プロローグ
「魔術を使うには大地から、神々から力を借りなければ行使できない」
その部屋のろうそくには一本しか火が灯っていなく、薄暗い、気味が悪い部屋と化しているその部屋の中では、父と娘が語り合っている魔術に対しての知識を確認しているのだ
「そう、その力を借りることができる人間は生まれつき身体のどこかにアザがある」「それは動物や魔物も同じ事」「ここで問題。そのアザは子供たちにも受け継がれる?」「答えはNO。でも、子供もアザができて生まれる可能性はある」「正解。じゃあ第二問、その兄弟・姉妹にアザはできる?」「それも答えはNO。兄弟・姉妹につき、一人にしかチカラは備わらない」「そう、そしてこれからお前にしようとしていることは、後天的に魔術を行使できるようになる『実験』」
父は実験という言葉を強調し、白い石とナイフを取り出した
「失敗したら……?」「腕を失う。確実に」
娘は生唾をゴクリと飲み込む。額には尋常ではない脂汗が滲み出ている
「大丈夫、失敗しない。失敗させない。だから、俺を信じろ……!!」「……うん……!」
この二人の間に、家族を超えた何かが存在しているように思えた娘は覚悟を決め、右腕を父の方に差し出す
「かなり痛いだろうが、耐えてくれ……!!」
父は娘の腕を取り、ナイフを彼女の右手の甲にあてた
「……行くぞ……!!」
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