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こなた「かがみー、ジャンケンしよー、負けた方がお昼奢りね」
かがみ「またアンタはそんな……」
こなた「はい、だっさなっきゃ負っけよー、最初っから!」パー
かがみ「……」チョキ
こなた「……ぁ」
かがみ「私の勝ちね、じゃあ――」
こなた(落ち着け、よく考えるんだ。今この状況から逆転できる方法を……かがみは既に勝った気でいる……。確かにジャンケンでは私が負けた……だけど、そのジャンケンが偽りのものだとしたらどうだろう? まだ私は負けていないことになる。今のは練習と言ってやり直すか? ダメだ、欲望丸出しのかがみがそんな事許すはずがない。ならばどうする? 別の手を考えてる余裕は……待てよ、偽りのジャンケン? そうか! この手があった。落ち着け……私なら出来る! 今までだって乗り越えて来たじゃないか!!)
この間、約3秒
こなた「待ってかがみ」
かがみ「何よ、ジャンケンに勝ったらお昼奢ってくれるんでしょ?」
こなた「その事なんだけど……かがみは何か勘違いをしているんだよ」
かがみ「は? 何を?」
こなた「確かに端から見れば、かがみはジャンケンに勝ったように見えたかもしれない」
かがみ「かもしれない、じゃなくて実際に勝っただろーが」
こなた「よく思い出してよ、私は何て言った?」
かがみ「え?」
こなた「私はジャンケンをする際、“最初っから”と言ったよね?」
かがみ「言ったわね、それを読んでこなたはパー、私がチョキで勝ったんじゃない」
こなた「そこが勘違いなんだよ、かがみ」
かがみ「あ?」
こなた「最初っから……これは普通、最初はグーで始まるジャンケンを装い、パーを出し勝利するといった奥義って事は知ってるよね?」
かがみ「奥義って……」
こなた「でも私達ぐらいの年齢になると、その効果も薄れて今や使う人なんてほとんど居ないといっても過言ではない……」
かがみ「何がいいたいわけよ」
こなた「つまり、最初っからというルールは蔓延しきっている。よって、最初っからっと言っても無意味。それ故に、相手は無意味な戦いを避けるべくパーを出さねばならないのだよ。これをルールZと呼ぶ!」
かがみ「なんかよく分かんないんですけど……」
こなた「(自分でも何言ってるのか分からないよ……)従って、最初っからとは、最初はグーの第二の形……最初はパーとなるのだ!」
かがみ「…………」
こなた「最初っから=最初はパー! すなわち! これに対し、チョキを出したかがみは反則負け! 結果、私の勝ちとなるのだ!!」
かがみ「そーですか」
こなた「というわけで早くどっか行こ? 私お腹空いちゃった♪」
みゆき「泉さんの言ってることは目茶苦茶です」
こなた「み、みゆきさん!?」
かがみ「待て、みゆき。アンタはタイトルに名前入ってないんだから帰れよ」
みゆき「……失礼しました」テクテク
かがみ「さて、横槍が入ったけど私も言わせてもらうわ」
こなた「何を? (私の台詞にどこか間違いでもあったのか? いや、そんなはずは……)」
かがみ「まず、アンタは“最初っから”が蔓延していると言ったけど……これは本当かしら?」
こなた「……現にかがみはチョキを出したじゃないか、それが証拠だよ」
かがみ「甘いわね、それは私だから出した、とも言えるのよ?」
こなた「誰だって同じさ! 最初っからと言ったらそれに気付きチョキを出すに決まってる!」
かがみ「じゃあ気付かなかったら?」
こなた「!?」
かがみ「そうね、例えばつかさ。あの娘はいつもぼんやりしてるから“最初っから”なんて言っても気付かないでしょ」
こなた「そんなのはかがみの勝手な妄想だよ!」
かがみ「別に妄想でも良いわ」
こなた「くっ」
かがみ「それでつかさがもし気付かなくて、アンタはパーを出し、つかさがグーを出した場合……アンタはどうする?」
こなた「……もちろん、知らなかったつかさにちゃんと教え――」
かがみ「やったー私の勝ちー! えぇー? こなちゃんずるいよー……うん、こんな感じね」
こなた「っ……」
かがみ「図星みたいね。ジャンケンの世界にルールZなんて存在しない。それはこなたが負けを言い逃れるために作ったその場凌ぎの嘘っぱちよ!」
こなた「そんなことは……」
かがみ「それにさっき自分で言ったじゃない」
こなた「……?」
かがみ「『誰だって同じさ! 最初っからと言ったらそれに気付きチョキを出すに決まってる!』これはアンタの言ったルールZと矛盾してるんじゃないかしら?」
こなた「どこが……ぁ……」
かがみ「蔓延しているならチョキじゃなくてパーを出すルールのはずよね? それに対し、こなたはチョキを出すと言った」
こなた「あ……ぁ……」
