ID:hAubWjwo氏:さらば!怪傑かがみん! 其の参

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こなた「おはよー、つかさにみゆきさん。今日もかがみは休みなんだネ」 みゆき「おはようございます、泉さん。どうやら、そのようですね」 つかさ「……おはよう」 こなた「あれー?なんか元気ないね。どったの、つかさ?」 みゆき「どこか体の調子でも悪いのですか?」 こなた「もしかして、かがみに風邪をうつされちゃったとか?それなんてエンドレス――」 つかさ「ううん!私は大丈夫だよっ!……大丈夫なんだよ、私は……」 みゆき「私は、ですか。ということは、かがみさんの身に何かあったのですか?」 こなた「深読みし過ぎだよ、みゆきさん。かがみなら昨日も平気そうだったし――」 つかさ「平気じゃないよ、こなちゃん!全然、平気なんかじゃ……うわあぁぁん!」 ~さらば!怪傑かがみん! 其の参~ いやあ、びっくりしたのなんのって。 朝の教室でつかさがいきなり泣き出すとは思わなかったよ。 みゆきさんがなだめてくれたから、なんとかなったけどね。 それにしても気になるのは、昼休みの時間につかさが言ったこと。 放課後に2人に相談がある。事はかがみの命に関わる。 もう、気になって気になって、午後の授業に集中なんてできないよ。 みゆきさんも落ち着かないのか、筆記用具を何度も床に落としるし。 いったい、かがみの身に何が……まさか、容態が急変? いやいやいや、まさか!かがみに限ってそんなことは! 頭の中で、かがみが主人公を演じる様々な悲劇が上演される。 不治の病。予期せぬ事故。なんらかの事件。 それらを想像しながら悶えていると、いつの間にか終業の時間を迎えていた。 私は鞄をひったくるように掴みあげ、つかさの席にとんでいく。 私にワンテンポ遅れて、みゆきさんもやってくる。 それを追いかけてきた来た副委員長に、今日は欠席しますっ、と振り返りざまに凄い迫力で答えるみゆきさん。 そして、つかさの腕を掴んで教室から出て行った。 ちょ。私を置いていかないでよ。 真っ白に燃え尽きた様子の副委員長を後に残し、慌てて2人を追いかける。 おっと、つかさの鞄も忘れずに持っていってあげなきゃね。 521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/08/11(火) 23:07:57.74 ID:hAubWjwo こなた「みゆきさん、少しは落ち着いた?」 みゆき「はい。すみません、取り乱してしまいまして。お恥ずかしい限りです」 こなた「いやいや、今回ばかりはしょうがないと思うよ?私も同じ気持ちだし」 みゆき「そう言っていただけると、少しは救われます」 こなた「まあ、副委員長はカワイソウだったけどネ~」 みゆき「そ、そうですよね。彼には明日きちんと謝っておきます」 いつもの喫茶店で一息。 飲み物を口にして落ち着いたのか、みゆきさんも険しい表情からいつもの表情へと戻った。 こなた「で、昼休みにつかさが言ってた相談のことなんだけど」 みゆき「何でも、かがみさんの命に関わる、とのことでしたが」 こなた「うん。そろそろ詳しく聞きたいんだけど……お願いできるかな、つかさ?」 つかさ「……」 みゆき「つかささん、お願いします」 教室を出てからずーっと無言で俯いていたつかさが、私達に促されて顔をあげる。 そして、店内の様子を用心深くキョロキョロと伺ってから、小声で話しだした。 つかさ「あのね、これから私がする話は、絶対に誰にも話さないって約束してほしいんだ」 こなた「誰にも?ゆーちゃん達にも?」 つかさ「うん。それが約束できないなら、今からこなちゃん達に話をすることはできないよ」 少しこわい顔をして、つかさは私達を真っ直ぐに見つめた。 私は横に座っているみゆきさんと顔を見合わせて、頷く。 みゆき「わかりました。絶対に話しません。約束します」 つかさ「ありがとう、ゆきちゃん。こなちゃんも、それでいいんだね?」 こなた「もちろん。喜んで約束させてもらうヨ」 つかさ「うん。それじゃあ、話すね……お姉ちゃんのことなんだけどさ」 そこでつかさは一呼吸置いて、それから自分でもその言葉を確かめるかのようにゆっくりと言った。 