激痛は私の体を蝕んでいく。そしてついに…その奇妙な感覚は私の頭の中にまで入り込んできた…。「い…意識……が……っ!!」「フフ…実はあのコーヒーね…ナノマシンが入っていたの。あんたは今日から私の操り人形…」
…いやだ!いやだ!…私は人形になどなりたくない!……腹の内から叫ぼうと思った。しかしどんなに力を入れようとしても力が入らない。叫ぶことはおろか、息をすることすらままならなくなってきた…。助けて…誰か…ダレ…カ……。
……。「カガミ…ゴハン…デキタヨ」「ふふ…ご苦労様。私の命令どおりに動いてくれるから大助かりだわ。それでこそ私のこなた…たっぷりかわいがってあげるからね…」「カガミ…アリガト…カガミ」
…私の心は閉ざされた。今の私はただ、頼まれたことをやるだけの操り人形に過ぎない。私が何かをすれば、あの人が褒めてくれる。…しかしどんなに褒められても…私は笑うことすら出来ない。どんなに失敗しても…私は泣くことすら出来ないのだ……。
「こなたー!こっちへいらっしゃい、遊んであげるわよー」……声が聞こえる。私を呼ぶ声が……。そろそろ、行かなくちゃ。何故ならこれが……私の仕事だから。……私は立ち上がると、直線的な動きで歩き出した。…そう、私の『ご主人様』のもとへ……。
「カガミ…イマ…イクネ…カガミ…」
俺「はーい、こなたん、今回も乙ですたー」こなた「……乙…」俺「あれあれ~?こなたん暗いぞー、どうし…ガブラッチョ!?」こなた「どうしたじゃないよ!…また私こういう役!?」俺「え…?『また』…って?」こなた「とぼけんじゃないよ!『柊かがみの狂った愛情』書いたの…あんたなのはわかってるんだよ!!」俺「えー?…いや書いたけどさ、いきなり殴ることはって…はごるばァ!!」こなた「何か言うことは?」俺「……ロボ萌えぷぎょるっ!?」こなた「死ねッ!死ねッ!おまえなんか死んでしまえッ!!」俺「ぐぇぁ」
こうして俺は倒れた…。
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