今回のルールは『600文字以内』で、なおかつ『満月の夜には』『また?』という2つのキーワードを両方ともSSに入れることです。なお、改行は一文字として数えません。
ID:XR3j1oM0氏:『月見団子』
満月の夜には何かか起きるというのは迷信にすぎないわけで、秋葉原に居を構える柊かがみ法律事務所は今日も平常営業だった。夜になってもかがみは仕事中だった。事務員も同じく残業中。さすがに二人体制ではきつい。そろそろ事務員だけでも増やす必要がある。
「やふー、かがみん」そこにこなたがやってきた。「本日の営業は終了です」「つれないな、かがみんは。ちょっと休ませてぇ~」こなたはソファーにへたりこんだ。「あんた、また? ここは法律事務所であんたの休憩所じゃないのよ」事務員がお茶を出す。「ありがとさん」「あとでお茶代請求しといて」「了解です。あとで請求書を送付いたします」「かがみんのケチ。ひとがせっかく月見団子を買ってきたというのに」今日は中秋の名月、十五夜お月様だ。すっかり忘れてた。
かがみは席をたちこなたの前に座った。団子はやっぱりというべきか、アニメキャラが着色されているものだった。お月見バージョンということで、ご丁寧にすべてウサミミ付だ。かがみは爪楊枝で団子を刺すと口に放りこんだ。「これでお茶代は相殺ってことにしてあげるわよ」「太るよ、かがみん」「頭使ってるからカロリー消費するのよ」
もうすっかり仕事という気分ではなくなり、その後は雑談して夜を明かした。満月の夜には何かか起きるというのは迷信にすぎないけれども、それでもお月様は何かをもたらしてくれるのかもしれない。
ID:gLJfNQSO氏:『月と旅人』
-月と旅人-
満月の夜には旅をしたくなる。煌々と照らされる見知らぬ土地を、目的も無くさ迷い歩く。きっとそれは、月明かりに誘われる、生物としての本能なのだろう。
『あ、ゆいちゃん?こなたの奴寝ぼけて、電車乗り間違えて、えらく遠くまで行っちまったみたいでさ…終電も逃したみたいだし、悪いけど迎えに行ってやってくれないかな?』 『え、また?今度は何処まで行ったんですかね、あの子は…』
この不本意な旅も、月に引かれる生物の本能がなせる業。きっとそう。………ぐすん。
ID:21giQTMo氏:『星を呼ぶ夜』
とある夜、一軒家を訪ねる男の姿があった。男はその家のインターホンを鳴らし、玄関先でしばし腕を組む。やがてドアは開かれ、彼がよく知る女性がひょっこりと顔を覗かせた。
「兄さん。もしかしてまた?」「……いいか?」
女性はふうっと大げさに息をつく。
そう、またなのだ。何の因果があったものか、彼女は交霊の術を会得し生業としている。口寄せというやつだ。雲のない満月の夜には霊的な力が最大まで満ちると言われ、男はこんな日を選んでは彼女の元を訪れていた。
「いいけど。変なことしないでよ」「実の妹に手を出すほど落ちぶれちゃいないさ」「どうだか」
女性は寂しげに笑い、家の中へと消える。男はそれを見届け、庭の冷たいベンチに腰を下ろした。
霊が生前に関わりの深かった「物」がこの交霊の媒体に使われる。彼女はそれを取りに行ったのだろう。
「お待たせ」
やがて彼女は再び姿を現した。
「じゃあ、始めるわよ」「ああ」
純白の、泉かなたが着ていたワンピースをその身にまとって。
ID:zpez5ADO氏:『双子の秘密』
「散歩に行こうよ」
