ガラクタ龍とスレチガイ


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「っ……」

眼を覚ました直後、まず目に入ったのは闇に包まれた海だった。ガンガンと痛む頭を押さえ、姿勢を直す。
何かがおかしい。話が違う。慌てて少年は周りを見回した。
少年の後ろにそびえ立つ、余りにも大きな城。古代を連想させるような作りのそれは、自分が居る場所が現実世界ではない事の証拠にもなった。

宗護の住む街にCCDが流行し始めたのは新しい話ではない。ただ、ミーハーとは程遠い宗護はその存在を知りつつも全く近づく事はなかった。友人の誘いを受けるまで。

「変だな……話に聞いた限りじゃ、こんな風景はなかった筈なんだけど」

彼の名は「烏丸 宗護」。髪形、服装、その他諸々が“普通”。悪く言って普通。よく言って普通。クラスに一人二人居てもまず目立たないであろう存在。
彼は少しずれた眼鏡を直して、慣れない手つきでD・パッドを操作した。

「やっぱり違う。話じゃこんな狭いマップじゃないよなぁ……
 えーっと、今居るのは……一番南か」




その後、D・パッドに「おめでとう」から続く長い文章が表示された。
文章を読み続けていくのに比例して、宗護の顔は険しくなっていく。

「……デ、デッキが違う……?!」

宗護は慌てて懐のデッキを確認した。1枚目からすでに違っている。「シンクロ」は使った事がない。
一歩間違えば海へ転落してしまうような崖に自分が居る事も忘れ、宗護の足元は覚束なくなった。
デッキのトップにあったのは“真六武衆-シエン”。名は知っているが、六武衆のデッキは使った事はおろか見たことがあるかすら怪しい。

「キング・レオン! どこに居るんだ?!」

一時期とは言え、ずっと一緒に戦ってきたキング・レオンとの別れは唐突にやってきた。
宗護にとってはここからの脱出や優勝は二の次。とにかく、自分のデッキを再び自分の手に戻したい。

「そうだ……俺がこのデッキを持ってるなら、俺のデッキも誰かがきっと持ってる筈だ!」

決闘で勝てば相手のデッキが手に入る。むしろそれしか方法はない。
宗護は腹をくくり、歩みを始める。








「………な、な、ななななな………なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

「?!」

突如どこからともなく聞こえてきた絶叫。とにかく目立ったその声の主は分からないが、とにかく人が居る事は分かった。
声がしたのはマップで言えば東の方向。宗護は藁にもすがる思いで駆け出して行った。



「ぜぇ……ぜぇ……どこにもいない……」

どうやら無駄足だったらしい。海岸沿いに走った宗護の目に移ったのは人間ではなく、何やら不思議なオーラを感じさせる(宗護目線)像だった。
ようやくこの暗闇にも慣れ、はっきりとまではいかないがその像の輪郭は良く分かる。

「スターダスト・ドラゴン……だよね。カッコイイな……」

錆びきった鉄クズで造られた龍の像……きっとこの制作者は愛を持って作りあげたのだろう。
大きな月をバックにそびえ立つその龍は、自分が大変な状況に置かれている事を少なからず忘れさせた。
宗護はその前に座り込み、再び自分のデッキをじっと見た。幸いにも、そのドラゴンが宗護に落ち着きを与えたのだ。

恐らく、これから暫くはこのデッキで戦う事になる。全盛期では驚異的な強さを見せたこのデッキだが、宗護がそれを使いこなすことが出来るかはまた別の話。今のうちに少しでも戦略を練っておきたい。

「キング・レオンに会う前に敗退なんて、絶対嫌だ……!」


{H-5―0:06分頃}
【烏丸宗護@ENERGY】
[参戦時間軸]斬岬 狂璽との決闘後
[状態]ゲームに対する警戒心強。
[デッキ]真六武衆(新羅 誠悟)
[思考・状況]
1:キング・レオンとの再会及びデッキの回収
2:人探し
3:ゲームからの脱出
[備考]



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