今まで、丁寧に積み上げてきた。

久「和のコネで、阿知賀と合同合宿を組めたのは僥倖ね。」

和「コネというか、単に友達が多かっただけなのですが……」

優希「でも意外だじぇ、京太郎を連れていくかどうかで、のどちゃんが賛成するとはな!」

和「須賀君も部員ですし、男手が必要な場面もあるでしょうから……ですが、須賀君は充分に弁えて下さいね?」

京太郎「分かってるって、変な事はしねーよ」

咲「ヘタレだしね、京ちゃん」

京太郎「お前、そんな容赦ないキャラだったか……?」

まこ「咲のはともかく……噂の件もあるっちゅうても、もうちょい信用しちゃらんかおんしら……」

彼の噂は巧妙に流した。
密かな趣味趣向もそれとなく付随させた。

その効果は部外ではてきめん、部内でも一歩距離が離れているのが分かる。
幼馴染である咲さんでさえもあの様子だ。

例外は優希。 でも彼女は“ステージ”からは降りている。
その手の話題を振った時の、諦観に満ちた瞳でよく分かる。

もはや、盤石。

和「取り敢えず須賀君、会場の設営を手伝ってください。 私が案内しますから。」

京太郎「おう、任せろ! 案内よろしくな和。」

全国でも、偶然彼を目にして気に留めた人物はいた。

だから噂は全国参加校の間にも密かに広まるよう仕向けた。
お陰で、数名はステージに上がることもなく去っていった。

穏乃「あ、和だ! おーい!」

憧「早かったじゃない……って何、男子も?」

和「予定より早く用意が終わったので。 須賀君には男手として来てもらいました。」

京太郎「須賀京太郎っす、よろしく。」

穏乃「へぇー、清澄って男子いたんだ?」

憧「手伝いは良いけど、あまり好き勝手しないでよ?」

京太郎「わ、わかってるって。和にも釘刺されてるし……」

阿知賀は女子高で、男子に慣れていない。
この短い期間に急接近という程踏み込めはしないだろう。
とはいえ無警戒は危険。一応の警戒は必要だろう。

故に、ここでもやはり噂を流した。

穏乃と赤土先生にべったりなあの人はそもそも除外、憧や玄さんのお姉さんは、恐らくあの手の話は苦手である筈だ。
玄さんの性癖は女性だからこそのそれであり、同じ趣味の男性というのは流石に避けるだろう。

ここでもまた、彼は孤立する。

でもそれでいい。 それがいい。

孤立し疲弊しきった彼を受け入れるのは、私1人でいいのだ。


だからこそ

玄「須賀くん、おもちとは!」

京太郎「みんな違ってみんな良い! でも大きなおもちは夢とロマン!!」

玄&京太郎『ピシガシグッグッ!』

玄「同志を見つけたのです!」

京太郎「分かってくれる人が、ここに居たっ!」

和「須賀君……!」

京太郎「ぅおっ!? お、怒るなよ和……調子に乗ってすんません」

和「全く……」


この繋がりを、許す訳にはいかない……

カンッ

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最終更新:2018年04月29日 21:50