「ID:cSTcoXnyO氏:RAKI NOTE」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
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こなた「暇だなー、退屈だなー、つまんないなー」
泉こなたは飽きていた、毎日が同じ事の繰り返し。何か面白いことは起きないのだろうか……。帰り道、一人でそんな事を思いながら歩いている時、それは訪れた…。否、落ちて来た。
こなた「ふげっ!?」
皮肉にも、それは彼女の頭に落ちて来た。こなたは頭に乗っかってる”それ”を手に取り、見てみる。
こなた「何だこれ? らきのーと…?」
それは、薄い桃に似た色に”RAKINOTE”と書かれたシンプルなノートだった。
こなた「RAKINOTE…、直訳して幸運のノート……?」
こなたは興味本位でノートを1ページめくった。
こなた「うわ…、英語だらけじゃん……。でも多分、有名なあのNOTEと同じだね、このノートの場合は名前を書かれた人は幸運になるに違いない」
こなたは一人で納得し、ノートを鞄にしまい、らんらん♪ 気分で家に帰って行った。
――泉家
夕食を終え、風呂から上がり、もう寝ようとしていたとき、こなたはノートの存在を思い出した。
こなた「すっかり忘れてたよ。じゃ、さっそく試してみようかな。とりあえず、柊かがみ…、と」
こなたはノートに”柊かがみ”と書いた。
こなた「ま、何も起きる訳無いけどね~。私も何やってんだか…」
――翌日
つかさ「こなちゃーん」
こなた「お、かがみにつかさ。おはー……って。どったの? かがみ」
かがみ「にへらー☆」
かがみは果てしなく上機嫌である。いつものツリ眼はどこへやら…、顔が緩みっぱなしのニコニコ状態だ!
つかさ「お姉ちゃん、朝からこうなの」
こなた「ふ、ふーん…。何か良いことでもあったの?」
つかさ「それが…、朝からこの状態で……。何があったのかさえ分からなくて……」
こなた「そうなんだ (ノートの影響…? まさかね……)」
かがみ「にへらー☆ (夢でこなたと一緒にあんなこと出来るなんて…最高すぎるわ!!)」
この作品のかがみはガチレズになりました! サーセン^^
――学校にて
こなた「あのかがみの変わり様、やっぱりノートが関係してるとしか…」
つかさ「え? こなちゃん何?」
こなた「いや、何でもないよ」
つかさ「バル酢~♪」
始業ベルが鳴り、つかさは自分の席に戻った。
担任の黒井が何か朝の連絡事項を話しているが、こなたの耳には入らなかった。
こなた「(試してみるか……)」
こなたはノートを机の上に出し、ページに”柊つかさ”と書いた。
こなた「(どうだ…!)」
つかさの方を見るが、何も変わった様子は無い。やはりこのノートに力は無いのか…。そう思っていたときだった。
黒井「えぇ~、ここで嬉しいお知らせがある」
黒井が放った”嬉しいお知らせ”と言う言葉に、こなたは反応する。何かが起きたのか…、と。
黒井「この前、出してもらった”税についての作文”でな? つかさが優秀賞を取ったんだと」
つかさ「ひょえー!?」
こなた「――!!」
教室中につかさへの拍手が鳴り響く、そんな中、こなたは一人思う。
こなた「(確定だ!! ラキノート、本物だ…!)」
――――
それからというもの、こなたは暇があれば次々と、知り合いの名前をノートに書いていった。あるときは背が伸びたり、またあるときは胸が膨らんだり、眼が良くなったりしたそうだ。その様々な反応をこなたは楽しんでいた。
こなた「まるで神様になったみたいだよ♪でも何で自分には効果無いのかな…?ま、いっか」
こなたは今日も自分の部屋の机でノートに名前を書いていた。
???「気に入ってるみたいですね」
こなた「だ、だれ!?」
振り向いたこなたの先には、知らない女性が立っていた。神々しく輝くその女性を見たこなたは、その美しさにしばらく言葉を失っていた。
