未婚で気が進まないながらも同窓会に顔を出した宮永咲
メディア露出が下手で解説もインタビューも噛み噛みなのに戦績だけいい麻雀プロ

そんな彼女は久しぶりに金髪の幼馴染を見つけて、とてとてと近寄って座り込み

咲「京ちゃぁん、もうプロ辞めたい」

麻雀だけではなくメディア露出も大事だと現実を知った女性は、酒を飲みながら早々に愚痴っていた

咲「お姉ちゃんも淡ちゃんも人気で、私はなんだかパッとしないし……どうしよう」

戦績はほぼ同程度なのに、作りキャラの上手い宮永照、傲岸不遜でありながらたまに崩れるところがいいと噂の大星淡
この二人に対しあまりにも世間からの認知度というものが低い有様だった

本当に二冠とったんですかね、このプロ。
別名『麻雀だけプロ』、それが宮永咲である。
インタビューも解説も噛み噛みでポンコツ臭漂い、メディア露出から逃げ回る様はまるで引きこもり

京太郎「お前、プロ辞めてどうやって行くんだよ?」

咲「もうお金はあるもん、生きていけるもん」

京太郎「そうじゃなくて、生きがいとかそういうのの話してるんだけど俺」

咲「そんなこと言ったって、私は人並みの幸せさえあれば別に」

酒を飲むたびに負のオーラが周囲にまき散らされていく

京太郎「人並みなあ、結婚とか?」

咲「出会いが、ないです」

ズーンと、沈む頭をいつかのようにポンポンと叩いて

京太郎「まあどうしようもなくなったら俺がもらってやるよ。あ、ただし飯は交代制な」

咲「……まさか、私の資産を狙って」

京太郎「俺も普通に稼いでますー。そりゃ高給取りじゃないけど、普通の家庭持てるぐらいにはな」

軽口の欧州に、少しだけ昔に戻った気になって

京太郎「だからま、いざという時は逃げ込んで来い。それぐらいはしてやるよ」

咲「京ちゃん……」

俺たちの顔が赤いのは酔いのせいで、雰囲気とかそういうのじゃないから。絶対そうだから

咲「うん、もうちょっとだけ、頑張ってみる」

京太郎「なんでその笑顔が記者の前でできないのかね。そうすりゃ一気に人気なのに」

はにかんだような、ほころぶ柔らかな微笑に、ちょっとした独占欲を覚えるのは幼馴染としての特権だろうか。


後日、大学の同窓会で京太郎に絡む人数が大量にいた理由は、この男が気づくことがなかった。

カン

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最終更新:2017年10月20日 00:57