:こなたんファンタジー ~宙を見つめるもの~ 1 ID:uoqg6Yc0氏:こなたんファンタジー ~宙を見つめるもの~ 1

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:こなたんファンタジー ~宙を見つめるもの~ 1 ID:uoqg6Yc0氏:こなたんファンタジー ~宙を見つめるもの~ 1」(2010/05/29 (土) 21:58:23) の最新版変更点

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こなた「もういいよ!かがみとは二度と話したくない!」 こなたです。かがみと喧嘩をしました。 代わりに私を迎え入れてくれたのは、剣と魔法と冒険でした。 つかさ「うん、『宙の目』が開眼するのを防ぐために冒険してるの」 そこは、私の理想の世界。 みゆき「こなたさん、その剣を握ってください!」 ドキドキ、ワクワク、時々ハラハラする冒険。 でも私は、本当にここにいて良いんだろうか? こなた「お母さん止めてよ!なんでそんな酷い事するの!?」 かなた「ごめんねこなた。あなたはここにいてはいけないの」 かがみ「こなた?知らないわ。あんた、誰?」 私が本当にしたい事は……。 こなた「ねえ、つかさ」 つかさ「なあに?こなちゃん」 こなた「私、かがみに謝りたいだ」 世界が私を慰める。 こなたんファンタジー ~宙を見つめるもの~ 近日公開 5月28日。 今日って何の日かわかる? なんてありきたりなセリフだろうね。 今日は私の誕生日。 18歳になって堂々とエロゲ買えるじゃん!と、少し前の私だったなら、誕生日の価値をその程度のものとしか思わなかっただろうね。 自分の誕生日の事なんてどうでも良い、と思っていたのは中学生までの事で、最近になって誕生日の感じ方が変わった。 自分の年齢が一つ増える事、それ自体にはあんまり興味は無くて、それよりも私の特別な日が年に一度だけ訪れて、私のために友達が私を持てはやしてくれる事。 いや違うかな。根本的には「私」っていう存在が、身の回りを変化させられる事が重要なんだと思う。「私」がいるから、この日は誕生日なのだから。 とにかく、高校生になって、誕生日を祝ってくれる友達が出来た。 祝ってくれる友達がいるからこそ、私は特別な存在になれて、それでようやく誕生日に価値が生まれたんだと思う。 中学までの私には誕生日を心から祝ってくれる友達がいなかった。 そう例えば、中学二年の頃、私の隣の席にバスケ部の女子が座っていた。その子は見た目が悪くないし性格も良いもんだから男女共に人気者だ。そんな訳で、その子が誕生日を迎えると、クラスメートが登校してきてその子の顔を見るなり「happy birthday!」だの、欧米か!と突っ込みたくなるように次々にお祝いの言葉を浴びせるんだよね。その日一日、その子はVIPだ。 その子、笑っていた。 それに対して私ってどうだろう。 中学二年の誕生日、興味が無かったからあんまし覚えてないけど、私の顔を見て「誕生日おめでとう!」と言った人は誰もいなかった。 その頃の私にはオタク友達が一人いて、そいつに 「今日がなんの日かわかる?」 と聞いてみたら 「ゲームの発売日でしょ?」 と答えやがった。 そもそも、私の誕生日を知っているクラスメートなんて誰もいないと思う。 ま、私だってそのオタク友達の誕生日を知らないんで、人のことは言ってられなかったりして。 私は、私の誕生日に興味がなかった。 自分の席から見える窓越しの青い空が、今日は尚更青く見える気がする。 突然、私が堪能していたブルースカイが白いセーラー服で覆い隠された。 そいつは私と目が合うと、丸い顔が百点満点の笑顔に変わった。 「エヘヘ、こなちゃん、お誕生日おめでとう。今日で18歳になるんだよね?」 「むふふぅ、ありがとーつかさ。これで18禁のエロゲが買えるのさぁ」 誤解はしないでね。決して、誕生日の価値がそれだけしか無いと思っているわけでは無い事を、もう一度言っておくからね! 