こなた「だ…誰ですか…?」
???「これは失礼しました。私は女神、そのノートの持ち主です」
こなた「め、女神さま…!?」
女神「はい、そうです」
女神と名乗る女性は、机に開いてあるノートを覗き込んだ。
女神「凄いですね、二日でこれだけの人を幸せにしているなんて。同じ名前がいくつかあるようですが…、友達想いなんですね」
こなた「いや、ははは…」
こなたは、これって褒められているのか?と思いながら、曖昧に笑うしかなかった。そしてこのノートは名前が書いてある人でも、もう一度書けば、また効果があるようだ。
こなた「あの、ごめんなさい…。勝手に書いてしまって…」
女神「いえ、それは構いませんよ。落とした私も悪いのですから」
こなた「はぁ…」
女神は再びノートを見ると、嬉しそうに微笑んだ。
女神「この世界にも居るんですね、あなたのような優しい方が…」
こなた「そんな、大袈裟ですってば~、だってノートに名前書いただけ…」
女神「だって自分の”命”を削ってまで人を幸せにしているんですよ?普通の人にはとても出来ないでしょう☆」
こなた「え!?」
女神「あら、どうしました?そんな大声を出して…」
こなた「い…、今……、何て……?」
女神「普通の人にはとても出来ないでしょう…」
こなた「その前…!!」
こなたは混乱していた、自分の聞き間違いであって欲しいと本気で思った。
こなた「自分の命を削ってまで…って、言ったよね!?」
女神「言いましたよ、それが何か?」
こなた「私、そんなの知らないよ!!!」
こなたは思わず立ち上がる。
女神「知らない?そんなはずないでしょう?」
こなた「知らないものは知らないよ!どーゆーことさ!」
女神「まさか、あなた…。ノートの一番初めのページを読みましたか?」
こなた「あっ…(まさかあの英語だらけの……)」
女神「読んでないんですね?」
こなた「英語は苦手で……」
こなたの顔は、次第に青くなっていく。そしてその場にぺたんと、座り込んでしまった。
こなた「命が削れるって…、どのくらい……?」
女神「一人書いて、約一年ちょっとです…」
こなた「私の残りの寿命は……?」
女神「……あと、一日です……」
こなた「――っ!?」
絶句、あまりの事に言葉を失うこなた。女神は申し訳なさそうにこなたを見ている。
こなた「……嫌だよ、死にたくない……死にたくない……うっ…うぅ……」
こなたは、これが夢ならどんなに良いことか…、せめて嘘であってほしいと思っていた。
女神「…元はといえば、私がノートを落としたのが原因です。あなたにチャンスを与えましょう」
こなた「え…?」
女神はそう言うと、一つのノートを懐から取り出した。黒いノートに白く”SUTA NOTE”と書かれていた。
こなた「これは…?」
女神「これはSUTA NOTE。RAKI NOTEとは対となる存在。」
女神はノートをこなたに差し出す。
こなた「対となる存在……?」
女神「そうです、このノートに名前を書かれた人間は不幸になります」
こなた「不幸に……」
女神「そして、このノートの最大の特徴は…、不幸にした人の数だけ寿命が延びるというところです」
こなた「それって、つまり…!」
人を不幸にして寿命を延ばすしか助かる道は無い。
女神「そういう事です…」
こなた「……不幸って、どれくらいなんですか……?」
こなたの考えは、軽い不幸なら書いても大丈夫かな?今まで幸せにしてあげたんだし別に良いよね…。と思っているようだ。しかし…、
女神「躓いたり、お金を落としたり、不幸なんてのは人それぞれですので、正直何が起きるか分かりません…。ですが」
こなた「……?」
女神「なんの罪も無い人が不幸になるのです。あなたはそれに耐えられますか?」
こなた「――っ!」
女神「よく考えて使ってください、それでは……」
女神は光だし消えていった……。残されたこなたは、呆然とノートを見つめることしか出来なかった。
――翌日
顔色も悪く、朝食もあまり食べず、父親に心配されたが、こなたはなんとか学校に行けた。SUTANOTEを持って……。
