<京太郎に他で彼女ができていたらどうしますか?>
玄「そっかー、京太郎くんにもついに恋人ができたんだ」
京太郎「ええまあ。付き合いだしたばっかりですけどね。っと、そろそろデートなんで行ってきます」
玄「うん、行ってらっしゃい」
笑顔で見送られ、散々楽しく待ちで遊んだ後は家に帰る。ふと、自分の部屋を見て首をひねった
京太郎「あれ? 電気つけっぱにしてたっけ?」
まあたいした問題でもないと鍵を開けて玄関から部屋へ。と、
玄「あ、お帰りなさい京太郎くん。お夕飯できてるよ」
部室で別れを済ませたはずの先輩が、何故かエプロン姿でテーブルの上に皿を並べていた
京太郎「え、え? 玄さん、何で?」
玄「ん? 変な京太郎くん。私が京太郎くんのお出迎えするのは当たり前でしょ」
いや、意味が分からない。そもそもどうやって入ったんだこの人? 家の鍵、かけてたよな
玄「私、これからお姉ちゃんのご飯もうくらなきゃだから、帰るね。また学校でね、京太郎くん」
俺が疑問を口にする前に、彼女はいつも見せていたのんびりとした笑みで、いつもと全く変わらないように振る舞っている
それが、なんだか怖い
京太郎「あの、暗くなってきたし送りましょうか?」
玄「大丈夫、これぐらいの時間慣れてるから。じゃあね」
訳が分からないままに、とりあえずほかほかのお手製料理を食べる。
京太郎「うわ、旨いなこれ。あ、そっか。俺に彼女ができたからお祝いしてくれたのか。サプライズすぎるぜ」
納得して魚の塩焼きを食べる。旨い。さすが旅館の次期女将候補。そんなのんきに考えていたんだけど
しかし、彼女の来訪、というか出迎えと夕食の支度はこの後も毎日続いた。
あまりの頻度と、変わらない朗らかな態度が怖くなって、俺はこっそりと部屋の鍵を変えた
その日、学校が終わったら誰に挨拶することもなく足早に帰途につく
京太郎「よかった。電気ついてない。これでもう怯えなくても……」
ドアのカギを外して、部屋に足を踏み入れる。そこには暗闇に座り込む少女が闇に紛れていた。
玄「あ、ごめん京太郎くん。もう帰ってきたんだ? いつもより早いね。今すぐ料理するから待ってて」
ぞわりと、背筋に寒気が走った
京太郎「玄、さん。なんで……」
玄「ん? ほら余計な電気代かけちゃ迷惑でしょ? だから京太郎くんが帰ってくる時間帯にだけ電気つけてたんだけど、何か変かな?」
ずっと、あの日から今までずっとこうしてたっていうのか?
京太郎「……玄さんは、何がしたいんですか?」
玄「私は京太郎くんを待っていたいだけだよ。私のところに帰ってくるのを、ずっと」
ああ、この人には言葉が通じない。暗い暗い瞳の奥の心が、俺の理解できるものではない。それをようやく悟った
カン
最終更新:2018年04月28日 23:02