「呪」ID:5wr8kT60氏

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満月を見上げて、オレはその唇を吊り上げる。 ちょっと後ろを振り返ればそこには燃え盛る民家。 チョロイもんだな……。 オレの外観は、一件すれば可愛らしい金髪女の子だ。 それを利用して、誰かの家へと侵入、大勢に不幸を与えてきた……いわゆる呪いの人形ってヤツさ。 この数百年で葬ってやった人間は999人……大台だな。 そして今、青い髪をした泣きボクロをした女、オレは今ソイツに抱きかかえられている。 どうやら……、この女が1000人目と言うわけだ。 生意気に制服なんて着てやがるがおそらくは小学生、相手にしちゃサイコーだな。 オレは女のガキの悲鳴を聞くのが大好きでね……。 ふと見上げると、さっきのガキが、隣に並んでいる別のリボンをつけた女と話している。 「いやーゆーちゃんのプレゼントにでもしようかな、って思ったんだけどねつかさが気に入ったんなら」 「え、ホント! ホントにいいの!?」 そう言って、オレの身体は他のヤツに渡された。 …………チッ、まぁいいさ。 誰でも大してかわらねえし。 ・ どうやら、コイツの家は神社みてーだな。 だからどって事ねえけどよ。 リボンの女は、オレを台所にほっぽって何かやっている。 おそらく料理かなんかだろう、良い嫁さんなるぜ。 …………今日で、そうなれねえ身体になるけどな。 この場でそのちっせえ胸を抉り取って、マ×コズタズタしてやる!! オレは後ろ手に持っていたハサミに手を──── 「アハハバルサミコ酢~~~」 ぎゃあああああああああああああ!!! イテえ、目にしみる!! つかすっぺえ、なんだコリャ! てめえ何オレの頭にドバドバかけてくれとんじゃああああああああ!! 「ちょっとつかさ……」 「あ、お姉ちゃんおかえりー」 「何やってんの……」 た、助かった……あと一歩で……。 この…アマ…あとで覚えてろ…………。 「え、だって……人形の汚れをとるにはバスサミコ酢って……」 「それでか! ここんとこ酢の減りが異常に早いって思ってったら!!」 「こなちゃんが拾った人形だから、大事にしたいと思ったんだもん……」 「ハイハイ、もういいから。あ、この人形は没収ね」 「ふぇ、そんなぁ、おねえちゃ~ん」 運ばれていくオレを、リボンは惜しそうに見送る。 心配しなくても後でたっぷり可愛がってやるさ、ちっと順番は変わったがなぁ……すっぺぇ。 パタン…… 部屋に運ばれたオレは、ベッドの上に放られる。 女の机を見ると、勉強道具一式。 なるほど、優等生ってヤツか……気にくわねえ。 「さーて……」 思い切り伸びをするツインテール。 なるほど、これから頑張ってお勉強かい? そんなに勉強好きなら、シャープペンでゴツゴツ頭を砕いて、脳ミソに教科書── 「こなたぁーーーーーー!!」 どわ────今度は何だー!? 「こなたの触ったもの、こなたの人形……ああ、こなたの匂いがするわ!!」 しまった、これはガチレズだ!! いや、多分匂いとか気のせい! なんてネタをやってる暇は……しゃぶるな、舐めるな! やめてとめてやめてとめてやめ 「ウフフ……喜んで、今日からあなたはこなたんグッズの仲間入りよ!! というワケでせいやー」 いらんわ!! そんなの!!! って、あ、アッ────────── ・ ひ、ひでぇめにあったぜ……。 道路をヨタヨタと歩きながら、オレはばったりとその場に倒れる。 ああ……星がキレイダ……、あれからもう一人の姉貴らしいヤツに洗濯機の中に入れられた時は、 ホントのお星様になるトコだったがな……。 あんなトコ一秒だっていられねぇ、誰も見ていない隙を見計らって正解だった……。 だが、まだまだオわらねえ、次だ! こうやって倒れていれば誰か優しい女がオレを拾って……。 「人形……?」 くれた──────ヒャッホウ!! ・ 「綺麗になったね……」 この緑色の髪……、一瞬男かと思ったがそうじゃねえようだ。 風呂場で見てやったが、上はペタペタだったが、下はツルツルだったしな。 無口女で根は優しい……オレの嗜虐心をそそってくれる。 「明日、ゆたかの……友達がたくさんいる所に連れてってあげるから、待ってて」 そういうデカ女の目には、あのツインテールと同じ物が含まれているのを感じ寒気が走った。 い、いや、あのチビアホ毛の時とは違うんだ、大丈夫! 大丈夫さ!! 女が出て行った所を見計らって、行動を開始する。 ヒヒヒ…………ヒヒヒヒヒヒ………………!! まずはロープだ、デカ女が寝静まっている時に縛り上げる! 900人達成した時は、小学生位の女の子にそれをやってから、マズは目をえぐって鼻をそいで唇を、耳を引きちぎって……。 今夜は、それ以上のパーティーになr 動けない!! 誰かの視線を感じる! 「へっへっへっへ……クンクン」 なんでぇ犬かよ……おい、オレの匂いを嗅ぐな。 オレはこれから大仕事になるんだ、シッシッシッシ。 