かがみ「つまり蔓延しているなら両者がパーを出すなんてルールは、さっきも言ったけど存在しないのよ! 言い逃れれるなら言い逃れてみなさい!」
こなた「う……く……っく……」
こなた「あっはっはっはっはっはっ! 流石かがみ、それでこそ私の嫁に相応しい」
かがみ「誰が嫁だ」
こなた「確かにルールZなんて存在しない。私が作った嘘だよ……ならばどうする? 殺 すの?」
かがみ「話しを可笑しな方向へ持っていくな。もう一度ジャンケンすれば良いだけでしょーが」
こなた「え? 良いのー!?」
かがみ「ただし今度は“最初は”なんてのは無しよ。負けたらアンタはややこしくするんだから」
こなた「ちぇ、分かったよ。じゃ行くよー、ジャンケ――」
かがみ「待った、その前に言っておくわ」
こなた「え?」
かがみ「私はチョキを出す」ニヤリ
こなた「なっ……」
かがみ(これでこなたはグーを出す確率が飛躍的にアップしたわ……一見、何の意味もない作戦かもしれないけど、相手を動揺させることが出来れば十分よ)
こなた(心理戦か……やってくれるねかがみ……。先にチョキを出すと宣言し、実際はグーかパーを出す……あるいは、そのままチョキを出すという相手を試行錯誤させる戦術。だけどそれで勝ったと思ったら大間違いだよ)
こなた「なら私はパーを出すよ」
かがみ「な、パー!?」
かがみ(こなたの奴、正気か? 自分から負けに……いえ、違うわ。チョキを出すという言葉に対しパーを出すという反応……これは私の作戦と同じ、相手を動揺させる事が目的! でも実際にパーを出したら私はそのままチョキを出せば勝てるけど……こなため、作戦を作戦で返すなんてやるじゃないの)
こなた(かがみめ、動揺しきってるな……考えろ考えろ、ふふふ。そうこれは考えれば考えるほど自分の意思が弱くなる作戦……自らの策に溺れる気分はどうだい? かがみ)
かがみ「……チッ」
こなた「ハッ」
かがみ(えらく余裕じゃない……でも私は負けられない。こなたにお昼を奢らせれば、さっき諦めた服が帰るんだから!)
こなた(悩め悩め、私は気楽にジャンケンをするとするよ。勝って浮いたお金で、さっき携帯で見つけた限定品を買いに行くんだ……この思いは誰にも止められないよ)
こなた・かがみ(この戦い……)
こなた(私が……)
かがみ(私が……)
こなた・かがみ(勝つ!!)
こなた「行くよ! ジャンケン……」
こなた「ポンッ」グー
かがみ「ポンッ」グー
188 :かがみとこなたの休日 :2008/05/19(月) 19:12:37.74 ID:SpjJkMSO
こなた「な……」
かがみ「相子……」
こなた「ぷ……」
かがみ「くすっ……」
こなた・かがみ「あはははははは!」
こなた「散々作戦を練ったあげく、相子かぁ~」
かがみ「ふふ、でもこれで何の柵もなくジャンケンすることが出来るわね」
こなた「泣いても笑ってもこれが最後……」
かがみ「また相子になったら? いいえ、なりそうもないわね」
こなた「私、この戦い忘れないよ」
かがみ「私も。最高の戦いをありがとう、こなた」
こなた「じゃあ行くよ! 相子で――」
かがみ「ポンッ!」グー
挑戦者「ポンッ!」チョキ
司会者「決まったあぁぁぁぁっ! チャンピオンかがみ! 5年連続チャンピオンの座を守り抜いたぁぁぁぁぁっ!!」
189 :かがみとこなたの休日 :2008/05/19(月) 19:12:49.07 ID:SpjJkMSO
観客達「かーがーみ! かーがーみ! かーがーみ! かーがーみ! ……」
司会者「歓声の嵐の中、チャンピオンかがみがリングの中央に!」
大晦日、こたつに入りながらテレビを見る女性が一人……。
こなた(あれからもう5年か……まさかかがみが弁護士を止めてジャンケリストチャンピオンになるなんてね……)
記者達「今回で5度目の優勝ですが、何か勝つための秘訣でもあるんですか?」
かがみ「秘訣ってのは分からないけど……私がここまで強くなったのは、一人の友人のお陰です――」
こなた(え?)
かがみ「あの戦いがあったから、今の私がある……おーい、見てるかー! あれから5年、いつまで私を待たせる気? 修業してリベンジするって言ったのは誰よ……私はアンタと早く戦いたいわ!」
司会者「おっと、これは挑戦状でしょうか!? 凄いことになってきましたー!」
こなた「……ったく、そんな事テレビで言わないでよね」
テレビ「かーがーみっ! かーがーみっ!」
こなた「まったくしょうがないね、かがみは」
こなたは立ち上がり、テレビに向かってジャンケティングポーズをする。
こなた「もう、あの時の私とは違う……後悔させてあげるよかがみ!」
彼女達の戦いはまだ始まったばかりだ!!
ご愛読ありがとうございました。ID:SpjJkMSO氏の次回作にご期待ください!!