ID:bPsQdTmO0氏:ゴーヤチャンプル

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蝉時雨の道をつかさは行く。 今日も一人だ。 かがみもこなたも隣にいない。 不治の病におかされてしまったかがみは現在自宅療養中だ。 療養中と言うがこれは不治の病。病院でも治せないので、せめて残りの人生を家族のいる自宅へと移されたのだった。 つかさ「ただいま、お姉ちゃん」 かがみ「おかえり、つかさ。今日の調理実習はどうだった?」 つかさ「えへへ、今日はこなちゃんがね」 つかさはいつも、二人でいられる時間があとどれくらい残されているのか、カウントダウンはどこまで来ているのかという考えを、どんなに楽しくこなたやみゆきと喋っても、どんなに得意な料理を作っていても、頭から離す事は全く出来なかった。 そのせいでつかさは限界に来ていた。夜は眠れず、食事もほとんど受け付けない。 最近はいつもかがみの部屋で寝たり勉強したりしているが、つかさの不安は減る事はなくむしろ増す一方だった。 先日体重を量ったのだが、一ヶ月の間に5kgも痩せてしまった。かがみよりも早いペースで痩せ衰えている。 かがみもつかさの様子がおかしい事には気が付いていたが、だからと言って何か出来るわけではなく、ただ出来るだけ沢山の時間をつかさと過ごそうと思うばかりだった。 今日も夕食はつかさが作る。 今日は家族全員帰るのが遅いと言うのもあるが、自作の料理をかがみに食べてもらおうと、最近はいつもつかさが作っていた。 今日はゴーヤチャンプルだ。かがみが食べやすいように、ゴーヤは細かく刻んである。 つかさはいつも思っていた。 元気な私と病気のお姉ちゃんの体を交換出来れば良いのに、と。 最初のうちは病気にかかるのが、お姉ちゃんじゃなくて私だったら良かったのにと思っていたが、かかってしまったのだからもう遅い。治らないのならせめて私が受け持ちたい、と。 二本目のゴーヤの中身をスプーンで掻き出す。これをしないと苦くて食べれたものではない。 ゴーリ、ゴーリ、ゴーリ、ゴーリ、ゴーリ。 スプーンがゴーヤをけずる音を聞きながら、つかさはある事を思い付いた。 そうだ、出来るよ、簡単だよ。待っててね、お姉ちゃん。 ゴーリ、ゴーリ、ゴーリ、ゴーリ、ゴーリ、ゴーリ、ゴーリ、ゴーリ、ゴーリ、ゴーリ、ゴーリ。 かがみはつかさが心配でたまらなかった。つかさの体調だけではない。つかさの態度や行動もおかしい。 最近こなたやみゆきが見舞いに来ない。どうもつかさが来させていないようなのだ。 さっきだってこなたの悪口が多かった。 どうして?あんなに仲が良かったじゃない。私のせいなのかな? なんとかならないのかな? そうだ、こなたに電話してみよう。 かがみはテーブルの上にある携帯に手をのばした。 そこにコンコンとノック音が響いた。 つかさかな?電話は後にしよう。 かがみ「入って~」 つかさ「お姉ちゃん……。ハァハァ……、んっ、ご飯が出来たよ……。」 かがみ「どうしたのよ?顔が真っ青じゃない。」 左手にはお盆を持ち、そこにはおかゆとゴーヤチャンプル、デザートのりんごとそれを剥くための包丁が乗せられている。 しかしつかさの様子がおかしい。 明らかにおかしい。 かがみはなんとなく不安になった。 つかさ「え?えへへ……、なんでも、ないよ?うう、さあ食べて?お姉ちゃん……。」 かがみ「う、うん。じゃあ、いただきます。」 かがみは釈然としないまま、つかさの作ってくれた料理を食べる事にした。 かがみ「うん、おいしいわよ。ゴーヤもそんなに苦くないし、豚肉もいい味よ。」 つかさ「よかった~、ハァハァ……、でもね?それは、豚肉じゃあ、ないんだよ……」 かがみ「豚肉じゃない?それに右手は何を隠してるのよ?見せてみなさい。」 つかさは右手を背中の後ろに隠していた。それをかがみは引き出した。 つかさ「え、へへへへへ……」 かがみは最初右手の何がおかしいのかわからなかった。出血している。止血はしているようだが。 さらに良く見ると何が違うのかわかってきた。 かがみ「イヤ……。つかさ?どうしたの?なにこれ?イヤァ、イヤァ……」 つかさ「あのね……?お姉ちゃんが、くっ、ううぅ、食べたお肉はね?はぁ。」 つかさの右手が無かった。手首の関節から先が無かった。 つかさ「私の右手なんだよ。」 かがみ「いやっ、いやっ、いやっ、つかさ?つかさ?」 つかさ「お姉ちゃん、これできっと元気になれる。いいぃ……ハァハァ……。今度はお姉ちゃんを食べたいな。」 つかさは包丁をつかんだ。 かがみ「え?つかさ、やめて?お願いだから……。」 体力のないかがみは大声で叫ぶ事も、逃げる事も出来ない。 助けは来ない。 こなた、たすけてよ。 かがみ「いやあぁああぁぁ、やめて。」 つかさはかがみの右手を引く。 かがみ「いやああああああああああああ………。」

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