同級生。クラスも同じ。麻雀もそこそこ知ってるみたい。

だから誘った。最初の理由は本当にそれだけ。

「助かったといえば助かったのかな。別クラスの男連中と組んで部活か

 サークル創らなきゃマズいなあって考えてたし」

苦笑しながらそんなセリフを言ってた京太郎。

今年度から臨海は共学になったため、男子の第1期になる。

腕はともかく、男子麻雀部の人材として連れてきた、となれば

私自身部活で悪くない立ち位置に就ける。そんな打算があったことは否定しない。

正式入学の4月以前から、同い年のハオと共に何度か部活への顔出しはしている。

レギュラー及び2軍や3軍の概要は掴めたし、私のキャラや能力含めての実力も

周囲に知らしめられたはず。その上で1軍の大将が「部の未来も考えてますよ」と

形として示しているのだ。悪いことではない。

そんな過去の私から、現在の自分はどう映るのか。

監督、サトハ、メグの3人を相手に京太郎は一歩も引かない打ち方だ。

ツモで削られたり、振り込むにしても1000点で抑えているなら充分といえる。

ただアガれない。ロンもツモもさせてもらえていない。

その結果3位でオーラスを迎え今に至る。そして状況は最悪の一言。

京太郎も含め4人ともテンパった。多分彼もそれは理解している。

だからその六萬を掴んだことに私の理解が遅れた。だってその牌は…

「ロン」「ロンデス」

サトハだけじゃなくメグの当たり牌だったなんて。

ダブロンはありだ。だから京太郎は二人分の点数を。そんなことを考えてたら、

「キョウタロウ…読んでた?」

対面の監督がそんなことを言いながら牌を倒した。倒した?

「トリプル?」

メグを見てたハオの呟き。トリロンはない、つまり三家和。

「流局?」

サトハを見てた明華の言葉。その意味が全員に染み渡る前に私は

「やったね、キョウタロー!」

彼の腕に抱きついていた。そうだ、京太郎は勝てなかった。

でも負けなかったんだ。だって六萬を切って三色は崩れたけど

テンパイは維持しているんだから。

もちろん3位でしかない以上負けは負けだ。だけど自分を曲げなかったことを

彼自身と後ろで見てた私だけは知っている。だからそれでいい。

「よくやれたね、あんなの。ネリーだったら適当に現物切って、次に賭けたかな」

「現物すらなかったんだぞ。他にどーしろっていうんだよ」

そんなやりとりをしつつ、京太郎はいつものように牌を磨く。

部活の後、私達だけしかいない部室。

私が彼の膝に座っていることだって、いつものことだ。

だから

「どれ、牌磨きか。たまには私もしてみるとしよう」

そんな言葉とともに、サトハが入ってきたことに京太郎は驚き

私は無性に腹が立った。

何故わざわざ今なのか、と。

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最終更新:2018年04月26日 22:26