暴走チェリー

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<p>※ タイムオーバーにより未完成</p> <p>1</p> <p>みなみは今日も今日とて、まるで散歩させられているかの様に、愛犬チェリーの散歩をしていた。<br /><br /> 「チェ、チェリー、そっちじゃない……」<br /><br /> ベンツをくぐって塀をまたぎ、猛犬に吠えられつつ角松を曲がれば、びよりだった。<br /><br /> 「うわぁっス!」<br /> 「チェリー引っ張っちゃダメ、チェリー……アッ」<br /><br /> 果たしてチェリーはみなみの手から逃れ、自由を手にした一頭のシロクマとなった。<br /> シロクマは夏になれば冬眠から覚め、冷たい海で狩りをして過ごすのが、自然のならわし。<br /><br /> 「あひいっ、チェリーちゃん……」<br /><br /> ボコッ<br /><br /> 「ちょっとそこはダメっス!」<br /><br /> バフッ<br /><br /> 「やめてー!!」<br /><br /> 猫にでくわしたネズミは、猫に噛みつくよりは、素早く逃げて隠れる方が長生きできる。<br /> それはひよりとて例外ではないのだ。<br /> 一人と一頭は、どこか遠くに走って行ってしまった。<br /><br /> 残されたみなみは、ただ自然の壮大なる原理に圧倒されるしかなかった。<br /><br /> 「チェリー……」</p> <p> </p> <p>分岐 A:ひよりんの反撃!!→そのまま進む</p> <p>分岐 B:助けに船とは…→リンク先</p> <p> </p> <p> </p> <hr /><p> </p> <p>2</p> <p>死神が追いかけてくる。恐怖の顕現が。<br /> 私の命ともいえる左手を噛み砕かんとして、白い悪魔が疾走する。<br /> 私が何をしたと言うのだろう?<br /> 犬を撫でるとき、利き手を使うのは普通のことだ。それとも、ただそれだけの事が罪悪だと?<br /> 絵を描くための魂とも言えるこの手は、他のくだらないことに使ってはいけないと?<br /> そんなはずはない。<br /> 家族という――たとえそれが動物でも――大切な存在に触れることは、否定されるべきではない。<br /> 創造が脳の役割で、左手はそこからの命令を実行するだけの道具であるとは思えなかった。<br /> 道具にも魂は宿る。人と人のつながりの様に、人と物の間にも同じ関係は成立する。<br /> だから私は、この左手ですべてに触れたい。<br /> 触れて、知って、描いて、また別の物に触れて、新しいことを私達の中に取り入れて、また描きたい。<br /> もちろん、これは私だけの考えだ。<br /> あの犬にはまるで関係のない理由であって、相手にとっては『匂い』という穢れにしか思えないのだろう。<br /> だから、うん。仕方が無い。<br /> 敵視されること仕方が無いけれど、私だってこの手は守らなければいけない。<br /> 振り返ると、既に岩崎さんの姿は見えなくなっていた。<br /> 犬だけが私を追いかけていて、通行人たちもまるで助けようとはしてくれない。<br /> それでもいい。<br /> 周囲を見回しているとアニメショップが見えた。<br /> 逃げ込めば、きっと誰かが助けてくれる。<br /> それはわかっていたのだけれど、私は逃げることを選ばなかった。<br /> 私は店の入り口前で立ち止まると、背後から追ってくる犬のほうに向き直った。<br /> 足を止めた獲物に対して、捕食者は当然のように飛び掛ってくる。<br /> 私は右腕を前に突き出して獣の突撃を受け止めると、勢いに吹き飛ばされる前に身体をねじり、受け流した。<br /> ガードレールに身体を打ち付けた犬は「ギャン」と鳴いたかと思うと、頭を振ってすぐに立ち上がった。<br /> さすがゴックだ、なんともないぜ……そんな言葉が脳裏に浮かんだ。<br /> しかし、その時には私も素手ではなくなっていた。<br /> 「ごめんね、チェリーちゃん。私から他の犬の匂いがするから怒っているんだよね?」<br /> 私は謝りながらも、構えをとって距離を縮める。<br /> 店頭に置かれていた無料のポスターを両手で持ち、私は言葉を続けた。<br /> 「だけど、私も負けられない。