京ちゃんがいなくなった清澄 BADEND編  

京太郎「あー、部活ぅ?いいや、俺バイトあるからさ」

京太郎「悪いな。当分麻雀から離れることにするわ」

咲「そ、そんな...!ねぇ嘘でしょ?」

京太郎「嘘じゃねえよ。なんだよ?俺がバイトしちゃいけないのかよ」

咲「それは、そんなことないけど...」

京太郎「ま、和や優希にもお前から言っといてくれ」

京太郎「じゃあな。時間できたら顔出すから」

咲「あっ、待っ...」

京太郎「今度お前らと打つときにはよ、俺も上達してるからさ」

京太郎「ま、楽しみに待っててくれよ?な?」

咲(その時の私達は、まだ事態を甘く見ていました)

咲(なんだかんだ言って京ちゃんは戻ってくる。そう思い込んでました)

咲(だけど、京ちゃんはその一ヶ月後鹿児島へ引っ越してしまいました)

咲(京ちゃんがいなくなったらどうなるか?)

咲(私達の罪は、その意味するところを軽んじてしまった点に尽きます)





四月 部員勧誘

まこ「なにか質問がある者はおらんか?」

男子部員「はい。あの~二年生の須賀先輩?って方はどこにいますか?」

まこ「うん?京太郎のこと知っとるのか?」

男子部員「いえ、その...女所帯に男が入るのに抵抗感あって...」

男子部員「それに須賀先輩優しい人だって聞いてたから...」

まこ「...すまんのぅ。京太郎は去年鹿児島に引っ越してしまったんじゃ」

男子部員「あっ...そうですか」

女子部員「え~。私あの人目当てでここに来たのにぃ~」

女子部員2「イケメンいないなら用ないわ~。ないわ~帰る」

男子部員2「去年みたいに男子だからってだけでパシられるのも嫌だしな」

男子部員2「すいません。俺らやっぱ他の部活いきまーす」

咲「あっ!待って!」

 がらがらがら~ ピシャッ!

優希「なんだアレ!なんて失礼な奴等なんだこんちくしょー!」

和「本当です!でも...須賀君がいてくれれば...」

まこ「はぁ...すまんのぅ。みんな」

咲「そ、そんなことないですって!ね?優希ちゃん。和ちゃん」

咲「京ちゃんはいなくなっちゃったけど、これから頑張ろう?」

優希「...そうだな!くよくよしても仕方がない!」

和「ですね。部長、頑張りましょう」

まこ「そうじゃな...よし!じゃあ県予選に向けて頑張るか!」

咲(だけど、これは私達にとって絶望の序曲にしか過ぎませんでした)




六月下旬 県予選決勝

咲(県予選が始まる前の京ちゃんがいない二ヶ月は私達を変えてしまった)

咲(集まらない部員集めや、染谷部長のプレッシャー)

咲(私達のメンタルケアを一手に引き受けてくれた彼はもういない)

咲(そんな劣悪な状況で決勝戦を勝ち抜けるわけがなく...)

衣(咲、どうしたというのだ...三日月の衣に咲が劣るとは)

衣「ツモ...大三元!」

司会「決まったー!!今年の長野県代表は龍門渕高校です」

司会「南四局オーラスの大三元ツモ和了で清澄を下しました」

咲(皆の期待を背負った衣ちゃんに私は敗北してしまいました)

咲(そして、個人戦でも...私達は結果を残せませんでした)

池田「キャプテン...コーチ」

池田「本当に、本当になんて遠い廻り道だったんだし...」

池田「良く戻ってきた...ロン!四暗刻!」

咲(団体戦から立ち直れないままの私は風越の池田さんに痛恨の役満放銃)

咲(なんとか個人戦は三位抜けで全国に行けることになったんだけど...)