珍しく妹から夜の散歩に誘われ外に出た。ここ一週間、断続的に降り続いていた雨も昼頃には止んでいた。月明かりの下、秋の風を楽しみながら2人で歩く。傘をささずに歩くのは久しぶりだ。
「お姉ちゃ~ん、どうしよ~」
少し目を放した隙に、妹は見知らぬ男に声を掛けられていた。嗚呼、どうして楽しい事には邪魔が入るのか。ラノベを読んでいれば電話が鳴り、お菓子を食べていれば来客がある。そして、散歩をしていれば妹がナンパされる。しかも今日は2回目。…望まない時に限って獲物は何回も来るのだ。
「仕方ないわ。相手するしかないでしょ?」「ええ~、また?無理だよ。食べたばっかりだよ?」「ワガママ言わないの。私だってそうよ」「うう…わかったよ」「はぁ~、またダイエットしなきゃ…」
☆
「ねえ、知ってる?満月の夜には化物がでて人を襲うんだヨ」「漫画の見過ぎじゃないか?」「ホントだって!ネットはその話題で持ちきりだよ?」「TVや新聞でやってないわよ?鮫島事件みたいなもんでしょ」「でも、実際に人が消えてるらしいし…」「なら失踪事件を脚色しただけよ」「かがみは夢が無いねぇ」「うっさい。そんな事より、あんた宿題やってきたの?」「あ。…かがみ~、写させて~」「ええい、くっつくな!」
今日もこなたは私にべったりだ。友達同士とは言え、こうもベタベタされると私も我慢が…。
嗚呼、こなた…あんたって…ホントウニ…オイシソウ…。
ID:ntL3QIAO氏:『満月の夜に会いましょう』
「ねえ、みゆきさん。今日って十五夜だよね」「はい、そうですね。今夜は大きな満月が見られる筈ですよ」「ねえねえみゆきさん。今日、みゆきさんの家に行ってもいい?」「ええ、構いませんよ」「やった!学校が終わったら一緒行こう」
「曇りだね」「そうですね」「団子だけはあるんだけどね」「せっかく来ていただいたのに申し訳ありません」「謝るような事じゃないよ。天気だけは仕方ないって」「……」「……本当はさ、別に、月なんていいんだよね」「と、おっしゃいますと?」「んー実はさ、本当はみゆきさんと二人でこうしてゆっくり過ごしたかったんだ」「私とですか?つかささんやかがみさんではなくて、ですか」「なんか違うんだよね。かがみやつかさと過ごすのも悪くないよ。家にはお父さんやゆーちゃんもいてくれてるし充実してる。でもね、急に、寂しくなることがあるんだよ。突然みんなが遠くに感じられるようになって、気が付いたら私一人だけ、無機質な世界に放り出されたような感覚に襲われるんだ。 そんな時に、みゆきさんは、元の有機的な世界への道しるべになってるんだ」「私が道しるべ……。泉さんは今、寂しいんですか?」「ううん、みゆきさんといれば大丈夫」
「みゆきさんありがとう。今日はすっきりしたよ」「いえ、何もお役にたてず」「またね」「あ、次の満月の夜にはまた私の家に来ませんか」「また?」「はい、十五夜じゃないですけど、もしよかったら」「うん」
ID:RIwBcQDO氏:『母の星』
「あ、かがみん。起こしちゃった?」「なかなか寝付けなくてね。てかあんた、また?」「うん。また」
こなたは深夜になると、何度か外に出て空を見上げている。少なくとも、私達が泊まり込みで遊びに行った時は毎日だ。いつもなら注意して部屋に戻るけど、今日は隣に歩み寄って一緒に空を見上げてみる。
「あんた、毎日こんなことしてるの?」「まあね」
表情ひとつ変えずに、ただ空を見つめている。その反応に疑問を持った私は、聞いてみることにした。
「あんた、なんでこんなことしてんの?」「……」