左手という相棒を守るために、私ひとりの力で勝ってみせるッス!」<br /> 私の叫び声に呼応するかのように、犬は私をめがけて突進をしてきた。<br /> 噛み砕かれたポスターが、四散したアニメキャラの顔が風に舞う。<br /> 間髪をいれずに左手を狙ってくる攻撃を、私は新しく抜き取ったポスターで受け止める。<br /> 円柱状の傘建てのような物に入れられたポスターは残り18本。<br /> 「目を狙ったりはしたくないんだよね。どうにかして、あの口を塞ぐことさえ出来れば……」<br /> 不安と興奮で呼吸を荒くしながら、私は宣伝用のポスターを剣にして犬と対峙した。<br /> 急がなければ、他のお客によってポスターは持っていかれてしまう。<br /> レヴァンティン(ポスターの剣にたった今つけた名前)の切っ先をチェリーちゃんに向ける。<br /> 私は大きく息を吸うと、犬に向かって跳躍した。</p> <p> </p> <hr /><p> </p> <p>3</p> <p>(みなみ視点)<br /> 「…チェリー!」<br /> …私たちが吼える声を聞きつけてやってきたときには…田村さんはすっかりチェリーに襲われていた。<br /> 「やっ…服は駄目ッス…アッー!」<br /> 顔を真っ赤にした田村さん。服をボロボロに破かれ、あられもない姿を見せ付けていた。<br /> ……これがゆたかだったら、私は興奮に耐え切れずゆたかの服を剥がs…いや、なんでもない…。<br /> とにかく、利き手の左手だけはしっかり守り抜いているあたり、田村さんも根性があるなと思った。<br /><br /> 「ちょっ、そこは駄目ー!やーめーてー!!!」<br /> …そうだ、ただ見ているだけじゃ駄目だ。このままでは田村さんが丸裸にされてしまう。<br /> 一体どうすれば……。<br /><br /> そうだ…成功するかどうかはわからないけど、あれを試してみよう。<br /> こうみえて岩崎家は忍者の末裔。…あの忍術を使えば何とかなるはず……。<br /><br /> 「忍法……変わり身っ!!!」</p>
<p>※ タイムオーバーにより未完成</p> <p>1</p> <p>みなみは今日も今日とて、まるで散歩させられているかの様に、愛犬チェリーの散歩をしていた。<br /><br /> 「チェ、チェリー、そっちじゃない……」<br /><br /> ベンツをくぐって塀をまたぎ、猛犬に吠えられつつ角松を曲がれば、びよりだった。<br /><br /> 「うわぁっス!」<br /> 「チェリー引っ張っちゃダメ、チェリー……アッ」<br /><br /> 果たしてチェリーはみなみの手から逃れ、自由を手にした一頭のシロクマとなった。<br /> シロクマは夏になれば冬眠から覚め、冷たい海で狩りをして過ごすのが、自然のならわし。<br /><br /> 「あひいっ、チェリーちゃん……」<br /><br /> ボコッ<br /><br /> 「ちょっとそこはダメっス!」<br /><br /> バフッ<br /><br /> 「やめてー!!」<br /><br /> 猫にでくわしたネズミは、猫に噛みつくよりは、素早く逃げて隠れる方が長生きできる。<br /> それはひよりとて例外ではないのだ。<br /> 一人と一頭は、どこか遠くに走って行ってしまった。<br /><br /> 残されたみなみは、ただ自然の壮大なる原理に圧倒されるしかなかった。<br /><br /> 「チェリー……」</p> <p> </p> <p>分岐 A:ひよりんの反撃!!→そのまま進む</p> <p>分岐 B:<a title="助けに船とは… (3s)" href="http://www34.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/1042.html">助けに船とは…</a>→リンク先</p> <p> </p> <p> </p> <hr /><p> </p> <p>2</p> <p>死神が追いかけてくる。恐怖の顕現が。<br /> 私の命ともいえる左手を噛み砕かんとして、白い悪魔が疾走する。<br /> 私が何をしたと言うのだろう?<br /> 犬を撫でるとき、利き手を使うのは普通のことだ。それとも、ただそれだけの事が罪悪だと?<br /> 絵を描くための魂とも言えるこの手は、他のくだらないことに使ってはいけないと?<br /> そんなはずはない。