「ふれんず」 ID:+mCwl+Wx0氏

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ついこの間までの寝苦しさにため息をついていたのも忘れたかのようにひんやりとした風が辺りを支配していた。 先ほどから、自分で立ち上がる元気もないのか、それとも意識がないのか。。。 長かったツインテールをばっさりと切り落としたかがみは、 こなたの肩につかまり、引きずられるように月明かりを浴びていた。 「やっぱり、飲みすぎたね」 照れ笑いしつつこなたはかがみに話しかける。 「う゛、うん。。。気持ち悪い。。。まだ着かないの?」 「もうすぐだよ。家賃けちったもんだから、ちょっと遠いのが問題なのよ」 「ケチるって。。。あんた結構稼いでるんじゃないの?」 そう、こなたは今をときめく売れっ子エッセイスト。 高校卒業後本格的に取り組んだブログが某出版社の目に留まり、運よく文庫本化することに。 これがゲーム好きの中高生を中心に大ヒット!2冊目3冊目と重ねるごとにファン層を広げ、 今では泉こなたの名前を知らない人間を探すほうが難しい。 最近は書き下ろしのエッセイを各種ゲーム情報誌やPC情報誌に連載しているらしい。 これだけ成功したのはやはり父親の血を継いでいたからなのか。 「あはははは。せっかく稼いだお金だからね、有効利用しないと」 こなたは明後日のほうを向きながら乾いた笑い声を上げた。 「何に使ってるのよ?」 「まぁまぁ、良いではないか」 なつかしい。かがみはあの頃のことを思い出していた。 あの頃。。。そう、いつ私のツッコミを待つようにくだらない事を言っていたこなた。 1年。。。ぶりになるのかな。。。 柊かがみ22歳―今年度で大学を卒業し、来春からは晴れて一人前の社会人として旅立つ。 昨年の暮れから就職活動にいそしんでいたため、長らくこなたとは会っていなかったのだが、 今日は陵桜学園の同窓会で久々に親友と再会したというわけだ。 同窓会では良くあることで、その雰囲気に懐古の念を抱かずにはいられない。 昔いっしょだった人たちとの再会はそのときの感情さえ忠実に再現してくれる。 かがみもまた”あの頃”の事を思い出し、親友との再会に心を躍らせていたのだ。 「ついたよー」 どさっ! 「イタッ!痛いじゃないの!何も投げ捨てるなよ!」 「だって、かがみん重いんだも~ん」 「バッバカ言わないでよね?これでも最近またダイエtt////」 こなたが赤面する表情を見つめるとさらに頬を高潮させうつむくかがみ。 「うんうん。相変わらずかがみんはかわいいねぇ~」 ニヤニヤとしながらこなたは自宅マンションの明かりを灯し、リビングへと未だに真っ赤なままの親友を招いた。 「やっぱくさいよね~」 先ほどの同窓会で多くのネタを仕入れた彼女たちの会話は止まる事を知らず、 冷蔵庫を埋め尽くしていた缶チューハイもごみ箱の中に埋もれて行った。 「それにしてもそっちの壁一面に広がったフィギュアはすごいな」 「むふふふ、これが愛なのだよ!かがみ」 「はいはい、あんたは変わらないわね~」 半ばあきれたような、でも、どこか安心した表情のかがみ。 自信満々でフィギュアの群れを眺め、悦に入るこなた。 もちろん、このフィギュアの群れが彼女の収入のかなりの部分を占めてるのは言うまでもない。 「つかさ、幸せそだね」 「うん、あの子は夢がかなったからね。。。」 「もうすぐでしょ?べぃびー?」 「そうなのよ!旦那が毎晩うちに立ち寄るのはいいんだけどさ、 二人してベタベタイチャイチャしちゃって、やれやれって感じよ」 「でも、本当は羨ましいんじゃなぁい?」 「そ、そんなこと。。。///」 若い健康な女性のことだ、恋愛沙汰に興味がないといえば嘘になる。 「そだ、かがみんの彼氏さんは?」 「う゛、、、そこを突いてくるか」 「むふふ、また別れたのか」 「はっきり言うな!」 けらけらと笑うこなたにこぶしを振り上げるポーズでおどけてみせるかがみ。 と、その瞬間、崩れるように倒れこんでしまった。 「かがみ!?」 「。。。あ、あはは、悪乗りしすぎたみたいね、頭ぐるぐるする。 横になっててもいい?」 飲み続けてたアルコールの酔いが一気に押し寄せてきたのか、 かがみは目を開けようともせず、横になりささやいた。 「あうー、びっくりした。水もってくるよ」 こなたは立ち上がりキッチンへと歩いて行く。 トレードマークのあほ毛はこの年になってもぴょんぴょんと元気にはねていた。 1時間ほど経ったであろうか。 「。。。ん」 「お、起きた?だいじょぶ?」 意識を取り戻し、目を開くとかがみの目の前にはこなたの顔面が飛び込んできた。 「!」 「床の上だと痛いかなとおもて、膝枕したげたよ」 「!!!//////」 目が開かない、いや、開けられない! こんな状況になるとはよもや思いもしなかった! かがみの頭の中はアルコールで回っているのか、今起きている状況に混乱しているのか。 「そういえば。。。」 「そういえば?」 「ゆたかちゃんやパティたちもお酒飲める歳になったんだよねー」 「そだね~」 「チア。。。懐かしいね」 「そだね、楽しかたよねぇ」 かがみはこなたのひざの上に頭を乗せたままゆっくりと話し始めた。 「占い、覚えてる?」 「おー、そんなこともやったよねー」 「あーあ、あの時あんた言ったわよね? 好きな人とずっと一緒にいられます。って」 「そんなこと言ったかな?」 人差し指でほほをかきながら目をそらす。 かがみはそれを見てちょっとだけ微笑んだ。 「言ったわよ。カードに名前を書き込んで~、その人との相性を~とか言ってさ」 「覚えてないなー」 「まぁいいわ。そのうち素敵な人が現れるわよね?」 そう言ってかがみは起き上がり、乱れた髪の毛を手ぐしでといた。 「さて、寝よっか?」 「あー、パジャマ貸すね~」 「その前にシャワー借りるよ。頭すっきりさせないと」 照れながらかがみはふらふらと浴室へ向かって行った。 「そこの右ねー。。。タオルあったかな?」 こなたは立ち上がり、隣の部屋へ。。。 そこにはチアダンスの時の記念写真が堂々とした額に入れられ飾ってあった。 彼女はおもむらに額の後ろに手を回し、一枚のカードを取り出す。 「あの時のカード、私が持ってるって知ったら、怒るだろうな~」 苦笑してカードを見つめる。 「いやいや、かがみんのことだ。ものすごい勢いで赤面してうまくしゃべれないかも」 手の中のカードにはこなたの良く知る人物の名前が。 「ちゃんと私の占い当たってるよね?」 ふふふっと微笑み、タンスからタオルを一枚取り出した。 「これからも、ずっとね」 こなたは絶対にかがみに聞こえることのない声でつぶやきタオルを置いた。 カードに書かれた名前、それは。。。。 秋の夜長。鈴虫の鳴声を聞きながら、もう少し昔話を続けよう。 Fin

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