京太郎「おとしだま……ですか?」
玄『そうだよ京太郎君! 私は去年お姉ちゃんやお客様から10個もらったんだぁ』フヘヘ

 電話越しに締まりのない笑い声を響かせるのは、
 阿知賀女子学院二年生の松実玄さんだ。
 夏のインターハイで出会い、意気投合して互いにやりとりをしている。
 無類のおっぱい好きである彼女の言う“おとしだま”。
 金額ではなく個数で示していることから分かるように、
 俺達の知っているお年玉とは違うらしい。

玄『――――ということだったんだよ! ふへへ。
  お姉ちゃんのが最高だったけど他にも~~~~』

 “おとしだま”がどんなものか、そしてその素晴らしさを力説する。
 わざわざ別のデバイスを介して画像や動画まで駆使するのだから
 その熱の入れようも察することができるだろう。

玄『そういうわけだから、京太郎君にも是非味わってほしいなって。
  長野には素晴らしいおもちをお持ちの方が少なくないからねっ』

京太郎「そうなんですか。ありがとうございます玄さん。……で、本音は?」

玄『できればその際のレポートをお願いしたいんだ』テヘッ

 彼女は執着こそ強いものの独占欲が強いわけではない。
 とはいえわざわざ俺に“おとしだま”を教えるのだから
 何らかの企みを持っているだろうと思えば案の定。
 女性同士であまり警戒されない玄さんと違って
 男の俺では画像や動画を撮ることは至難であるのだが……。

京太郎「ハァ。まあ、出来る限り善処はしますけど……」

玄『さっすが同志だよ!
  今度会ったらお礼に私も“おとしだま”をあげちゃう。
  ……あ、心配しないでいいよ。
  私だけじゃ貧相でいまいちだろうからお姉ちゃんにもお願いしておくね!』ガチャッ
京太郎「は? ちょ、玄さん!? ……ダメだ、もう切れてる」

 一方的にまくし立てたと思えば止める間もなく通話を打ち切られた。
 顔がにやけそうになりながら怪訝な色を浮かべるという複雑な表情。
 溜息を漏らした俺を責める人はいないと思う。



?「はあ。うぅっ、顔が熱い……。い、勢いで言っちゃったけど大丈夫だよね?」


続きは年越し後っす。よいお年を