『もしもムロの兄と京太郎が友達同士だったら』
京太郎「ごめんくださーい」
ムロ「はーい。アレ、いらっしゃい京太郎君」
京太郎「えっと、裕子だけ?」
ムロ「そ。お兄ちゃん二人とも出掛けちゃってるけど」
京太郎「あー、そうなんだ」
ムロ「なんか用事でもあった? 遊ぶ約束とか?」
京太郎「いや別に。ふーん、そうなんだ。居ないんだ」
ムロ「わざわざ来てくれたのに悪いね。お茶くらい出すけど?」
京太郎「じゃあ、せっかくだしお邪魔します」
ムロ「はい、どうぞ。粗茶ですが」
京太郎「あざーす」
ムロ「なんか久しぶりだね、京太郎君がウチ来るの」
京太郎「言われてみりゃそうかも」
ムロ「前はよく来てたよね」
京太郎「そうだったな。中学の頃とか、部活帰りとかよく上がりこんでたな」
ムロ「あのさ、なんでハンドボール辞めちゃったの? あんなに熱中してたのに」
京太郎「んー?」
ムロ「お兄ちゃんもさみしがってたよ? オレと京ちゃんの無敵のコンビネーションがーって」
京太郎「そんな時代もあったなぁ。でも実際、俺そんなに上手くねーしさ」
ムロ「えー、そんなこと無いと思うけど」
京太郎「どちらかと言うと『ハンドボールが』ってより『皆でやる』ってほうが楽しいと思うタイプなんだよ」
ムロ「ああ、なるほど」
京太郎「お分かりいただけたかな?」
ムロ「うん。でもだったら、お兄ちゃんと同じ高校行けばよかったんじゃ?」
京太郎「それも考えたんだけど、ここは潔くスッパリと辞めるほうがいいかなーって」
ムロ「へえ、それで清澄行ったんだ」
京太郎「そういうこと。ところで、裕子は進路どうするんだ?」
ムロ「私も清澄かな。風越はちょっと遠いし」
京太郎「部活は麻雀部はいるんだろ?」
ムロ「モチロン!」
京太郎「よしよし。これで竹井先輩の抜けた穴を埋められるな。染谷部長も一安心だ」
ムロ「いや無理だから。私には荷が重過ぎるから」
京太郎「和も優希も期待してたぞ。あと咲も」
ムロ「いやー! プレッシャーかけないでー!」
京太郎「さて、そんな期待の新入部員の裕子ちゃんには良いものをあげよう」
ムロ「え?」
京太郎「はい、どうぞ」
ムロ「あ、どうも」
ムロ「……って、なにこれ? もらっちゃってもいいの?」
京太郎「おう! ……もしかして忘れてないか?」
ムロ「なにが?」
京太郎「今日は何の日だっけ?」
ムロ「今日は11月14日で……あっ」
京太郎「誕生日おめでとう、裕子」
ムロ「あ、ありがとう。うわぁ、私の誕生日なんてよく知ってたね」
京太郎「フッフッフ、まぁな」
ムロ「なーにカッコつけてんの……いや、でもカッコいいよ京太郎君」
京太郎「そ、そうか? 喜んでもらえたならよかったぜ。ちょっと恥ずいけど……」
ムロ「あー、それでお兄ちゃん達の居ないタイミングを見計らって……へぇーどおりで」
京太郎「う……あ、あんまりからかうなよ!?」
ムロ「ふふっ、ゴメンね」
京太郎「まったく……来年、清澄に入ったら覚悟しろよな、裕子」
ムロ「はいはい。よろしくお願いします、京太郎先輩」
カン
最終更新:2019年03月11日 01:44