522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/08/11(火) 23:09:48.20 ID:hAubWjwo つかさ「実は、お姉ちゃんは『怪傑かがみん』なんだよ」 こなた「っ!?」 みゆき「そ、そんな、まさか!?」 つかさの口から飛び出してきたのは、にわかには信じがたい驚愕の事実。 かがみが、あの『怪傑かがみん』? どう考えても、それはありえない。 横目でちらりと確認した表情から察するに、みゆきさんも私と同意見のようだ。 みゆき「ありえません!今まで私達の前に現れていた怪傑かがみんの正体が、かがみさんだなんて!絶対にありえません!」 つかさ「ゆきちゃん、声が大きいよ。少し落ち着いて」 こなた「みゆきさんの反応は当然だよ、つかさ。だって、本当にかがみがそうだとしたら、どこかの時点で私達は正体に気がついてたと思うよ?」 つかさ「うん。私もそれはそう思う」 こなた「へ?」 つかさ「今まで目にしてきた怪傑かがみんの正体が、お姉ちゃんだったんだとしたら、私もとっくに気がついてたと思う」 みゆき「あの、つかささん、いったい何をおっしゃっているのですか?先程、かがみさんが怪傑かがみんだと言われましたよね?」 こなた「そうだよ、つかさ。なんか、言ってる事がむちゃくちゃだよ?」 つかさ「そうかな?……ねえ、こなちゃん。昨日のこと覚えてる?」 こなた「昨日のこと?」 つかさ「うん。怪傑かがみんが現れたって私に話してくれたよね?あの話、ゆきちゃんにもしてほしいんだけど」 こなた「ああ、あれ?別にいいけど、何もこんな時じゃなくたって――」 つかさ「今じゃなきゃダメなんだよ。とっても大事なことだから、お願い」 こなた「わ、わかったよ」 こなた「――でね、ついに1号と2号はその身を犠牲にして、悪の首領もろとも炎の中へと消えていったんだってさ」 これでこの話をするのも3度目だ。最初はかがみ、次につかさ、そして今。 さすがに少々飽きてきたし、今はこんな話をしたい気分じゃないから多少投げやりに話したけど、みゆきさんは何やら真剣な顔で私の話を聞いていた。 そして、最後の結末まで聞き終わったとき、みゆきさんの顔色は何故か真っ青になっていた。 みゆき「これは……なんという……つかささん、あなたが言いたいのはそういうことだったのですね」 つかさ「わかってくれたみたいだね、ゆきちゃん」 こなた「え?何が?何かわかったの、みゆきさん?」 みゆき「しかし、まだ肝心な部分がそうと決まったわけではないと思うのですが」 つかさ「それに関しては、こなちゃんと私で証明できると思うんだ」 523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/08/11(火) 23:11:08.53 ID:hAubWjwo こなた「ちょ、ちょっと2人とも!私を抜きにして話を進めないでよ!……ねえ、みゆきさん。今の話で何がわかったっていうの?」 つかさ「こなちゃん。ゆきちゃんから説明を受ける前にさ、こなちゃんにちょっと聞きたいことがあるんだ」 こなた「え。でも……」 みゆき「泉さん。すみませんが、先につかささんの質問に答えてあげていただけますか?」 こなた「う。わかったよ、みゆきさんがそう言うんなら」 置いてけぼり感がハンパじゃないけど、とりあえずみゆきさんの言う事に従う。 さっさと答えて、みゆきさんにつかさの考えている事を説明してもらわなきゃ。 つかさ「ねえ、こなちゃん。昨日の怪傑かがみんに何か違和感を感じなかった?」 こなた「違和感?」 つかさ「うん。今までこなちゃんが見てきた怪傑かがみんと比べてどうだった?」 こなた「えーっと、どうだったかな」 つかさ「大事なことだから、しっかり思い出して答えてね」 こなた「うー……確か髪型や服装がいつもと違ったけど、それはだって、昨日の怪傑かがみんは私も初めて会った『V3』だから仕方が……っ!?」 わかった。つかさが言っていたのは、そういうことだったのか。 私達が今まで目にしてきた怪傑かがみん、それはおそらく1号か2号のどちらかだと思うが、その正体は何処の誰だかわからない。 