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時刻は午後10時、新宿ヒルトンホテルの最上階スイートルーム……
その窓際でバスローブに身を包みウィスキーの入ったグラスを揺らす男が一人、何かを期待するような焦れた眼差しで眼下の景色を眺めている。
背後では断続的なシャワー音が響いていて、男の他にもう一人いる事が伺える。

ふとシャワーの音が止み、しばらくするとバスタオルを一枚巻いただけの女が浴室から姿をあらわす。
短めの髪を薄く茶色に染めた、バランスの取れた身体をした綺麗な女だ。

男はグラスをミニテーブルの上へ置き、彼女の方を向いてニコリと笑い「サッパリしたかい?」と問う。
「ええ、とても良い湯加減だったわ」と彼女は応じ、タオルで顔を一拭き。
「それは良かった……それにしても君はやはり綺麗だ」
「…ありがと♪」そう言って彼女ははにかむように笑みをこぼす。

今がチャンスだとばかりに、彼女を抱き寄せ軽くキスをする。
彼女もまんざらでもないようで、身体をさらに押し付け、それを察した男が素早くベットに押し倒そうとしたその時……

ピリリリリリリッ!ピリリリリリリッ!……

部屋に備え付けの電話が空気を読まず鳴り出した。


「……クソッ、誰だよこんな時にっ」
お楽しみを中断された男は苛立たしげに受話器を取る。

「はい、もしもし!?」
「ハァイ~、こちら公安調査庁 特殊調査課課長の橘律子でぇ~す!お楽しみのトコロ申し訳ありませぇ~ん♪」
「なっ…課長!?つかなんで俺の居場所知ってんだよアンタ!普通携帯に掛けるだろ!?」
「だってぇ、アナタ携帯切ってたでしょ~?だからぁ、チョット足取りを追って居場所を突き止めたってワケよぉ~」
「公私混同甚だしいなアンタ!?」
「もぉ~失礼な!れっきとした仕事として電話してるのにぃ~」
「…仕事って事は、また新しい任務ですか?」
「だからそう言ってるじゃなぁい~」
「はぁ……で、仕事内容は?」
「いつもの通りよぉ~。詳しく説明したいから、一度帰ってきてちょ~だいな♪」
「……はいはい了解しましたよ…」
「じゃあねぇ~」
ガチャッ

電話を切ると、男は引きつった笑みを浮かべ彼女に言い訳を始める。
「ほんっとすまないが、急な仕事が入ってしまったんだ……この埋め合わせは必ずするから、どうか許してほしい…!」
そう言うと急ぎ足で出掛ける準備を始め、彼女が何か言う前に男は客室を出て行ってしまった。

女は終始ぽかんとしたまま、ただ見送る事しか出来なかった…。


「クソったれ!せっかくの脱童貞のチャンスだったのに…!」
男は愚痴を吐きながら勤務先のオフィスへ向かっている。

実はこのような出来事は今日が初めてではない。
彼がコトを成そうとすると、いつも決まって何らかの邪魔(ほとんど仕事関係だが)が入る。
そのせいで、彼は三十路手前にも関わらず未だ童貞なのである。

余談だが、今回の件も合わせると彼が脱童貞のチャンスを失ったのは38回目である…

「クソぅあのアマ次は絶対許さねぇ…!」
男はとぼとぼと勤務先へ向かう……


  • 感想などあればどうぞ! -- みやこ (2012-06-03 13:24:53)
  • かわいそうな男のために風俗へのチケットをげふんげふんげふん -- ひょうご (2012-06-03 13:25:53)
  • 描写量を増やしたほうがいいかも知らん。ただの会話でも、主人公の心境や相手の声の説明とか、バックグラウンドとか、書けることはあるはず。 -- 追記ひょうご (2012-06-03 13:28:50)
  • 心理描写が少なすぎると思います。読者にまかせるのもいいと思いますけど、最低限の描写は欲しいかな?伏線と言われればそれまでですけど -- 名無しさん (2012-06-03 13:41:57)
  • 飾らない率直な文体ですね。ちょっとこざっぱりとし過ぎているようにもうつりますが、しかし誰にでもできることじゃありません。字面を気にかけないというのも一つの手段だと思いますし、僕も嫌いじゃありませんよ。 -- ミモリ (2012-06-03 14:00:13)
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