髪淡姫

昔ある国の王と王妃がいましたが中々子が出来ずとても悲しんでいました。
国中のあらゆる預言者、精霊、妖精に呪わせようやくある老婆の畑にある野ぢしゃを食せば子宝に恵まれると言う預言を授かりました。

早速、老婆の元に向かい野ぢしゃを買い取りたい旨を伝えると老婆は
「お代は結構。だが、わたしを生まれる子の名付け親にしておくれ。あんたには女の子が生まれるよ」と言いました。

王妃は車に乗ると夫に言いました。「あの女を名付け親にするって約束したけど、そんなことしてたまるもんですか」

王妃は野ぢしゃを食し、十月十日の後預言通り珠のような姫が産まれ、王は盛大な祝宴を催し、その祝宴は3日3晩も続きましたがとうとう老婆が呼ばれる事は無く名前も淡と決められました。

祝宴の終わり近くになると、招かれた妖精たちは姫にそれぞれすばらしい素質をさずけました。
一番目の妖精からはこの世で一番美くしい髪が、二番目からは美貌が、三番目からはオカルトが以下同様にこの世で望まれるあらゆる素質がさずけられました。

さて、実はあの老婆は魔女だったのでした。最後の一人が予言を告げようとした時に正体を現し姫を攫って行きました。

しかし、最後の妖精が姫と同じ髪色をした若い男が連れ戻すと予言したので魔女は姫を隠さなければならなくなりました。

魔女は姫を塔の中に閉じ込めました。その塔は森の中にあって、梯子もなければ出入り口もなく、てっぺんに小さな窓が一つあるきりでした。

それから十五~六年経ったある日、姫が戯れに「こんにちわちわ」と言い、吐血していると近くを金髪長身の若者が通りかかりました。

人を見る事自体稀な上、自分と同じく金髪な人間など初めてだったので(魔女が付近に《人払いの呪い》をかけていたので、よほどの事が無い限り森の中にさえ入れないので当然のことなのですが)勇気を出して声をかけてみました。

「ちょっとそこの金髪!どこから来たの!?なんて言う名前!?ここに来た目的は何ぃ!?」

若者は最初どこから声がしているのか分からず困惑していましたが、どうやら目の前にある塔の上に人がいるようだと分かると丁寧に返答しました。

「俺は清澄から来た須賀京太郎だ!このあたりに十数年前に攫われた姫がいるらしいと知った国王が、領地で唯一姫と同じ世代・同じ髪色の男の俺に姫の捜査を命じたので来た!そしてここからでも分かるお前も金髪だバーカ!」

姫はその後、若者と軽口を叩きあいました。自分が攫われた姫だと言う事実に衝撃を受けながらも、それ以上に若者に惹かれていきました。
若者も姫のいるところまで登っていってその姿をしっかりと捉えた瞬間に恋に落ちました。

両思いになった二人があらゆる苦難を乗り越えるのは自然の摂理。
語るだけ野暮と言うものでしょう。
悪しき魔女は打ち滅ぼされ、魔女が出入りに使うために必要以上に伸ばされた髪は適切な長さになり二人は王国に戻りました Happily ever after.

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最終更新:2018年04月28日 23:05