再び催眠の世界へと戻ったみゆき。しかしそこは普段と変わらない我が家で、火の気配など微塵も無い。自分にだけ衣服の変化が見えたから、自分がかけた催眠こそがその原因だと考えた。みゆきのその思考には、穴は無いように思える。しかし、現状は、その思考を信じることを許してくれない。「どうしてでしょうか……あのリアルな感覚……そして衣服の変化。催眠の世界が現実に影響を与えているとしか……」そう、催眠意外に考えられる原因は無い。現実世界で、自分意外は変化を感じていないことが、既にそれを証明している。だがそう考えると、思考はまた振り出しに戻る。なぜ今この場に何も変化が起こっていないのか。現実世界での変化が自分の催眠世界の影響なら今この場は――と、ここまで考えて、みゆきは一つの可能性に気付く。このおかしな世界が自分の催眠によるものではないとしたら。そう考えれば、導き出せる答えがある。みゆきは、誰もいない空間に向かって、声を発する。「――私に催眠をかけている“黒幕”が……いるんですね」自分で自分に催眠をかけたのでは無い。それもただ、催眠の中で見せられていただけだ。夢の中で夢を見るように。催眠の中でさらに催眠にかかっていただけ。恐らく現実世界では、火事なんて起こっていないし、みゆきが催眠の実験をしていることも無い。全ては“見せられた”世界。それが答え。「あーあ、ばれちゃったか」
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