優希「もういやだじぇ...麻雀なんか大嫌いだ」

和「やっぱり、お父様の言うとおりに東京に転校していれば..」

まこ「ぶつぶつぶつ....」

咲(皆の心はもう立ち上がれないほどに、ぺしゃんこになっていました)

咲(去年とは全く違う心境で臨む二年目のIHは最悪の出だしでした)





八月 東京駅

咲「熱い...どうしよう。道が分からない」

咲「うう、おトイレどこぉ...」

咲(龍門渕さんとはぐれてしまった私は駅の構内を彷徨っていました)

咲(携帯が運良くつながり、池田さんが来るのを待つ間)

咲(どこからともなく懐かしい声が聞こえてきました)

京太郎「小蒔さーん。お弁当買いすぎですよ~」

京太郎「お腹壊したら大変ですよ」

小蒔「大丈夫です。試合前までには全力で、必ず消化します!」

京太郎「湧~。明星~。姫様の分のお菓子食べて良いぞ~」

明星「ありがとうございます姫様。ご馳走になります!」

湧「ゴチになりまーす」

小蒔「ひどい!京太郎の鬼!」

京太郎「お前が腹下したら、心配で夜も寝れなくなるだろうが」

小蒔「まぁ...///そ、そこまで京太郎が言うなら」

小蒔「って、あれ?春ちゃんはどこに?」

咲(幸せそうに微笑む京ちゃんの姿を見て、私は立ち尽くしました)

咲(ポタポタと地面に大粒の涙が雨のようにこぼれました)

春「京太郎言ってたよ。姫様と出会ってから運が良くなったって」

咲「え?」

咲(後ろを振り返ると、そこには巫女服を着た女の子がいました)

咲(冷たくて、暖かさの欠片もないその視線は私を捉えて離さなかった)

春「男が女のフォローをするのは疲れる。これ当然の真理」

春「京太郎は貴女達のこと仲間だって思ってた」

春「自発的にテンション上げて、なんとかその中に入ろうとしてた」

春「でも、そっちがフォローしてくれないから愛想尽かしたんだよ?」

春「一緒にいると骨まで食い尽くされそうだって京太郎言ってた」

咲「そ、そんな...私達そんなつもりじゃ...」

春「ふふふ...京太郎に応援の一つもしなかったその口でよく言うよね」

春「悔しい?悔しいよね?大好きな男取られて今どんな気持ち?」

咲「返して!返してよぉ!私の京ちゃんを!返して!」

春「だったら身体を使って姫様から寝取れば良い」

春「でも、姫様嫉妬深いから、何されるか分からないよ?」

春「そもそも私が京だったら最初から願い下げだけどね。昔の女なんて」

咲「ひっ、ああ...うううっ....」

小蒔「あっ、春ちゃん。今までどこをほっつき歩いて...あら?」

咲「えっぐ、ぐすんっ...」

京太郎「おーい。小蒔ー。春は見つかったか~?」

小蒔「はい。見つかりました。さ、行きましょうか」

春「かしこまり」

咲「きょうちゃ...」

池田「あ!ここにいたのか宮永!全く随分と探したんだ、ぞ...」

京太郎「なんだよ小蒔も春も、そんなにひっつくなよ」

春「京太郎はデレがない幼馴染とデレデレ彼女のどっちがいい?」

京太郎「はぁ?なんだそりゃ?」

京太郎「そうだな。脈のない女の尻を追っかけるのは無駄だし」

京太郎「断然後者の方だわ」

京太郎「なんてったって可愛いもん」

池田「宮永、もう行こう。あんなのに構うな」

池田「お前が知らないだけで、いい人はまだまだいるはずだろ」

咲(声にならない叫びを必死にこらえ、私は京ちゃんから離れました)

咲(そう、これは夢。悪い夢なんだ)

咲(私の知ってる京ちゃんはあんなこと絶対に言わない。言うはずがない)

咲(京ちゃんの居場所は永水じゃない)

咲(そう!これは神様が私に課した試練なんだ)

咲(潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す)

咲(京ちゃん。お姉ちゃんの時と同じように目を覚まさせてあげるから)

咲「淡ちゃんみたいに今度は神代さんを叩き潰せば目がさめるでしょ」

咲「待っててね。京ちゃん。イマイクカラ」

カン

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最終更新:2017年10月12日 23:21