その質問に、答えがすぐに帰ってくることはなかった。それからしばらくして、答えは唐突に帰ってきた。
「……なんかさ、お母さんの近くにいるみたいなんだよね」「え……」
予想外の答えが帰ってきて、驚いてこなたの方を向く。その表情には、少し陰が差していた。
「小さいころさ、お父さんに『お母さんはお星様になったんだ』って言われたんだよね」「……」「満月の夜にはさ、星がいっぱい見えるでしょ? だから……お母さんが見えるかなって思ったのが最初。それから満月の夜の習慣になったの」
俯いていた顔を上げ、再び空に目をやるこなた。それを見届け、私も空を見上げる。
「……」「……」
秋の冷たくなった風が、私達の髪を揺らしていった。
ID:mDhkPkDO氏:『十字架は効きません』
こなた「うぅ~まただ…」つかさ「また?ってなにかあったのこなちゃん?」こなた「うがー!」つかさ「きゃー!お姉ちゃんこなちゃんがこな…」こなた「(むしゃむしゃ…」私は満月の夜には狼になる、そう、狼女に
こなた「なわけないない、このチキンおいしいねー」つかさ「もぅ、こなちゃんったら一気に五個も食べるんだもん」かがみ「がっつきすぎだっつーの」
ID:KfHiaj60氏:『My period comes with full moon』
私は満月の夜が嫌いだ。なぜなら、満月の夜には女の子の日が来るから。その上、今日はいつも以上に痛みがひどい。
いのりとまつり、そしてかがみさえいない柊家で生理痛で動けないつかさとその看病で家に残ったみきがつかさの部屋にいた。つかさの部屋から綺麗な満月が見える。「きれいな満月ね、つかさ。」「…うん…そうだね…。」「おなか、大丈夫?」「…うん…なんとか…。お母さん…ごめんなさい…。」泣きそうな声で話すつかさ。決して体の痛みだけじゃない、心も痛いからなのだろう。ああ見えてつかさはかがみ同様責任感は強い。神社の夏祭りで手伝いするはずだったが、当日、重度の生理痛でダウン。その責任がつかさの心を押しつぶそうとするのだろう。「また?もういいのよ、つかさはお母さんに似てあの日がつらいのよね。」寝込んでから何回謝られたのだろうか。だが、誰にも体の調子が悪い日がある。謝る必要などないのだ。「でも、そのせいでみんなに…。」みきはそういうつかさの手を握った。「気にしちゃダメ。私たちは家族なんだから。わかった?」「…うん、わかった。…お母さんの手って…暖かいね。」「そう?」「お母さんの手を握ってると、なんか安心できるし、痛みも弱くなってきて…ふぁぁ…」「あら、つかさ、寝ちゃった。」みきには寝ながらも握るつかさから手を放すことができなかった。そして帰ってきたいのり達に見つかり、つかさがいじられるのは先のお話…。
ID:tVXs3yI0氏:『満月の思い出』
うーん、疲れた…ここのところ厄介な仕事が続いて夜遅くまで仕事場に残る日々が続いている。今日も長時間の作業のせいか能率は落ちる一方だった。ダメだ…休憩にして外の空気にでも当たってこよう…
ベランダに出て空を見上げると綺麗な満月が夜空を照らしていた。こんな満月の夜にはあの時のことを思い出す。
まだ小学生のころの記憶…「お母さ~ん、まつりとかがみが喧嘩してるー」「また?もういつも仲良くしなさいって言ってるでしょ」私とまつり姉さんはその頃よく喧嘩した。家族で喧嘩といえば八割方私とまつり姉さんだった。「もう、せっかく旅行に来たのに喧嘩しないの」別に来たくて来たわけじゃないもん。無理やり来させられただけだもん。お母さんの言葉は私の怒りに拍車をかけただけだった。