しかし、昨日私が目にしたのは怪傑かがみんV3。 今まで私達が目にしてきた怪傑かがみんとは別モノの新たな存在だ。 つかさは、このV3の正体がかがみではないかと言いたいのだろう。 だとしたら、つかさの発言にブレは無いと言える。 つかさ「思ったとおりだよ。昨日こなちゃんが会ったのは、私達がこれまで見たことのある怪傑かがみんとは違うものだったんだね」 こなた「でも、でも!そのV3の正体がかがみだっていう証拠はまだ何も――!」 つかさ「髪型はストレート。服装は青のオーバーオール」 こなた「っ!?……な、なんで?なんで、つかさがそれを知ってるの?私はまだ誰にもそこまで話してないのに」 つかさ「そっか。やっぱり、昨日の怪傑かがみんはその格好だったんだ」 こなた「え?何?つかさは知らなかった……の?どういうこと?」 524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/08/11(火) 23:12:44.29 ID:hAubWjwo つかさ「あの日、こなちゃんの部屋から話声が聞こえてきたとき、私の部屋にお姉ちゃんのパジャマがあったの」 みゆき「それは、かがみさんが当日着ていたもの、ですね?」 つかさ「うん。その後すぐ部屋を出て、またしばらくして戻ったんだけど……そしたら今度はパジャマが無くなってて、代わりに仮面とマントが残されてたんだ」 みゆき「それが怪傑かがみんのものだった、と?」 つかさ「うん。間違いなくそうだったと思う。それからさ、その日の夜なんだけど、私が着た覚えのない服が洗濯にだされてたの。青のオーバーオールと――」 こなた「薄ピンク色のシャツ」 私の言葉に、つかさは黙って頷いた。 しばしの沈黙。 みんなそれぞれにいろいろと想うところがあるのだろう。 いや、そうじゃないか。 つかさ「……ねえ、こなちゃん、ゆきちゃん。ここからが本題なんだけどさ」 みゆき「わかっていますよ、つかささん。私達もつかささんと同じ意見です」 こなた「そうと決まったら行動あるのみだね。善は急げ、だっけか、みゆきさん?」 みゆき「はい。そのとおりです。それでは、参りましょうか、つかささん」 みんなの想うところは、ただひとつのはずだ。 スーパーヒロインのコスプレ趣味が高じてブラックな職場に飛び込んでしまった親友を助けること。 それこそが、今、私達のやるべきことなのだ。 ☆ 525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/08/11(火) 23:15:26.32 ID:hAubWjwo み き「かがみ、体の調子はどう?」 かがみ「どこも痛くないし、熱も平熱だし、体のダルさもないし、もう完全に良くなったわ」 み き「よかった。それじゃあ、明日からはいつもどおりでいいわね。おやすみなさい」 かがみ「うん。おやす――ねえ、お母さん。お母さんの時は、どんなバカがどんな勘違いをしたの?」 み き「どういうこと?」 かがみ「夕方にさ、つかさと一緒にこなたとみゆきが来てたでしょ?」 み き「ええ。あの子達もマメよね、毎日お見舞いに来るなんて。いいお友達を持ったのね」 かがみ「いいお友達か……それは否定しないけどさ、実はお見舞いじゃなかったのよ、アレ」 み き「あら?そうなの?」 かがみ「そうなのよ、あいつらさ、部屋に飛び込んでくるなり、『怪傑かがみんの跡を継ぐのは命が危険だからダメ』って騒ぎ始めたのよ」 み き「あら、それじゃあ正体がバレちゃったの?でも、命が危険って?」 かがみ「それがさ、全部そのままバレた訳じゃなくってね……まあ、詳しい話はまた今度ゆっくりさせてもらうわ」 み き「そう。それじゃあ、楽しみにしとくわね」 かがみ「それで、その代わりと言っちゃなんだけどさ、お母さんの時のことも教えて欲しいんだけど……ダメ?」 み き「そうねぇ……ダメじゃあないけど……」 み き「ねえ、かがみ。かがみはもう、あの仮面とマントから卒業?」 かがみ「うーん、基本的にはそのつもりかな。もしかしたら、何かの拍子に使うこともあるかもだけど」 み き「そうね。きっと使うわよ。お母さんは、かがみが本当に卒業できるのはまだ先になると思うわ」 かがみ「えっ?