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「プロローグ いわゆる1つの萌え要素」(2007/06/18 (月) 16:17:56) の最新版変更点
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<p>プロローグ いわゆる1つの萌え要素</p>
<p>「メイド喫茶!」</p>
<p>開口一番、彼女が言った言葉がそれだった。</p>
<p>
本日の定例会、議題は「文化祭の出し物について」、だ。ここ魔界立東高校では、近々文化祭が開催される予定になっている。そこで、我ら生徒会も何か企画事をやろうという会長の提案で、俺たちはこうして放課後の生徒会室に集まっているわけである。と、まあここまで説明すれば、先程の台詞の意味も分かってもらえたのではないかと思う。つまり、</p>
<p>「文化祭ではメイド喫茶をやる!」</p>
<p>と、いう訳のようだ。発言主の暮崎秋華生徒会長は、眼鏡の奥から今日も不敵な光を放っている。</p>
<p>「あの、お言葉ですが」</p>
<p>「何だよ絵馬。文句でもあんのか」</p>
<p>
そう言って鋭角15度の視線を俺に突きつける秋華会長。ちなみに、絵馬っていうのは俺の名前。辰巳絵馬。本編での語りを務めさせて頂きます。どうぞよろしく、ってのは置いといて、</p>
<p>「何故にメイド喫茶なんですか。普通の喫茶店とか……」</p>
<p>「甘い!!」</p>
<p>一刀両断。</p>
<p>「そんなんじゃ生徒の心は掴めねえ!この学校にはな、お帰りなさいませ御主人様♪と言われてみたい奴がごまんといる筈だ。この俺様のように!」</p>
<p>あんただけじゃねえのか。</p>
<p>「そいつらのハートを鷲掴みにし、ベスト企画賞は俺様が頂く!」</p>
<p>
あんた個人がかよ。会長は長い三つ編みを大げさに揺らし、人差し指でびしりと天井を指す。副会長の霧生弥生先輩は、黒板に綺麗な字で「メイド喫茶」と書き込む。おいおい、良いのかよ。</p>
<p>「良いんじゃないですか。儲かりそうですし」</p>
<p>目に円マークを浮かべて言うのは、会計係のヴァナス=リイナ。</p>
<p>「リイナがそう言うのなら、私も異論は無い」</p>
<p>双子の姉であるヴァレル=リエナも賛成のようだ。</p>
<p>「面白そう!」</p>
<p>頭に鍔広トンガリ帽子を乗っけた水森ミチは楽しそうに言う。</p>
<p>「私もメイド服着てみたいかも」</p>
<p>
俺の隣に座っている深森えみるも同様。待て待て、お前らマジか?反対意見が出ないことに本気で焦り始めた俺は、遅れて登場した霧生カイ先輩の姿を見てほっとした。生徒会メンバーの中でトップの常識力を備えた彼なら、まともな意見を出してくれる筈だ。</p>
<p>「悪い、クラスの話し合いが長引いてさ」</p>
<p>もっともな言い訳を口にしつつ、カイ先輩は黒板に目を移し、</p>
<p>「メイド喫茶?へー、良いんじゃねえの」</p>
<p>
最後の砦はあっさりと陥落した。「よっしゃ、決定!!」と会長は叫び、生徒会の出し物はメイド喫茶に決定してしまった。マジでか。呆然としていた俺に向かい、カイ先輩は苦笑いで、</p>
<p>「俺たちもメイドやんのかな?」</p>
<p>死んでもやんねえよ!あんた一人でやれ!そこで、ふと疑問が頭に浮かぶ。</p>
<p>「ところで、経費ってどこから出るんすか?」</p>
<p>「それなら心配無用」</p>
<p>会長はにっと笑うと、ポケットから札束を取り出す。しかも結構な厚さの。ど、どこからそんな大金が。まままさか!</p>
<p>「生徒会費からちょろまかしたんじゃ……!」</p>
<p>「そんなんじゃねえよ」</p>
<p>心外だ、と言うように顔をしかめ、</p>
<p>「カツアゲしようとしてた不良から逆に巻き上げてやったんだよ」</p>
<p>……。どっちにしろ黒い金だった。やれやれ、とにかくこの日の会議はこれで終了。俺は何だか憂鬱な気分で生徒会室を後にした。</p>
<p><a href="http://www34.atwiki.jp/eastwich/pages/29.html">(つづく)</a></p>
<p> </p>
<p>プロローグ いわゆる1つの萌え要素</p>
