ID:I4a9BV360氏:タイトル不明

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強い風が吹き抜ける。 そこはビルの屋上。辺りには幾つもの血と肉が散らばっている。 人だ。もとを糺せば人であるはずの、様々な散り方をしたそれは、戦いがどれだけ凄惨かつ残虐なものだったかを物語っている。 「やっぱり、最後は私達4人の戦いになりますか‥‥」 かち。メガネを押し上げる音。他の3人も臨戦体制に入った。 「はは、まぁ雑魚なんて幾らあがいても雑魚だった、ってことじゃないの?」 「まぁそれはアンタだけどね、こなた」 「2人とも、落ち着いた方がいいと思いますよ?戦いというものは冷静さを欠いた者から死んでいくのですから」 「みゆきこそ、そんな敵に塩を送るようなマネはよした方がいいんじゃないの?」 「うん、悔いを残さないように後は精一杯‥‥戦うだけっ!」 最後の言葉の主が、拳をつきだす。それは開始の合図。 4つの影が四方に散る。お互いが得意な間合いを推し量るためだ。 しかし先刻、拳を突き出したつかさは連携攻撃で一つを追い続けていた。その人物とは。 「もっとも力の無い者を先に潰す。戦の要諦だよっ、こなちゃん!!」 「つかさにナメられるなんて、あたしもまだまだみたいだね!」 脚。 連携攻撃で繰り出された脚を、同じく脚でガードする。 「格闘技を習っていたならわかるでしょ?そもそも体格差の違いは如何ともしがたいんだって!漫画みたいにはいかないよこなちゃんっ!!」 「くっ!」 一閃。鍔迫り合いをしていた方の脚を引っ込めると、すかさず逆の脚で敵の上半身に追撃。 かろうじてそれを腕でガード。しかしつかさの攻撃速度は、こなたの予想をはるかに越えていた。 追突を繰り出した脚を目にも留まらぬ速さで引っ込めると、違う方の脚で地を踏ん張り、こなたに向かって突進。 両手のひらをあわせ、2つを掌底の形にして突き出すと、 「気功掌っ!!」 両腕で×のガードしたままのこなたを吹っ飛ばした。 後ろの倉庫へと打ち付けられ、がん、と鈍い金属音が辺りに響いた。 「私達、そんなに体格は変わんないけど‥‥一般的な私と小学生に間違われてもしょうがないようなこなちゃんじゃ差は歴然としてるんだよ!!」 言いながら、未だに起き上がらないまま座り込んでいるこなたへと詰め寄って、 「これで終わり!じゃあねっ、こなちゃん!!」 闘気。唸るような気迫が渦を巻き、両拳へと集約される。 今にもくたばってしまいそうな目でそれをみつめるこなた。その手には‥‥サッカーボール。 「つかさ、倉庫にこんなものが入ってたんだよね‥‥」 「はぅっ・・・!」 闘気の集約が止まる。 だがそれも一瞬で、次には更に強い速さで周りを渦巻いていった。 「させないよっ・・・こなちゃん!!」 甘かった。もう動けないと踏んで、溜め時間のかかる技をセレクトしてしまった自分。 仮にこのまま技を放ったとしても、それは中途半端な威力にしかならずスキを生むだけだ。先ほどとは違う、一撃必殺を持った相手にスキを与えてしまうことはすなわち自分の死を意味する。 ならば、自分も一撃必殺の撃を持って立ち向かうだけ。攻撃の準備で動けない自分と、身体に傷を負って動きの鈍っている相手。どちらが早いか・・・勝負!! 再び両掌を重ねた。 その気は大きな質量を持って、相手へと襲い掛かる。 「桜花八卦掌!!」 カチカチカチッ。 ダイヤルを回す音。瞬間、こなたの右足が光を放つ。 立ち上がり、脚を振り上げ、置かれているサッカーボールを光る右足で蹴り上げた。 「うおああぁっ!!!」 全身が痛い。傷だらけの身体に無理をいわせた代償。しかし弾丸のように放たれたシュートは、鉄の様な殺気を破った。 直撃。つかさはその一撃を腹に受け、場外───つまり、ビルの屋上から真っ逆さまに落下していった。まともな人間ならばまず助からない。 「はぁっ、はぁっ‥‥‥つかさはこーゆぅ言葉を聞いたこと無い?“見た目は子供、頭脳は大人。その名は───”」 荒い呼吸のままに、勝ち台詞を一つ。だがそれも一瞬だった。 銃声。 確実なる殺意を持って放たれたソレは、こなたの頭を悠々と貫いて─── 「ご苦労様、2人とも。お陰でいい骨休めになったわ」 降り注ぐ日の光を浴びて、翻るツインテール。 黒光りするそれが、1人の友人の命を奪っていった。

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