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*図解雑学人間関係の心理学 斉藤 勇 ナツメ社 2003年7月20日 第5刷
第2章 対人認知と自己呈示
1. 第一印象(初頭効果、アッシュAsch)
Aschの実験:人物の特徴を読み上げて印象を聞くもの。同一の特徴を順序を入れ替えて読むと「順序が効果を持ち、最初に受けた特徴によって印象が分かれる」(印象形成のゲシュタルトモデル)
2. 中心的特性効果
ケリーによる実験:同一人物(心理学の先生)の紹介において、一語(冷たい・暖かい)だけ異なる略歴を事前配布し、印象形成を見るもの。この結果、印象形成(後者に「思いやりがあって、社交的でユーモアがある」と答えた割合が多い)と積極的参加度(発言数)に違いが生じた。
3. 自己呈示の分類(テダスキとノーマンTedeschi & Norman)
「戦術的・戦略的」と「防衛的・主張的」の2×2に分類。
戦術的→比較的短時間
戦略的→長期的関係を前提
防衛的→弁解・言い訳など低く評価されることを逃れるための自己呈示
主張的→自己宣伝・売込みなど
弁解(戦術的×防衛的)→無力感(戦略的×防衛的)など
4. 「私的自己意識」と「公的自己意識」による行動の違い
私的自己意識の高いときは、より自分の信念や価値観に基づいて行動するが、公的自己意識の高いときは他者の期待に沿う形で行動する。
フローミングの実験:電気ショック実験で、操作者に「自分が見える鏡を置く」場合と「自分を観察する人物がいる」場合に分ける。前者だと電気ショックは弱め、後者だと強めになった。
5. 「絶対的評価」と「相対的評価(社会的=対人的比較)」
人はあることに確信を持とうとするとき、「物理的真実性」と「社会的真実性」の2つの基準を持つ。物理的真実性(100泳げる)は社会的真実性(私だけ泳げる or みんな泳げる)を担保しない。
6. 自己評価は社会的比較による
実験:自己評価を含むアンケートを前半は1人で、後半は"優秀"そうな人と一緒に行う。⇒アンケート後半では自己評価を下げた。("優秀でな"さそうな人の場合は評価を上げた。
7. 対人比較欲求
フェスティンガー:社会的比較をするのは、快適な生活のために自己評価を明確にし、安定させたいため。⇒同じような位置の人と比較する傾向を持つ。
ムーサ&ローチの実験:飛びぬけて美人だと思っている女子学生は心理的に不安定になる。(対人比較による社会的真実性やサポートが確保されないため)
8. 能力における社会的比較
能力には客観的な優劣が存在するため、自信や自尊心が満たされているときは「向上志向(自己高揚)の社会的比較」に、そうでないときは「下向志向(自己防衛)の社会的比較」に向かう。
9. 自己確証フィードバック行為
スワン&リードの実験:女子学生に自己主張的かどうかのアンケートを行い、そのアンケートと(結果?)と性格について、男子学生より質問を受けることとする。この際、「自己主張的な」人は自己主張的な質問項目を、「そうでない」人は控えめな質問項目を質問してもらうように言うことが確認された。
10. セルフ・モニタリングSelf-monitering(スナイダーによる理論)
自分と相手との関係や自分が置かれている状況を監視しながら人間関係を進めている。さらに、高モニターの人と低モニターの人がいる。
11. セルフ・プレゼンテーション Self-presentation
対人場面で相手から高い評価や好意、報酬を得たいという思いから、それに合った自分を相手に見せること。様々なストラテジー(対人方略)があり、モニタリングによってここのストラテジーが選択される。
実験:自己性格アンケートを行い、3週間後に再度行う。再アンケートの前に、異性に結果を伝えることを説明したところ、異性の情報(家庭的な人を好む)に沿った回答が増加した。
12. セルフ・ハンディキャッピングSelf-handicapping
試験前の言い訳や弁解などに現れる心理
バーグラスの実験:偽薬(知的促進or知的妨害)を用意し、被験者には事前にテストを受けさせる。結果が良かったと告げられた者は、2回目のテストに当たって「知的妨害薬」を、結果が悪かったと告げられた者は「知的促進薬」を、被験薬として選択した。(自尊心が満足した者は、それを傷つけられるのを恐れると解釈される)
13. 自己評価維持方略(テッサーによる)
悪口・非難(同僚の昇進をねたんでいう)、栄光浴(同郷の先輩の自慢)などの、自尊心の防衛の仕方を理論化。
「人は自尊心を高める(回復する)ために、自分にとってさして重要でない分野では栄光浴を、重要な分野では非難・悪口を用いる」
14. 顕著性(相手にとって注視の的になること)によるリーダーシップ
テイラーの実験:2者間の会話を聞いてどちらにリーダーシップがあるかを判定する実験で、観察者は実際の距離よりも顔の見える者にリーダーシップがあると評価した。
15. 自己標的バイアス(自分が注目・批判を集めているという過剰な思い込み)
フェニングスタインの実験:<自分の成績が悪い>20%に対して、<隣の人の成績が悪い>は8%。8人の集団で「デモンストレーションをする人を選ぶ」と言ったときの<自分が選ばれる可能性>を高く評価した。
16. 自己認知スタイル
抑うつ的自己スタイルを持っている人は自分の悪い点・状況にのみ注意を向けてしまう。
ダリーンバーグ&ビジネスキーの実験:テストを受けた後の自己意識調査によって、抑うつ的でない人は成功した場合の方が自己意識が高まったのに対して、抑うつ的な人は失敗した場合により自己意識が高まった。
17. 帰属理論(ハイダー、ナイーブ<素朴な>心理学に基づく)