<p>「メイド喫茶!」</p>
<p>開口一番、彼女が言った言葉がそれだった。</p>
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本日の定例会、議題は「文化祭の出し物について」、だ。ここ魔界立東高校では、近々文化祭が開催される予定になっている。そこで、我ら生徒会も何か企画事をやろうという会長の提案で、俺たちはこうして放課後の生徒会室に集まっているわけである。と、まあここまで説明すれば、先程の台詞の意味も分かってもらえたのではないかと思う。つまり、</p>
<p>「文化祭ではメイド喫茶をやる!」</p>
<p>と、いう訳のようだ。発言主の暮崎秋華生徒会長は、眼鏡の奥から今日も不敵な光を放っている。</p>
<p>「あの、お言葉ですが」</p>
<p>「何だよ絵馬。文句でもあんのか」</p>
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そう言って鋭角15度の視線を俺に突きつける秋華会長。ちなみに、絵馬っていうのは俺の名前。辰巳絵馬。本編での語りを務めさせて頂きます。どうぞよろしく、ってのは置いといて、</p>
<p>「何故にメイド喫茶なんですか。普通の喫茶店とか……」</p>
<p>「甘い!!」</p>
<p>一刀両断。</p>
<p>「そんなんじゃ生徒の心は掴めねえ!この学校にはな、お帰りなさいませ御主人様♪と言われてみたい奴がごまんといる筈だ。この俺様のように!」</p>
<p>あんただけじゃねえのか。</p>
<p>「そいつらのハートを鷲掴みにし、ベスト企画賞は俺様が頂く!」</p>
<p>
あんた個人がかよ。会長は長い三つ編みを大げさに揺らし、人差し指でびしりと天井を指す。副会長の霧生弥生先輩は、黒板に綺麗な字で「メイド喫茶」と書き込む。おいおい、良いのかよ。</p>
<p>「良いんじゃないですか。儲かりそうですし」</p>
<p>目に円マークを浮かべて言うのは、会計係のヴェナス=リイナ。</p>
<p>「リイナがそう言うのなら、私も異論は無い」</p>
<p>双子の姉であるヴァレル=リエナも賛成のようだ。</p>
<p>「面白そう!」</p>
<p>頭に鍔広トンガリ帽子を乗っけた水森ミチは楽しそうに言う。</p>
<p>「私もメイド服着てみたいかも」</p>
<p>
俺の隣に座っている深森えみるも同様。待て待て、お前らマジか?反対意見が出ないことに本気で焦り始めた俺は、遅れて登場した霧生カイ先輩の姿を見てほっとした。生徒会メンバーの中でトップの常識力を備えた彼なら、まともな意見を出してくれる筈だ。</p>
<p>「悪い、クラスの話し合いが長引いてさ」</p>
<p>もっともな言い訳を口にしつつ、カイ先輩は黒板に目を移し、</p>
<p>「メイド喫茶?へー、良いんじゃねえの」</p>
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最後の砦はあっさりと陥落した。「よっしゃ、決定!!」と会長は叫び、生徒会の出し物はメイド喫茶に決定してしまった。マジでか。呆然としていた俺に向かい、カイ先輩は苦笑いで、</p>
<p>「俺たちもメイドやんのかな?」</p>
<p>死んでもやんねえよ!あんた一人でやれ!そこで、ふと疑問が頭に浮かぶ。</p>
<p>「ところで、経費ってどこから出るんすか?」</p>
<p>「それなら心配無用」</p>
<p>会長はにっと笑うと、ポケットから札束を取り出す。しかも結構な厚さの。ど、どこからそんな大金が。まままさか!</p>
<p>「生徒会費からちょろまかしたんじゃ……!」</p>
<p>「そんなんじゃねえよ」</p>
<p>心外だ、と言うように顔をしかめ、</p>
<p>「カツアゲしようとしてた不良から逆に巻き上げてやったんだよ」</p>
<p>……。どっちにしろ黒い金だった。やれやれ、とにかくこの日の会議はこれで終了。俺は何だか憂鬱な気分で生徒会室を後にした。</p>
<p><a href="http://www34.atwiki.jp/eastwich/pages/29.html">(つづく)</a></p>
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