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時期的には>>214の後ぐらいで


カスミ「めずらしいわねー。あんたから私に会いたいって言ってくるなんて」

私だって好きでお前に会いたいわけではない。と言いかけてぐっとこらえる。
私は今ハナダシティのジムの前にいる。主はいない。
ハナダシティの洞窟に忘れ物をしてきた、と言って一人テレポートで来たのだ。
本当はひとときでも主と離れたくないのだが、これも自分のため、強いては主のためだと言い聞かせる。
おまけにウソまでついて・・・お許しください、主よ。これはあなたのためなのです。
M「ああ・・・。」

一周年のパーティー以来、少しこいつとの距離は縮まった気がする。
しかしその後も主と二人で楽しそうにしているのを見ると、
サイコキネシスで吹き飛ばしたくなる衝動に駆られることが多々ある。
――――残念にも主に止められてしまうが。

カスミ「で?相談って何よ?」
M「ああ・・・それのことなんだが」

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マスターは旅の途中、ほとんどが外食だ。たまに誰かの手料理を食べることはあるが、
大体作るのは主の母君か・・・
カスミ「・・・どうしたの?」
この女、カスミである。

私が常に主のそばにいるためには、強いだけではダメだ。主と楽しそうに話をするこの女を見ていてそう思った。
強いだけではダメなんだ。もっと主の役に立たなくては。
バトルだけじゃなく、主の生活全てにおいて一番でなければ。
そのためには、これは重要なことだ。うまくいけば主とふれあうチャンスが一日に三度も増えるのだから。
しかしほかに相手がいないとはいえ、下等な人間どもに、しかもこの女に頼みごとをするのは気が引ける・・・
しかし、言うしかない。

M「・・りを・・教えてくれ・・・」
カスミ「ん?」

言葉が出ない。頭ではわかっていても、体がどうしても拒否反応を起こしてしまう。
どうしたの、とでも言いたそうにカスミが怪訝な顔でこちらを見る。
言うんだ。主のためだ。言え・・・言え!ミュウツー!
M「だから・・・料理を教えてくれと言っている!」

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ついに言ってしまった。
沈黙が流れる。
ぽかんとした顔で私を見るカスミ。
笑うなら笑えばいい―――しかしこいつの反応は違った。

カスミ「あんた・・・料理覚えたいの?」
M「・・・そうだ。私は常に主の一番の存在として、当然料理もこなす必要がある。私は主のために――」
カスミ「あーわかったわかった。いいわよ。ちょうど今からこの子達のごはんも作るつもりだったし、
    こっちいらっしゃい。」
そう言ってカスミはゼニガメと共に私をジムの中へ連れて行った。

――――――――――――――――――――――――――――――

ここが「キッチン」という所なのだろう。おそらくは料理を入れるであろう容器や、
ストライクの刃のような鋭利なものが置いてある。
しかし肝心の料理の材料がない。それになんだ?この白くて大きい箱は・・・?
開けてみると、ひんやりとした冷気があふれ出る。フリーザーの吐息のようだ。
中には様々なものが入っている。・・これが材料なのだろうか。

カスミ「それ冷蔵庫よ」
M「レイゾウコ・・・」
カスミ「そ。材料はそこに入れるの。あんまり長いこと開けないでね、冷気が逃げちゃうから。
    で?何を作りたいのよ?」
M「だから料理だと言っているだろう」
カスミ「だから料理の何よ?」
M「・・・・!」

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ここで私は気づいた。料理は一種類ではないのか。
そういえば、人間はいつも色々なものを食べていた気がする・・・

カスミ「・・・あんたもしかして料理は一つだと思ってない?」

この女はテレパシーが使えるのか?
ふぅ、とため息をついてカスミが口を開く。

カスミ「そんなことも知らないんじゃ、あんまり難しい料理はできないわね」
M「そんなことはない。私は主のためならなんだってこなしてみせる。私を見くびるな」
カスミ「わかったわかった。じゃあそうねえ、おにぎりにしましょうか」
M「オニギリ・・・?」
カスミ「そうよ。私たちの一番ポピュラーな食べ物。でもこれを作るには相当の腕が必要よ。
    人間ならこれを作るのに大体5年はかかるけど、あなたにはちょうどいいかもね」

なるほど・・・最高のポケモンであるこの私の初めてにふさわしい料理だ。
これなら主もきっと喜んでくれる。

M「いいだろう。教えてくれ」

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カスミ「じゃあ始めるわね。まずはこれ――『ご飯』っていうんだけど、これをこの『具』と一緒に握るの。」
M「ほう。」
カスミ「で、それにこの『のり』を巻くのよ」
M「・・・それだけか?」
カスミ「そうよ。でも軽く見ちゃだめよ。この一握りのためには絶妙な手の圧力とご飯の量、
    そして手の温かみが必要なの。とても難しいのよ」