私とまつり姉さんがムスッとしたままで家族の雰囲気は最悪だった。そんな中つかさがいきなり嬌声をあげた。「お姉ちゃん、見て見て!」つかさは呑気でいいわね…少しあきれながら私はつかさの指の差す方向を見上げた。
綺麗…
空には大きな丸い満月が光り輝いていた。自分の怒りがまるでちっぽけなものに思えた。
「ごめんなさい」素直にまつり姉さんに謝れた。ありがとう…心の中でつかさに呟いた。
今日もあの時のように満月は光り輝いている。また少し頑張れそうな気がした。よっし、やるか…小さく伸びをして私は仕事場に戻って行った。
ID:UlAj1USO氏:『飽きない子』
「月は出ているか」私がこなたとつかさの宿題の面倒を見ていると、急にこなたは席を立ち、窓の外を見ながら誰に対してでもなく言った。因みに今日こなたは泊に来ている。そして今は夜だ。「急に何だ」「いやぁ、満月の夜にはこの台詞を言わなければならない使命がね?」「何の使命だよ……また何かのアニメかー?」とりあえず、適当に話を終わらせてこなたを席に着かせようとする私。それなのに奴め、疲れたから休憩しよう等と言い出してきやがった。「また? 30分前に休憩したばっかでしょ」「月が綺麗なんだよ。かがみと眺めたいなぁー」「そんな理由が通用するか」「あの、お姉ちゃん……」怖ず怖ずとつかさが左手を挙手していた。なんだ、まさかこいつも休憩したいなんて言うんじゃないでしょうね。「お月見用にお団子作ってあるんだけど、食べない?」「食べるー!」いの一番にこいつは……。でも、「ねぇ良いでしょかがみっ、食べたらちゃんと宿題やるからさぁ」つかさが作ったお団子なんて滅多に食べられないし、良いか。「しょうがないわね。ちゃんと約束は守のよ?」「って何その顔ぉ~、かがみが1番喜んでるじゃん」しまった、顔に出てたか。なるべく悟られないようにしていたんだけどな……。特にこいつには。「やーい、かがみの食いしん坊ー♪」ほらきた。全くこいつと居ると退屈しないで良いわね。なんて。
ID:ILaC72DO氏:『真夜中の星達』
満月の夜にはっきりと照らしだされた4つの影。庶民の味方、世紀の盗人、その名はらき☆すた団。只今、捕り方に囲まれて絶体絶命の大ピンチである。
「あちゃ~、やっぱ罠だったかぁ」「『罠だったかぁ』じゃ無いわよ!どーすんのよ、これ!」「ど、どうしよう。ゆきちゃん」「そうですね。とりあえず、屋根の上に避難しましょう」
そして4人は屋根の上へとひとっ飛び…とはいかなかった。
「かがみっ!?」「うわっ!なにコレッ!?さすまた?」「お姉ちゃ~ん!!」「これはまずいですね…」
ひとりが捕り方の餌食となってしまったのだ。
「よっし!いっぴき捕まえたぜ!」「よくやったわ、みさちゃん」「ちょっと、『匹』ってなによ!失礼ね!」「お、コイツ威勢がいいな。キライじゃないぜ、そーゆーの」「あらあら、拷問のしがいがありそうね」「こらぁー!私の嫁に手を出すなー!」「お姉ちゃ~ん!」「2人とも、落ち着いて下さい!」「みんな、私のことはいいから早く逃げてっ!」「泉さん、悔しいですがここは退くしか…」「くっ…!よぉ~く聞け!次に私達が狙うのは仲間の身柄だっ!一網打尽を狙うなら、それまで仲間を手にかけるなよぉっ!!」「燃える展開だな!受けて立つぜっ!なぁ、あやのっ!」「あらあら、おもしろくなってきたわね」
次回、命をかけての大捕物!らき☆すた団よ闇夜を駆けろ!
続かないっ!!