お、おい、何だてめー、やろうってのか、そんな顔近づけても怖くねいや待て話し合お ガブ ちょ ガブガブガブガブガブガブ くぁwwせdrftgyふじこlp!! ブンブンブンブンブン…… オレを咥えて走りまわんな~ぁぁぁぁぁ振り回すなぁぁぁぁぁ~…… ちょっと待て、何処連れてく? 外? え、何か庭に穴掘ってるんスけどこの人(?)は。あ、入れられた。 周りを見ると骨、フリスビー、靴が埋まってる? あ、なるほど宝物ですね。 いやお気持ちは嬉しいのですが、自分この年で埋まりたくないんで謹んでご遠ry土かけんな──────!! ・ あれからオレは、間一髪の所で穴から這い出た物の…… 「デブハゲの親父に襲われる少女……かなりハードな内容を依頼されたッスね」 同人女か……いい趣味してやがるぜ。 「難しいけど、やらなきゃならない! 今日拾った人形、アナタにも構図を作るのに協力するッス!」 え、何そのデブハゲな人形? え、そんなにくっ付けて何するやめ(ry 「みさちゃんの癖に……みさちゃんの癖に……みさちゃんの癖に……」 プス……プス……プス……。 そんな、彼氏持ちが原因の不人気だろ! オレはわら人形じゃねえんだから五寸釘刺すなっ! 人形遊びってこれかよ……この男女……。 「はーーはっはっはっは、正義の味方格闘仮面は女にも容赦はしないのだ!」 ガッシ、ボカ スイーt……この男女……もうゆるさねえ、皆殺しボンバ──── 「格闘キーーーック!」 メメタァ 何でやねん。 「射撃の練習に丁度いいデース」 志村! 銃刀法違反! 銃刀法違反!! 「このみゆき様さ!」 ミユキサマバンザーイ ミユキサマバンザーイ ミウィキサマバンザーイ ・ はぁー……はぁー…… さっきから……おかしいぞ……何で、オレが……畜生。 すっかり夜中だよ……。 こうなったら……誰でも良い!! 一人ぶっ殺してやる! ムシャクシャしてやった、今も反省していない!! ってヤツになってやる! と、言うワケで窓から侵入した家は、何とあのチビアホ毛の部屋だった。 美味い具合に、チビアホ毛は熟睡……おそらく夜遅くまで起きていたらしい。 ご都合主義だな……まぁいいか。 そういや……、コイツに拾われてからオレはこのザマなんだよな……こ・ろ・す。 コイツならやれる……今回のコンクールでもトラックに轢かれ、親友に殺され、入れ替わって、 ぬいぐるみのエグい展開に巻き込まれたこいつならば……きっと運命はオレに味方をするはずだ! さらに、別次元でも不幸の人形(お払い不可)に絡まれてるんだっしょ……相性の問題でオレに有利だっしょ!! ※らき呪すたの作者様、並びにコンクール作品の筆者様……ごめんなさい というわけで、ハサミをコイツの頭の上でハサミを掲げて……。 その途端、オレの脇腹に強い衝撃が入った。 何しやが……あれ? なんか、周りをフィギアに囲まれてる……ミナサン、オコッテ、ラッシャル? 「人のご主人様に手ぇ出そうとはいい度胸ね?」 「クソヤロウが……」 「ただで済むと思うな?」 「もっとも、楽に死ねるとも思わない事よ」 いわゆる、萌えフィギアからのとは信じられない台詞。 殺意を持った瞳がオレに向けられる!! 助けて……、 誰か、助けてくれええええええええええ ・ 翌日……。 そろそろご主人様が起きる時間だ、という事でようやくリンチがお開きになった……。 「ファ~……もうお昼か」 ああ、そうか。今日休日なんだな……。 チビアホ毛はオレを踏みつけたが、もう動く気力も無い。 「おやおや、コレは……」 髪の毛を摘んで持ち上げんな……いてえ。 「昨日の人形じゃん、何かきったなくなってるねー。ゆーちゃんにプレゼントもできないよ」 そうか、捨ててくれ……頼む、捨ててくれ……。 もうこんな街出てってやる……。 「じゃあ、今日から君は私がもらってあげるね」 …………へ? 「きっと私に会いたくなって三千里の距離を歩いてきてくれたんだろうね、そんなボロボロになって……。 拾ってあげるのがスジってもんでしょ」 いやいやいやいや、オレ呪いの人形ですから? めっちゃあなたに不幸キャンペーンお届けしようとしましたから? 今すぐ捨てて、ね、ね、ね? 「ハイ、今日から君たちの仲間だよー」 ヒィ────勘弁してください!! 今捨てても、もう二度と呪いなんてやりませんから! 誓いますから! 「じゃ、お利巧にしててね」 テッテッテ…………パタン。 あ………あぁ…………。 チビアホ毛が立ち去るのと同時に、全てのフィギアが、一斉にこちらを向いてニタリとした笑いを浮かべる。 こ、怖いよ~、お母ちゃーん…………。 もしも、生まれ変わったら……、今度は普通の人形になりたいな……なんて。 う ぎ ぃ や ぁ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア

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