「泉さん、お誕生日おめでとうございます」 つかさの隣からぬっと、胸に二つのメロンをぶら下げた……、もとい、豊満な胸と高い身長、ズルいくらい私と正反対のプロポーションの少女、いや女性?う~ん、そんな事言ったらみゆきさん怒るかなぁ、まあとにかく友人のみゆきさんが顔を出した。 「どうぞ、誕生日プレゼントです。大した代物では無いのですが、気に入って頂ければ幸いです」 「こなちゃん、私からもあるよ。はい、どうぞ」 みゆきさんからは黒と白が基調の大人っぽいお洒落な紙袋を。 つかさからはデフォルメされた犬のキャラクターが描かれている包装紙を、それぞれから手渡された。 中身はわからない。 帰ったらゆっくり脱がせてやろう。 「ありがと~。いやあ、年齢は着実に順調に増えていってるんだけどさあ」 「どうしたの?こなちゃん」 「私の身長は全然これっぽっちも増えないんだよね~。じ――――」 「え、どうかしましたか?私の顔に何か付いていますか?」 「ううん、なんでもないよみゆきさん。ハァ、世の中なんでこんなに不公平なのかね」 私はあくまでもいつもの私を演じているけれど、内心じゃあ、大声で何事か叫びながらさっきまで眺めていた窓からバンジージャンプしてキレイに着地をキメたあとグラウンドを何周か駆け回ってまたここに戻って来て「誕生日おめでとう」と言ってくれたこの二人を力いっぱいギュッと抱きしめたい、と言う気持ちでいっぱいだった。 そう、今日は私の誕生日であり、一年に一度だけ私が主人公になれて、私と言う存在を再確認できる日なのだ。 私はその日、授業の内容をほとんど聞き流し、今週の土曜日に行うつもりの誕生日パーティーの企画を練っていた。 つかさ、かがみ、みゆきさん、ゆうちゃん、ゆい姉さん、あとお父さん。 このメンバーでパーティーをする。 そうだ、まだかがみからおめでとう、と言ってもらってない。じゃあ昼休みかな。 ところがかがみは昼休みになってもやって来なかった。 いつものかがみは、つかさとみゆきさんと私を合わせて4人で弁当を食べているのに、どうして今日に限って来てくれないんだろう。 「う~ん。私は昨日の帰りに、こなちゃんと別れてからプレゼントを買ったんだけどね、お姉ちゃんって昨日は峰岸さん達と帰ってたでしょ?だからお姉ちゃんがプレゼントを買ったのかって、わかんないんだよね。で、でも、お姉ちゃんだからきっと大丈夫だよ」 つかさに言われてなんとなく思う。私って、図々しいなあって。それと一緒に、私って、やっぱり女なんだなとも思った。 ほら、新婚の夫婦で、夫が結婚記念日を忘れて、妻が怒り出すっていう奴。 「つかさもみゆきさんも、今日が私の誕生日だって事は、かがみに黙っててね」 午後の授業が始まる直前、私はかがみがいるはずの3―Aを覗き込んでみた。 かがみがいた。 かがみの周りにはみさきちや峰岸さんもいて、楽しそうに談笑しているところだった。 ねえ、かがみ。どうして私の所に来てくれないの? 今日って、何の日かわかる?このたった一言すら言えない私。なぜって、怖いから。 なによ藪から棒に、はいプレゼント、誕生日おめでとうこなた。 もし、かがみがこう言ってくれなかったらどうしよう。 私の心の奥底で、ひんやりとした冷たい風が吹きすさんだ。 かつて、私が私以外の全ての事を他人事に思い、また私以外の全てが私の事を他人事だと思っていた時期の、あの感覚だ。 強い喪失感のような物を感じながら、私は静かに自分のクラスへと戻った。 その日、私は一人で家に帰った。 かがみがみさきち達と一緒に教室を出るところを目撃した。 一瞬目が合ったけれど、多分かがみは、私の期待している言葉を言ってくれないだろうと思う。 家に着くとすぐにパソコンの電源を入れる。背景は好きなギャルゲーのヒロイン。 かがみの事を思い出してみる。かがみは絶対に私の誕生日を忘れてると思う。 はあ、何ヶ月も前から楽しみにしていた私の誕生日は、結局、かがみにとってはどうでも良い一日だったんだね。 デスクトップの隅っこにある、魔法の杖をデフォルメしたイラストのアイコンをダブルクリック。 