なんで?」 み き「なんでだと思う?」 かがみ「わかるわけないじゃない、そんなの。ヒントとかはないの?」 み き「じゃあ、ヒント。お母さんが『怪傑』を本当に卒業したのは、呆れるくらいバカな人が素敵な勘違いをした時だったわ。その人の名前はね――」 かがみ「結局、おのろけかよ……お願いしてまで聞くようなモノじゃなかったわね」 みきが去った後、かがみはそう呟いて寝返りをうつと、そのまま1日を終えることにした。 呆れるくらいバカだけど、素敵な勘違いのできる3人のことを想いながら。 ---- おまけ み き「つかさ、洗濯物をとり入れてくれるかしら?」 つかさ「はーい」 つかさ「う~ん。布団はこれくらい叩けばいいかな~?」パムパム つかさ「あ。あっちに怪傑かがみんのマントが干してある……」ジー つかさ「ちょ、ちょっとくらいなら、いいよね!お姉ちゃんも私の服を勝手に使ったんだし!」ドキドキ つかさ「え~っと、ここをこうして……こう、かな?」モゾモゾ つかさ「できた。え~と、か、怪傑ひーちゃん参上!」バサッ つかさ「でたな~!悪のやっさいもっさい団!この技でとどめだよっ!」ブンブン つかさ「布団叩きすてぃっく、ばるさみっく☆ちゃーじ!くらえっ、必殺のばるs――ッ!?」ピタッ かがみ「……」 つかさ「え、え~っと……」アセアセ かがみ「……」 つかさ「これは、その……」アセアセ かがみ「う、うわー。やーらーれーたー(棒)」クルクル、パタリ つかさ「話をあわせられたっ!?ち、違うからっ!そんなんじゃないからっ!」 かがみ「さすが怪傑ひーちゃんだー。にげろー(棒)」スタコラ つかさ「あっ、待って!お姉ちゃん、こっちを向いて!話を聞いてぇーっ!!」 **コメント・感想フォーム #comment(below,size=50,nsize=50,vsize=3) - 全て読むのに時間がかかったw &br()楽しく読ませていただきました。 &br()おまけのつかさがいい味だしてた。 -- 名無しさん (2009-08-16 13:49:08)
こなた「おはよー、つかさにみゆきさん。今日もかがみは休みなんだネ」 みゆき「おはようございます、泉さん。どうやら、そのようですね」 つかさ「……おはよう」 こなた「あれー?なんか元気ないね。どったの、つかさ?」 みゆき「どこか体の調子でも悪いのですか?」 こなた「もしかして、かがみに風邪をうつされちゃったとか?それなんてエンドレス――」 つかさ「ううん!私は大丈夫だよっ!……大丈夫なんだよ、私は……」 みゆき「私は、ですか。ということは、かがみさんの身に何かあったのですか?」 こなた「深読みし過ぎだよ、みゆきさん。かがみなら昨日も平気そうだったし――」 つかさ「平気じゃないよ、こなちゃん!全然、平気なんかじゃ……うわあぁぁん!」 ~さらば!怪傑かがみん! 其の参~ いやあ、びっくりしたのなんのって。 朝の教室でつかさがいきなり泣き出すとは思わなかったよ。 みゆきさんがなだめてくれたから、なんとかなったけどね。 それにしても気になるのは、昼休みの時間につかさが言ったこと。 放課後に2人に相談がある。事はかがみの命に関わる。 もう、気になって気になって、午後の授業に集中なんてできないよ。 みゆきさんも落ち着かないのか、筆記用具を何度も床に落としるし。 いったい、かがみの身に何が……まさか、容態が急変? いやいやいや、まさか!かがみに限ってそんなことは! 頭の中で、かがみが主人公を演じる様々な悲劇が上演される。 不治の病。予期せぬ事故。なんらかの事件。 それらを想像しながら悶えていると、いつの間にか終業の時間を迎えていた。 私は鞄をひったくるように掴みあげ、つかさの席にとんでいく。 私にワンテンポ遅れて、みゆきさんもやってくる。 それを追いかけてきた来た副委員長に、今日は欠席しますっ、と振り返りざまに凄い迫力で答えるみゆきさん。 そして、つかさの腕を掴んで教室から出て行った。 ちょ。私を置いていかないでよ。 真っ白に燃え尽きた様子の副委員長を後に残し、慌てて2人を追いかける。 おっと、つかさの鞄も忘れずに持っていってあげなきゃね。 