ID:KekGhr32O氏:お正月の写真

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「正月だな、かなた」 「正月だね、そう君」 二人はこたつでお雑煮を食べながらテレビを見る テレビでは男性が火の輪くぐりをして拍手を受けていた 「はっきり言ってここまで生きられるとは思ってなかったわ」 「そう暗い話するなよ。今、ここにいられるんだからいいじゃないか」 「それもそうね」 二人の間で離乳食を食べていた赤ん坊がぐずる 「ほら、かなたがそんな暗い話するから、こなたまで泣きだしたじゃないか」 「あらあら。ゴメンね、こなた」 こなたと呼ばれた赤ん坊は母親の顔を見て安心したのか、すぐさま笑顔に変わった 「うふふ、この子の笑顔を見てたら、そんなこと忘れちゃいそうね」 「そうだな、こなたは幸せを運ぶエンジェルだな」 赤ん坊の父親は立ち上がり、戸棚からポラロイドカメラを持ってきた 「せっかくだから、俺たちのエンジェルと一緒に写真を撮ろうか」 「そうね。ほら、こなたも笑ってー♪」 ぱしゃりという音とともに、ポラロイドカメラから写真が出てきた 「ほら、よく撮れてるよ」 「そうね。こなた、すっごい笑顔よ」 二人は……否、三人は、写真を見ながら笑いあっていた それから18年後、赤ん坊――泉こなたは、高校3年になっていた 「ねぇ、お父さん」 「どうした? こなた」 「この写真……」 「ああ。俺とこなたとかなた、三人で撮った……最後の写真だよ」 こなたは写真をしげしげと眺める なぜだろう、その横顔は、どこか寂しげだった 「……ま、いいじゃないか!」 「わわっ!!」 父親は――そうじろうは、こなたの身体を抱き寄せる 「かなたはもういないけどさ、俺にはまだこなたがいるから大丈夫だ!」 「……うん! 私も、お父さんがいるから大丈夫!」 たちまち、こなたが笑顔になる。あの時の――写真の中のこなたみたいに 「ふ~、お部屋のお掃除、やっと終わった~」 その時、こなたの従妹――小早川ゆたかが部屋に入ってきた 「お、ちょうどいい。せっかくこの写真が出てきたんだ。これと同じように三人で写真撮ろうか」 そうじろうはあの時と同じように、戸棚からポラロイドカメラを持ってきた 「いいね、撮ろう撮ろう!」 「うん!」 「んじゃ、撮るよー」 ぱしゃりという音とともに、ポラロイドカメラから写真が出てきた 「さーて、撮れてるかな……?」 三人は写真を覗き込む 「!」 「え!?」 「こ、これって……!」 三人は笑顔で一斉に振り返る。そこには何もなかったが…… 「……来てたんだな、かなた」 写真の中の『四人』は、これ以上ないくらいの笑顔をこちらに向けていた

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