数秒待つと画面中央にドラゴンのイラストがどーん。 最近ハマってるファンタジー物のオンラインゲームだ。 私のジョブは盗賊。攻撃力はショボいけど、なかなかトリッキーで面白いと思う。 お、早速誕生日プレゼントが届いてるね。 机の上に私のお母さんの写真がちょこんと置かれていたので、グチってみた。 「顔のわからない相手がちゃんと私の誕生日を覚えていてくれてたって言うのに、かがみは今日が何の日か覚えてないんだよ。どうせかがみなんてその程度の仲ですよ~」 お母さんが何かを答えてくれる訳もなく、急にいろんな事がどうでもよくなって、私はふて寝する事にした。おやすみ。 目覚ましの音で目が覚めると、もう太陽が登っていた。 今日は5月29日であり、私の誕生日から既に地球が一回転してしまった。 枕元にはつかさと、みゆきさんがくれた誕生日プレゼントが置かれているけれど、これももう誕生日にもらった事があるプレゼントであり、過去の思い出の品へと変わってしまっていた。 今日で18才二日目に突入してしまい、何の変哲も無い日に変わった。 そう、誕生日は終わってしまったのだ。 もうこんな時間。学校へ行かなきゃ。はあ、すごく足が重い。 いつもの私は、バス停でバスを待っているつかさとかがみ達と一緒に登校していた。 実は待ち合わせをしてる訳でもなく、その時にちょうど二人に会えたら、じゃあ一緒に行こうかって言うノリだったりする。 私は今、遅刻寸前のギリギリ間に合うバスに乗るために、駆け足をしているところ。 基本的に早起きな二人が、こんな時間にバス停にいる事なんてまずない、そう思っていた。 ところが意外にも、バス停には見慣れた二人の後ろ姿があった。 「こなた!」 かがみだ。私を待っていたんだ。私は、昨日、ずっとかがみを待っていたのに、来なかったくせに。 「ごめん、こなた。昨日があんたの誕生日だって事、忘れてて……」 かつて見たことも無いほど弱気なかがみは、少しうつむいたまま上目遣いで私の顔を覗いていた。 やっぱりだった。かがみは私の誕生日を忘れていた。 「なに?いまさら」 冷たい言葉を言い放ってやった。 「いや、その、誕生日おめでとうってね」 「私の誕生日は昨日だったの。もう終わっちゃったの」 自分の言葉が自分を刺激して、胸の中の熱い物がドンドン膨れ上がっていく。 つかさが不安そうに、私達のぎこちないやりとりを観察しているのが見えた。 「あ、あのさ。誕生日プレゼント持って来たんだけど」 しましま模様の小さな紙袋を、申し訳なさそうに差し出すかがみ。 今の私は、かがみがする動作一つ一つが一々鬱陶しく思えて、イライラして、そして胸の中の熱い物がとうとう爆発した気がした。 「そんなものいらないよ!もうかがみは私の友達なんかじゃないんだ!」 かがみが渡そうとしていた物を、強く叩き落としてやった。やってやった。 それは大きな音を立てて地面に当たると、中身が辺りに散らばっていく。 トランプだ。絵柄には見覚えがある。数ヶ月前、私がかがみに勧めたアニメ。そのキャラクター達の顔だ。 私とかがみを繋げる思い出が今、無残に地面に散らばっているんだ。 カードが入っていたのであろうケースが割れているのが見えた。ザマー見ろだ。 「あ……」 かがみのかすれた声を聞いて、顔をうかがって見ると、苦虫を噛み潰したような顔をして小さく震えていた。 悲しいんだろうか、悔しいんだろうか? そしてとうとう、目から涙が溢れ出た。 私はそれを見て、初めて罪悪感がこみ上げて来た。 違う!私は悪くない!楽しみにしてた誕生日を忘れて、台無しにしたのがかがみだ! 「私が悪いんじゃないんだ!」 走った。 悔しかった。 悲しかった。 どうして私がそう思わなきゃならないのかわからない。 訳がわからないくらいに走った。そして、次第に目が回った。 私は空を飛んでいるような気がした。 続く **コメント・感想フォーム #comment(below,size=50,nsize=50,vsize=3)
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