521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/08/11(火) 23:07:57.74 ID:hAubWjwo こなた「みゆきさん、少しは落ち着いた?」 みゆき「はい。すみません、取り乱してしまいまして。お恥ずかしい限りです」 こなた「いやいや、今回ばかりはしょうがないと思うよ?私も同じ気持ちだし」 みゆき「そう言っていただけると、少しは救われます」 こなた「まあ、副委員長はカワイソウだったけどネ~」 みゆき「そ、そうですよね。彼には明日きちんと謝っておきます」 いつもの喫茶店で一息。 飲み物を口にして落ち着いたのか、みゆきさんも険しい表情からいつもの表情へと戻った。 こなた「で、昼休みにつかさが言ってた相談のことなんだけど」 みゆき「何でも、かがみさんの命に関わる、とのことでしたが」 こなた「うん。そろそろ詳しく聞きたいんだけど……お願いできるかな、つかさ?」 つかさ「……」 みゆき「つかささん、お願いします」 教室を出てからずーっと無言で俯いていたつかさが、私達に促されて顔をあげる。 そして、店内の様子を用心深くキョロキョロと伺ってから、小声で話しだした。 つかさ「あのね、これから私がする話は、絶対に誰にも話さないって約束してほしいんだ」 こなた「誰にも?ゆーちゃん達にも?」 つかさ「うん。それが約束できないなら、今からこなちゃん達に話をすることはできないよ」 少しこわい顔をして、つかさは私達を真っ直ぐに見つめた。 私は横に座っているみゆきさんと顔を見合わせて、頷く。 みゆき「わかりました。絶対に話しません。約束します」 つかさ「ありがとう、ゆきちゃん。こなちゃんも、それでいいんだね?」 こなた「もちろん。喜んで約束させてもらうヨ」 つかさ「うん。それじゃあ、話すね……お姉ちゃんのことなんだけどさ」 そこでつかさは一呼吸置いて、それから自分でもその言葉を確かめるかのようにゆっくりと言った。 522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/08/11(火) 23:09:48.20 ID:hAubWjwo つかさ「実は、お姉ちゃんは『怪傑かがみん』なんだよ」 こなた「っ!?」 みゆき「そ、そんな、まさか!?」 つかさの口から飛び出してきたのは、にわかには信じがたい驚愕の事実。 かがみが、あの『怪傑かがみん』? どう考えても、それはありえない。 横目でちらりと確認した表情から察するに、みゆきさんも私と同意見のようだ。 みゆき「ありえません!今まで私達の前に現れていた怪傑かがみんの正体が、かがみさんだなんて!絶対にありえません!」 つかさ「ゆきちゃん、声が大きいよ。少し落ち着いて」 こなた「みゆきさんの反応は当然だよ、つかさ。だって、本当にかがみがそうだとしたら、どこかの時点で私達は正体に気がついてたと思うよ?」 つかさ「うん。私もそれはそう思う」 こなた「へ?」 つかさ「今まで目にしてきた怪傑かがみんの正体が、お姉ちゃんだったんだとしたら、私もとっくに気がついてたと思う」 みゆき「あの、つかささん、いったい何をおっしゃっているのですか?先程、かがみさんが怪傑かがみんだと言われましたよね?」 こなた「そうだよ、つかさ。なんか、言ってる事がむちゃくちゃだよ?」 つかさ「そうかな?……ねえ、こなちゃん。昨日のこと覚えてる?」 こなた「昨日のこと?」 つかさ「うん。怪傑かがみんが現れたって私に話してくれたよね?あの話、ゆきちゃんにもしてほしいんだけど」 こなた「ああ、あれ?別にいいけど、何もこんな時じゃなくたって――」 つかさ「今じゃなきゃダメなんだよ。とっても大事なことだから、お願い」 こなた「わ、わかったよ」 こなた「――でね、ついに1号と2号はその身を犠牲にして、悪の首領もろとも炎の中へと消えていったんだってさ」 これでこの話をするのも3度目だ。最初はかがみ、次につかさ、そして今。 さすがに少々飽きてきたし、今はこんな話をしたい気分じゃないから多少投げやりに話したけど、みゆきさんは何やら真剣な顔で私の話を聞いていた。 そして、最後の結末まで聞き終わったとき、みゆきさんの顔色は何故か真っ青になっていた。 