「人は、人の行動を見たとき、そこには原因があると知覚し、その原因を行為者当人か、環境のどちらかに求める。」また、これによってその対応行動が異なる。
行為者当人:能力的原因と動機的原因
環境:課題の困難性と運
18. 帰属原因マトリックス(ワイナーWeiner)
帰属原因を「外的・内的」と「固定的(能力など)・変動的(運など)」で分類。
1. 内的×固定的要因 → 能力・能力不足
2. 内的×変動的要因 → 努力・努力不足
3. 外的×固定的要因 → 課題・課題困難性
4. 外的×変動的要因 → 運・不運
これによる対応行動の変化とプライド・羞恥心のモデル(バー・タルBar-Tal)
ワイナーはさらに統制可能性を加えて2×3のモデルに修正している。
19. 行為者-観察者帰属バイアス(ニスベット)
行為者は変動的要因(不運)に、観察者は固定的要因(能力)に帰属しがちである。
ニスベットの実験:ボランティアを2回頼む際、2回目に対する行為者(頼まれた人)の考えと観察者(それを見ていた人)の予測が異なっており、観察者の方が行為者の性格にそれを帰した(あの人はそういう人だから次も・・)。
20. 自己高揚帰属バイアス
人は成功原因を内的要因に帰属し、失敗したときには外的要因に帰属する傾向がある。この場合を自己高揚帰属バイアス、この逆を自己卑下的帰属バイアスと呼ぶ。人間関係を重視する場合には自己高揚帰属バイアスは生じない。
21. 自己中心性バイアス
ロスRoss & Sicolyの調査:夫と妻それぞれが、どれくらい家事をしていると思っているかの調査。自分がより多く(長く)家事を負担しているという結果から、自分の貢献を高く見積もり、相手の貢献をより低く見積もるという自己中心性バイアスが生じていた。
22. 自己関連付け効果
自分と関連していることはよく覚えているが、関係ないことは覚えていない。
ロジャースRogers, Kuiper & Kirkenの実験:モニター上の単語に合わせて次の質問のどれかが表示される。1 大文字ですか? 2 ○○と韻を踏んでいるか? 3 ○○と同じ意味か? 4 あなたに当てはまるか? この後、単語を思い出させると4が最もよく思い出される(平均再生回数 1 0.05 2 0.08 3 0.14 4 0.30)。
*図解雑学人間関係の心理学 斉藤 勇 ナツメ社 2003年7月20日 第5刷
第2章 対人認知と自己呈示
1. 第一印象(初頭効果、アッシュAsch)
Aschの実験:人物の特徴を読み上げて印象を聞くもの。同一の特徴を順序を入れ替えて読むと「順序が効果を持ち、最初に受けた特徴によって印象が分かれる」(印象形成のゲシュタルトモデル)
2. 中心的特性効果
ケリーによる実験:同一人物(心理学の先生)の紹介において、一語(冷たい・暖かい)だけ異なる略歴を事前配布し、印象形成を見るもの。この結果、印象形成(後者に「思いやりがあって、社交的でユーモアがある」と答えた割合が多い)と積極的参加度(発言数)に違いが生じた。
3. 自己呈示の分類(テダスキとノーマンTedeschi & Norman)
「戦術的・戦略的」と「防衛的・主張的」の2×2に分類。
戦術的→比較的短時間
戦略的→長期的関係を前提
防衛的→弁解・言い訳など低く評価されることを逃れるための自己呈示
主張的→自己宣伝・売込みなど
弁解(戦術的×防衛的)→無力感(戦略的×防衛的)など
4. 主張的自己呈示の分類(ジョーンズとピットマンJones & Pittman)
1.取り入り 2.自己宣伝 3.示範 4.威嚇 5.哀願
それぞれについて「相手に喚起させたい感情」「典型的な行為」「相手に求める評価」「失敗した場合の評価」を作成
5. 取り入りの自己呈示における同調
ジョーンズJonesらの実験:上司(裁量権あり・なし、人間関係重視・課題重視)と部下(上司のタイプを知らされる)に分け、予備的ゲーム→相互に知り合う(上司の意見に自分の意見を書き上司に提出)→本ゲーム を行う。この結果、自由裁量権があり、かつ、人間関係重視の上司の場合に同調が起こった。
6. 自己呈示のバイアス(男らしさ・女らしさ)
プリナーとチェイクンの実験:満腹になるまで食べるよう指示された女性被験者は同席者(女>男、魅力なし>あり)によって、「満腹になる」まで食べる量が変わる。
7. 復讐における自己呈示
ウォーケルWorchelの実験:第1faseで自分の書いたエッセーを批判された被験者は、第2faseで批判者を対象とした電気ショックを与える係りとなる。このとき、より強い批判を受けた場合に電気ショックの強さを上げる傾向があった。さらに被験者が匿名よりも顕名の方が強くなった。
8. 自己誇示的自己呈示(欧米人に多い)と自己卑下的自己呈示(日本人に多い)
マーカスとキタヤマ:日本人は相互依存的自己を持ち、欧米人は独立的自己を持っているから、と説明。
9. 性格の判断(共変の原理 ケリー)
事象の原因として相手の性格に帰する場合、4つの条件と3つの性質の立体モデルで考える。
4つの条件:相手の人(実体)、判断する人(々)、時、状況
3つの性質:
1 弁別性(一般的他者との比較)
2 一貫性(時や相手によらず起こる)
3 合意性(自分以外の判断者による合意)
10. 予測の自己実現性(ピグマリオン効果)
第一印象が当たるのは、第一印象に従った相互作用がなされることによる。
ローゼンバークらの研究:知能テストの実験を行い、その結果を教師のみに教える。実際の結果とは関係なく、教師に「良い結果」だったと伝えられた生徒は6ヵ月後のテストで成績が伸びており、「そうでない」と伝えられた生徒は伸びていなかった。