咲「今日は2月2日だね!はい、これ京ちゃんに」
京太郎「おう。毎年ありがとうな。今年のプレゼントも本か?」
咲「うん!先月くらいに出た本なんだけど、心情描写がすごくよく書き込まれてて思わず共感してしまう美しさがあるんだよ!」
咲「情景描写も丁寧で目の前に光景が浮かび上がってくるようで……それぞれの思惑が複雑に絡み合うラストはちょっぴり切なくて心に染み入って来るの」
咲「中でも主人公の幼馴染として出てくる女の子がね――」
京太郎「ストップ、ストップ!ちゃんと読むから内容に触れるのはその程度にしといてくれ。お前が選ぶ本はいつも面白いからしっかり読みたい」
咲「あ……ごめんね。えへへ、でもそう言ってくれるなら勧めがいがあるよ。京ちゃんにも、もっと私が好きな本のこと知ってもらいたいな」
京太郎「中学に上がる前に比べたら大分詳しくなったよなあ。お前に付き合って本屋を見て回ったり、面白かったからっていきなり読まされたりもしたし」
咲「まだまだ足りないくらいだよ。京ちゃんに読ませたのなんて私が気に入ってる中のほんの一握りだし。これから何年だって教えてあげるから覚悟しててよ」
京太郎「何年だって、か。……少し嬉しいな」
咲「――えっ!?そ、それってどういう……」
京太郎「いや、今年は色んな事があっただろ?お前が麻雀を始めて、剰え全国で優勝までした。もう、俺が中学で気にかけてた頃のお前じゃない」
京太郎「咲は俺がいなくても立派に生きてけるんだなって思ってさあ。そしたら、わざわざ俺なんかじゃなくても読書仲間には困らないだろ?」
京太郎「……だから、これからも一緒に居たいって言ってくれるのは、やっぱり嬉しいなって」
咲「……もう。そんなこと気にしなくていいのに。私が京ちゃんのこといらなくなるなんて、絶対有り得ないもん」
京太郎「はは。よく考えれば、俺だってこんなポンコツを置いていくなんてできねえよ。お前が嫌がってもずっと面倒見てやるから覚悟しろ」
咲「ええー……それはそれで何か複雑なんだけど」
京太郎「ま、そうだな。差し当たっては咲さんに釣り合えるくらいには俺も麻雀頑張りますかね。ずっと負けっぱなしってのも男としては思うところもあるわけで」
咲「ふーんだ。そう簡単には負けてあげないからね」
京太郎「はっ。すぐに追い抜いてやるよ。今度はお前たちと一緒に絶対全国まで行ってやるからな」
咲「……あはは。じゃあ来年の目標は清澄高校で男女全国制覇にしよっか。私だってもっといろんな人たちと打って勝ちたいから」
京太郎「咲も言うようになったな……よっしゃ!今日から一層気を引き締めて麻雀の勉強頑張るぞ!!誕生日を迎えて、ただ年を重ねただけじゃないってところを見せてやる」
咲「うん!これから頑張る京ちゃんに、それじゃあ改めて――」
咲「お誕生日おめでとう!これからもよろしくね!」
――カンッ!!
最終更新:2018年05月02日 16:50