みゆき「これは……なんという……つかささん、あなたが言いたいのはそういうことだったのですね」 つかさ「わかってくれたみたいだね、ゆきちゃん」 こなた「え?何が?何かわかったの、みゆきさん?」 みゆき「しかし、まだ肝心な部分がそうと決まったわけではないと思うのですが」 つかさ「それに関しては、こなちゃんと私で証明できると思うんだ」 523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/08/11(火) 23:11:08.53 ID:hAubWjwo こなた「ちょ、ちょっと2人とも!私を抜きにして話を進めないでよ!……ねえ、みゆきさん。今の話で何がわかったっていうの?」 つかさ「こなちゃん。ゆきちゃんから説明を受ける前にさ、こなちゃんにちょっと聞きたいことがあるんだ」 こなた「え。でも……」 みゆき「泉さん。すみませんが、先につかささんの質問に答えてあげていただけますか?」 こなた「う。わかったよ、みゆきさんがそう言うんなら」 置いてけぼり感がハンパじゃないけど、とりあえずみゆきさんの言う事に従う。 さっさと答えて、みゆきさんにつかさの考えている事を説明してもらわなきゃ。 つかさ「ねえ、こなちゃん。昨日の怪傑かがみんに何か違和感を感じなかった?」 こなた「違和感?」 つかさ「うん。今までこなちゃんが見てきた怪傑かがみんと比べてどうだった?」 こなた「えーっと、どうだったかな」 つかさ「大事なことだから、しっかり思い出して答えてね」 こなた「うー……確か髪型や服装がいつもと違ったけど、それはだって、昨日の怪傑かがみんは私も初めて会った『V3』だから仕方が……っ!?」 わかった。つかさが言っていたのは、そういうことだったのか。 私達が今まで目にしてきた怪傑かがみん、それはおそらく1号か2号のどちらかだと思うが、その正体は何処の誰だかわからない。 しかし、昨日私が目にしたのは怪傑かがみんV3。 今まで私達が目にしてきた怪傑かがみんとは別モノの新たな存在だ。 つかさは、このV3の正体がかがみではないかと言いたいのだろう。 だとしたら、つかさの発言にブレは無いと言える。 つかさ「思ったとおりだよ。昨日こなちゃんが会ったのは、私達がこれまで見たことのある怪傑かがみんとは違うものだったんだね」 こなた「でも、でも!そのV3の正体がかがみだっていう証拠はまだ何も――!」 つかさ「髪型はストレート。服装は青のオーバーオール」 こなた「っ!?……な、なんで?なんで、つかさがそれを知ってるの?私はまだ誰にもそこまで話してないのに」 つかさ「そっか。やっぱり、昨日の怪傑かがみんはその格好だったんだ」 こなた「え?何?つかさは知らなかった……の?どういうこと?」 524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/08/11(火) 23:12:44.29 ID:hAubWjwo つかさ「あの日、こなちゃんの部屋から話声が聞こえてきたとき、私の部屋にお姉ちゃんのパジャマがあったの」 みゆき「それは、かがみさんが当日着ていたもの、ですね?」 つかさ「うん。その後すぐ部屋を出て、またしばらくして戻ったんだけど……そしたら今度はパジャマが無くなってて、代わりに仮面とマントが残されてたんだ」 みゆき「それが怪傑かがみんのものだった、と?」 つかさ「うん。間違いなくそうだったと思う。それからさ、その日の夜なんだけど、私が着た覚えのない服が洗濯にだされてたの。青のオーバーオールと――」 こなた「薄ピンク色のシャツ」 私の言葉に、つかさは黙って頷いた。 しばしの沈黙。 みんなそれぞれにいろいろと想うところがあるのだろう。 いや、そうじゃないか。 つかさ「……ねえ、こなちゃん、ゆきちゃん。ここからが本題なんだけどさ」 みゆき「わかっていますよ、つかささん。私達もつかささんと同じ意見です」 こなた「そうと決まったら行動あるのみだね。善は急げ、だっけか、みゆきさん?」 みゆき「はい。そのとおりです。それでは、参りましょうか、つかささん」 みんなの想うところは、ただひとつのはずだ。 スーパーヒロインのコスプレ趣味が高じてブラックな職場に飛び込んでしまった親友を助けること。 