51代も遂に先輩となり、各々思い思いに先輩風を吹かせている。
それは拳亭 語に於いても例外ではない。


とある、第百一回農工落語会の合宿初日のことである。
午前4時、拘束時間が終わった。
それまでの現役全員と同数の新入生が入部し、男子たちはシャワーを浴びる順番を巡って熾烈な争いを繰り広げていた。
シャワーを浴びたいのは女子も同じである。 女子たちもシャワーを浴びる順番を巡って綺麗な譲り合いを繰り広げていた。
それは、嵐の前の静寂。 束の間の平穏な時間のことであった。

大部屋で聞き耳を立て、廊下の女子たちの会話を聞く影が1つ。
人生初の女子の後輩に大いに空回っている張り切っているあいつだ。

すると、彼はおもむろに声を張り上げた。

「はい、女子がシャワー浴びるから男子は待機ー!!」


威厳に満ちた、まさに鶴の一声である。
しばらくの間、誰一人として声を出す者はいなかった。
時計の秒針の音だけが、五月蠅く響く。


何故このようなことが起こったのか、誰にも分からない。
 彼には、この落研で女子のシャワーシーンに遭遇してしまうという絶望的なトラウマがあるのか。
 心が乙女に、脳が筋肉に染まりすぎて、性別の違いが分からなくなってしまったのか。
謎は深まるばかりである。

ただ1つ、はっきりと分かることがあるとすれば、
この施設のシャワーは男女別であり、彼の入部以降も何人もの女子が利用しているということである。

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最終更新:2015年06月02日 18:49