ID:zRaQUVAr0氏:高良生物研究所

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「皆さん元気ですね♪こら!そんなに暴れると打ち首ですよ!」 白衣に包まれた少女、みゆきの激が飛ぶ。 あらゆる生体の生態を徹底的に調べ、そこから新たなモノを造り出す、闇の研究所。 これが高良~の正体であった。ちなみに表向きはみゆきの親戚が経営するペットショップである。 「ろち丸、元気ですか?」 最近海外から密輸されてきた大ゴキブリを、優しく手に乗せる。体長約15cm、そいつはみゆきに抱かれ寝息を立てていた。 「可愛い♪」 グロテスクなそれを籠に戻し、みゆきはある一室に入って行った。 こなたと柊姉妹、3人は夏休みの最後を共に過ごしていた。 言わば宿題会である。無論かがみはとっくに宿題なんて終していた。 今日の役目は、実質2人のお目付けであった。そんな今はちょっとした休息時間。 コンビニタイム。それぞれの会計を済まし、外に出てきた。 「さて、うちに帰って続きでも始めるか!」 「あはははは、もう少し休みたいかも」 「あんた達は休み過ぎなの。もう、私1人で遊び行っちゃうから!」 「いぃけぇずぅ~、宿題出す方が悪いんだよ!権力の横暴だ!いじめだ!」 「はいはい。ほら、早く帰るわよ」 そんなこんなで帰路につく3人。 「あ、わんわんだ。お~い」 めざとく使命を忘れ、こなたは道端をうろつく小犬に近付いて行った。 「まったく、こなたったら」 犬はこなたが近付いても逃げなかった。まるで無関心であるかのように。 「あははは、よっ!」 こなたは小犬を抱きかかえた、途端、どこかで聞き覚えのある声が耳に入ってきた。 『んだよ!?ほっといてくれよ…』 「え?」 当然ながら耳を疑った。こんな距離で人の声が聞こえるはずがない。 「なんだったんだろ…ん?…うわあぁぁぁぁぁぁ!?」 『うっせぇな、大声出すなよ』 こなたは驚愕した。腕の中の小犬はただの小犬ではなかった。 青い髪に少し痩けた頬、そして声、それはまさしく、父の顔であったのだ。 「こなた!どうしたの!?噛まれたの!?」 心配になった2人が来てしまった。再び悲鳴。 「どういう事よ…これ…」 「気持ち悪いよ…こなちゃん」 どうもこうもなく、そうじろうの顔を持つ小犬がいると言う事実。 「何で?お父さんは今日、うちにいたよ?何で?何で?」 何もわからない。わかるはずもない。 こなたはいてもたってもいられなくなって家に電話をいれていた。 「はい…あぁ、こなた?どうした」 「…う、うぅん。何でも…、な、何言おうとしたかわすれちゃった…ははは。じゃあね」 何も言えなかった。 「ど、どうしよう…」 「人面犬…初めて見たわね…」 「怖いよ、保健所に連絡しようよ~」 つかさは容赦がなかった。 研究所は騒然としていた。 「S-01が!S-01!どこ?どこにいるんですか!?」 契約も済み、出荷を待つだけとなった人造生物S-01。 その小さな生物が管理小屋から逃げ出していたのだ。 「あ、おじさま、S-01、見掛けませんでした?」 みゆきの伯父は首を横に振るだけ。手がかりはまるでなかった。 「この世に2つとない生物が…あぁ、S-01!S-01!」 管理小屋の鍵、部屋の鍵は閉めていたはず、電子ロックされていたのだから みゆき以外が開けることは出来ない、はずだった。 みゆきは落胆した。チップを入れておけば、いやそれを付けた首輪さえ付けていれば探知ができたのに。 「まさか…誰かが?暗証番号がばれていた?」 契約の額は高級車が、いや、家さえも建てられる程のものだった。 それを知れば誰かが… 「誰ですか!?」 みゆきは疑心暗鬼に陥っていた。     「かがみん…これ、連れて帰って…いい?」 「げ!あ、あんたのおじさんはなんともなかったんでしょ?だ、誰かに飼われてるのかもしれないじゃない」 『どうでもいいけどよ、放してくれよ。束縛されるのは嫌なんだよ』 「こなちゃん、この子もこう言ってるよ?放してあげようよ?」 すると、突然みんなの後ろから声が聞こえた。 「パトラッシュ!?」 口ごもった女性の声だった。みんなはつい振り返ってしまった。 その女性は口に大きなマスクを付け、夏場だというのにコートをはおっていた。 見るからに異質な風体であった。 『ママ!ママ!会いたかったよ!ママ!おら、放せよ?ヲイ!』 「あっ!?」 一瞬の隙を付いて、人面犬はこなたの元から放れてしまった。 「きゃ、くすぐったいわ、パトラッシュ。あなた達がこの子を見つけてくれたの?」 「はぁ…」 こなたが答える。 「この子、とても珍しい種なの。ごめんなさい、今はお礼ができないの。今度ここに電話して?お礼をするわ」 電話番号の書かれた紙をこなたに私、女性と人面犬は去って行った。 「あれ?お父さんとの関係は?」 「ないんじゃ…ない?空似よ、空似。…つかさ?何やってるの」 「…をみたよ!マジだって!…あ、壺に報告をね」 もう異様な1人と1匹は見えなくなっていた。 みゆきは己のうっかりに落胆していた。 既に出荷用のケースに移していたのだから、管理小屋にいるはずがなかったのだ。 「忘れてました…ここですよね?」 厳重にロックされたケースを開けると、そこには人間の頭にクモの足を生やした そんな生物がもぞもぞとうごめいていた。 みゆきはその中に活きの良いヒヨコをいれてやる。クモ足と口を使って弱肉強食の地獄絵図が展開されだした。 みゆきの視線は子を見守る母親の様であった。可愛い我が子が大好物を食している。それを見るだけで満足。 「あなたとはもう…お別れなんですね…」 今までの思いでが走馬灯の様に頭に浮かんでくる。 失敗して肉塊となり果てたプロトタイプ、負けて食われた弟02、01は苦心の末に産まれ育った、奇跡の子だったのだ。 「別れたくない…別れたくないです…」 みゆきは遂に泣き出してしまった。 それから数日後、01は遥か異国へと旅立って行った。 「さようなら、幸せになってください。01」 みゆきは今日も闇の研究を続けている。  「今回は人面犬です!初めてなのでドキドキします♪」 (完)

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