それこそが、今、私達のやるべきことなのだ。 ☆ 525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/08/11(火) 23:15:26.32 ID:hAubWjwo み き「かがみ、体の調子はどう?」 かがみ「どこも痛くないし、熱も平熱だし、体のダルさもないし、もう完全に良くなったわ」 み き「よかった。それじゃあ、明日からはいつもどおりでいいわね。おやすみなさい」 かがみ「うん。おやす――ねえ、お母さん。お母さんの時は、どんなバカがどんな勘違いをしたの?」 み き「どういうこと?」 かがみ「夕方にさ、つかさと一緒にこなたとみゆきが来てたでしょ?」 み き「ええ。あの子達もマメよね、毎日お見舞いに来るなんて。いいお友達を持ったのね」 かがみ「いいお友達か……それは否定しないけどさ、実はお見舞いじゃなかったのよ、アレ」 み き「あら?そうなの?」 かがみ「そうなのよ、あいつらさ、部屋に飛び込んでくるなり、『怪傑かがみんの跡を継ぐのは命が危険だからダメ』って騒ぎ始めたのよ」 み き「あら、それじゃあ正体がバレちゃったの?でも、命が危険って?」 かがみ「それがさ、全部そのままバレた訳じゃなくってね……まあ、詳しい話はまた今度ゆっくりさせてもらうわ」 み き「そう。それじゃあ、楽しみにしとくわね」 かがみ「それで、その代わりと言っちゃなんだけどさ、お母さんの時のことも教えて欲しいんだけど……ダメ?」 み き「そうねぇ……ダメじゃあないけど……」 み き「ねえ、かがみ。かがみはもう、あの仮面とマントから卒業?」 かがみ「うーん、基本的にはそのつもりかな。もしかしたら、何かの拍子に使うこともあるかもだけど」 み き「そうね。きっと使うわよ。お母さんは、かがみが本当に卒業できるのはまだ先になると思うわ」 かがみ「えっ?なんで?」 み き「なんでだと思う?」 かがみ「わかるわけないじゃない、そんなの。ヒントとかはないの?」 み き「じゃあ、ヒント。お母さんが『怪傑』を本当に卒業したのは、呆れるくらいバカな人が素敵な勘違いをした時だったわ。その人の名前はね――」 かがみ「結局、おのろけかよ……お願いしてまで聞くようなモノじゃなかったわね」 みきが去った後、かがみはそう呟いて寝返りをうつと、そのまま1日を終えることにした。 呆れるくらいバカだけど、素敵な勘違いのできる3人のことを想いながら。 ---- おまけ み き「つかさ、洗濯物をとり入れてくれるかしら?」 つかさ「はーい」 つかさ「う~ん。布団はこれくらい叩けばいいかな~?」パムパム つかさ「あ。あっちに怪傑かがみんのマントが干してある……」ジー つかさ「ちょ、ちょっとくらいなら、いいよね!お姉ちゃんも私の服を勝手に使ったんだし!」ドキドキ つかさ「え~っと、ここをこうして……こう、かな?」モゾモゾ つかさ「できた。え~と、か、怪傑ひーちゃん参上!」バサッ つかさ「でたな~!悪のやっさいもっさい団!この技でとどめだよっ!」ブンブン つかさ「布団叩きすてぃっく、ばるさみっく☆ちゃーじ!くらえっ、必殺のばるs――ッ!?」ピタッ かがみ「……」 つかさ「え、え~っと……」アセアセ かがみ「……」 つかさ「これは、その……」アセアセ かがみ「う、うわー。やーらーれーたー(棒)」クルクル、パタリ つかさ「話をあわせられたっ!?ち、違うからっ!そんなんじゃないからっ!」 かがみ「さすが怪傑ひーちゃんだー。にげろー(棒)」スタコラ つかさ「あっ、待って!お姉ちゃん、こっちを向いて!話を聞いてぇーっ!!」 **コメント・感想フォーム #comment(below,size=50,nsize=50,vsize=3) - 最後クソワロタ -- 名無しさん (2009-08-30 14:20:39) - 全て読むのに時間がかかったw &br()楽しく読ませていただきました。 &br()おまけのつかさがいい味だしてた。 -- 名無しさん (2009-08-16 13:49:08)

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