なるほど・・・しかしこんなことなら超能力ですぐにできる。
私は瞬時に今カスミが作ったものと同じようにオニギリに必要なゴハンとグの量、ゴハンにかける圧力を計算し、
サイコキネシスでそれらを宙に浮かせる。たやすいことだ。

カスミ「ダメよ、サイコキネシスなんか使っちゃ」
M「何?」
カスミ「おにぎりっていうのはねえ、手で握ってこそ意味があるのよ。だから『おにぎり』っていうのよ?
    男だってちゃんと手で握ってくれた方がきっと喜ぶと思うけどなあ」

なるほどそれは確かに一理ある。主のためだ。サイコキネシスをやめ、手でご飯をつかむ。

M「・・・・・・・クッ・・・・・」

いつもは細かい作業などすべてサイコキネシスで済ませていたが、初めて自分の手がうらめしく思った。
この丸い指が三つしかない手ではなかなかゴハンを握ることができない。
私は最強のポケモンだぞ。全ての頂点に立つ生物だ。その私がオニギリごときで・・・!

カスミ(あー・・・、やっぱり言わない方がよかったかな?)
うるさい。テレパシーで全て聞こえているぞ。
しかし一度始めたからにはやめるわけにはいかない。絶対に完成させてやる。

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スミ「そこはもっとこうして・・・あっ、そんなに具を入れちゃだめよ。」
M「わかっている。これでいいんだろう」
カスミ「そうそう。でもそんなに強く握っちゃだめよ。もっとふんわりしたイメージよ」
M「うるさい。私に指図するな」
カスミ「そんなのじゃ男は喜ばないと思うけどなあ」
M「クッ・・・」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

1時間後、「オニギリ」はようやく完成した。最初は手間取ったが、作ってみると大したことではない。
私の能力の高さと、主への想いが成功に導いたのだろう。
もう12時を回った。早く主に食べてもらわねば。

M「・・・一応礼を言っておく。じゃあな」

私は足早に主の元へとテレポートする。

カスミ「大丈夫かしら・・。まあ自分のポケモンが作ったんだし、男だっていやな顔はしないわよね!
    さあみんな、ご飯よー」

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M「主、ただいま戻りました。」
主「おかえり。忘れ物は見つかったかい?」
M「いえ・・・残念ながらもう他のポケモンかトレーナーに持っていかれたようです。
 しかたありません。」
主「そうか・・・残念だったね。でもバトルでお金を稼いでいけば、
  いつかその無くした物も手に入るさ」
M「はい、そうですね」
主「そうだよ。さ、そろそろお腹へったな。お昼食べに行こうか。」
M「あっ、主今日は!」
主「ん?」
M「その・・・私がお昼ごはんを作りましたので、食べて頂けたらと・・・」
主「ミュウツーがごはんを作ったの?」
M「はい・・・帰るときにカスミに出会い、
 料理を教えてほしいと言われたのでそのついでなのですが」
主「へーそうなんだ。ミュウツーが料理できるなんて知らなかったよ。
  じゃあ今日はそれにしようか」

イーブイ(男さん、私はミュウツーさんがカスミさんに料理を教えてもらったんだと思うですが・・・)
M「心の中で何か言ったか?」
イーブイ「いっいえ!!」

主の後ろに逃げ込むイーブイ。まったくあのペットめ。
M「さ、どうぞ」
主「それじゃあいただきます。・・・もぐもぐもぐ・・・」
M「・・・どうでしょう、主・・・?」

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こんなに緊張したのは生まれて初めてだ。大丈夫だ、きっと気に入ってくれる。
しかしイーブイ、なぜお前まで緊張している。

主「・・・うん!すごくおいしいよ。初めて作ったとは思えないよ。
  なんだか初めて食べた気がしないというか・・・?」
M「ほ、本当ですか!そういってもらえるのは私の最上の喜びです!ささ、まだまだありますので」
主「そんなにあわてないで。ミュウツーも一緒に食べよう」
M「はい!」

657 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/06/15(金) 18:37:07.89 ID:kkG8o6RN0
ハナダジムにて

カスミ「今持っていくから待っててねー
    ・・・・あら、ミュウツーったら私の作ったのと間違えて持ってってるじゃない!
    今頃はもうとっくに食べちゃってるだろうし・・・まあいいか」

カスミ「はいどうぞ。・・どう?ゼニガメ」
ゼニガメ「・・・・・・・・・」
ゼニガメ「ガメ、ガメガメ・・・」
カスミ「え?いつもと違っておいしくない?変な味がする?」

カスミ「あちゃー・・・・・・・・」

翌日からしばらく、男は初日とは違う変な味のおにぎりを食べる事になる・・・
テレパシーでその男の思考を読み取ったミュウツーが暴走したのは言うまでもない・・・

病んでる度0でゴメンネ

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最終更新:2007年06月16日 14:39