ID:pamLh2AO氏:『団子みたいな月の日に』
それは例えば、残酷な童話のようで。必ずしも、幸せにはなれない、二人の話。
先を歩く、ピンク色の髪の少女が、後ろに続く男に笑いかける。「綺麗なお月様っ!あれでお団子、何個くらいかな?」「何個でも…あきら様、前!!」「えっ?」青い車が、その少女を目掛けて、突っ込んでくる。彼女は目を瞑る。恐怖と、絶望を抱きながら。
「あ…あきら、様…」「…白石?」「よか…った、大丈夫、みたいです、ね…」きつく、抱き締められている。そして、何故か、全身が痛い。生暖かい何かが、足を濡らす。「白石?どしたの?」「大丈夫…ですよ…」抱き締める力が、ふと弱くなる。彼女は彼の顔を見上げる。彼は弱々しく、笑っていた。
「良かった、無事、で…」もう一度、しっかりと抱きしめ、「あきら、様…」口から血が零れる。「僕は、いつも、」聞こえないくらいの声で。この世にないくらい、優しい声で。
「あなたの…そば、に…」
「…また?」彼女は空を見上げる。団子のような、白い月が、ひとつ。満月の夜には、彼の温もりを思い出す。もう二度と会えぬ、悲しみと共に。自分の肩を抱く。もう、その温もりは残っていないけれど。「白石?…あたしの隣…いるんだよね?」彼女はそっと笑った。心の中の彼にしか、分からぬように。
『えぇ、僕は、いつも、貴女の側に。』
ID:khIHfQSO氏:『そんな馬鹿な』
「あなたに力を……」「何?」「いや、月が綺麗だなぁって」「そうね」「三日月でないのが残念かな」「何でよ」「かがみピッタリじゃん。月に代わってぇ~」「はいはい」
「じゃあ暗くなってきたし、私帰るね」「そうだね、ばいばいこなちゃん」「うん、じゃまたね」
「また? 何言ってるのよ。あんたに帰る権利はないわ」「へ? 痛っ」
「あんたはこれから私の部屋でたっぷりと可愛がってあげるんだから」「何言って……離して! つかさ助けてっ」
「あ~あ、こなちゃん、ゆきちゃんがお昼に何て言ってたか覚えてる?」「え……」
「かがみさんって満月の夜には強暴になるらしいですよ」「みゆき、それ以上余計な事を言ったら……」「失礼しました」
「あれが本当だったって事……?」「こなちゃんも悪いよ? こんなに暗くまで私達と遊んでるんだもん。いけない子♪」「さぁ、こなた……遊ビマショウ」「嫌だっぁ!?」「お休みこなちゃん、次に目が覚めたときはきっと楽しいことが待ってるから……」
「つか……」「つかさ、そっち持って。運ぶわよ」「はぁ~い♪」
「それ以来、泉こなたを見たものは……誰も居ないという……」「って、起きてるのかよっ!」「どんだけー」
ID:xHnbeOk0氏:『約束』
「また?今度は大丈夫って言ってたじゃない!」「しょーがねーだろ。急に予定が入ったんだから」まだ何か言おうとしている彼の声を聞かずに私は電話を切った。また、喧嘩しちゃった…最近、向こうもこっちも忙しくてすれ違い気味だ。彼が悪くないのは分かっているのに彼に当たってしまう。ベッドに倒れこむと自己嫌悪で泣きそうになった。
夕ごはんを食べた後、部屋で勉強していると携帯が鳴った。メール?彼からだ…
『窓の外見て』まさか…急いで窓を開けると…いた。手でこっちに来るように合図している。
「こんな時間にどうしたの?」「いいから」有無を言わせず私を自転車の後ろに乗せてすごいスピードで発進した。どうやら近所の少し小高い丘を目指しているようだった。どんどん坂を登っていく。「約束しただろ?満月の夜にはとっておきの場所に連れてってやるって」
数十分後に自転車が止まった場所からは町が一望できた。満月が町を優しく照らしている。
「とっておきの場所なんだ。教えたのはあやのが初めてだよ」
「ごめんね」やっと素直になれた…彼は返事の代わりに優しく手を握ってくれた。
帰り道、彼は一緒にいられる時間を惜しむかのようにゆっくり自転車をこいでいた。あったかい背中にもたれながら呟いた。
「…」「え?なに?」「んーん、なんでもない」
聞こえなくてもよかった。今度は私から誘おうと思った。
『満月の夜には、あの場所に行こうね』
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