キュッキュッ

咲「ふぅ……これでおしまい」

京太郎「なんだ咲、まだ掃除してたのか」

咲「あ、京ちゃん。いま終わったとこ。あれ、部活は?」

京太郎「メンツが揃わないから迎えきた。ほら、それ貸せよ」

咲「ありがとう、京ちゃん」


ガチャ バタン

京太郎「忘れ物は?」

咲「なし」

京太郎「オッケー、行こうか」

咲「うん。ねぇ京ちゃん、その袋って」

京太郎「これ? 買い出しの袋だけど」

咲「中身は……お菓子、お菓子、お菓子ばっかり」ガサゴソ

京太郎「コンビニ行ってきたんだけど、今ってハロウィンの時期じゃん? 期間限定のが多くて、つい」

咲「どれも似た味のが多いね」ガサゴソ

京太郎「まぁ、どうしてもカボチャ味が多くなっちゃうよな。なんか、食べたいのでもあったか?」

咲「カボチャ……」


咲「京ちゃんってさ、魔法使いみたいだよね」

京太郎「は?」

京太郎「いえ、違いますけど……?」

咲「ちょっと引かないでよ。ほら、カボチャっていえば魔法使いじゃない?」

京太郎「そうか? どっちかってーと、ランタン持ってるお化けのイメージ」

咲「ややハロウィンに寄ってるよね。私は、カボチャを馬車に変えたりするほうのイメージかな」

京太郎「ああ、なんだっけそれ。シンデレラ?」

咲「うん。お城に行かせてもらえず、一人で泣いていたところにやってきて魔法をかけるの」


咲「そのおかげで、みずぼらしい少女が煌びやかな舞踏会に参加することができたんだ」

京太郎「そうだったな。でも、なんで急にシンデレラなんだ?」

咲「ほら、私も夏にインハイで全国大会に連れて行ってもらったから。なんか、似てるなぁって」

京太郎「いや、それは咲の実力だろ。俺はなんもしてねえよ」


京太郎「しいて言えば、パソコンの使い方くらいだな」

咲「ううん、そんなことない。キッカケを作ってくれたのは誰でもない、京ちゃんだよ」

京太郎「そ、そうか……」

咲「うん。おかげで、麻雀の楽しさを思い出すことができた」


咲「京ちゃんに誘われてなかったら、きっとあのまま。一人で本の世界にこもってたら、何も変わらないままで……」

咲「お姉ちゃんとも、仲直りできなかった」

京太郎「咲……」

咲「それもこれも全部、京ちゃんのおかげ。なんとなく言えてなかったけど、感謝してるんだ」

京太郎「い、いや、だから言い過ぎだって」


咲「ありがとう、京ちゃん」

京太郎「お、おう……」

咲「あれ、もしかして照れてるの? ん?」

京太郎「うるせーっ! ほら、さっさと部室行くぞ!」



ギシッ ギシッ

咲「普通に生活してたら、こんな旧校舎とかにも来ること無いよね」

京太郎「そうだなぁ。しかも屋根裏。なぁ、咲」

咲「ん?」

京太郎「お前、自分がシンデレラだって言ってたよな」

咲「ちょっと境遇が似てるかなーって思っただけだよ」

京太郎「まぁ、俺も魔法使いではないんだけどさ、でも今日くらいは……」

咲「え?」

スッ


京太郎「ようこそ、お姫様。本日はこころゆくまでパーティーを楽しんでいってください」

ガチャ

咲「わあ――」


「「「咲(さん・ちゃん)誕生日おめでとう!!」」」


カン

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最終更新:2018年04月30日 20:50