<br /> 家族という――たとえそれが動物でも――大切な存在に触れることは、否定されるべきではない。<br /> 創造が脳の役割で、左手はそこからの命令を実行するだけの道具であるとは思えなかった。<br /> 道具にも魂は宿る。人と人のつながりの様に、人と物の間にも同じ関係は成立する。<br /> だから私は、この左手ですべてに触れたい。<br /> 触れて、知って、描いて、また別の物に触れて、新しいことを私達の中に取り入れて、また描きたい。<br /> もちろん、これは私だけの考えだ。<br /> あの犬にはまるで関係のない理由であって、相手にとっては『匂い』という穢れにしか思えないのだろう。<br /> だから、うん。仕方が無い。<br /> 敵視されること仕方が無いけれど、私だってこの手は守らなければいけない。<br /> 振り返ると、既に岩崎さんの姿は見えなくなっていた。<br /> 犬だけが私を追いかけていて、通行人たちもまるで助けようとはしてくれない。<br /> それでもいい。<br /> 周囲を見回しているとアニメショップが見えた。<br /> 逃げ込めば、きっと誰かが助けてくれる。<br /> それはわかっていたのだけれど、私は逃げることを選ばなかった。<br /> 私は店の入り口前で立ち止まると、背後から追ってくる犬のほうに向き直った。<br /> 足を止めた獲物に対して、捕食者は当然のように飛び掛ってくる。<br /> 私は右腕を前に突き出して獣の突撃を受け止めると、勢いに吹き飛ばされる前に身体をねじり、受け流した。<br /> ガードレールに身体を打ち付けた犬は「ギャン」と鳴いたかと思うと、頭を振ってすぐに立ち上がった。<br /> さすがゴックだ、なんともないぜ……そんな言葉が脳裏に浮かんだ。<br /> しかし、その時には私も素手ではなくなっていた。<br /> 「ごめんね、チェリーちゃん。私から他の犬の匂いがするから怒っているんだよね?」<br /> 私は謝りながらも、構えをとって距離を縮める。<br /> 店頭に置かれていた無料のポスターを両手で持ち、私は言葉を続けた。<br /> 「だけど、私も負けられない。左手という相棒を守るために、私ひとりの力で勝ってみせるッス!」<br /> 私の叫び声に呼応するかのように、犬は私をめがけて突進をしてきた。<br /> 噛み砕かれたポスターが、四散したアニメキャラの顔が風に舞う。<br /> 間髪をいれずに左手を狙ってくる攻撃を、私は新しく抜き取ったポスターで受け止める。<br /> 円柱状の傘建てのような物に入れられたポスターは残り18本。<br /> 「目を狙ったりはしたくないんだよね。どうにかして、あの口を塞ぐことさえ出来れば……」<br /> 不安と興奮で呼吸を荒くしながら、私は宣伝用のポスターを剣にして犬と対峙した。<br /> 急がなければ、他のお客によってポスターは持っていかれてしまう。<br /> レヴァンティン(ポスターの剣にたった今つけた名前)の切っ先をチェリーちゃんに向ける。<br /> 私は大きく息を吸うと、犬に向かって跳躍した。</p> <p> </p> <hr /><p> </p> <p>3</p> <p>(みなみ視点)<br /> 「…チェリー!」<br /> …私たちが吼える声を聞きつけてやってきたときには…田村さんはすっかりチェリーに襲われていた。<br /> 「やっ…服は駄目ッス…アッー!」<br /> 顔を真っ赤にした田村さん。服をボロボロに破かれ、あられもない姿を見せ付けていた。<br /> ……これがゆたかだったら、私は興奮に耐え切れずゆたかの服を剥がs…いや、なんでもない…。<br /> とにかく、利き手の左手だけはしっかり守り抜いているあたり、田村さんも根性があるなと思った。<br /><br /> 「ちょっ、そこは駄目ー!やーめーてー!!!」<br /> …そうだ、ただ見ているだけじゃ駄目だ。このままでは田村さんが丸裸にされてしまう。<br /> 一体どうすれば……。<br /><br /> そうだ…成功するかどうかはわからないけど、あれを試してみよう。<br /> こうみえて岩崎家は忍者の末裔。…あの忍術を使えば何とかなるはず……。<br /><br /> 「忍法……変わり身っ!!!」</p>

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