こなた(今日が最後の学校になるのか…、でもこのノートを使えば…、でも……)
つかさ「こなちゃん、どうしたの?朝から様子がおかしいよ?」
こなた「な、なんでもない…よ……」
昨日、女神は去り際にこう言った。
「SUTANOTEに書ける名前は、RAKINOTEに書いてある名前だけです」
こなた(私がラキノートに書いた名前はつかさを含め、私の友達、親類だけだ…)
つかさ「こなちゃん、無理しないで保健室に行こ?」
こなた(書けるわけないよ…!仮にラキノートに新しい名前を書いたとしても、寿命が残り一日だし…。書いた時点で私は…死ぬ……)
こなたはよろよろと立ち上がる。
つかさ「大丈夫?歩ける?」
かがみ「あんた具合悪いんだって!?熱はあるの!?何か欲しいものは!?こなたがいなくなったら私の人生は……!!」
つかさ「うわ……(;^ω^)」
みゆき「かがみさん、気持ちは分かりますが、少し落ち着いてください」
かがみ「あ、ごめん…。こなたの事になると、つい」
こなた「大丈夫だよ…(皆優しいな…、やっぱりあのノートは使えないよ)」
つかさ「わ!こなちゃんどうしたの!?」
こなた「え?」
自然に流れてくる涙に、こなたは気付かなかった。
こなた「あはは、何だろうね?皆が優しくしてくれたんで感動しちゃったのかな?」
かがみ「こなたに優しくするなんて当たり前じゃないの!やっと私の愛が届い…」
つかさ「もうこんな時間だ!授業が始まっちゃうよ!」
みゆき「では泉さん、また後で」
かがみ「早く元気になりなさいよ!」
こなた「うん、ありがとう皆」
こなたは決めた、自分は今日で死んでしまう、ならば最後に……。
こなた「あ、つかさ」
つかさ「なに?」
保健室を出ようとするつかさを呼び止める。
こなた「私の鞄に入ってるピンク色のノートをもって来てくれないかな?」
つかさ「うん、分かった。待っててね!」
最後に……皆を幸せにしようと………。
――数分後。つかさからノートを貰い、つかさが保健室を去った後…。
こなた「かがみ、つかさ、みゆきさんetc…etc…。そしてお父さん、お母さん…。今までありがとう、そしてごめんなさい……」
こなたはそう呟くと、ノートにそれぞれの名前を書いていった。
こなた「皆、私の分まで幸せになって……」
そして、こなたは静かに目を閉じた……。
――――
「……た!」
「こな……ん!」
「いず……ん!」
こなた「(なにか聞こえる……、これは……)」
かがみ「こなた!」
つかさ「こなちゃん!」
みゆき「泉さん!」
こなた「み…皆…?」
かがみ「こなたぁぁぁぁ!!」
涙を流しながら、こなたに思い切り抱き着くかがみ。他の二人も安堵の笑みを浮かべている。
かがみ「心配かけてくれたわね!」
こなた「え?…あれ?(私死んだはずじゃ……)」
つかさ「ほんと、良かったよ~。声かけても全然起きなかったんだもん」
みゆき「危うくお医者さまを読んでしまうところでした」
こなた「(どーなってるの?)」
女神『望んだからですよ』
こなた「(この声は女神さま?望んだってどーゆーことですか?)」
女神『あなたのお友達、家族が、あなたに元気になってほしいと』
こなた「(それだけで…?)」
女神『まだ分かりませんか?あなたは書いたのでしょう?ラキノートに名前を……』
こなた「(じゃあ…、皆の幸せは私の……)」
こなた「うっ…うっ…かがみぃぃぃぃん!!」
こなたは泣きながら、かがみを抱き返す。
こなた「怖かった…、凄く怖かったぁ…!」
かがみ「ちょっ…こなた、どうしたのよ(///)」
女神『もうこのノートは必要ありませんね…』
女神は、そうこなたに呟くとノートと共に消えていった。(ちなみに女神はこなたにしか見えない仕組みです)
あれから数日後…。一つの高校に、元気にはしゃぐ女子高生が一人。
彼女の名前は泉こなた。友人達にとても愛されている、幸せな女の子である……。
白石「wawa!?このノートは何だ??」
完