京太郎「...またかよ」

 ここ最近、自分の家に帰ると必ず鍵が開いている事が頻繁に起きている。
 誰か部屋にいるのではないか?若干の恐怖を抱きながら部屋の中に入るも、
 何かが盗まれたわけでもなし、それどころか以前と比べて部屋がピカピカに
 綺麗になっている。

 空き巣でない分、その不気味さがたまらなく恐ろしい。

京太郎「一体誰が犯人なんだよ...」

 見当はつく。だが...

京太郎「実際に被害が出ているわけでもないんだよなぁ」

 おしとやかで世話焼きな巨乳美人の黒髪大和撫子が三名。
 どこまでいってもそういう目線で見れない腐れ縁が三名。 
 迫る婚期に目が血走る元アラサーとかエトセトラエトセトラ...。

京太郎「ここまでくるともうあれだよな、うん。座敷童かな」

 これまで仕掛けた罠や隠しカメラで自分の部屋に入り込んでは
 甲斐甲斐しく家事掃除をする犯人(笑)達はおよそ九人だった。
 およそと評するのは、大体が俺の部屋に侵入してかなりの確率で
 痕跡を残していく上位の面子が固定されているからである。

京太郎「冷蔵庫の中には、うわ...今日も結構おかず入ってんなぁ...」

 手の込んだ煮物や涎の出そうなフルーツタルト、小さな鍋の中には
 健康志向な春雨スープ、中には煮豚をやろうとして失敗したであろう
 黒焦げの肉の塊やら、紫色に変色した禍々しい杏仁豆腐らしきものが
 俺の買い込んだ食品を押しのけ、所狭しと自己主張しまくっている。

 嫌われたくない。けど、やっぱり京太郎に自分の事が好きだと分かって
 貰いたい彼女達は、こうして実に遠回りが過ぎる愛情表現しかできない。

 だから、その好意を一身に集める部屋の主はというと...

京太郎「全く、どういう神経してるんだかなぁ」

京太郎「でも、まぁ...美味しいんだよな。皆の料理」

 頬を緩ませながら、レンジで温めたその料理を全部平らげる。
 流石に焦げた肉と有毒ガスを発してそうな杏仁豆腐もどきには苦戦するも、
 それでも全部平らげる。

京太郎(はぁ...こうしてくれるのは本当に嬉しい...んだけどなぁ)

 何度も言うが、彼女達がしている事は紛れもない犯罪である。
 つけ加えると、誰かの料理を食べ残したりすると必ずその次の日には
 その当人の手によって自分の私物が必ず何らかの形で消えてしまう。

 テレビや冷蔵庫は当たり前のように消え、挙げ句の果てには車すら
 どこかへ行ってしまう。酷い時には自分が消えそうになってしまった
 こともある。

京太郎(いつまで続くんだろうな...これ)

 胃もたれする腹と重い足を引きずりながら、京太郎は寝室へ向かう。
 ドアを開けたその先のベッドにはどうやら先客が入り込んでいる。

京太郎「はぁぁぁぁぁ....」

 ため息をつきながら、京太郎は何も見ない振りをしてその場を去る。
 果たして彼女と彼の複雑な関係はこれからどう動き始めるのだろうか?
 とりあえず、須賀京太郎の眠れない夜は当分続くらしい。カン