※全国決勝前夜 ホテルの廊下にて


咲「あ、京ちゃん。」

京太郎「咲……ちょうど良かった、ちょっと時間あるか?」

咲「えっ……あ、うん。 大丈夫。」

京太郎「そっか。 じゃあちょっと外まで付き合ってくれよ。」


――――

※ホテル外 近隣の遊歩道


咲「……急にどうしたの京ちゃん?」

京太郎「…………」

咲「京ちゃん……?」

京太郎「……なぁ咲……」

咲「ん?」

京太郎「俺さ……お前の事、好きだわ。」

咲「うん…………」

咲「……ぅえっ?! きょ、きょ京ちゃんっ!?」

京太郎「予想通りのリアクションありがとう。 ……昨日の晩、夢見たんだよ。」

咲「ゆ、夢……?」

京太郎「おう……麻雀部の皆大人になっててさ、同窓会みたいに集まって話してんだ。 あんな事あった、こんな事あったって、みんな笑顔でさ。」

咲「……」

京太郎「で、皆もう結婚してるんだって……幸せそうに話してさ。」

咲「うん……」

京太郎「当然、咲も結婚したんだって、毎日が楽しいって俺に話すんだ……それ聞いてさ、すっげぇ辛かった。 腹ん中ぐちゃぐちゃになるみてぇに苦しかった……」

咲「……」

京太郎「目が覚めて思い出してみても、やっぱりすげぇ苦しくて……気付いたんだよ。 俺、何だかんだ言って咲から離れたくねぇ、咲を離したくねぇんだって。」

京太郎「悪ぃ、咲……お前が今一番大事な時だってわかってる……こんな事言うのなんか、全部終わってからでも良いって頭では分かってんだけど、もう自分の気持ちを止められねぇんだ……!」

咲「京ちゃん……」

京太郎「咲、好きだっ! 俺と付き合って欲しいっ!」

咲「……あっ、えっと……」

京太郎「……返事は何時でもいいし、気を使う必要も無い。 ダメならダメで」

咲「まっ、待って京ちゃん! 違う、違うの……! ……私もね、京ちゃんの事、好きだよ? ずっと前から……」

京太郎「ほ、本当か、咲……?」

咲「本当だよ? ちょっと急で、ビックリしちゃっただけ……でも、私でいいの京ちゃん……? 私、和ちゃんみたいにスタイル良くないし、優希ちゃんみたいに可愛くも……」

京太郎「良いんだよ。 俺は咲が好きなんだ。 人付き合い苦手で、本は好きでも流行りに疎くて、何やらせてもダメで……でも麻雀を通してなら何でも出来て、誰よりも綺麗で格好いい、宮永咲が好きなんだよ。」

咲「きょ、京ちゃんっ……!」

京太郎「……ありがとな、咲……」

咲「ううん……これからもよろしくね、京ちゃん?」

京太郎「ああっ、これからずっと、ずっとな!」



翌日、高校全国女子麻雀大会決勝の大将戦。
夜天の星も、運命の波風も、深山幽谷の化身さえも、嶺に咲く花を覆い隠す事はかなわなかったという……


カンッ

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最終更新:2018年04月26日 22:27