久「須賀くん」
『はいはい、買い出しですか? それとも卓メンテ?』
久「いつも、ありがとう」
『……部長、熱が?』
久「ないわよ。失礼……とは言えないわね。前科ありすぎだし」
『なんかありましたっけ?』
久「貴方ってホントにもう。だから甘えちゃうのよね、年下の男の子なのに」
『??』
久「合同合宿に連れて行かなかったのも、東京で別練に泊めたのも、全部私の我儘」
『あれは異性と一緒だと誤解されるからってやつでしょ? そう言ってたじゃないですか』
久「嘘よ、そんなの。ただ見せたくなかったの。他の学校の子に須賀くんを気に入られたらってそんなことばかり」
『え? えぇ?』
久「好きなの。我儘で捻くれて素直じゃなくて、そんな私だけど。好きになんてなってくれないと思うけど。私はあなたが心から」
『……意外です。部長は扱いやすい雑用係だとしか思ってないって』
久「そうよね、そう取られて当たり前の態度だったもの。ごめんなさい、迷惑よねこんなの」
『でも、嬉しいです。ただの女の子って思えて。切り替えに時間かかるかもですけど、俺真剣に考えてみます』
久「っ、須賀くん、須賀くんっ。好き、大好き。私も少しずつ変わるから」
『部長……いえ、久さん。これからもお願いしますね』
久「京太郎くん……」
涙をこぼしそうな笑顔で竹井久が身を乗り出そうとした瞬間、ガラッと部室の扉が開いて
京太郎「すいません、遅くなりましたー。あれ、何してんです部長?」
久「遅い! これ買い出しのリスト! 至急!」
京太郎「うえ? はいはい、分かりましたってば。今日機嫌悪いなぁ」
本物が歩き去って一人になった瞬間、竹井久は突っ伏し
久「私って、何でこう、うぁあ……」
実は清澄で最も乙女なのが竹井久なのだと、その事実を知るのは彼女のスマホの中の京太郎だけであった
カン
最終更新:2019年03月11日 01:36